英語の発音は何から練習する?日本語発音から抜け出す「喉発音」の考え方

英語を喉から自然に響かせて発音する社会人

英語の発音を練習しようと思ったとき、多くの人が最初に思い浮かべるのは、発音記号、舌の位置、口の形、LとRの違いではないでしょうか。

もちろん、これらが役立つ場面はあります。ただ、社会人になって英語をやり直す人が、最初から一つひとつの音を細かく直そうとすると、覚えることが多すぎて会話までたどり着けないことも少なくありません。

僕自身、外資系企業で英語を使って働いてきましたが、発音記号やリエゾンの規則を先に覚えて英語が話せるようになったわけではありません。英語を聞き、実際に使うなかで感じていたのは、ネイティブの英語は日本語より声が低く、音が途切れず、身体の奥から響いているように聞こえるということでした。

そこでbe:RIZEでは、英語と日本語の発音の大きな違いを、口や舌だけではなく、発声・共鳴・音のつなぎ方まで含めて捉える方法を、分かりやすく「喉発音」と呼んでいます。

目指すのは、ネイティブと同じ発音を100点満点で再現することではありません。まず、日本語の音の出し方をそのまま英語へ持ち込む状態から抜け出し、英語らしい音のまとまりを作れるようになることです。

この記事では、英語の発音を何から練習すればよいか、日本語と英語の違いから順番に解説します。

英語の発音練習で最初から細部に入りすぎない

発音記号を見て、舌先を何ミリ動かすか、歯と唇をどう使うかを確認する。これは、個別の音を精密に直すには有効な方法です。

一方、英語を話すためには、一つの音を出したあと、次の音、単語、文へ進まなければなりません。個別の音を意識しすぎると、単語では言えても文になると元へ戻ったり、口の形を考えて会話が止まったりします。

これは、車のすべての部品を詳しく理解してから運転しようとすることに少し似ています。仕組みを知ることは大切ですが、運転を始める前に全機能を覚える必要はありません。

発音も同じです。最初に必要なのは、細部を完璧にすることではなく、日本語と英語で音の作り方が大きく違うことを体感することです。その大枠が整ってから、必要な音だけを個別に修正した方が、会話のなかでも使いやすくなります。

日本語と英語では「音のまとまり方」が違う

日本語と英語の違いを考えるとき、まず知っておきたいのが、音の区切り方です。

日本語は母音を伴う音が多い

日本語の「か・き・く・け・こ」は、ローマ字で表すとka・ki・ku・ke・koです。いずれも子音のKに母音が続きます。

日本語は「あ・い・う・え・お」や「ん」などの例外を除き、子音だけで音を終えることがあまりありません。そのため、日本語話者は英語の子音が続く部分にも、無意識に母音を補いやすくなります。

たとえばChristmasを、日本語の「クリスマス」の感覚で発音すると、ku-ri-su-ma-suのように音が細かく分かれます。日本語としては自然ですが、英語ではChristとmasという、より少ない音節のなかに複数の音が入っています。

McDonaldも同じです。日本語では「マ・ク・ド・ナ・ル・ド」と区切りますが、英語ではすべての子音に母音をつけて発音するわけではありません。

英語は一つのまとまりに複数の音が入る

英語は、日本語より一つの音節に多くの音が入ることがあります。さらに、単語同士も完全に切り離されず、前後の音が影響し合いながら続いていきます。

日本語の感覚で英語を読むと、一つひとつの音を同じ強さで区切り、「ダ・ダ・ダ・ダ」と聞こえやすくなります。反対に、英語では強く出る部分と弱くなる部分があり、複数の音が一つの波のようにつながります。

この違いを知らないまま、LやRだけを直しても、文全体は日本語のリズムのままということがあります。だからこそ、最初は個別の音よりも、母音を入れすぎないこと、音を一つずつ切らないこと、一つのまとまりとして出すことに注目します。

英語へ余分な母音を加えてしまう仕組みと練習方法は、カタカナ英語になるのはなぜ?日本語では母音を入れてしまう理由で詳しく解説しています。

単語は言えても文章になると一音ずつ途切れる方は、英語が一音ずつ途切れてしまう人へ|日本語と英語の音節・リズムの違いで、意味のまとまりと強弱を使った練習方法を確認してください。

「喉から出す」とは具体的にどういう感覚か、口先の発音と比較しながら試したい方は、英語を喉から発音するとは?口先の発音との違いを初心者向けに解説をご覧ください。

日本語の区切られた音と英語の連続する音の違い
日本語は母音を伴う音が一定の拍で区切られやすく、英語は一つのまとまりに複数の音が入りながら連続します。

be:RIZEでいう「喉発音」とは?

声は、口だけで作られるものではありません。肺から送られた空気によって声帯が振動し、その音が喉・口・鼻などの空間で響き、口や舌、唇の動きによって言葉になります。

一般的な発音練習では、最後の段階にある口・舌・唇の動きが注目されやすいでしょう。be:RIZEの喉発音では、その前にある「どこで音を響かせ、どのような土台で音を送り出しているか」にも目を向けます。

日本語を話しているときは、口の前の方がよく動き、音を一つずつ明確に区切る感覚があります。英語では、喉まわりをゆるめ、より奥から息と音を流し、複数の音を一つのまとまりとして出す感覚が役立ちます。

これは、喉だけを特殊な方法で動かすという意味ではありません。また、喉に力を入れて低い声を作ることでもありません。むしろ、あくびやため息のときのように余計な力を抜き、音が響く空間を確保するイメージです。

僕はこの違いを、「楽器を持ち替える」と表現しています。

  • 日本語の楽器:母音を伴いながら、音を細かく区切る
  • 英語の楽器:喉まわりをゆるめ、複数の音を連続して響かせる

個別の音を直す前に楽器そのものを切り替える。これが、喉発音を最初に学ぶ目的です。

発音できない音は聞き取れない?

「自分で発音できない音は聞き取れない」と聞いたことがあるかもしれません。発音練習によって音の違いやつながりに気づきやすくなることはあります。しかし、発音できなければ聞き取れないという単純な関係ではありません。

世界で英語を使っている人の多くは、それぞれの母国語の影響を受けた発音で話しています。それでも、十分に英語を聞き取り、仕事や生活で使っています。僕自身も、すべての音をネイティブと同じように発音できるわけではありませんが、英語を聞いて仕事をすることはできます。

したがって、発音練習をリスニングの絶対条件にする必要はありません。

発音練習がリスニングに役立つのは、これまで同じ音だと思っていたものの違いに気づいたり、文字どおりには発音されない音のまとまりを知ったりできるからです。聞き取りを支える一つの要素ではありますが、語彙、文法、話題の知識、英語を前から理解する処理など、ほかの要素も必要です。

英語が聞き取れない原因を整理したい方は、英語が聞き取れないのはなぜ?社会人が最初に直すべき5つの原因と練習順も参考にしてください。

英語の発音練習を始める5ステップ

ステップ1:日本語を話すときの位置を確認する

まず、「あ・い・う・え・お」「グッドモーニング」「クリスマス」などを、普段どおり日本語で言ってみます。

口やあごがどのくらい動くか、どこに力が入っているか、音が一つずつ区切られているかを観察してください。良い悪いを判断する必要はありません。いつもの日本語ポジションを知ることが目的です。

ステップ2:あくびとため息で喉まわりをゆるめる

姿勢を整え、軽くあくびをするときのように喉まわりをゆるめます。次に、「はぁ」とため息をつくように、息と一緒に声を出します。

低い声を無理に作ったり、喉を締めたりする必要はありません。喉の奥に空間ができ、声が口先だけでなく身体の内側にも響く感覚を探します。痛みや強い違和感がある場合は中止してください。

ステップ3:英語の位置のまま日本語を言ってみる

喉まわりをゆるめた状態で、「おはようございます」「六本木」「クリスマス」などの日本語を、外国人が日本語を話すようなイメージで言ってみます。

少し不自然な日本語になれば、それで構いません。普段とは違う楽器を使う感覚をつかむ練習だからです。ここでは正しい日本語を話す必要はありません。

ステップ4:日本語由来の英単語や地名で練習する

Kimono、Wasabi、Edamame、Tokyo、Osaka、Shinjukuなど、日本語由来で意味をよく知っている単語を英語らしく発音してみます。

知っている言葉なので、意味や文法を考える必要がありません。音のまとまり、響き、母音の入り方の変化に集中できます。ネイティブの音声がある場合は、スペルやカタカナより、実際に聞こえた音を優先して真似してみましょう。

ステップ5:短い文を一息のまとまりで読む

単語で感覚がつかめたら、短い文へ進みます。

  • This year, I’m going to study English.
  • I’ll take you to the station.
  • Don’t worry. I’ve already done it.
  • Could you tell me the way to the station?

一語ずつ同じ強さで区切らず、意味のまとまりごとに息と音を流します。速く読む必要はありません。ゆっくりでも、音を途中で何度も切らないことが大切です。

発音記号は覚えなくてもいい?

発音記号は、辞書で未知の単語の音を確かめたり、似た音の違いを整理したりするときに役立ちます。発音を専門的に学びたい人や、特定の音を精密に直したい人には有効です。

ただし、英会話を始める前に発音記号をすべて暗記する必要はありません。発音記号を覚えること自体が目的になり、実際の音声を聞いたり、文を口に出したりする時間が減るなら、いったん後回しでもよいでしょう。

おすすめは、最初に大きな違いを体感し、その後、必要になった音だけを調べる順番です。

  1. 日本語と英語の音のまとまり方を知る
  2. 喉まわりをゆるめて、響きの位置を変える
  3. 単語や短文をまとまりで真似する
  4. 通じにくい音や区別できない音だけ個別に修正する

マクロから入り、必要に応じてミクロへ進む考え方です。

発音はどこまで直せばいい?

発音の目標は、英語を使う目的によって変わります。

海外旅行で短いやり取りができればよい人と、国際会議でプレゼンをする人では、求められる明瞭さも練習量も異なります。俳優やナレーターのような発音を目指す必要がある人もいれば、多少日本語のアクセントが残っても、仕事の内容が正確に伝われば十分な人もいます。

初心者が最初に目指したいのは、次の状態です。

  • 母音を必要以上に加えない
  • 一語ずつぶつ切りにしない
  • 喉や口に余計な力を入れない
  • 相手が聞き返さずに理解できる
  • 自分が話すことに過度な不安を感じない

70〜80点で十分に目的を果たせるなら、残りの20点を埋めるために会話練習を止める必要はありません。

喉発音だけで英語が話せるようになるわけではない

喉発音は、英語の音を出しやすくし、日本語発音との大きな差を埋めるための土台です。しかし、発音だけを練習すれば英語が話せるようになるわけではありません。

会話には、短い英文の骨格、頻繁に使う基本動詞、自分の考えを取り出す練習、相手の発言を理解する力も必要です。発音を完璧にしてから会話を始めるのではなく、発音と会話を並行して育てていきましょう。

英語の知識はあるのに口から出てこない方は、英語を話せるようになるには?勉強しても話せない人に必要な3つの練習もあわせてご覧ください。

また、長い英語になると聞き取れなくなる方は、発音以外に英語を前から処理する練習が必要かもしれません。詳しくは、長い英語になると聞き取れないのはなぜ?頭が真っ白になる人の「足し算リスニング」で解説しています。

まとめ:細かな音より先に「英語を鳴らす土台」を変える

英語の発音練習は、必ずしも発音記号やL・Rから始める必要はありません。

日本語は母音を伴う音が多く、一定の拍で区切られやすい。一方、英語は一つの音節に複数の音が入り、単語や文のなかで音が連続します。この大きな違いを無視して、口や舌の細かな動きだけを直しても、会話になると日本語の発音へ戻りやすくなります。

まずは、喉まわりの余計な力を抜き、身体の奥から息と音を流す感覚をつかむ。そして、母音を入れすぎず、複数の音を一つのまとまりとして出す。これがbe:RIZEでいう喉発音の出発点です。

完璧なネイティブ発音を目指さなくても構いません。目的に必要な通じやすさを手に入れ、実際の会話で使うことを優先しましょう。

発音記号をすべて覚えてから会話へ進むべきか迷っている方は、発音記号を覚えなくても英語は話せる?必要な人・後回しでよい人で、自分に合う優先順位を確認してください。

リエゾンを一覧で暗記せず、声と息が流れた結果として理解したい方は、英語のリエゾンは暗記しなくてもいい?音が自然につながる仕組みをご覧ください。

ネイティブ音声を何度まねても同じように言えない方は、英語の発音練習でネイティブを真似してもできない理由で、完成形を分解して練習する手順を確認してください。

発音をどこまで直すべきか迷っている方は、英語の発音はどこまで直すべき?通じる発音とネイティブ発音の違いで、自分の目的に合う到達点を確認してください。


自分に必要な練習順を整理したい方へ

発音、リスニング、文法、単語、スピーキング。英語学習には多くの要素があるため、自分は何から始めるべきか分からなくなることがあります。

独学で課題を整理でき、練習を継続できている方は、そのまま進めて問題ありません。一方、教材を変えても同じところで止まる、仕事で使う期限がある、自分の発音や学習順が合っているか判断できない場合は、一度第三者と現在地を整理する方法もあります。

be:RIZEでは、英語を聞ける・話せる状態へつなげるために、現在地と目的に合わせた学習順をご提案しています。無理な勧誘はありませんので、必要な方は無料相談をご検討中の方へをご覧ください。

 

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