thisのコアイメージは、「話し手のすぐ近くにある対象を、手元へ引き寄せて焦点を合わせる」です。
This book is interesting.
この本はおもしろいです。
ここでいう「近く」は、物理的な距離だけではありません。今いる場所、現在の時間、進行中の会話、話し手がこれから紹介する内容など、話し手が自分の領域にあると感じているものを指せます。だからthisは「これ」「この」だけでなく、「今の」「今回の」「こちらは」「次のような」とも訳されます。
しゅみすけ
thisのコアイメージ|話し手の近くへ引き寄せて焦点を合わせる
thisは指示限定詞または指示代名詞として使われます。名詞の前に置けば「この〜」、単独で使えば「これ」に近い働きになります。
This chair is comfortable.
この椅子は座り心地がよいです。
This is comfortable.
これは快適です。
This woman helped me.
この女性が私を助けてくれました。
This is the woman who helped me.
こちらが私を助けてくれた女性です。
話し手は対象を周囲から切り分け、自分の近くの焦点へ入れています。聞き手にも見えている物を指すこともあれば、写真や画面に表示された人物、会話の中で取り上げた内容を指すこともあります。
thisとthatの違い|話し手の領域にあるか、距離を置くか

| 語 | 距離感 | 基本の意味 |
|---|---|---|
| this | 話し手の近く・現在の焦点 | これ/この |
| that | 話し手から離れた場所・時間・話題 | あれ/その |
This cup is mine.
このカップは私のです。
That cup is yours.
あのカップはあなたのです。
I like this idea.
私はこの考えが気に入っています。
I don’t agree with that idea.
私はその考えには賛成しません。
カップの例では物理的な距離が違います。考えの例では、話し手が今受け入れ、自分の焦点に置く考えをthisで示し、距離を取って扱う考えをthatで示せます。ただし、心理的な近さは文脈で変わります。単純に手で届く距離だけを測るのではなく、話し手がどちらを「こちら側」に置いているかを見ることが大切です。
thisは単数、theseは複数
thisは一人・一つの対象、または不可算名詞に使います。複数の対象にはtheseを使います。
| 距離 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 近い | this | these |
| 遠い | that | those |
This apple is fresh.
このリンゴは新鮮です。
These apples are fresh.
これらのリンゴは新鮮です。
This information is useful.
この情報は役立ちます。
informationは不可算名詞なので、内容が多くてもthese informationsにはしません。一つのまとまりとしてthis informationとします。
× this books
○ these books
× these advice
○ this advice
指示語の単複だけでなく、後ろの名詞が数えられるかどうかも一緒に確認してください。
場所のthis|手元・画面・現在地へ焦点を合わせる
もっとも分かりやすいのは、話し手の近くにある物や人を指す用法です。
Can I try on this jacket?
このジャケットを試着してもよいですか。
Who is this person in the photo?
写真のこの人は誰ですか。
This seat is available.
この席は空いています。
写真の人物は現実には遠くにいても、写真の中で話し手が今指しているためthis personと呼べます。画面上のボタン、文章の一部、地図上の地点なども同じです。物理的に手元へ置けなくても、共同で見ている焦点の中へ引き寄せればthisを使えます。
場所の近さを表す副詞hereとの関係も深く、thisは名詞や対象へ焦点を合わせ、hereは場所そのものを「この地点」として示します。詳しくはhereのコアイメージも確認してください。
時間のthis|現在につながる期間を手元に置く

thisは、現在を含む時間帯や、話し手が今の生活と結びつけている期間にも使います。
I’m busy this morning.
今朝は忙しいです。
We have a meeting this week.
今週は会議があります。
Sales increased this year.
今年は売上が増えました。
I met her this past weekend.
この前の週末に彼女に会いました。
this morningやthis yearは、カレンダー上の近さだけでなく、話し手が「今の時間枠」として扱う範囲です。その期間がすでに終わっていても、現在の話題として手元に置けばthisを使えます。
なお、this morning、this week、this yearの前には通常inやonを置きません。
× in this morning
○ this morning
現在の一点を示すnowとの違いは、nowが時間の流れの「この一点」を示すのに対し、this weekなどは現在につながる時間の枠全体を指すことです。詳しくはnowのコアイメージで解説しています。
会話・文章のthis|今から示す内容や現在の話題を指す
thisは、物の代わりに、発言・考え・状況・文章全体を指すことがあります。
Listen to this.
これを聞いてください。
This is what I mean.
私が言いたいのはこういうことです。
Remember this: practice matters more than perfection.
これを覚えておいてください。完璧さより練習が大切です。
I can’t believe this!
こんなこと信じられません。
Listen to this.では、この後に話す内容を先に焦点へ入れています。Remember this:も、コロンの後ろに出てくる情報を「今から示す重要な内容」として手元へ引き寄せます。一方、すでに相手が言った内容を少し離れた情報として受けるときはthatが自然な場合があります。
That’s a good point.
それはよい指摘ですね。
相手の発言をthatで受けるのは、情報が相手側から来たものだからです。しかし、その考えを自分も共同の焦点へ置けばThis is important.のようにthisで扱うこともできます。
しゅみすけ
電話のThis is …|聞き手の注意へ自分を差し出す
電話で自分の名前を伝えるときは、I am …よりThis is …がよく使われます。
Hello, this is Yuki Tanaka.
もしもし、田中由紀です。
This is Ken from ABC Company.
ABC社のケンです。
Is this Ms. Brown?
ブラウンさんでしょうか。
電話では相手から姿が見えません。そこで声の主を会話の焦点へ差し出し、「今ここで話しているのはこちらです」と示します。Who is this?も「今話しているこちら側の人は誰ですか」という確認です。ただし、直接的に響く場合があるため、丁寧に尋ねるならMay I ask who’s calling?が使えます。
人を紹介するThis is …
対面でも、人を会話の焦点へ入れて紹介するときにThis is …を使います。
This is my colleague, Emma.
こちらは同僚のエマです。
Emma, this is David.
エマ、こちらはデイビッドです。
人を物のように「これ」と呼んでいるわけではありません。その人物を聞き手の注意の中心へ置き、「こちらが今紹介する人です」と示しています。複数の人を紹介するならThese are my teammates.のようにtheseを使えます。
thisの感情的な近さ|共感・驚き・いら立ち
話し手が出来事を強く身近に感じると、thisには感情が乗ります。
I love this song.
この曲、大好きです。
What is this noise?
この音は何ですか。
This is amazing!
これはすごいです。
I’m tired of this.
もうこれにはうんざりです。
好意的な内容だけでなく、いら立ちや困惑でも、問題が自分の現在地へ迫っていると感じればthisになります。thatで距離を置けば、同じ出来事を少し突き放して捉える響きが生まれることがあります。
よくある間違い
複数名詞にthisを使う
× this shoes
○ these shoes
複数名詞にはtheseを使います。
thisの後ろへ冠詞を重ねる
× this a book
○ this book
○ this is a book
thisが名詞を限定しているとき、その間にa/anを置きません。This is a book.ではthisが主語、a bookが補語です。
時間表現に不要な前置詞を付ける
× on this week
○ this week
thisが時間の枠を直接限定するため、通常は前置詞を付けません。
電話でI am …だけを機械的に使う
I’m Yuki.も文法的には正しいですが、電話で名乗る定型表現としてはThis is Yuki.が自然です。相手の注意へ声の主を示す場面だからです。
まとめ|thisは対象を話し手の「こちら側」へ置く
- thisのコアイメージは「話し手のすぐ近くへ対象を引き寄せ、焦点を合わせる」
- 名詞の前なら「この〜」、単独なら「これ・こちら」として働く
- thisは近い単数、theseは近い複数を示す
- thatは物理的・時間的・心理的に距離を置いた対象を示す
- 場所だけでなく、現在につながる時間、進行中の話題、これから示す内容も指せる
- 電話のThis is …は、声の主を会話の焦点へ差し出す表現
- 人の紹介でも、相手の注意へ人物を置くためThis is …を使う
thisを見たら、「これ」と置き換える前に、話し手が何を自分の現在地・時間・話題の中心へ引き寄せているのかを確認してください。幅広い用法が一つの距離感でつながります。
Basic Englishの基本語全体は、b-cafeのBasic English 850語一覧で確認できます。
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Basic Englishの重要語をまとめて学ぶ:Basic Englishの重要語46選|コアイメージ総合ガイド





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