抽象語を知っている英語で説明する方法|見えない概念を人・行動・結果に分ける

見えない抽象概念を人・行動・結果に分けて英語で説明する方法

英語で抽象的な言葉が出てこないときは、別の難しい英単語を探し続ける必要はありません。その概念を「誰が関係するか・何が起きるか・何ができるか・何が変わるか・具体的にはどんな場面か」へ分ければ、知っている基本語と短い文で説明できます。

たとえば「責任=responsibility」が出なくても、People expect you to do something. If you don’t do it, other people may have a problem.(人はあなたが何かをすることを期待しています。しなければ、ほかの人が困るかもしれません)と言えます。責任という目に見えない名詞を、期待・行動・結果へ分けた説明です。

抽象語は「同義語」ではなく「場面」へ戻す

抽象語とは、物のように指で示しにくく、複数の出来事や関係をまとめた言葉です。責任、公平、信頼、自由、成功、機会、尊重、プライバシーなどは、一語の中に人・行動・ルール・評価・結果が含まれています。

そのため、responsibility means dutyのように別の抽象語へ置き換えても、相手がdutyを知らなければ説明は進みません。また「信頼とは信じること」のように、同じ語根を使った循環的な説明では、具体的な意味が増えません。

抽象語が必要になる場面を思い浮かべ、「誰が、何を期待し、何をして、結果としてどうなるか」まで分けると、people, do, say, know, want, can, good, badなどの基本語へ降ろせます。

しゅみすけ(大山俊輔)

抽象語が出ないときは、別の難しい名詞を探すのではなく、「その言葉がある場面では、誰が何をするのか」と考えてください。人と行動が見えるところまで戻すと、基本動詞で説明できます。

英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者

抽象語を説明する5つの視点
抽象語を人・出来事・可能性・変化・具体例へ分けます。

抽象語を説明する5つの視点

視点確認すること使える英語
誰が関係する?行動する人、影響を受ける人Someone / Other people / Everyone …
何が起きる?典型的な出来事・問題When … happens / If someone …
何ができる?権利・可能性・選択People can / cannot …
何が変わる?行動後の状態・結果Then … / This makes …
具体例は?日常で見える一場面For example, …

最初から完全な定義を作る必要はありません。会話でいま必要な意味を選び、二つか三つの視点で説明します。同じ抽象語でも、仕事、家族、法律、文化など場面が変われば、重要な部分も変わります。

抽象語は「人・ルール・行動・結果」に分解できる

要素問いresponsibilityの例
誰が誰に関係する?You and the people who depend on you.
期待・ルール何をすることになっている?People expect you to do something.
行動何をする/しない?You do it even when it is difficult.
結果しなければどうなる?Other people may have a problem.
評価なぜ重要?People can trust you.

すべての抽象語にルールが含まれるわけではありませんが、「誰が」「何をする」「何が起きる」は多くの概念に使えます。名詞を名詞のまま説明せず、動詞を使った短い場面へ変えるのがポイントです。

代表的な抽象語を知っている英語で説明する

fairness(公平・公正)

People in the same situation are treated in the same way. One person does not get more just because they are powerful.
同じ状況の人を同じように扱い、力があるという理由だけで多くを得ない、と説明しています。

ただし、公平が常に「全員を同じにすること」とは限りません。必要に応じて、Sometimes people need different kinds of help to have the same chance.(同じ機会を持つために、異なる助けが必要な場合があります)と補足できます。

trust(信頼)

You believe that someone will do what they said. You can share important things with them because you don’t think they will hurt you.
約束どおり行動するという予測と、重要なものを安心して預けられる関係へ分けています。

freedom(自由)

You can choose what to do and how to live. Other people do not control every part of your life.
選べることと、他者から全面的に支配されないことを示しています。

自由には限界もあります。You can choose, but you cannot use your choice to seriously hurt other people.と足せば、自由と他者への影響の関係まで説明できます。

success(成功)

You wanted something, worked for it, and got the result you wanted.
望み、努力、結果の一致として説明しています。ただし、成功の基準は人によって異なるので、会話では「自分にとって何が成功か」を具体化します。

For me, success means having enough time for my family while doing work that matters to me.のように、収入や地位ではなく、自分が大切にする結果を述べても構いません。

opportunity(機会・チャンス)

A situation makes it possible for you to do something you want to do. You may not have the same chance later.
何かが可能になる状況と、後には同じ可能性がないかもしれない点へ分けています。

respect(尊重・敬意)

You believe that another person matters. You listen to them, think about their feelings and ideas, and do not treat them as less important than you.
相手の価値を認め、話を聞き、感情や考えを考慮し、自分より下に扱わないという行動で見せています。

privacy(プライバシー)

Some parts of your life are only for you or for people you choose. Other people should not look at them or share them without asking you.
本人が共有相手を選べる領域と、許可なく見たり広めたりしないというルールへ分けています。

sustainability(持続可能性)

We can continue doing something for a long time without using everything up or causing serious problems for people in the future.
長期間続けられること、資源を使い切らないこと、未来の人に深刻な問題を残さないことへ分けています。

「反対の場面」を考えると輪郭が見える

抽象語が説明しにくい場合は、その概念がない場面を考えます。信頼がないなら、大切な情報を渡せない、約束が守られると思えない。公平でないなら、同じ条件なのに一人だけ違う扱いを受ける。自由がないなら、自分で選べず、他者がすべて決めます。

抽象語その概念がない場面短い英語
trust約束を信じられないI don’t know if she will do what she said.
fairness同じ条件なのに扱いが違うWe did the same work, but only he was paid.
privacy許可なく情報を共有されるThey shared my information without asking me.
freedom選択を他人が決めるSomeone else decides everything for me.

反対側を見ると、何が守られ、何が可能になっている概念なのかが分かります。これは辞書的な反意語を探すのではなく、結果が逆になる場面を作る方法です。

抽象語の意味は文脈と目的で変わる

「成功」は試験に合格することかもしれませんし、事業を続けること、家族との時間を持つことかもしれません。「責任」も、担当業務を完了すること、失敗を説明すること、問題を修正することなど、場面によって中心が変わります。

そのため、抽象語に唯一の短い言い換えを作って暗記するのではなく、会話の目的を確認します。

  • 何について話しているのか
  • 相手にどの違いを分かってほしいのか
  • 具体的にどんな人や出来事が関係するのか
  • その概念があると、何が可能になるのか
  • その概念がないと、誰が困るのか

目的が決まれば、概念全体を説明せず、今回必要な部分だけを選べます。

しゅみすけ(大山俊輔)

抽象語を具体的な場面へ分けると、自分と相手が同じ言葉を違う意味で使っていたことにも気づけます。言い換えは語彙不足を補うだけでなく、認識のずれを小さくする会話技術です。

英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者

Basic English・NSM・Minimal Englishとのつながり

少数の基本語で複雑な意味を組み直す発想は、オグデンのBasic Englishとつながります。また、意味をsomeone, something, do, happen, know, want, good, badなどの小さな要素へ分ける点では、NSM(自然意味論的メタ言語)と重なります。

Minimal Englishは、専門用語や文化固有の前提を減らし、異なる背景の人にも理解しやすい説明を目指します。三つは同じ理論ではありませんが、難しい一語へ依存せず、意味を共有可能な部品へ開くという方向で実践的に接続できます。

理論上の違いは、b-cafe.netのBasic English・NSM・Minimal Englishの違いで比較しています。実際の意味分解の手順は、難しい言葉をやさしい英語に言い換える7ステップも参考にしてください。

1日5分の抽象語分解トレーニング

  1. 今日使った抽象語を一つ選ぶ
  2. その言葉を使わず、具体的な人や場面を一つ思い出す
  3. 誰が何をするかを短い英文にする
  4. その行動で何が可能になり、何が変わるかを足す
  5. 反対の場面も一文で作る
  6. 最後に本来の英単語と自然な説明を確認する

たとえば「協力」を選んだら、Two or more people work together because they want the same result. Each person does one part, and they help one another when there is a problem.と説明できます。その後でcooperationcollaborationを確認します。

最初から模範定義を調べないことが大切です。自分の手持ちの基本語で一度意味を組み立てることで、知らない語があっても会話を続ける回路が育ちます。

感情・性格編から抽象語編へ

感情・性格編では、形容詞をきっかけ・反応・繰り返す行動へ分けました。抽象語編では、その範囲を人と人の関係、社会のルール、権利、価値、結果へ広げています。前の記事感情・性格を知っている英語で説明する方法と合わせると、目に見えない意味を場面へ戻す練習を段階的に行えます。

言い換え全体の学習順は、親記事の英語で言葉が出てこないときの言い換え方で確認できます。

まとめ:抽象語を人と行動が見える英語へ戻す

抽象語が出ないときは、別の難しい名詞を探すのではなく、誰が関係し、何が起き、何ができ、何が変わるのかを説明します。必要なら具体例と反対の場面を足します。

この方法なら、英単語を知らなくても概念の中心を伝えられます。同時に、自分がその言葉をどの意味で使っているかも明確になります。次は、この方法を日本語特有の文化語へ応用します。続きの日本文化語を知っている英語で説明する方法では、「察する・遠慮・もったいない・お疲れさま」などを、場面と意図から説明します。

2 COMMENTS

日本文化語を知っている英語で説明する方法|察する・遠慮・もったいないを場面から伝える - 聴ける×話せるに特化した英語コーチング|be:RIZE(ビーライズ)

[…] 抽象的な意味を具体的な場面へ戻す基本は、前の記事抽象語を知っている英語で説明する方法で練習できます。人・物・行動・感情から順に言い換えを学びたい方は、親記事の英語で言葉が出てこないときの言い換え方から進めてください。 […]

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