しゅみすけ(大山俊輔)
「聞き取れない」は一つの原因ではありません。音が別物に聞こえる、単語の意味が出ない、骨格をつかめない、語順どおりに処理できない。僕自身、YouTubeでもこの4層へ切り分けて、更新箇所を見つける方法を発信しています。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
目次
- 動画で実演|単語は聞こえるのに途中で迷子になる本当の理由
- 短い英語は聞けるのに、長くなるとフリーズする理由
- 和訳脳では、頭の中が「あやとり状態」になる
- フリーズの原因は「後ろから完成させる」引き算型の理解
- 長い主語では、メイン動詞が来るまで待つ
- 関係代名詞は「後ろから修飾」より「言い足し」で受け取る
- 足し算リスニングとは、前から場面を更新すること
- 一語わからないと全部止まる人に必要な「仮置き」
- 長い英文を聞けるようにする4段階の練習
- 1日20分の「足し算リスニング」メニュー
- 足し算練習とシャドーイングは、目的が違う
- TOEICの長い会話・説明文にも同じ考え方が使える
- 聞き流しだけでは「足し算の型」は作りにくい
- まとめ:長い英語は、長いまま抱えなくていい
動画で実演|単語は聞こえるのに途中で迷子になる本当の理由
この記事の内容は、しゅみすけのYouTube動画でも実際の長い英文を使って解説しています。Josh KaufmanやSteve Jobsの英文を、意味のかたまりごとに前から受け取り、「足し算脳」で理解する感覚を追体験できます。
長文リスニング|ネイティブの「足し算脳」
短い英語は聞けるのに、長くなるとフリーズする理由
長い英語を聞くとき、初心者の頭の中では次のような処理が起きやすくなります。- 聞こえた単語を一時的に覚える
- 文末まで待つ
- 文法関係を確認する
- 日本語の自然な語順へ並べ替える
- 完成した日本語で意味を理解する
和訳脳では、頭の中が「あやとり状態」になる
日本語は、助詞や文末を手がかりにして、最後まで聞いてから関係を整理しやすい言語です。その感覚のまま英語を聞くと、聞こえた単語をいったん保持し、後ろの情報が来るたびに並べ替えることになります。
短い文なら間に合っても、長くなるほど情報の糸が頭の中で交差します。前の文をほどいている間にも音声は先へ進むため、単語は聞こえているのに全体の意味が消える。この「あやとり状態」が、途中で迷子になる大きな原因です。

フリーズの原因は「後ろから完成させる」引き算型の理解
学校英語では、英文全体を読み、修飾関係を確認し、きれいな日本語訳を作る練習を多く行います。正確に読むうえでは役立つ方法です。 ただし、音声は紙の英文と違って戻ってくれません。後ろまで聞いてから前へ戻る方法では、長さが増えるほど処理が苦しくなります。 たとえば、次の英文を見てください。The woman who moved into the apartment next door last month works for an international company.日本語として完成させれば、「先月、隣の部屋へ引っ越してきた女性は外資系企業に勤めています」となります。 しかし聞いている最中に、この完成形を待つ必要はありません。
- The woman:ある女性
- who moved into the apartment next door:隣の部屋へ引っ越してきた
- last month:それは先月
- works for an international company:国際的な会社で働いている

長い主語では、メイン動詞が来るまで待つ
長文では、主語の後ろに説明が続き、文の中心となる動詞がなかなか出てこないことがあります。ここで全部を日本語に組み直そうとせず、主語の景色を保ったままメイン動詞を待ちます。
Most of the things / that we think of as skills / are / actually big bundles of skills / that require / all sorts of different things.
- Most of the things:ほとんどのものは
- that we think of as skills:私たちがスキルだと思っている
- are:実は〜です
- actually big bundles of skills:大きなスキルの集合体
- that require …:そして、いろいろな要素を必要とする
最初の Most of the things を置き、後ろの説明を足しながら、メイン動詞の are が来たところで文の骨格をつかみます。途中の日本語をきれいに完成させる必要はありません。
関係代名詞は「後ろから修飾」より「言い足し」で受け取る
that や who が出ても、前へ戻って訳し直す必要はありません。「その人・ものについて、説明をもう一つ足す合図」と考えると、音声の順番を崩さずに済みます。
関係代名詞を「後ろから戻って訳す」のではなく、前から言い足して聞く感覚を2分19秒で確認できます。
I bought a book / which was written in Japanese.
「本を買った」→「その本は日本語で書かれていた」と、前から場面を追加します。文法上の仕組みを先に整理したい方は、英語の関係代名詞を「言い直し・つけ足し」で理解する記事もあわせてご覧ください。
足し算リスニングとは、前から場面を更新すること
足し算リスニングは、英語を一語ずつ日本語へ直訳する方法ではありません。聞こえた順番で、頭の中の場面へ情報を加えていく方法です。 たとえば、When I got to the station, the train I was supposed to take had already left.これも、最後まで待たずに進めます。
- When I got to the station:駅に着いたとき
- the train:その電車は
- I was supposed to take:自分が乗るはずだった
- had already left:もう出ていた
一語わからないと全部止まる人に必要な「仮置き」
長文リスニングでフリーズするもう一つの原因は、知らない単語や聞き取れない音を、その場で完全に解決しようとすることです。 一語に注意を奪われると、その後の数秒が抜け落ちます。そこで必要になるのが「仮置き」です。 聞き取れなかった部分を、頭の中で次のように置いておきます。- 何かの人
- 何かの場所
- 何か問題が起きた
- 理由はまだ不明
長い英文を聞けるようにする4段階の練習
ステップ1:まず文字で前から理解する
音声でいきなり足し算をしようとすると難しいため、最初は短い英文を目で読みます。スラッシュを入れ、意味のかたまりごとに前から場面を作ります。 主語、動詞、目的語、場所、時間、理由など、情報が加わるたびに頭の中の映像を更新してください。ステップ2:音声を短く止めながら理解する
次に、同じ英文を意味のかたまりごとに止めて聞きます。止めることは反則ではありません。処理の型を作る段階では、速度より順番のほうが重要です。 一つのかたまりを聞いたら、その時点で何がわかったかを軽く思い浮かべます。ステップ3:止める間隔を少しずつ長くする
3~5語、1フレーズ、一文、二文というように、理解できる範囲を広げます。いきなり1分の音声へ進まず、10秒、15秒、30秒と長くします。 短い区間で処理が自動化されると、前の情報を保持するために使っていた負荷が下がり、次の内容を受け取る余裕ができます。ステップ4:聞いた内容を一文で言い直す
最後に、「誰が何をした話だったか」を日本語か簡単な英語で一文にします。全文を再現する必要はありません。 たとえば、「女性が会議の予定変更を説明していた」「男性が電車に乗り遅れた理由を話していた」程度で十分です。細部より、話の骨格が残っているかを確認します。1日20分の「足し算リスニング」メニュー
- 2分:30秒ほどの音声を一度通して聞く
- 5分:スクリプトに意味のかたまりを入れ、前から読む
- 5分:かたまりごとに音声を止め、場面を更新する
- 5分:止める間隔を長くし、音声だけで理解する
- 3分:内容を一文で要約し、もう一度通して聞く
足し算練習とシャドーイングは、目的が違う
シャドーイングは、流れてくる音声を追いながら発話する練習です。一方、足し算リスニングは、聞こえた情報を前から理解し、話の流れを保つ練習です。 内容を処理できないままシャドーイングをすると、音を追うことだけで精一杯になり、意味が残らない場合があります。 まず音声の意味を前から追えるようにし、その後で発音や音声追跡の練習を加える。この順番がおすすめです。シャドーイング中に脳がパンクする方は、シャドーイングが難しい本当の理由も参考にしてください。TOEICの長い会話・説明文にも同じ考え方が使える
TOEICのPart 3・Part 4で途中から内容が消える場合も、一文ずつ完璧に訳そうとしていることがあります。 話者、目的、問題、変更、次の行動という骨格を前から足し、細かい数字や固有名詞は必要に応じて拾います。すべてを同じ強さで覚えようとしないことが大切です。 問題演習を増やしても変わらない場合は、TOEICリスニングで問題演習の前に戻る3つの土台も確認してください。聞き流しだけでは「足し算の型」は作りにくい
長時間英語を流すことは、英語との接触を増やすうえでは使えます。しかし、どこで意味を区切り、何を足したかを確認しなければ、理解の型は作りにくいものです。 短い集中練習で意味の流れをつかみ、その後に同じ音声を移動中などに聞く。この順番なら、聞き流しが復習になります。詳しくは英語の聞き流しは効果ある?で解説しています。まとめ:長い英語は、長いまま抱えなくていい
長い英語になると頭が真っ白になるのは、能力や集中力が足りないからとは限りません。聞いた情報を最後まで保持し、日本語として完成させようとすることで、処理がいっぱいになっている可能性があります。 英語は前から流れてきます。だから理解も、前から小さく足していけばいい。 人物が出た。何かをした。場所が加わった。問題が起きた。次の行動が決まった。 このように場面を更新すると、一語を聞き逃しても話全体から脱落しにくくなります。 be:RIZEでは、長時間の根性学習ではなく、音・意味・語順処理のどこで詰まっているかを見つけ、練習を分けて組み立てます。全体の考え方はbe:RIZEメソッドで紹介しています。 聞けない・話せない原因をまとめて整理したい方は、しゅみすけの無料英語ウェビナーも活用してください。まず今日は、30秒の音声を一つ選び、意味のかたまりを三つ見つけるところから始めましょう。リスニング学習全体の順番へ戻る場合は、英語リスニングの勉強法|聞き取れない原因から分かる正しい練習順をご覧ください。
「長い英語になると聞き取れないのはなぜ」という状態は、努力不足だけで起きるものではありません。知識・音声処理・語順・練習環境のどこで止まっているかを分けると、次に取り組むことが具体的になります。
be:RIZEでは、これまでの学習歴と現在地を確認し、目的から逆算した学習順を一緒に整理しています。



