He seems to have forgotten the appointment. の to have forgottenは、なぜ「忘れたようだ」という過去の意味になるのでしょうか。
完了不定詞とは、to have+過去分詞の形で、主となる動詞が示す基準時より前の出来事・状態を表す不定詞です。不定詞そのものに過去形があるのではなく、完了形の「基準時点に結果を持つ」感覚を組み合わせ、二つの出来事の前後関係を示します。
しゅみすけ
完了不定詞を「不定詞の過去形」と覚えると、主動詞が過去形になったときに混乱します。見るべきなのは現在・過去という名前ではなく、主動詞が作る基準点と、不定詞の出来事の前後関係です。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
完了不定詞とは?形と意味
完了不定詞の基本形はto have+過去分詞です。
| 形 | 時間関係 | 例 |
|---|---|---|
| to do | 主動詞と同時・またはこれから | He seems to be tired. |
| to have done | 主動詞の基準時より前 | He seems to have been tired. |
- He seems to be tired.
彼は疲れているようです。
「疲れている」と「そう見える」が、おおむね同じ時間にあります。 - He seems to have been tired.
彼は疲れていたようです。
「疲れていた」は、現在の「そう見える」より前です。

完了不定詞のコアイメージ|基準時から一段前を見る
toには、視線をある動作・状態へ向ける働きがあります。そこへhave+過去分詞が加わると、基準時点ですでに結果を持っている状態へ視線を向けます。
He seems to have lost his key.なら、基準時は現在のseemsです。今の様子から判断して、その前に「鍵をなくした」という出来事があり、現在までその結果がつながっていると見ています。
- 今の判断:He seems …(彼は〜のようだ)
- それより前:… to have lost his key(鍵をなくした)
to不定詞全体の「動作へ向かう矢印」は、to不定詞とは?3用法をコアイメージで解説、完了形の基本感覚は英語の完了形とは?で確認できます。
seem・appear+完了不定詞
seemやappearは、「今の情報からそう見える」と判断する動詞です。判断より前に起きたことを述べるとき、完了不定詞がよく使われます。
- She seems to have forgotten my name.
彼女は私の名前を忘れたようです。 - They appear to have reached an agreement.
彼らは合意に達したようです。 - Tom seems to have left already.
トムはすでに出発したようです。 - The problem appears to have started yesterday.
その問題は昨日始まったようです。
seems to forgetでは、習慣的に忘れる・同時に忘れているような意味へ寄りやすくなります。「すでに忘れてしまったらしい」と言うならseems to have forgottenが自然です。
be said・be believed+完了不定詞
報道や客観的な説明では、主語+be said/believed/thought+to have doneがよく使われます。
- She is said to have lived abroad.
彼女は海外に住んでいたと言われています。 - The company is believed to have hidden the facts.
その会社は事実を隠したと考えられています。 - He is thought to have invented the device.
彼がその装置を発明したと考えられています。 - The fire is reported to have started in the kitchen.
火事は台所から発生したと報じられています。
これらはthat節を使う形と対応します。
- It is said that she lived abroad.
- She is said to have lived abroad.
後者では、話題の中心であるsheを先に置き、後ろから「どう言われているか」を加えています。受動態の基本は英語の受動態とは?も参考にしてください。
主動詞が過去形の場合|さらに前の出来事を表す
完了不定詞は「現在より前」と決まっているわけではありません。主動詞が過去なら、その過去の基準時よりさらに前を表します。
- He seemed to have forgotten the appointment.
彼は約束を忘れていたようでした。 - She appeared to have left before noon.
彼女は正午前に出発していたようでした。
seemedという過去の判断があり、have forgottenやhave leftはそれより前です。日本語訳だけでなく、時間軸に基準点を置いて考えることが大切です。
完了不定詞の受動態|to have been+過去分詞
基準時より前に「〜された」ことを表す場合は、to have been+過去分詞を使います。
- The painting seems to have been stolen.
その絵は盗まれたようです。 - He is believed to have been injured in the accident.
彼は事故でけがをしたと考えられています。 - The documents appear to have been deleted.
書類は削除されたようです。
have beenが基準時より前とのつながりを作り、過去分詞が「動作を受けた側・結果状態」を示します。
完了不定詞の進行形|to have been doing
基準時より前から動作が続いていたことを強調する場合は、to have been+-ingを使います。
- She seems to have been crying.
彼女は泣いていたようです。 - He appears to have been working all night.
彼は一晩中働いていたようです。 - They are said to have been waiting for hours.
彼らは何時間も待っていたと言われています。
今見えている涙や疲労などの痕跡から、その前まで続いていた場面を推測するイメージです。
完了不定詞の否定|not to have done
完了不定詞を否定するときは、notをtoの前へ置きます。
- He seems not to have understood the question.
彼はその質問を理解していなかったようです。 - She appears not to have received the email.
彼女はメールを受け取っていないようです。
to have not doneが使われることもありますが、学習段階では標準的なnot to have doneを基本にすると安全です。
読むときは、to have doneを見た瞬間に「過去」と訳すより、主動詞のところへ基準点を置き、そこから一歩前へ戻ってください。現在のseemsでも過去のseemedでも、この操作は同じです。
完了不定詞と過去形・現在完了形の違い
過去形や現在完了形は、文の中心となる動詞として時制や相を示します。一方、完了不定詞は文の主動詞ではなく、主動詞に組み込まれた部品として相対的な前後関係を示します。
| 形 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| 過去形 | 過去の出来事を文の中心に置く | He lost his key. |
| 現在完了形 | 過去の出来事を現在へつなぐ | He has lost his key. |
| 完了不定詞 | 主動詞の基準時より前を示す | He seems to have lost his key. |
完了不定詞でよくある間違い
- to have+過去形にする:× to have went → ○ to have gone。haveの後ろは過去分詞です。
- 常に「現在より前」と考える:主動詞が過去なら、その過去よりさらに前です。
- seems to forgotとする:toの直後は原形です。過去を一段戻すならseems to have forgottenです。
- 受動態でbeenを落とす:「盗まれたようだ」はseems to have been stolenです。
- 日本語訳だけで判断する:主動詞の基準時と、不定詞の出来事の順番を確認します。
完了不定詞の見分け方3ステップ
- 主動詞を探す
seems、appeared、is saidなど、文の時制を持つ部分を確認します。 - 基準時を置く
主動詞が現在なら今、過去なら過去の時点が基準です。 - to have+過去分詞を一段前へ置く
その出来事が主動詞より先に起きたと理解します。
よくある質問
Q. 完了不定詞は「不定詞の過去形」ですか?
便宜的にそう説明される場合がありますが、厳密には不定詞自体の過去形ではありません。主動詞が示す基準時より前を表す「相対的な完了」の形です。
Q. seem to have doneはどう訳しますか?
基本は「〜したようだ」「〜してしまったようだ」です。ただし機械的に訳を固定せず、今の証拠から前の出来事を判断していると捉えます。
Q. to have beenとto have doneの違いは?
to have doneは一般的な完了不定詞の型です。be動詞が必要な文ではto have been+名詞・形容詞、受動態ではto have been+過去分詞になります。
Q. 完了不定詞は会話でも使いますか?
You seem to have misunderstood me.やShe appears to have left.など、判断をやわらかく述べる場面で使われます。報道や説明文ではis said to have doneも頻出です。
同じく基準時より前の行為を「こと」として置く形は、完了動名詞having doneで比較できます。
まとめ|to have doneは基準時より一段前
- 完了不定詞の形はto have+過去分詞
- 主動詞が示す基準時より前の出来事・状態を表す
- seem・appearやbe said・be believedとよく使う
- 受動態はto have been+過去分詞
- 継続中だった動作はto have been+-ing
- 主動詞が過去なら、その過去よりさらに前を示す
完了不定詞は、形を長い公式として覚えるより、主動詞で基準点を置き、そこから一段前へ視線を戻す表現として捉えると整理できます。文法全体の位置づけは高校英文法一覧から確認できます。
be:RIZEでは、時制・完了形・不定詞を別々の暗記項目で終わらせず、基準時と出来事の位置関係から英語を組み立てる練習を行います。
学校で覚えた形を、英語の時間感覚へつなぎ直していきましょう。






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