The company decided to expand.
その会社は事業を拡大することを決めました。
The company’s decision to expand surprised investors.
その会社が事業を拡大すると決めたことは、投資家を驚かせました。
2つ目の英文では、decidedという動詞がdecisionという名詞に変わり、ひとつの出来事が名詞のかたまりへ押し込まれています。このように、動作や状態を名詞中心の形で表すものを名詞構文と呼びます。
名詞構文が難しく見えるのは、文なら表面に出ている「誰が・何を・どうした」が、所有格やof、by、toなどの中へ隠れるからです。しかし、名詞をもう一度動詞へ戻し、登場人物の役割を復元すれば、意味はかなり見通しやすくなります。
名詞構文は、出来事を「名詞の箱」に入れて運ぶ表現。読むときは箱を開け、動詞と意味上の主語・目的語を取り出す。
この記事では、名詞構文の意味と作り方、of・所有格・byの読み分け、名詞節や動名詞との違い、自然な訳し方を例文で解説します。
名詞構文は、難しい内容を新しく作っているわけではありません。もともと文として言えた出来事を、短く密度の高い名詞の形へ畳んでいるだけです。まず「中心の名詞は、どんな動詞から来たか」を探すと、凍っていた出来事が動き始めます。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
名詞構文とは?動作や状態を名詞中心で表す形
名詞構文とは、動詞や形容詞で表せる内容を名詞に変え、その名詞を中心に出来事を組み立てた表現です。英語ではnominalization(名詞化)と呼ばれる考え方と深く関係します。
- They arrived early.(彼らは早く到着した)
→ their early arrival(彼らが早く到着したこと) - The city was destroyed.(その都市は破壊された)
→ the destruction of the city(その都市の破壊) - She decided to leave.(彼女は立ち去ることを決めた)
→ her decision to leave(彼女が立ち去ると決めたこと) - He was absent.(彼は欠席していた)
→ his absence(彼が欠席していたこと)
arrivalには「到着する」、destructionには「破壊する」、decisionには「決める」、absenceには「不在である」という出来事が内蔵されています。見た目は名詞でも、中には動作や状態と、その参加者が残っているのです。
学校英語では「名詞構文を文に書き換える」という問題が出ますが、これは単なる変形練習ではありません。長文読解で隠れた骨格を見つけるための練習です。
名詞構文のコアイメージ|出来事を名詞の箱に入れる
英語では、ひとつの出来事を文のまま示すだけでなく、名詞の箱へ入れて主語・目的語・前置詞の後ろへ置けます。
The company decided to expand.
会社が、拡大すると決めた。
この出来事を箱へ入れると、次の名詞のかたまりになります。
the company’s decision to expand
会社が拡大すると決めたこと

名詞になれば、出来事全体をひとつの対象として文中の好きな席へ置きやすくなります。
- 主語:The company’s decision surprised us.
会社が決定したことは私たちを驚かせた。 - 目的語:We welcomed the company’s decision.
私たちは会社の決定を歓迎した。 - 前置詞の目的語:They talked about the company’s decision.
彼らは会社の決定について話した。
この「出来事をひとつの対象として置ける」ことが、名詞構文を使う大きな理由です。
名詞構文の読み方|3段階で隠れた文を復元する
1.出来事を含む中心名詞を見つける
まず、動詞・形容詞と関係する名詞を探します。
| 中心名詞 | 元の語 | 中にある出来事 |
|---|---|---|
| decision | decide | 決める |
| arrival | arrive | 到着する |
| destruction | destroy | 破壊する |
| discovery | discover | 発見する |
| refusal | refuse | 拒む |
| absence | absent | 不在である |
| importance | important | 重要である |
2.誰がその動作をするのか探す
動作主は、所有格・名詞の所有格・byなどで示されます。
- his arrival → He arrived.
- Tom’s refusal to help → Tom refused to help.
- the discovery of penicillin by Fleming → Fleming discovered penicillin.
所有格は「所有物」だけを表すわけではありません。his arrivalでは、彼が到着を所有しているのではなく、彼が到着したという関係を短く示しています。
3.対象や内容を復元する
中心名詞の後ろにあるof句やto不定詞から、動作の対象・内容を探します。
- the destruction of the city
→ Someone destroyed the city. - her decision to study abroad
→ She decided to study abroad. - our hope that he will recover
→ We hope that he will recover.
最後に、復元した関係を自然な日本語の文へ戻します。「〜の」をそのまま重ねず、「誰が〜したこと」「〜されること」と動きのある訳にすると読みやすくなります。
ofは主語にも目的語にもなる|意味関係を決める方法
名詞構文で特に迷いやすいのがofです。日本語ではどちらも「〜の」になりますが、元の文では役割が異なります。
目的語のof|何を〜するのか
the destruction of the city
その都市の破壊
destructionを動詞へ戻すとdestroyです。the cityは破壊する対象なので、元の関係はSomeone destroyed the city.となります。
主語のof|何が〜する・起こるのか
the arrival of the train
列車の到着
arrivalをarriveへ戻すと、到着するのはthe trainです。したがって、The train arrived.という関係になります。
ofだけを見て機械的に判断することはできません。中心名詞を動詞へ戻し、その動詞が目的語を必要とするかを確認します。
- destroy the city:都市は目的語
- the train arrives:列車は主語
名詞構文でも、最後に頼りになるのは文の骨格です。目的語の考え方は第3文型SVOと目的語で確認できます。
byがあれば受動の関係を疑う
the discovery of penicillin by Fleming
フレミングによるペニシリンの発見
このかたまりでは、of penicillinが発見された対象、by Flemingが発見した人です。
Penicillin was discovered by Fleming.
ペニシリンはフレミングによって発見された。
さらに能動文へ戻せば、Fleming discovered penicillin.です。byは受動態と同じく動作主を示すため、名詞の前後に役割を割り当てやすくなります。詳しい視点の切り替えは英語の受動態も参考にしてください。
名詞構文と名詞節・動名詞の違い
| 形 | 例 | 中の作り |
|---|---|---|
| 名詞構文 | his decision to leave | 中心は名詞decision |
| 名詞節 | that he decided to leave | 主語+動詞を含む節 |
| 動名詞 | his leaving early | -ingが動きと名詞の性質を持つ |
名詞節は、that he decided…のように主語と動詞が見える「小さな文」です。一方、名詞構文ではdecisionが中心になり、主語や目的語の関係が圧縮されます。名詞節の仕組みは名詞節とは?で詳しく解説しています。
動名詞はleavingのように動詞へ-ingを付け、動きを残しながら名詞の席へ置く形です。名詞構文のdecisionやarrivalは、より名詞らしく輪郭が固まり、冠詞や形容詞を伴いやすくなります。動名詞については英語の動名詞をご覧ください。
名詞構文が使われる理由|文章を短く、客観的に、密度高くする
同じ出来事を繰り返さずに扱える
The team lost the game. The loss disappointed the fans.
チームは試合に負けた。その敗北はファンを失望させた。
最初の文で起きた出来事を、次の文ではthe lossという名詞でひとつの対象として受け直しています。
書き言葉を圧縮できる
Because the population increased rapidly, housing became scarce.
これを名詞中心にすると、The rapid increase in population caused a housing shortage.と表せます。情報を名詞へ集約するため、ニュース・論文・ビジネス文書でよく使われます。
行為者より出来事へ焦点を当てられる
We failed to communicate clearly.
私たちは明確に伝えられなかった。
The failure of communication caused confusion.
コミュニケーションの失敗が混乱を招いた。
後者は「誰が失敗したか」より、失敗という出来事そのものへ焦点を移しています。この名詞構文が文の主語になると、原因を出発点にする無生物主語ともつながります。ただし、名詞構文は出来事の圧縮、無生物主語は何を主語にして影響を描くかが中心テーマです。
会話では短い動詞の文が使いやすい一方、読解では名詞構文が情報の渋滞を起こします。長い「〜の」を見たら、きれいに訳そうと急がず、名詞を動詞へ戻してみてください。英語の中で誰が何をしているかが見えれば、日本語はあとから自然に整えられます。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
名詞構文の訳し方|「〜の」を動詞の文へほどく
英語の名詞をすべて日本語の名詞で訳すと、「会社の新市場への参入の決定の発表」のように「の」が重なります。次の順でほどきましょう。
- 出来事を含む名詞を見つける
- 名詞を動詞・形容詞へ戻す
- 所有格・of・by・toから役割を復元する
- 日本語では「〜が…する」「〜が…したこと」と文にする
The announcement of the company’s decision to enter the new market surprised us.
中心になる出来事はannouncementとdecisionの2つです。
- the company decided to enter the new market
会社が新市場へ参入すると決めた - someone announced that decision
誰かがその決定を発表した
したがって、「会社が新市場へ参入すると決めたという発表に、私たちは驚いた」のように訳せます。名詞が何重にもなっているときは、内側の箱から順に開けるのがコツです。
名詞構文でよく使われる名詞
| 名詞 | 元の語 | 例 |
|---|---|---|
| decision | decide | her decision to resign |
| arrival | arrive | his arrival in Tokyo |
| development | develop | the development of new technology |
| increase | increase | an increase in prices |
| reduction | reduce | a reduction in costs |
| approval | approve | the committee’s approval of the plan |
| possibility | possible | the possibility of rain |
| importance | important | the importance of practice |
接尾辞の-tion、-ment、-al、-anceなどは名詞を見つける手がかりになります。ただし、語尾だけを暗記するより、decision ↔ decideのように動詞と名詞を往復できる状態を目指しましょう。
まとめ|名詞構文は名詞の中に隠れた出来事を読む
名詞構文は、動作や状態を名詞中心のかたまりへ圧縮した表現です。
- 中心名詞を元の動詞・形容詞へ戻す
- 所有格・of・byから「誰が・何を」を復元する
- to不定詞・that節から内容を取り出す
- 日本語では「〜の」を重ねず、動詞の文として訳す
- 名詞節は主語+動詞を含む節、動名詞は-ingを名詞の席へ置く形
名詞構文を見たら、名詞の意味だけで止まらず、その中で起きている場面を動かしてみてください。長く硬い英文でも、凍った出来事をほどけば、いつもの主語・動詞・目的語の骨格へ戻せます。
長い英文のまとまりを見分ける土台は、英語の句と節とは?、学校英文法全体の位置づけは高校英文法一覧で確認できます。
be:RIZEでは、文法用語を増やすだけでなく、自分が伝えたい場面から英語の骨格を作り、時間・気持ち・説明を順番に足す練習を行います。
語彙・文法・リスニング・スピーキングの現在地を確認し、どこまで基礎へ戻り、何を次に学ぶかを一緒に整理します。






[…] 主語+動詞を残した名詞節とは対照的に、動作を名詞へ圧縮する形は名詞構文とは?で詳しく解説しています。 […]