英単語帳では意味が分かるのに、会話になると単語が出てこない。そんなとき、足りないのは単語数ではなく、単語同士のつながりかもしれません。
英語には、自然によく一緒に使われる語の組み合わせがあります。たとえば「決断する」は make a decision、「大雨」は heavy rain です。こうした結びつきをコロケーション(collocation)と呼びます。
この記事では、単語を一語ずつ暗記する学習から一歩進み、基本語を「使える表現」に変えるコロケーションの覚え方を、具体例と練習手順で解説します。
単語は、意味だけ覚えても会話の中で置き場所が決まりません。「誰とよく一緒にいる単語か」まで分かると、口から出る速度が変わります。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
コロケーションとは「自然な語の組み合わせ」
コロケーションとは、ある言語で慣習的によく使われる単語の組み合わせです。文法的に間違っていなくても、組み合わせが不自然だと英語らしく聞こえないことがあります。
| 伝えたいこと | 自然な組み合わせ | 不自然になりやすい表現 |
|---|---|---|
| 決断する | make a decision | do a decision |
| 宿題をする | do homework | make homework |
| 大雨 | heavy rain | strong rain |
| 写真を撮る | take a picture | make a picture |
| 注意を払う | pay attention | give attention |
日本語訳だけを見れば、makeもdoも「する」、heavyもstrongも「強い」と訳せます。しかし実際の英語では、単語は自由に入れ替えられるわけではありません。コロケーションは、辞書的な意味と実際の使用をつなぐ知識です。
なぜ単語を一語ずつ覚えても話せないのか
英単語は何語覚えれば話せる? 語彙サイズより「語彙の深さ」が会話を変える理由で解説したように、語彙力には「知っている語の数」だけでなく、一語をどれだけ深く知っているかという側面があります。
たとえば decision を「決定」とだけ覚えた場合、意味を認識することはできても、文を作るときには次の判断が必要です。
- どの動詞と組み合わせるのか
- 冠詞は必要か
- 後ろに何を続けられるのか
- どんな場面で自然なのか
make a decision、make an important decision、make a decision about the job、make a decision to moveまでまとまりで知っていれば、会話中に一から組み立てる負担が減ります。コロケーションは、語彙の「深さ」を実際の発話へ接続する単位なのです。

まず覚えたい5種類のコロケーション
コロケーションは無数にありますが、最初から専門的に分類する必要はありません。会話で使いやすい次の5種類から始めると整理しやすくなります。
| 型 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| 動詞+名詞 | make a plan / take a break | 計画を立てる/休憩する |
| 形容詞+名詞 | heavy traffic / close friend | ひどい渋滞/親しい友人 |
| 副詞+形容詞 | really important / deeply worried | 本当に重要な/深く心配した |
| 動詞+副詞 | work hard / change completely | 一生懸命働く/完全に変わる |
| 名詞+名詞 | language skills / coffee shop | 言語技能/コーヒー店 |
初心者が特に優先したいのは動詞+名詞です。文の骨格を作りやすく、基本動詞の使い分けも同時に学べます。とくに make、do、have、take、get、give は、多くの名詞と結びついて意味を広げます。
makeとdoの感覚を深めたい方は、makeとdoの違い|「作る・する」の丸暗記を卒業する使い分けもあわせてご覧ください。
コロケーションを使えるようにする4ステップ
1.新しい単語は「相棒」と一緒に記録する
ノートに decision=決定 とだけ書かず、make a decision=決断するまでを一単位にします。名詞を覚えるなら動詞や形容詞を、動詞を覚えるなら目的語を一つ添える習慣をつけましょう。
2.コアイメージとのつながりを確かめる
組み合わせを丸ごと覚えるだけでなく、なぜその基本動詞が選ばれるのかを考えます。makeには「手を加えて、何かを生み出す」という感覚があるため、make a plan、make progress、make a mistakeのように、結果が形になる表現へ広がります。
句動詞でも同じ発想が使えます。動詞と前置詞・副詞の組み合わせを理解するには、英語の句動詞とは? 基本動詞+前置詞をコアイメージで理解する方法が参考になります。
3.自分の経験で一文を作る
覚えた表現を、自分に関係のある文へ変えます。
- I made a decision to study English every morning.
- We made a plan for the weekend.
- I made good progress last month.
自分の予定・仕事・家族・学習に結びつけた文は、借り物の例文より思い出す手がかりが多くなります。既存の例文を書き換える具体的な方法は、英語のリライト練習とは? 例文を書き換えて話せる英語に変える方法で詳しく解説しています。
4.英語を隠して「かたまり」で取り出す
最後は日本語や場面だけを見て、表現を声に出します。「決断する」なら decision だけでなく make a decision まで一息で取り出します。翌日、3日後、1週間後に短く再テストすると、認識語彙から発話語彙へ移しやすくなります。
一日に20語を増やすより、基本語を3つ選び、それぞれ「組み合わせ+自分の一文」まで作る方が、会話の変化を実感しやすい人も多いです。量ではなく、取り出せる形まで仕上げましょう。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
単語帳をコロケーション帳に変える書き方
新しい教材を買わなくても、今ある単語帳や辞書を使えます。次の4列で記録すると、意味・組み合わせ・使用場面を一度に確認できます。
| 単語 | よく使う組み合わせ | 日本語 | 自分の一文 |
|---|---|---|---|
| decision | make a decision | 決断する | I made a decision to change jobs. |
| progress | make progress | 進歩する | I’m making progress in English. |
| break | take a break | 休憩する | Let’s take a short break. |
| attention | pay attention to | 〜に注意を払う | I pay attention to word order. |
| chance | have a chance to | 〜する機会がある | I had a chance to speak English. |
リンク先のない難語を大量に集めるのではなく、まずは日常英会話でよく使う基本動詞30選にあるような基本動詞を中心に、身近な名詞との組み合わせを増やすのがおすすめです。
組み合わせに迷ったときの直し方
コロケーション学習では、最初からすべてを正しく言おうとするより、どの語との組み合わせで迷ったかを残す方が役立ちます。たとえば「決断する」と言いたくて do a decision と言ったなら、decisionまで忘れたわけではありません。名詞は取り出せており、相棒となる動詞の選択だけが課題です。
この場合は、名詞を固定して make・do・take・have などを無制限に並べるのではなく、辞書や実際の英文で自然な組み合わせを一つ確認します。そして、誤った形と正しい形を次のように短く対比させます。
| 迷った表現 | 自然な表現 | 自分の一文 |
|---|---|---|
| do a decision | make a decision | I made a decision to apply. |
| make a break | take a break | Let’s take a break after this. |
| strong rain | heavy rain | We had heavy rain last night. |
似た語を一度に大量に比べると、かえって候補同士が競合することがあります。詳しくは英単語学習の意味干渉とは?似た単語をまとめて覚えると混乱する理由で解説しています。訂正時は「今回使いたかった一組」に絞り、翌日もう一度、場面から言えるか確かめましょう。
一週間は「場面→組み合わせ→一文」の順で回す
月曜日に三つだけ選び、火曜日から木曜日は日本語訳ではなく場面を手がかりに取り出します。たとえば仕事の方針を決めた場面を思い浮かべ、make a decision、続けて自分の一文まで声に出します。週末には、実際に使えた表現を残し、使わなかったものは保留にします。知識として見分けられるかではなく、必要な瞬間に組み合わせごと出せるかを基準にすると、単語帳が会話の準備帳へ変わっていきます。
よくある3つの失敗
表現を長く集めすぎる
一つの単語に10個、20個と組み合わせを追加すると復習できなくなります。最初は「自分が今週使いそうなもの」を2〜3個選べば十分です。
日本語訳だけで正解を決める
一つの日本語に英語を一対一で対応させると、場面による違いを見失います。辞書の例文を確認し、誰が・何を・どんな状況で使っているかまで見ましょう。
見て分かるだけで終える
make a decisionを見て理解できても、自力で取り出せるとは限りません。カードの表に「私は転職を決めた」、裏に “I made a decision to change jobs.” と書くなど、必ず思い出す練習を加えます。
Basic Englishの基本語とも相性がよい
Basic Englishは、限られた基本語を組み合わせて多くの意味を表す発想を持っています。大切なのは850語を一覧として暗記することではなく、基本語がどんな語と結びつき、どんな場面を表せるかを知ることです。
Basic English 850語は丸暗記しなくていい|会話に使える学習順と練習法で学習の全体像を確認し、今回のコロケーション学習で一語ずつ深めると、語彙の「範囲」と「使い方」をつなげられます。
コロケーションに加えて、反対語・多義・自分の経験まで一語の周囲へつなぐ方法は、英単語を文脈で覚える方法|一語一訳を「語彙ネットワーク」に変える5つのつなぎ方で解説しています。
コロケーションは、自然によく一緒に使われる語の組み合わせです。単語の日本語訳だけでなく、相性のよい語、文の型、使う場面まで一緒に覚えることで、知っている語を会話で取り出しやすくなります。
- 単語を相棒となる語と一緒に記録する
- 基本語のコアイメージとのつながりを確かめる
- 自分の経験を使って一文を作る
- 英語を隠し、かたまりで声に出す
新しい100語を急いで増やす前に、すでに知っている基本語を5つ選んでみてください。それぞれに二つの組み合わせと一つの自分の文を加える。それだけでも、単語帳は「意味の一覧」から「話すための材料」へ変わり始めます。





[…] […]
[…] 組み合わせの学び方は、英語のコロケーションとは? 単語を「組み合わせ」で覚えて話せる語彙に…で詳しく解説しています。 […]
[…] この「相棒」を覚える方法は、英語のコロケーションとは? 単語を「組み合わせ」で覚える方法で詳しく解説しています。 […]
[…] 自然な組み合わせの作り方は、英語のコロケーションとは? 単語を「組み合わせ」で覚える方法をご覧ください。 […]
[…] 単語の自然な相棒を増やす方法は、英語のコロケーションとは? 単語を「組み合わせ」で覚える方法をご覧ください。 […]
[…] この考え方を語彙全体へ広げたものが、Basic English 850語を会話に使える順で学ぶ方法です。30語を「知っている」で終わらせず、一語の場面・文型・用例を深めるには語彙サイズより「語彙の深さ」が会話を変える理由、make a decisionやtake a breakのような組み合わせを増やすには英語のコロケーションを組み合わせで覚える方法へ進んでください。基本動詞を、言い換えや会話の材料として使える状態へつなげられます。 […]
[…] 単語を見れば分かるのに自分から言えない場合は、まず認識語彙と発話語彙の違い|知っている単語を話せる単語へ変える方法で、理解と発話が別の段階であることを確認してください。必要な単語を数秒で取り出せない課題は英単語が口から出ない原因「語彙アクセス」と練習法、単語が一語ずつ出て文にならない課題は英語のコロケーションを組み合わせで覚える方法へ進むと、アウトプットのどこで止まっているかを切り分けられます。 […]