upとdownの違いは、単純に「上」と「下」と覚えるだけでは不十分です。なぜなら、fill upは「満タンにする」、calm downは「落ち着く」、shut downは「停止する」となり、日本語訳だけを見ると上下との関係が見えにくいからです。
結論から言うと、upとdownは位置を表す点ではなく、反対方向へ進む動き・変化の矢印です。
- up:下から上へ向かう動き
- down:上から下へ向かう動き
この矢印を数値・成長・感情・機械の活動レベルに重ねると、多くの句動詞を一本のイメージで理解できます。
upとdownの違いを一言で整理
| 語 | コアイメージ | 意味の広がり | 代表例 |
|---|---|---|---|
| up | 下から上へ向かう動き | 上昇・増加・成長・満タン・完了 | stand up / speed up / grow up / fill up |
| down | 上から下へ向かう動き | 下降・減少・弱まり・落ち着き・停止 | sit down / slow down / calm down / shut down |
「上にある」「下にある」という静止した位置を表したい場合は、aboveやbelowが中心になります。upとdownは、ある状態から別の状態へ移る変化を含むのが特徴です。
物理的な動き|stand upとsit down
stand up:立ち上がる
Everyone stood up when the teacher entered.
先生が入ってくると、全員が立ち上がりました。
座った状態から身体が上へ伸びるためupです。単に立っている状態より、「立ち上がる」という変化に焦点があります。
sit down:腰を下ろす
Please sit down and make yourself comfortable.
どうぞ座って楽にしてください。
立った状態から腰と身体の位置が下がるためdownです。stand upとsit downは、up・downの物理的な矢印が最も見えやすい組み合わせです。
速度の変化|speed upとslow down
The train is speeding up.
電車は速度を上げています。
The train is slowing down.
電車は速度を落としています。
速度計の数字が上がるならspeed up、下がるならslow downです。up・downが示すのは「速い・遅い」という状態ではなく、速度がどちらへ変化しているかです。
会話ではSpeed up!(もっと急いで)やSlow down!(ゆっくり・落ち着いて)のように、車の速度以外にも使われます。話す速度が速すぎる相手には、Could you slow down a little?と言えます。
音量・温度|turn upとturn down
Turn up the volume.
音量を上げてください。
Turn down the volume.
音量を下げてください。
音量の目盛りを上へ動かすならup、下へ動かすならdownです。温度や照明にも同じ考え方を使えます。
- turn up the heat:暖房・火力を上げる
- turn down the heat:暖房・火力を下げる
- turn up the lights:照明を明るくする
- turn down the lights:照明を暗くする
代名詞を使う場合は、turn it up / turn it downのように、itを動詞とup・downの間へ置きます。turn up it、turn down itとは通常言いません。
数値・価格|go upとgo down
Prices went up again.
物価がまた上がりました。
Gas prices went down last month.
先月、ガソリン価格が下がりました。
価格・株価・気温・売上・割合など、グラフにできるものはupとdownの矢印をそのまま重ねられます。
到達した数値を示すときは、toと組み合わせます。
The temperature went up to 30 degrees.
気温は30度まで上がりました。
The temperature went down to 10 degrees.
気温は10度まで下がりました。
up・downが変化の方向、to 30 degrees / to 10 degreesが到達点です。toのコアイメージと組み合わせると、英文の画がより明確になります。
upはなぜ「満タン・完了」へ広がるのか
upには、上へ進んで上限に達するイメージがあります。コップへ水を入れると、水面は下から上へ上がり、最後には満タンになります。そこから、最後まで・完全に・残りなくという意味へ広がります。
| 表現 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| fill up | いっぱいに満たす | 上限まで満ちる |
| use up | 使い切る | 使用を最後まで進める |
| eat up | 全部食べる | 食べる動作を完了する |
| clean up | きれいに片づける | 整った状態まで仕上げる |
We used up all the milk.
牛乳を全部使い切りました。
ここでは、downを機械的に反対として置くことはできません。use downやeat downとは通常言わないからです。矢印は意味を推測する助けになりますが、すべての句動詞が一対一の反対語になるわけではありません。
downはなぜ「弱まり・停止」へ広がるのか
downは活動・興奮・機能のレベルが下がるイメージを持ちます。高まっていたものが平常へ戻れば「落ち着く」、動いていたものがゼロまで下がれば「停止する」です。
| 表現 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| calm down | 落ち着く | 興奮のレベルが下がる |
| settle down | 落ち着く・定住する | 動きが静まり安定する |
| shut down | 停止する・閉鎖する | 活動レベルがゼロになる |
| break down | 故障する・崩れる | 正常な機能が下がり止まる |
The system shut down automatically.
システムは自動的に停止しました。
upの「上限まで進んで完了」と、downの「活動レベルが下がって停止」は、どちらも終点へ向かう感覚を持ちます。ただし、upは満ちる・仕上がる方向、downは弱まる・止まる方向です。
grow upとcalm down|人の変化にも使える
I grew up in Osaka.
私は大阪で育ちました。
Take a deep breath and calm down.
深呼吸して落ち着いてください。
grow upは年齢・身体・成熟度が上がっていく変化です。calm downは怒りや不安など、高まった感情のレベルが下がる変化です。
どちらも物理的な高さではありません。英語では、目に見えない成長や感情も、上下の目盛りとして捉えます。
come upとgo down|近づく・遠ざかる感覚
The sun comes up.
太陽が昇ります。
The sun goes down.
太陽が沈みます。
日の出では、見えなかった太陽が上昇しながら姿を現し、こちらへ近づいてくるように感じられます。日の入りでは、太陽が下降しながら視界から遠ざかります。
この「遠ざかる」感覚を道へ当てはめると、go down this streetが「この道を先へ進む」になる理由も見えてきます。人が道の先へ進むにつれて、話し手から離れ、小さく見えるからです。
Go down this street and turn left.
この道を進み、左へ曲がってください。
up・downとabove・belowの違い
up・downを「上・下」とだけ覚えると、above・belowとの違いが曖昧になります。
| 語 | 中心 | 例 |
|---|---|---|
| up | 下から上への動き・変化 | The elevator is going up. |
| down | 上から下への動き・変化 | The elevator is going down. |
| above | 基準線より高い位置 | The floor above us. |
| below | 基準線より低い位置 | The floor below us. |
エレベーターが動いている方向ならup・down、現在地を基準にした静的な位置ならabove・belowです。詳しくはaboveとbelowの個別記事でも解説しています。
up and downの意味
up and downは、上下の動きを繰り返す表現です。物理的な上下だけでなく、数値や気分の変動にも使えます。
- The elevator went up and down all day.
エレベーターは一日中、上がったり下がったりしました。 - Sales have been going up and down.
売上は上がったり下がったりしています。 - Life has its ups and downs.
人生には良い時も悪い時もあります。
ups and downsは「浮き沈み・良い時と悪い時」という定番表現です。上向きと下向きの変化を人生や仕事へ重ねています。
upとdownを使い分ける3つの判断手順
- 何が変化しているかを見つける
身体、速度、音量、価格、感情、機械の活動など。 - 目盛りを想像する
低い状態から高い状態か、高い状態から低い状態かを考える。 - 矢印の向きを決める
上向きならup、下向きならdownを候補にする。
たとえば「音量を小さくする」なら、変化するのは音量、目盛りは高い方から低い方、矢印は下向きなのでturn down the volumeです。
3分トレーニング|反対方向を声に出す
次のペアを、手で上下の矢印を描きながら声に出してみましょう。
- Stand up. ↔ Sit down.
- Speed up. ↔ Slow down.
- Turn it up. ↔ Turn it down.
- Prices went up. ↔ Prices went down.
- The sun comes up. ↔ The sun goes down.
日本語訳を思い出すのではなく、上向き・下向きの変化を身体で作るのがポイントです。矢印と音をセットにすると、会話で取り出しやすくなります。
4時間の前置詞講義でup・downを立体的に確認
be:RIZE代表のしゅみすけは、YouTubeで英会話によく使われる前置詞・副詞50語を約4時間にわたって解説しています。upとdownもセットで取り上げ、温度・速度・株価から、fill up、use up、go down the streetまでイラストでつないでいます。
違いを知るだけでなく、会話で選べる状態へ
upとdownの違いを読んで理解できても、会話の瞬間にturn it upとturn it downを選ぶには、自分の場面へ置き換えた練習が必要です。
be:RIZEの英語コーチングでは、単語や句動詞をただ増やすのではなく、基本動詞・前置詞・文の骨格をコアイメージから理解し、リスニングとスピーキングで使える状態へつなげます。約4時間の前置詞講義を作ったしゅみすけの知見をもとに、一人ひとりの「分かるのに出てこない原因」と必要な練習順序を整理します。
まとめ|upとdownは反対方向の「変化の矢印」
- upは下から上へ向かう動き
- downは上から下へ向かう動き
- upは上昇・増加から、成長・満タン・完了へ広がる
- downは下降・減少から、弱まり・落ち着き・停止へ広がる
- up・downは動き、above・belowは基準線に対する位置が中心
- すべての句動詞が単純な反対語のペアになるわけではない
upとdownを見たら、日本語の「上・下」を探す前に、どの目盛りがどちらへ動いているのかを考えてください。speed up、calm down、fill up、shut downが、同じ二本の矢印から理解できるようになります。
up・downを個別に詳しく確認する
前置詞を一覧で確認:英語の前置詞一覧|コアイメージ・意味・使い分けを図解で完全解説



