notのコアイメージは「文や語句の成立に×を置く」です。日本語では多くの場合「〜ではない」「〜しない」と訳しますが、notは単に文末へ「ない」を足す語ではありません。notの直後にある内容を中心に、どこまでを否定するかを示す語です。
たとえば She is not busy. は「彼女=忙しい」という結びつきに×を置き、She does not work here. は「ここで働く」という出来事の成立を止めます。この「成立に×」という感覚があれば、be動詞、一般動詞、助動詞、部分否定、not A but Bまで一本につながります。
しゅみすけ
notの基本:文を否定するときの置き場所
notは、原則としてbe動詞・助動詞の後ろに置きます。英語では、否定を担当できる動詞のすぐ後ろにnotを置き、その先の内容を成立させない形にします。
be動詞の後ろ
- I am not tired.
私は疲れていません。 - This book is not difficult.
この本は難しくありません。 - They were not at home.
彼らは家にいませんでした。
is not busyなら「忙しい状態」に×、were not at homeなら「家にいた」という状態に×が置かれます。be動詞そのものの感覚はbe動詞のコアイメージも参考にしてください。
助動詞の後ろ
- I cannot swim.
私は泳げません。 - He will not come today.
彼は今日来ないでしょう。 - You should not worry.
心配しないほうがいいですよ。 - We may not have enough time.
十分な時間がないかもしれません。
can notも文法上あり得ますが、通常の「できない」は一語の cannot、短縮形は can’tです。will notの短縮形が won’tになる点にも注意しましょう。
一般動詞にはdoを使う
一般動詞はそのままnotを受けられないため、現在・過去では do / does / didを呼び出します。
- I do not know the answer.
私は答えを知りません。 - She does not eat meat.
彼女は肉を食べません。 - We did not see him yesterday.
私たちは昨日彼を見ませんでした。
does notやdid notを使うと、時制や三人称単数の印はdo側が担当します。そのため、She does not eatsやHe did not wentではなく、後ろは原形のeat、goです。
短縮形は会話の基本
会話では isn’t, aren’t, don’t, doesn’t, didn’t, can’t, won’tなどの短縮形が自然です。意味の中心は同じですが、短縮しない形は丁寧な響きや、notを強く意識させる響きが出ることがあります。
- I don’t agree.
私は賛成しません。 - I do not agree.
私は賛成しません。(「賛成しない」をやや強調) - It isn’t true.
それは本当ではありません。
一方、am notには一般的な肯定文型の短縮形がないため、I’m not ready.のようにI am側を縮めます。

notとnoの違い
notは文・動作・性質などの成立に×を置き、noは名詞の数量や存在をゼロにするのが基本です。noは通常、名詞の前に直接置きます。
- I do not have time.
私には時間がありません。 - I have no time.
私には時間がまったくありません。 - She is not a doctor.
彼女は医師ではありません。 - No doctors were available.
対応できる医師は一人もいませんでした。
I don’t have any money.とI have no money.はどちらも「お金がない」です。前者は「お金を持っている」という文をnotで否定し、後者はno moneyで「ゼロのお金」を表します。後者のほうが断定的に響くことがあります。否定文で活躍するanyについてはanyのコアイメージも確認できます。
notの位置で意味が変わる:×の範囲を見る
notは置き場所によって、否定する対象が変わります。次の組み合わせを比べてください。
- Only Tom did not come.
トムだけが来ませんでした。(ほかの人は来た) - Tom did not only come; he also helped us.
トムは来ただけでなく、私たちを手伝ってもくれました。
最初はonly Tomが主語で、「トムだけ」に範囲を絞ったうえで来たことを否定しています。次はnot only A but also Bに近い形で、「Aだけ」という限定に×を置いてBも加えています。only自体の位置の違いはonlyのコアイメージで詳しく解説しています。
not very・not enough・not yet
- The room is not very large.
その部屋はあまり広くありません。 - This box is not strong enough.
この箱は十分に丈夫ではありません。 - She has not arrived yet.
彼女はまだ到着していません。
not veryは「非常に」という高い程度に×を置くため、たいてい「あまり〜ない」という控えめな否定です。not enoughは必要な基準に届かないこと、not yetは「今までには成立していないが、この先はあり得る」ことを示します。詳しくはveryのコアイメージ、enoughのコアイメージ、yetのコアイメージも役立ちます。

not allは「全部ではない」:部分否定
notがall, every, always, necessarilyなどの全体・常時を表す語にかかると、「すべてがそうというわけではない」という部分否定になります。
- Not all students passed the test.
すべての生徒が試験に合格したわけではありません。 - Not everyone agrees.
全員が賛成しているわけではありません。 - He is not always busy.
彼はいつも忙しいわけではありません。 - Expensive things are not necessarily better.
高価な物が必ずしも優れているとは限りません。
Not everyone came.なら「来なかった人もいる」ので、来た人は残っています。対してNo one came.は「誰も来なかった」でゼロです。同様に、not allとnoneは同じ意味ではありません。範囲の詳しい整理は部分否定の解説をご覧ください。
not A but B:「AではなくB」
not A but Bは、最初の候補Aに×を置き、正しい候補Bへ言い直す形です。AとBには同じ文法上の形を並べると明快になります。
- She is not angry but tired.
彼女は怒っているのではなく、疲れているのです。 - We went there not by car but by train.
私たちは車ではなく電車でそこへ行きました。 - What I need is not more time but more help.
私に必要なのは、より多くの時間ではなく、より多くの助けです。
この形はやや硬めなので、会話ならI need more help, not more time.(もっと時間が必要なのではなく、もっと助けが必要です)のほうが自然です。文末のnot句が、直前の候補を訂正しています。
to不定詞・命令文でのnot
to不定詞を否定するときは、原則としてnot to doの順です。notをtoの前に置き、「すること」そのものを成立させません。
- I decided not to go.
私は行かないことに決めました。 - She told me not to touch it.
彼女は私にそれに触らないよう言いました。
否定命令はDo not + 動詞の原形、会話ではDon’t + 動詞の原形です。
- Don’t open the door.
ドアを開けないでください。 - Don’t be afraid.
怖がらないでください。
be動詞の命令でもDon’t beとなる点が重要です。命令文全体の作り方は英語の命令文で確認できます。
会話で使う短いnot表現
- Why not?
いいですね。/なぜだめなのですか。 - Not really.
そうでもありません。 - Probably not.
たぶん違うでしょう。/たぶんしないでしょう。 - I hope not.
そうでないといいのですが。 - Of course not.
もちろん違います。/もちろんしません。
Why not?は文脈で働きが変わります。「一緒に行きませんか」に対する返答なら「いいですね」、「なぜできないの?」という問いなら文字どおり理由を求めます。Not really.は強いNo.を避けた、やわらかな否定です。
しゅみすけ
よくある間違い
1. 一般動詞の直前にnotだけを置く
× I not understand.
○ I do not understand.(私は理解できません)
2. does・didの後ろを過去形や三単現にする
× She doesn’t likes coffee.
○ She doesn’t like coffee.(彼女はコーヒーが好きではありません)
3. notとnoを重ねて二重否定にする
標準英語では、× I don’t have no money.ではなく、I don’t have any money.またはI have no money.とします。否定の印は基本的に一つで十分です。
4. not allを全否定だと思う
Not all answers are correct.は「すべての答えが正しいわけではない」であり、「正しい答えが一つもない」ではありません。全否定ならNone of the answers are correct.などを使います。
FAQ
Q1. notは品詞として何ですか?
一般には副詞です。動詞・形容詞・副詞・句などを否定し、「その内容は成立しない」と示します。
Q2. notとdon’tの違いは何ですか?
notが否定を表す語で、don’tはdo notの短縮形です。一般動詞の現在形を否定するとき、doが文法を支え、notが否定を担当します。
Q3. not anyとnoは同じですか?
多くの場合、事実上近い意味になります。There aren’t any seats.とThere are no seats.はいずれも「席がありません」。ただしnoを使う形は、ゼロであることを直接示すため強く簡潔に響くことがあります。
Q4. notを文頭に置けますか?
Not everyone knows it.やNot surprisingly, …のように置けます。また、Not only did he apologize, but he also paid for the damage.のように否定的な句を文頭へ出すと倒置が起こる場合があります。詳しくは否定語句による倒置を参照してください。
練習問題
日本語に合うように、空所へ適切な語を入れてください。
- 私はその質問を理解できません。
I do ( ) understand the question. - 彼女は医師ではありません。
She is ( ) a doctor. - 全員が忙しいわけではありません。
( ) everyone is busy. - 冷蔵庫には牛乳がありません。
There is ( ) milk in the fridge. - 私は行かないことに決めました。
I decided ( ) to go.
答えを見る
- not
- not
- Not
- no
- not
4だけは名詞milkの量をゼロにするためnoです。ほかは文・状態・行為などの成立に×を置くnotを使います。
まとめ:notは「成立に×を置く」
notの本質は「文や語句の成立に×を置く」です。be動詞・助動詞の後ろに置き、一般動詞ではdo / does / did + notを使います。さらに、notの位置を見れば、何が否定されているかが分かります。
- not very:程度の高さに×を置く
- not yet:今までの成立に×を置く
- not all:100%に×を置くため、一部は残る
- not A but B:Aに×を置き、Bへ訂正する
- no + 名詞:名詞の数量・存在をゼロにする
「not=〜ない」だけで終わらず、どの内容に×が付くのかを読む習慣をつければ、否定文の意味を正確につかめるようになります。
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