英単語は知っているのに、take off、put on、get overのように2語が並ぶと、急に意味が分からなくなる。句動詞を覚えても、会話やリスニングではすぐに出てこない。
その理由は、句動詞を「日本語訳が一つ付いた英熟語」として丸暗記しているからかもしれません。
英語の句動詞は、基本的には基本動詞が表す動き・状態と、前置詞・副詞が表す方向・位置関係が重なって生まれます。たとえばtake offなら、takeの「選んで自分側へ取り込む」動きと、offの「接触していたものが離れる」方向が合わさります。
この記事では、句動詞とは何か、なぜ日本人には覚えにくいのか、基本動詞と前置詞・副詞のコアイメージからどう理解すればよいのかを、会話でよく使う例とともに解説します。
英語の句動詞とは?
句動詞とは、動詞に前置詞や副詞などが加わり、まとまりとして一つの意味を表す表現です。英語ではphrasal verbと呼ばれます。
- get up:起き上がる
- put on:身につける
- take off:脱ぐ・離陸する
- look for:探す
- give up:諦める
- find out:知る・突き止める
学校英語では「動詞+前置詞」「動詞+副詞」という形や日本語訳を覚えることが多いでしょう。ただし、実際の会話では句動詞を構成する語が、ばらばらに働いているわけではありません。話し手の頭の中には、動きと方向が合わさった一つの場面があります。
たとえばget upは、getを「得る」、upを「上に」と別々に訳してから「起きる」へ変換する表現ではありません。getが表す「変化してある状態へ到達する」感覚と、upが表す「下から上へ向かう」感覚が重なり、横になった状態から上体が起きる場面につながります。
句動詞・熟語・イディオムの違い
句動詞、熟語、イディオムは重なる部分があるため、教材によって分類や呼び方が少し異なります。英会話を学ぶうえでは、次のように整理すると分かりやすいでしょう。
| 呼び方 | 考え方 | 例 |
|---|---|---|
| 句動詞 | 動詞+前置詞・副詞などが一つの動作・状態を表す | get up / put off / look after |
| 熟語 | 複数の語がまとまりとして使われる表現の総称 | be interested in / in front of |
| イディオム | 語を直訳しただけでは全体の意味を推測しにくい慣用表現 | break the ice / hit the nail on the head |
句動詞の中にも、各語のコアイメージから意味を推測しやすいものと、長い使用の中で意味が大きく広がり、慣用的に覚えたほうがよいものがあります。そのため「すべて丸暗記する」「すべて絵だけで推測する」のどちらかに偏らず、まず核となる場面を理解し、実際の文脈で意味を確認することが大切です。
なぜ句動詞は日本人にとって難しいのか
理由1|簡単な単語の組み合わせほど意味が広がる
句動詞に使われるのは、get、take、put、go、come、up、down、on、off、outなど、中学校で習う短い単語が中心です。ところが、簡単な語ほど長い歴史の中で多くの場面に使われ、意味が広がっています。
たとえばtake offだけでも、服を脱ぐ、飛行機が離陸する、急に人気が出る、その場を急いで去るなどの使い方があります。日本語訳を一つずつ別の項目として覚えると、暗記量が増え続けます。
理由2|前置詞・副詞の方向感覚を学んでいない
on=「〜の上に」、off=「離れて」、up=「上へ」と訳語だけで覚えると、句動詞の意味を立体的に捉えにくくなります。
onの中心は単なる「上」ではなく接触、offは接触していたものの分離、upは下から上への動きから、増加・出現・完了へ広がります。こうした位置や方向のイメージが、動詞の動きに新しい輪郭を与えます。主要な語の全体像は、英語の前置詞一覧|コアイメージ・意味・使い分けを図解で完全解説で確認できます。
理由3|完成した日本語訳から英語を呼び出している
「諦める」と言いたいとき、頭の中の日本語からgive upを検索する。「延期する」からput offを呼び出す。この方法でもテストには対応できますが、会話では検索に時間がかかります。
句動詞は「諦める=give up」のような一対一対応だけでなく、目の前の場面を動きと方向で捉える練習が必要です。日本語訳は確認に使い、最終的には映像・状況・話し手の意図と英語を直接つなげていきます。
句動詞は「基本動詞+方向」で理解する
句動詞を理解するときは、まず基本動詞を出来事の中心として捉え、次に前置詞・副詞がどちらへ動きや関係を広げているかを重ねます。
| 句動詞 | 基本動詞の核 | 方向・関係 | 生まれる場面 |
|---|---|---|---|
| take off | 選び、自分側へ取り込む | off=接触から離れる | 身につけた物を離す/地面から離れる |
| put on | ある位置・状態へ置く | on=接触 | 衣服などを体に接触した状態へ置く |
| get over | 変化して新しい状態へ到達する | over=上を越えて向こう側へ | 問題や病気を越えた状態へ到達する |
| go through | 今いる地点から離れて進む | through=内部を通り抜ける | 過程・経験・困難の中を通り抜ける |
| come across | 話し手・基準点の側へ近づく | across=端から反対側へ横切る | 移動の途中で人や物が視界に入ってくる |
もちろん、語源計算のように機械的に足せば、すべての意味が一意に決まるわけではありません。しかし、コアイメージがあると、複数の日本語訳を一つの場面の広がりとして整理できます。
よく使う句動詞をコアイメージで見てみよう
take off|接触していたものが離れる
- Take off your shoes.(靴を脱いでください)
- The plane took off on time.(飛行機は定刻に離陸しました)
- Her business really took off.(彼女の事業は急成長しました)
靴が体から離れる、飛行機が地面から離れる、事業が従来の水準から離れて上昇する。日本語訳は違っても、offの「分離」が共通しています。
put off|予定を今の位置から離す
- We put off the meeting until Friday.(会議を金曜日まで延期しました)
- Don’t put it off.(それを先延ばしにしないで)
putは対象をある位置・状態へ置く動きです。そこにoffが加わると、予定や行動を「今ここ」から離れた位置へ置く場面になり、延期・先延ばしにつながります。
give up|下から上へ差し出し、手放す
- Don’t give up.(諦めないで)
- He gave up smoking.(彼は喫煙をやめました)
giveは自分の領域から外へ渡す動きです。upには上昇だけでなく、最後まで行き切る、表面へ出す、完了する感覚があります。保持していたものを差し出し、もう自分の領域に置かない場面から「諦める・やめる」へつながります。
find out|隠れていた情報が外へ出る
- I found out the truth.(私は真実を知りました)
- Let’s find out what happened.(何が起きたのか調べましょう)
findは探していた対象を認識・発見すること。outは内側から外側へ出る方向です。隠れていた情報が外へ現れ、自分がそれを認識できる状態になります。
look after|後ろから見守る
- Can you look after my dog?(犬の世話をしてもらえますか)
- She looks after her mother.(彼女は母親の世話をしています)
lookは意識や視線を向ける動き。afterには時間・順序として後ろに続く感覚があります。対象の後ろについて意識を向け続ける場面から「世話をする」へ広がります。
句動詞を覚える5つのステップ
1.基本動詞のコアイメージを確認する
まずget、take、put、give、go、comeなど、中心となる動詞がどんな動き・状態を描くか確認します。基本動詞を日本語訳の一覧として覚えていると、組み合わせが変わるたびに別表現に見えてしまいます。
全体像は英語の基本動詞とは?少ない単語で英会話が広がる理由とコアイメージ学習法からたどれます。
2.前置詞・副詞を矢印や位置関係で見る
up、down、on、off、in、out、over、throughなどを、訳語ではなく簡単な図や身体の動きで確認します。特にonとoff、inとout、upとdownのような対になる語は、並べて比較すると記憶に残りやすくなります。
3.動詞と方向を一つの場面にする
get+overなら「変化・到達」+「障害物を越える」、put+offなら「置く」+「今の接触点から離す」のように、頭の中で短いアニメーションを作ります。日本語訳は最後に答え合わせとして置きます。
4.一つの句動詞を複数の文脈で確認する
take offを「脱ぐ」だけで終わらせず、飛行機、事業、急いで去る場面でも確認します。複数の使い方の共通点を探すことで、コアイメージが強くなります。
5.自分の場面に置き換えて口に出す
最後は、自分の日常で使う短い文に変えます。
- I get up at six.
- I put off the task until tomorrow.
- I need to pick up my daughter.
- I’m trying to cut down on sugar.
例文集を眺めるだけでなく、自分の生活・仕事・感情と結びつけると、受け身の知識から会話で使える表現へ変わります。
句動詞をリスニングで聞き取るための注意点
句動詞は意味だけでなく、音のまとまりとして覚える必要があります。実際の会話ではpick it up、put it on、get over itのように、目的語や代名詞を挟み、音がつながります。
- 動詞だけを聞いて日本語訳を確定しない
- 後ろのup、off、outなどまで一つのチャンクとして待つ
- 字幕・スクリプトで語の区切りを確認する
- 意味が分かった短い音声をオーバーラッピングする
- 同じ句動詞が別の文脈に出たとき、共通する場面を探す
音をただ繰り返すより、何が動き、どちらへ向かっているかを意識すると、音と場面を結びつけやすくなります。リスニング練習の全体順序は英語リスニングの勉強法|聞き取れない原因から分かる正しい練習順で解説しています。
句動詞Top30+20を動画でまとめて学ぶ
しゅみすけのYouTubeでは、アメリカ人が会話でよく使う句動詞Top30に、さらに重要な20表現を加えて解説しています。句動詞を日本語訳の一覧として眺めるだけでなく、基本動詞と前置詞・副詞の感覚を確認しながら見ると、表現同士がつながりやすくなります。
「アメリカ人が会話でよく使う句動詞Top30+20」をYouTubeで見る
まとめ|句動詞は単語2個ではなく一つの場面
英語の句動詞は、基本動詞と前置詞・副詞が偶然並んだ暗記項目ではありません。動詞の動き・状態に、方向・位置関係が加わり、一つの場面を作る表現です。
- 基本動詞で、出来事の中心となる動き・状態を捉える
- 前置詞・副詞で、方向・位置・接触・分離を見る
- 二つを一つの短い映像として重ねる
- 複数の意味に共通する場面を探す
- 自分の日常の一文に変えて、音と一緒に身につける
基本動詞・前置詞・助動詞を含む学習の全体像は、英会話で重要なコア単語とは?基本動詞・前置詞・助動詞をイメージで学ぶ方法で確認できます。句動詞は、基本動詞と前置詞を別々に学んだあと、その二つを実際の会話へ合流させる重要なステップです。
自分に合う英語学習の順番を整理したい方へ
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