thatのコアイメージは、「話し手の領域から少し距離を置いた対象や内容を指し示す」です。
「あれ・その」と訳す指示語、文を導く接続詞、名詞を説明する関係代名詞。一見すると別々に見えるthatの働きは、すべてこのイメージでつながります。この記事では、thisとの違いから3つのthatの見分け方、省略できる場合まで、例文とともに整理します。
しゅみすけ
thatのコアイメージは「距離を置いて指し示す」
thatは、話し手が対象を自分のいる「こちら側」から切り分け、「そちらにあるもの」として指し示す語です。この距離は、実際の空間だけではありません。
- 空間的な距離:あそこにある物
- 時間的な距離:その日、あの頃
- 心理的な距離:自分から少し切り離して扱う話題
- 文法上の距離:発言内容や先に出た名詞を、一つの対象として指す
日本語訳が「あれ」「その」「〜ということ」「〜するところの」と変わっても、that自身がしていることは同じです。対象をいったん区切り、聞き手にも分かる形で「それ」と示しています。
基本のthat:離れた人・物を指す
最も分かりやすいのが、指示代名詞・指示形容詞としてのthatです。名詞の前に置けば「その〜・あの〜」、単独なら「あれ・それ」を表します。
That book is mine.
あの本は私のです。
Who is that?
あちらはどなたですか。
I like that idea.
その考えが気に入りました。
3つ目のideaには物理的な距離がありません。相手が出した考えを、自分の内側ではなく「今話題になっているその考え」として指しています。thatの距離は、会話の中でも作られるのです。
thisとthatの違い
thisのコアイメージは「話し手の手元・意識の内側にあるものを示す」です。対してthatは、手元から離れた領域にあるものを示します。
This bag is mine, and that bag is yours.
このバッグは私のもので、あのバッグはあなたのものです。
目の前の距離だけでなく、心理的な近さにも使えます。話し手が強く関与している出来事にはthis、少し客観視したり過去のものとして扱ったりするときにはthatが自然です。
This is a serious problem.
これは深刻な問題です。
That was a difficult time.
あの頃は大変でした。
thisは「今ここ」の臨場感を帯びやすく、thatは一歩引いて振り返る感覚を帯びやすい、と考えるとよいでしょう。
thatの複数形はthose
thatは単数の人・物に使います。複数ならthoseです。
That flower is beautiful.
あの花は美しいです。
Those flowers are beautiful.
あの花々は美しいです。
this/these、that/thoseという組み合わせで、近い・遠いと単数・複数を同時に表します。
時間・会話の中でもthatは「それ」と指す
that dayは「その日」、at that timeは「そのとき」です。現在から距離を置き、すでに共有された時点を指しています。
I met her on that day.
私はその日に彼女と会いました。
At that time, I lived in Osaka.
その頃、私は大阪に住んでいました。
会話では、相手の発言や直前の内容全体もthatで受けられます。
That’s true.
それは本当です。
That’s why I called you.
そういうわけで、あなたに電話したのです。
I didn’t know that.
それは知りませんでした。
ここでもthatは、直前の情報を一まとまりの対象にして「それ」と示しています。

指示語・接続詞・関係代名詞は一つのイメージでつながる
thatには大きく分けて3つの使い方があります。
- 指示語:離れた対象を「それ」と指す
- 接続詞:文の内容を「〜ということ」として指す
- 関係代名詞:先に出た名詞を指し、その説明をつなぐ
品詞は異なりますが、「対象を切り出して示す」という働きは共通しています。
接続詞that:「〜ということ」と内容をまとめる
接続詞thatは、後ろに続く完全な文を一つの内容としてまとめます。
I think that he is right.
私は、彼が正しいと思います。
She said that she was tired.
彼女は疲れていると言いました。
The fact is that we need more time.
実際のところ、私たちにはもっと時間が必要です。
that以下のhe is rightやshe was tiredは、それだけで主語と動詞がそろった完全な文です。thatはその内容を箱に入れるようにまとめ、thinkやsaidの対象として渡します。
詳しい語順や使い分けは、接続詞thatの意味と使い方、名詞節全体についてはthat・whether・疑問詞で作る名詞節も参考にしてください。
接続詞thatは省略できることが多い
think、say、know、believeなどの後ろでは、特に日常会話でthatがよく省略されます。
I think (that) she’ll come.
彼女は来ると思います。
We know (that) this is important.
私たちは、これが重要だと分かっています。
省略しても後ろに完全な文が続くため、意味を判断しやすいからです。ただし、文が長い場合や構造を明確にしたい場合は、thatを残すと読みやすくなります。
関係代名詞that:名詞を指して説明をつなぐ
関係代名詞thatは、直前の名詞(先行詞)を指しながら、その名詞を特定する説明を後ろにつなぎます。
This is the book that changed my life.
これは私の人生を変えた本です。
The cake that I made was delicious.
私が作ったケーキはおいしかったです。
最初の例ではthatがchangedの主語、2つ目ではmadeの目的語の役割を担っています。そのため、thatの後ろは何か一要素が欠けた不完全な文になります。
関係代名詞の全体像は関係代名詞のコアイメージで詳しく解説しています。
目的格のthatは省略できる
関係代名詞thatが目的語の役割なら省略できますが、主語なら省略できません。
The movie (that) we watched was exciting.
私たちが観た映画は面白かったです。
The dog that lives next door is friendly.
隣に住んでいる犬は人懐っこいです。
前者はwe watchedの後ろに目的語が欠けているので、thatは目的格で省略可能です。後者はthat自体がlivesの主語なので省略できません。詳しくは関係代名詞を省略できる条件をご覧ください。

3つのthatを見分ける方法
迷ったら、thatの位置と後ろの形を確認しましょう。
- that+名詞、またはthat単独:指示語
例:that car/That is mine. - that+完全な文(主語+動詞がそろう):接続詞
例:I know that he is busy. - 名詞+that+不完全な文:関係代名詞
例:the car that I bought
I know that he bought the car.では、he bought the carが完全な文なので接続詞です。一方、the car that he boughtでは、he boughtの目的語が欠けており、thatがthe carを受けているため関係代名詞です。
しゅみすけ
thatでよくある間違い
thisとthatを日本語だけで選ぶ
日本語の「これ」「それ」と英語のthis/thatは完全には一致しません。話し手が対象を自分の領域に置くならthis、距離を置いて示すならthatです。会話の内容をthatで受けることが多いのも、このためです。
接続詞thatを文の成分だと考える
接続詞thatは、後ろの文の主語や目的語にはなりません。that以下だけを見ても完全な文になります。関係代名詞thatは後ろの文の一部を担うため、不完全な文になる点が重要です。
関係代名詞thatを常に省略する
省略できるのは、基本的に目的格のthatです。thatが後ろの動詞の主語なら残さなければなりません。「thatを消した後にも主語があるか」を確認すると判断しやすくなります。
まとめ:thatは離れた対象・内容を「それ」と示す
thatのコアイメージは、「話し手から距離を置いた対象や内容を指し示す」です。
- 指示語thatは、離れた人・物・話題を示す
- thisは話し手側、thatはそこから距離を置いた領域
- 接続詞thatは、後ろの完全な文を「〜ということ」とまとめる
- 関係代名詞thatは、先行詞を指して不完全な説明文をつなぐ
- 後ろが完全な文か不完全な文かで、接続詞と関係代名詞を見分ける
Basic Englishの基本語は、意味を一つずつ暗記するよりコアイメージから理解する方が、実際の英文で応用できます。850語の全体像は、姉妹サイトのBasic English 850語一覧もあわせてご覧ください。
be-rizeでは、英単語を日本語訳だけで覚えるのではなく、文法とイメージの両面から使える知識に変えていきます。thisやthatを会話で自然に使い分けたい方は、例文を声に出しながら「こちら」と「そちら」の距離感を確かめてみてください。
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