音・言葉・情報が、自然と耳や認識の中へ入ってくる自分から頑張って耳を向ける動作ではありません。外にあった音や情報が、自分の中へ届く。その一本のイメージから、hearのさまざまな意味を整理していきましょう。
hearのコアイメージは「音・情報が自然と入ってくる」
たとえば、仕事をしていたら外で大きな音がしたとします。別にその音を聞こうとしていたわけではありません。でも、音の方から耳へ入ってきた。 I heard a loud noise outside. 外で大きな音が聞こえました。 これがhearの基本です。こちらが音を探しに行くのではなく、音がこちら側へ届き、認識の中に入る。そのため、日本語では「聞く」よりも「聞こえる」と訳した方が感覚をつかみやすい場面が多くあります。
- see:景色・状況が自然と視野や認識に入る
- hear:音・言葉・情報が自然と耳や認識に入る
Can you hear me?|声が届いているかを確認する
オンライン会議や電話でよく使うのが、次の表現です。 Can you hear me? 私の声、聞こえますか? ここで尋ねているのは、相手が集中して話を聞いているかではありません。マイクや回線を通して、声が相手の耳まで届き、認識できているかです。 I can’t hear you very well. 声がよく聞こえません。 I can hear you now. 今は聞こえます。 このように、hearはcanと一緒に使われることが多い動詞です。「聞こうとする能力」というより、その場で音を知覚できる状態を表します。hear+人・物+動詞|出来事が耳に入る
hearは、音そのものだけでなく、音を伴う出来事も自分の認識へ入れられます。 I heard someone knock on the door. 誰かがドアをノックするのが聞こえました。 I heard her singing in the kitchen. 彼女がキッチンで歌っているのが聞こえました。 I heard the baby cry. 赤ちゃんが泣くのが聞こえました。 hear+人・物+動詞の原形なら、出来事を一つのまとまりとして耳にした感覚。hear+人・物+動詞ingなら、進行中の音が耳に入っている感覚です。 文法用語を暗記するよりも、「どんな音の場面が自分の中へ入ってきたのか」を映像にした方が違いを理解しやすいと思います。hear about|話題に関する情報が耳に入る
hearの対象は、物理的な音だけではありません。人の話を通じて情報が認識へ入れば、「耳にする」「聞いて知る」という意味へ広がります。 Did you hear about the new project? 新しいプロジェクトのこと、聞きましたか? I heard about your promotion. 昇進のことを聞きました。 I’m sorry to hear about your loss. ご不幸を伺い、残念に思います。 aboutは、ある話題の「周辺」を表します。hear aboutなら、その人や出来事に関する情報が周囲から耳へ入るイメージです。 ニュースを能動的に調査したというより、誰かから聞いたり、どこかで目や耳にしたりして知った。その少し間接的な感じもhearと相性がいいところです。hear from|人を起点に連絡・便りが届く
hear from+人は、その人から連絡をもらう、便りを聞くという意味です。 It was great to hear from you. ご連絡をもらえてうれしかったです。 Have you heard from Tom lately? 最近、トムから連絡はありましたか? I haven’t heard from them yet. まだ彼らから連絡がありません。 fromは出発点です。相手を起点に、声・メッセージ・メールなどがこちらへ届く。だから連絡手段が音声でなくてもhear fromを使えます。hear of|存在や評判を耳にしたことがある
hear ofは、人や物の存在について耳にしたことがある、という表現です。 Have you ever heard of this author? この作家のことを聞いたことがありますか? I’ve never heard of that company. その会社は聞いたことがありません。 hear aboutが「その話題について情報を聞く」なのに対して、hear ofはまず「存在を知っているか」に焦点が寄りやすいです。- I’ve heard of the book.=その本の存在は聞いたことがある
- I’ve heard about the book.=その本について何か情報を聞いている
I hear that …|人づてに聞いた情報を伝える
I hear that …は、「〜だそうですね」「〜と聞いています」と、人づてに入ってきた情報を話題にするときに使います。 I hear you’re moving to London. ロンドンへ引っ越すそうですね。 I hear the restaurant is excellent. そのレストランは素晴らしいそうですね。 I heard that the meeting was canceled. 会議が中止になったと聞きました。 自分で確認した事実として断言するのではなく、別のところから入ってきた情報として差し出す。hearの「情報が届く」という感覚がそのまま現れています。I hear you.|言葉だけでなく、相手の主張を受け止める
hearのコアイメージが一番おもしろく広がるのが、I hear you.です。 これは状況によって「声は聞こえている」という意味にもなりますが、会話ではよく次のような意味で使われます。言いたいことは分かるよ。あなたの話は受け止めたよ。相手が発したのは、単なる音ではありません。その言葉に含まれる主張や気持ちまで自分の認識へ入れた。だから「分かる」「言いたいことは伝わっている」という共感になるわけです。 A: It’s not fair. I’m really upset. 不公平だよ。本当に腹が立つ。 B: I hear you, but we need to stay calm. 言いたいことは分かる。でも、落ち着かないとね。 ここで重要なのは、I hear you.は必ずしも100%同意を意味しないことです。相手の主張をまず自分の中へ入れ、「あなたがそう感じていることは受け止めた」と示します。その後にbutで別の意見を続けることもできます。 「理解=同意」と考えると使いにくいですが、「受信しました」というhearの感覚で考えると、ビジネスでも日常会話でも使いやすくなります。
I hear you.を動画で確認する
この表現は、しゅみすけのショート動画でも実際の会話とともに解説しています。 元になった『フレンズ』の場面をじっくり学びたい方は、教科書では学べないリアル日常英会話の長尺解説もご覧ください。hearとlistenの違いを先取り
hearとlistenは、どちらも日本語では「聞く」と訳されます。ただし、見る動詞のseeとlookが違うように、二つのカメラワークは反対です。- hear:音・情報が自然とこちらへ入ってくる
- listen:自分から音へ耳・意識を向ける
hearの3分トレーニング
hearを日本語訳ではなくイメージで定着させるため、次の場面を声に出してみてください。- 物音が入る:I heard a noise. / Can you hear that?
- 声が届く:Can you hear me? / I can’t hear you.
- 情報が入る:I heard about the news. / I hear you’re busy.
- 連絡が届く:It was good to hear from you.
- 相手を受け止める:I hear you. / I hear what you’re saying.
hearが言葉・情報を受け取る動詞なら、内側の言葉・内容を外へ出す動詞は、sayのコアイメージで詳しく解説しています。
- コアイメージ:音・言葉・情報が自然と耳や認識へ入る
- 音が聞こえる:I heard a noise.
- 話を耳にする:I heard about it.
- 連絡が届く:I heard from her.
- 存在を聞いたことがある:I’ve heard of it.
- 相手を受け止める:I hear you.



