英単語は、いつ復習すれば忘れにくくなるのでしょうか。翌日、3日後、1週間後という予定は一つの目安になります。ただし、日付どおりに単語帳を見直すだけでは、会話で使える語彙にはなりません。
復習で本当に大切なのは、答えを見る前に思い出そうとすることと、思い出せた語の復習間隔を少しずつ広げることです。英単語を長期記憶に残し、会話で取り出すには「見る回数」より「思い出した回数」を増やします。
この記事では、忘却曲線のよくある誤解を整理し、大人の英会話学習に使いやすい復習タイミングと、1回3分でできる想起練習を解説します。
復習は、知っている単語を眺めて安心する時間ではありません。少し苦労しながら思い出し、使える形で口から出せるかを確かめる時間です。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
英単語の復習タイミングは「今日・翌日・3日後・1週間後」が目安
最初の復習計画がまったくない場合は、次の4回を出発点にできます。
| タイミング | 確認すること | 目安時間 |
|---|---|---|
| 今日 | 意味・音・組み合わせを理解し、自分の一文を作る | 1語2〜3分 |
| 翌日 | 場面から単語と短文を思い出す | 5語で3分 |
| 3日後 | 語順と発音を含めて、一文を声に出す | 5語で3分 |
| 1週間後 | 別の場面でも使えるか試す | 5語で5分 |
ただし、全単語を永久にこの予定で回す必要はありません。すぐに思い出せた語は次の間隔を2週間、1か月へ広げます。止まった語は当日か翌日に短く戻します。カレンダーより、実際に思い出せたかどうかを優先します。

忘却曲線は「全員が同じ日に同じ割合で忘れる表」ではない
英単語の学習記事では、「人は20分後に何%、1日後に何%忘れる」といった説明を見かけます。しかし、忘れ方は教材の難しさ、事前知識、理解の深さ、睡眠、テスト方法などで変わります。特定の数字をすべての学習者・すべての単語へそのまま当てはめることはできません。
エビングハウスの古典的な実験は、意味のない音節を自分自身で覚える条件を中心に行われました。日常英単語や自分の経験を含む英文は、同じ条件ではありません。忘却曲線から得たい実用的な教訓は、次の二つです。
- 時間がたつと、使わない記憶は取り出しにくくなる
- 適切なタイミングで思い出すと、その後はより長く保ちやすくなる
したがって、「必ず24時間以内に復習しないと失敗」ではなく、完全に消える前に思い出す機会を作り、その結果に応じて次の間隔を変えることが重要です。
見るだけの復習と、思い出す復習の違い
単語帳を開き、英語と日本語を続けて読むと、「知っている」という感覚が生まれます。しかし、答えが目の前にある状態での理解と、会話中に答えなしで取り出すことは別の課題です。
| 見る復習 | 思い出す復習 |
|---|---|
| 英単語と訳を同時に見る | 場面や日本語だけを見て英語を出す |
| 正解を読んで分かったと感じる | 答えを見る前に数秒考える |
| 単語だけを確認する | 組み合わせと自分の文まで言う |
| 全語を同じ回数繰り返す | 止まった語を多く、出た語を少なくする |
英単語を何度も書いているのに定着しない場合も、同じ問題が起きている可能性があります。見ながら写すことと、思い出して書くことの違いは、英単語は書いて覚えるべき? 何度も書いても定着しない理由で解説しています。
会話で取り出せるようにする3段階の想起練習
1.単語ではなく「場面」を見る
カードの表側に日本語訳だけを書く代わりに、使う場面や質問を書きます。たとえば innovation を復習するなら、「新しい技術で生活が便利になった」という場面を置きます。
場面が難しければ、写真、自分で描いた簡単な絵、日本語の短い状況説明でも構いません。会話では日本語訳の一覧ではなく、伝えたい状況から英語を探すからです。
2.答えを見る前に英語を思い出す
5〜10秒ほど待ち、innovationという単語と発音を思い出します。すぐに出なくても、その時間は無駄ではありません。記憶の中を探す行為そのものが復習になります。
出なければ最初の音、最初の文字、組み合わせの一部など、小さなヒントを使います。最初から答え全体を見せず、必要な分だけ助けを増やします。
3.自分の一文で声に出す
単語が出たら、そこで終わらず一文にします。
- This innovation changed our daily lives.
- We need more innovation in education.
- I learned about a new innovation at work.
自分の仕事や生活に近い一文を一つ選び、見ずに声に出します。単語を正解する復習から、会話で使う復習へ切り替わります。
思い出せたら広げる、止まったら戻す
復習間隔は、正答・不正答だけでなく、取り出し方によって調整します。
| 復習結果 | 次の復習 | 判断 |
|---|---|---|
| 一文まで迷わず言えた | 1〜2週間後 | 間隔を広げる |
| 単語は出たが文で止まった | 3日後 | 組み合わせと語順を補強 |
| ヒントで思い出せた | 翌日 | 短い想起をもう一度 |
| まったく出なかった | 当日+翌日 | 意味と場面をつなぎ直す |
「一週間後だから全語を復習する」という固定式より、弱い語へ時間を配る方が効率的です。5語すべてを10回見るのではなく、出た3語は先へ送り、止まった2語を短く練習します。
コロケーションと語彙ネットワークも一緒に復習する
単語だけを思い出せても、文の中で使えるとは限りません。復習単位を一語から少し広げます。
- decision → make a decision
- progress → make progress
- attention → pay attention to
自然な組み合わせの作り方は、英語のコロケーションとは? 単語を「組み合わせ」で覚える方法をご覧ください。
さらに一語を反対語、別の意味、自分の経験へ結びつけておくと、復習時の手がかりを変えられます。英単語を文脈で覚える方法|一語一訳を「語彙ネットワーク」に変える5つのつなぎ方で作ったネットワークを、今回は時間を空けて思い出すわけです。
復習するたびに同じ日本語訳を答える必要はありません。翌日は組み合わせ、3日後は自分の文、1週間後は別の場面というように、入口を変えると語彙が立体的になります。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
1日10分で回す大人向け復習メニュー
忙しい日は、次の配分で十分です。
- 2分:今日覚える3語の意味・音・組み合わせを確認する
- 3分:翌日分のカードを見ずに思い出す
- 3分:3日後・1週間後の語を自分の文で言う
- 2分:止まった語だけ、短い例文を作り直す
復習語が増えすぎたら、新しい語を一時的に減らします。毎日10語を追加して復習待ちを積み上げるより、3〜5語を一文まで仕上げる方が、会話目的には使いやすいことがあります。学習量の決め方は、英単語は一日何個覚える? 数より確認したい「使える状態」も参考になります。
復習日を逃したときは、全部をやり直さなくてよい
仕事や予定が重なり、翌日や3日後の復習ができない日もあります。その場合、最初の学習日から予定を組み直したり、溜まったカードを一度にすべて消化したりする必要はありません。再開した日に一度だけ思い出すテストを行い、その結果から次の間隔を決め直します。
| 再開時の状態 | その日にすること | 次の確認 |
|---|---|---|
| すぐに一文まで言える | 確認だけで終了する | 1週間後 |
| 単語は出るが文で止まる | 組み合わせと一文を音読する | 3日後 |
| ヒントがあれば出る | 答えを隠してもう一度想起する | 翌日 |
| まったく出ない | 意味・音・場面をつなぎ直す | 当日夜または翌日 |
復習が溜まっている場合は、①今週使いたい語、②何度も止まる語、③一文まで言えない語の順に扱います。すぐ出る語は後ろへ送り、新しい単語の追加を数日止めても構いません。未処理件数をゼロにすることより、重要な語を答えなしで取り出せる状態へ戻すことが先です。
週に一度は「単語別」ではなく「場面別」に確認する
日々のカード復習に加えて、週に一度だけ、仕事・旅行・買い物・自己紹介など一つの場面を選び、今週覚えた語を使って30秒ほど話してみましょう。カードでは正解できても、話の流れの中では出ない語が見つかります。そこで止まった語は、単語そのものではなく、前後に置く表現を含めて翌日の復習へ戻します。
たとえば decision を覚えたなら、意味を答えるだけでなく、I made a difficult decision last week. のように自分の出来事へ入れます。この確認によって「覚えているか」だけでなく、「必要な場面で使えるか」を測れます。間隔反復と会話練習を別々にせず、週単位で接続する方法です。
よくある失敗
復習予定を守ることが目的になる
アプリの未復習件数をゼロにしても、会話で使えなければ目的は達成していません。予定は学習を助ける道具です。語数が多すぎる日は、今使いたい基本語を優先します。
正解を早く見すぎる
少し止まるとすぐ答えを見る癖があると、「見れば分かる」状態から進みにくくなります。数秒考え、小さなヒントを使い、それでも出なければ答えを見る順番にします。
日本語訳だけを正解にする
会話目的なら、単語の意味だけでなく、音・組み合わせ・語順・場面を含めて確認します。訳が言えた語でも、一文が出なければ次回の間隔を短めにします。
まとめ|復習日は固定せず、思い出せたかで調整する
英単語の復習タイミングは、今日・翌日・3日後・1週間後を最初の目安にできます。ただし、重要なのは日程を機械的に守ることではありません。
- 答えを隠し、場面から英語を思い出す
- 単語だけでなく、組み合わせと自分の文を声に出す
- 思い出せた語は間隔を広げる
- 止まった語だけ当日・翌日に短く戻す
- 復習ごとに質問や場面を少し変える
単語帳を何周したかより、答えのない状態で何回取り出せたか。その回数を増やすと、英単語は「見れば分かる知識」から「会話中に呼び出せる道具」へ変わっていきます。
復習した語が「見れば分かる」段階から「自分で使える」段階へ移ったかを判断するには、受容語彙と産出語彙とは?|「分かる英単語」を会話で使える語彙に変える方法の4段階チェックをご覧ください。





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