英語の受動態(passive voice)は、be動詞+過去分詞を作るだけの変換問題ではありません。話し手が「動作をした人」ではなく、動作を受けた人・物を場面の主役にするための形です。
たとえば Tom opened the door. はTomから場面を見ています。一方、The door was opened. はdoorへカメラを移し、「ドアに何が起きたか」を先に伝えます。
この記事では、受動態の意味と作り方、現在・過去・未来・完了形での形、否定文・疑問文、byを使う場合と省略する場合まで、視点の動きから整理します。
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しゅみすけ
受動態はbe+過去分詞の公式だけやなく、「される側を主役にしたい」が出発点やで。

英語の受動態とは?「される側」から場面を見る形
能動態は、動作をする側を主語に置きます。受動態は、その動作によって影響を受ける側を主語に置きます。出来事そのものは同じでも、話し手がどこへ焦点を当てるかが違います。
| 形 | 例文 | 焦点 |
|---|---|---|
| 能動態 | Tom opened the door. | Tomが何をしたか |
| 受動態 | The door was opened. | ドアに何が起きたか |
受動態のコアイメージ
「する側」から「される側・影響を受ける対象」へ、場面を見るカメラを移す。
日本語では「この寺は約400年前に建てられました」のように、誰が建てたかを言わなくても自然です。英語でも、対象の歴史や状態を説明したいときは This temple was built about 400 years ago. と受動態にします。
受動態の基本形はbe動詞+過去分詞
受動態は、主語の後ろにbe動詞+過去分詞を置きます。
される側 + be動詞 + 過去分詞 +(by する側)
- English is spoken in many countries.(英語は多くの国で話されています)
- This building was designed by my father.(この建物は父によって設計されました)
- The meeting will be held online.(会議はオンラインで開かれます)
be動詞は「時間」と主語の状態を受け持つ
受動態でも、現在・過去などの時間に合わせて変化するのはbe動詞です。現在ならam・is・are、過去ならwas・wereを使います。be動詞の基本はbe動詞とは?意味と使い方をコアイメージから解説で確認できます。
過去分詞は「動作を受けた後の姿」を見せる
過去分詞は、動詞を「〜された側の状態」から見せます。break → brokenなら壊す動きではなく、壊された後の姿です。close → closedなら閉じる動きではなく、閉じられた状態へ焦点が移ります。
- a broken window(壊れた窓)
- a closed door(閉まっているドア)
- The window was broken.(窓が壊されました/壊れていました)
そのため、受動態は単なる日本語の「〜される」ではなく、主語が動作を受けた結果、どんな状態に置かれているかを映しやすい形です。
能動態から受動態への作り方3ステップ
書き換えは、単語を機械的に移動させるのではなく、主役を選び直す操作だと考えましょう。
- 能動態の目的語を、新しい主語にする
Tom opened the door. → The door … - 動詞を、時制に合うbe動詞+過去分詞にする
opened → was opened - 元の主語が必要ならbyの後ろに置く
The door was opened by Tom.
能動態の目的語(O)が、受動態では主語(S)へ移ります。SとOの位置関係を整理したい方は、英語の5文型を骨格から解説した記事もあわせてご覧ください。
受動態の時制一覧|変わるのはbe動詞の部分
| 時間・形 | 受動態 | 例文 |
|---|---|---|
| 現在 | am / is / are+過去分詞 | This room is cleaned every day. |
| 過去 | was / were+過去分詞 | This room was cleaned yesterday. |
| 未来 | will be+過去分詞 | This room will be cleaned tomorrow. |
| 進行形 | am / is / are being+過去分詞 | This room is being cleaned now. |
| 現在完了 | have / has been+過去分詞 | This room has been cleaned. |
| 助動詞 | 助動詞+be+過去分詞 | This room must be cleaned. |
受動態になっても、出来事を時間軸へ置く考え方は同じです。現在・過去・未来の違いは英語の現在形・過去形・未来表現につながります。
受動態の否定文と疑問文
受動態の文のエンジンはbe動詞です。そのため、否定文と疑問文もbe動詞のルールで作れます。過去分詞の位置は動かしません。
否定文:be動詞の後ろにnot
- The store is not closed.(その店は閉まっていません)
- The email was not sent.(そのメールは送信されませんでした)
- The plan has not been changed.(計画は変更されていません)
疑問文:be動詞を主語の前へ
- Is this seat taken?(この席は空いていますか/使われていますか)
- Was the window broken?(窓は壊されたのですか)
- Will the event be held tomorrow?(イベントは明日開催されますか)
肯定・否定・疑問の切り替えは、英語の肯定文・否定文・疑問文|文のスイッチを切り替えるで全体を整理しています。
byはいつ使う?「した人」が重要なときだけ出す
学校の書き換え問題ではby+行為者を付けることが多いですが、実際の受動態ではby以下を省略することがよくあります。誰がしたか分からない、明らか、重要ではない場合は、言わない方が自然です。
- My bike was stolen.(自転車を盗まれました)— 誰が盗んだか分からない
- English is spoken here.(ここでは英語が話されています)— 話す人一般を特定する必要がない
- The suspect was arrested.(容疑者は逮捕されました)— 警察による行為だと想像できる
一方、行為者そのものが新しい情報や重要人物ならbyを使います。byが行為者を示せる理由は、byとwithの違いをコアイメージで解説した記事で詳しく整理しています。
- This song was written by John Lennon.(この曲はジョン・レノンによって書かれました)
- The picture was painted by my daughter.(その絵は娘が描きました)
- The decision was made by the manager.(その決定はマネジャーによって下されました)
byを付ける判断:「それをしたのは誰?」が相手にとって大切な情報なら出す。大切でなければ、される側の話に集中する。
受動態を使う主な4つの場面
1.した人が分からない
My wallet was stolen.(財布を盗まれました)のように、行為者を特定できないときは、被害を受けた物を主語にします。
2.した人が重要ではない・明らか
Breakfast is served from seven.(朝食は7時から提供されます)の中心は、誰が運ぶかではなく提供時間です。案内・ルール・ニュースで受動態が多い理由です。
3.対象を話題の中心に置き続ける
The building was completed in 1920. It was renovated in 2010. のように、建物について話し続けたいときは、同じ対象を主語に保つと文章が追いやすくなります。
4.断定を弱め、客観的に見せる
It is believed that …(〜と考えられています)やIt is said that …(〜と言われています)のように、特定の発言者を前へ出さず、一般的な見解として示す使い方があります。
SVOOの受動態|「人」と「物」のどちらを主役にするか
give・tell・showなどの第4文型SVOOには、目的語が二つあります。そのため、どちらへ焦点を当てるかで受動態の主語も変えられます。
- 能動態:They gave me a chance.
- 人を主役:I was given a chance.
- 物を主役:A chance was given to me.
日常会話では I was given a chance. のように、人を主語にする形が自然でよく使われます。「人に、もの・情報を渡す」骨格は第4文型SVOOの記事で詳しく解説しています。
get+過去分詞も「変化」を感じる受け身
会話ではbe動詞の代わりにgetを使う受け身もあります。be受動態が状態を落ち着いて示すのに対し、get+過去分詞は「その状態へ変わった」という出来事感が強くなります。
- I got hurt.(けがをしました)
- We got stuck in traffic.(渋滞にはまりました)
- They got married last year.(彼らは昨年結婚しました)
ただし、すべての受動態をgetへ置き換えられるわけではありません。まずbe動詞+過去分詞を基本にし、会話でよく出るget hurt・get lost・get marriedなどをまとまりで増やすとよいでしょう。
よくある間違い
be動詞を入れ忘れる
× This book written in English.
○ This book is written in English.
過去分詞だけでは、受動態の文を動かす時制のエンジンがありません。
be動詞を時制に合わせない
「昨日作られた」なら was made、「毎日作られる」なら is madeです。過去分詞madeは変わらず、時間を受け持つbe動詞が変わります。
自動詞まで受動態にする
受動態の新しい主語になるのは、能動態で動作を受けていた目的語です。arrive・happen・sleepのように基本的に目的語を取らない動詞は、そのまま受動態にはできません。
- × The station was arrived by me.
- ○ I arrived at the station.
- × The accident was happened yesterday.
- ○ The accident happened yesterday.
何でもbyを付ける
× English is spoken by people in many countries. は文法的には作れても、話す人一般をわざわざ出して不自然になりがちです。English is spoken in many countries.で十分です。
受動態を会話で使えるようにする練習
能動態を見て全部受動態へ書き換えるより、まず「今日は何を主役にしたいか」を選びます。
- 一つの出来事を作る:Someone damaged my car.
- 影響を受けた対象へカメラを移す:My car …
- be動詞で時間を置き、過去分詞で受けた状態を見せる:My car was damaged.
- 誰がしたか不要なら、そこで文を終える。
次に、自分の日常で「物や予定に何が起きたか」を5文作ってみましょう。My flight was canceled. / The schedule was changed. / My phone was repaired.のような文は、そのまま会話で使えます。
受動態で最初に決めるのはbe動詞でも過去分詞でもありません。「この出来事を、どちら側から見せたいか」です。主役が決まれば、形はあとからついてきます。
しゅみすけ(大山俊輔)
まとめ|受動態は「される側」へカメラを移す
- 受動態は、動作を受けた人・物を主語に置く
- 基本形は「される側+be動詞+過去分詞」
- 時制・否定・疑問を担当するのは主にbe動詞
- 過去分詞は、動作を受けた後の状態を見せる
- by+行為者は、誰がしたかが重要なときだけ使う
- 能動態の目的語がない自動詞は、基本的に受動態にできない
受動態は単独の暗記単元ではなく、文型のSとO、be動詞、時制をつなぐ文法です。まず短いSVOを作り、カメラをO側へ移す練習から始めましょう。
よくある質問
Q. 英語の受動態とは簡単にいうと何ですか?
動作をする人ではなく、その動作を受ける人・物を主語にする形です。「誰がしたか」より「何に何が起きたか」を伝えたいときに使います。
Q. 受動態の作り方は?
能動態の目的語を主語へ移し、動詞を時制に合うbe動詞+過去分詞にします。行為者が重要なら、最後にby+人を加えます。
Q. 受動態のbyは省略できますか?
はい。行為者が分からない、明らか、重要ではない場合は通常省略します。実際の英語では、byのない受動態が多く使われます。
Q. was madeとis madeの違いは?
was madeは過去のある時点で「作られた」、is madeは現在の習慣・一般的な作られ方、または現在の状態を表します。過去分詞madeではなく、be動詞が時間を示します。
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受動態の前後に学びたい文型・時制・完了形との位置関係は、中学英文法一覧と話すための学び直しMAPで確認できます。
基礎から確認:現在分詞 -ing と過去分詞の違い、進行形・受動態・完了形とのつながりは、英語の分詞とは?現在分詞と過去分詞の違い・使い方で整理しています。
同じ出来事でも「何が結果を生んだか」を原因・手段側から表す方法は、無生物主語とは?原因・手段を主役にする英語の見方で解説しています。



