英語のupを見ると、まず「上」と訳したくなります。けれど、get up、speed up、use upをすべて「上」で理解しようとすると、意味がバラバラに見えてきます。
upのコアイメージは、単なる「上の位置」ではありません。下から上へ向かう動きです。この矢印を持っておくと、「上昇」だけでなく、「程度が上がる」「満タンになる」「最後までやり切る」という意味の広がりまで一本につながります。
upのコアイメージは「下から上へ向かう動き」
まず押さえたいのは、upは静止した場所ではなく、動きや変化を表すという点です。
- 位置が上がる:stand up、come up
- 数値や程度が上がる:speed up、turn up
- 成長する:grow up
- 上限・完成まで到達する:fill up、eat up、use up
コップに水を注ぐ場面を想像してください。水面が下から上へ上がり、やがてコップいっぱいになる。この上昇から満タン・完成への流れが、upの多くの表現に共通しています。
まずは物理的に「上へ動く」up
get up:起き上がる
I get up at six every morning.
私は毎朝6時に起きます。
get upは、横になった状態から身体が上へ移動する感覚です。getのコアイメージである「動いて、ある状態にたどり着く」と、upの上向きの矢印が重なっています。
なお、wake upは「眠っている状態から目が覚める」、get upは「ベッドから起き上がる」です。目は覚めたのに布団から出ていないなら、I woke up, but I didn’t get up. と言えます。
stand up:立ち上がる
Everyone stood up when she entered the room.
彼女が部屋に入ると、全員が立ち上がりました。
座った姿勢から身体が上へ伸びる、視覚的にもわかりやすいupです。sit downとの対比で覚えると、矢印の向きがはっきりします。
come up:こちらへ上がってくる・話題に出る
The sun is coming up.
太陽が昇ってきています。
Your name came up in the meeting.
会議であなたの名前が話題に出ました。
見えなかったものが視界や意識の中へ上がってくるため、話題・問題・機会などが「出てくる」にも広がります。
数値・程度が「上がる」up
upは、目に見える高さだけでなく、速度・温度・音量・価格など、目盛りのあるものにも使えます。
speed up:速度を上げる
The train is speeding up.
電車は速度を上げています。
スピードのメーターが上へ動くイメージです。反対はslow down。速い・遅いという状態ではなく、速度が変化していることを表します。
turn up:音量などを上げる
Could you turn up the volume?
音量を上げてもらえますか?
つまみを回し、音量の数値を上げる感覚です。温度なら、Bring the temperature up to 25 degrees.(温度を25度まで上げて)のようにも使えます。
go up:価格・数値が上がる
Prices have gone up again.
物価がまた上がりました。
数字のグラフが上向きになる、まさにupの矢印です。主語が自ら上がるならgo up、何かを上げるならbring upやraiseなど、動詞との組み合わせが変わります。
成長・蓄積を表すup
grow up:成長する・大人になる
I grew up in Osaka.
私は大阪で育ちました。
身体だけでなく、年齢や成熟度が上がっていく表現です。growだけでも「成長する」ですが、grow upは子どもから大人へ向かう変化を強く感じさせます。
build up:少しずつ積み上げる
You need to build up your confidence.
自信を少しずつつける必要があります。
小さなものが積み重なり、量や強さが上がっていく感覚です。英語力も一晩で完成するものではなく、理解と実践を積み上げることで、使える状態へ上がっていきます。
「最後まで・すっかり」のup
ここが、upを単に「上」と訳すだけでは理解しにくいポイントです。上へ進んで上限に達すると、それ以上は入りません。そこからupは、満タン・完了・残りがないという意味を持つようになります。
fill up:いっぱいに満たす
Fill up the tank, please.
タンクを満タンにしてください。
液面が上がり、容器の上まで満ちる。コアイメージがそのまま意味になった表現です。
eat up・drink up:全部食べる・飲み干す
Eat up before it gets cold.
冷める前に全部食べてね。
食べる動作を最後まで進め、皿の上に残さないという完了感があります。命令文では「さあ、全部食べて」という促しにもなります。
use up:使い切る
We used up all the milk.
牛乳を全部使い切りました。
useは「使う」だけですが、use upには、使う行為が終点まで進み、残量がゼロになった感覚があります。run out of milkは「牛乳がなくなる」、use up the milkは「牛乳を使い切る」と、焦点が少し異なります。
clean up:きれいに片づける
Let’s clean up the kitchen.
キッチンをきれいに片づけましょう。
単に一部を掃除するだけでなく、散らかった状態から、きれいに整った状態まで仕上げるニュアンスが出ます。
show upはなぜ「現れる」なのか
He didn’t show up for the meeting.
彼は会議に現れませんでした。
show upは「姿を現す・やって来る」です。遠くて見えなかったものがこちらへ近づき、視界の中で存在感を増してくる。見えない状態から見える状態へ「上がってくる」と捉えると、丸暗記ではなくなります。
make up・give upにも「終点」の感覚がある
make up:欠けたものを埋めて完成させる
I’ll make it up to you.
埋め合わせをします。
make upには「作り上げる」「構成する」「埋め合わせる」など複数の意味があります。共通するのは、欠けていた部分を満たし、ひとまとまりの状態へ持っていく感覚です。動詞側の感覚はmakeのコアイメージもあわせて確認すると理解が深まります。
give up:続けることを手放す
Don’t give up on your English.
英語を諦めないでください。
give upは「諦める」。続けてきた行為を終点にして手放す完了感があります。ただし、句動詞は意味が慣用化しているため、毎回ひとつの日本語訳に機械的に分解する必要はありません。コアイメージは意味を思い出す道筋として使いましょう。
look upとlook up toの違い
Look up at the sky.
空を見上げてください。
I’ve always looked up to my grandfather.
私はずっと祖父を尊敬しています。
look upは視線を上へ向けるほか、「辞書などで調べる」という意味もあります。look up to 人は、その人を自分より高いところに置いて見上げる感覚から「尊敬する」です。
upとaboveの違い:動きか、位置か
upは上へ向かう動き・変化、aboveは基準より高い位置です。
| 語 | 中心イメージ | 例 |
|---|---|---|
| up | 下から上への動き・上昇 | Look up.(上を見て) |
| above | 基準線より高い位置 | The picture is above the sofa.(絵はソファより上にある) |
エレベーターが上昇中ならgoing up、現在地より上の階にあるならabove us。詳しくはaboveのコアイメージでも解説しています。
upを使えるようにする3分トレーニング
句動詞を日本語訳だけで暗記するのではなく、次の順番で声に出してみてください。
- 物理的な上昇:I stood up. / The sun came up.
- 程度の上昇:The price went up. / Turn up the volume.
- 完了・満タン:Fill it up. / We used it up.
それぞれの英文を言うとき、頭の中に上向きの矢印を描きます。同じupが、どこまで自然につながって感じられるかがポイントです。
4時間の前置詞講義で、upの感覚を音でも確認
be:RIZE代表のしゅみすけは、YouTubeで前置詞を4時間にわたって解説しています。upを含む50の前置詞・副詞を、訳語ではなくイメージから理解したい方は、動画もあわせてご覧ください。
「わかる」を「使える」に変えるには
コアイメージを知ると、英文を読むときの迷いは減ります。ただ、会話で瞬時に使えるようになるには、自分が言いたい場面で英文を作り、声に出し、フィードバックを受ける工程が必要です。
be:RIZEの英語コーチングでは、単語や文法を知識として増やすだけでなく、あなたが英語を使う目的と現在地に合わせて、理解を実践へつなげる学習設計を行います。「勉強しているのに、会話になると出てこない」という方は、まず現在の課題を整理するところから始めてみてください。
まとめ:upは「上」ではなく上向きの矢印
- upのコアイメージは下から上へ向かう動き
- 物理的な上昇から、速度・温度・価格などの上昇へ広がる
- 上限まで到達する感覚から「満タン・完了・使い切る」を表す
- upは動き・変化、aboveは基準より高い静的な位置
get up、speed up、fill upを別々に覚えるのではなく、すべてに同じ上向きの矢印を重ねてみてください。句動詞が「暗記するもの」から「イメージで推測できるもの」へ変わっていきます。
「下」の動きも確認:downのコアイメージ|上から下へ向かう動き・低下・遠ざかる
使い分けを比較:upとdownの違い|上昇・完了と下降・停止を句動詞で使い分け
三語で比較:above・over・upの違い|「上」を位置・関係・動きで使い分け
前置詞を一覧で確認:英語の前置詞一覧|コアイメージ・意味・使い分けを図解で完全解説



