人事の仕事で英語が必要になった人へ|海外採用・評価・外国人社員対応の勉強法

外国人候補者や海外人事と英語で対話する日本人の人事担当者

人事の仕事を日本語で経験してきた人が、外国人社員の採用、海外拠点との連携、外資系企業への転職などをきっかけに、突然英語を必要とすることがあります。

採用面接で候補者の経験を深掘りしたい。外国人マネージャーへ日本の制度を説明したい。海外本社から届いた評価方針を日本の管理職へ伝えたい。社員からセンシティブな相談を受けたが、英語で認識を確かめることが難しい。人事の英語は、単にメールを読み書きできれば終わる仕事ではありません。

人事では、一つの表現の違いが、候補者の印象、社員の安心感、評価の公平性、会社のリスクへ影響します。必要なのは難しい言葉より、相手の話を正確に聞き、事実と解釈を分け、制度や判断を分かりやすく説明し、次の行動を合意する力です。

この記事では、人事の仕事で英語が必要になった方へ、海外採用・評価・外国人社員対応から逆算する勉強法を解説します。

しゅみすけ(大山俊輔)

人事の英語は、流暢さ以上に「確認の質」が重要です。分かったふりをせず、相手が言った事実、自分の理解、会社として確認すべきことを分けるだけでも、会話の安全性は大きく変わります。

英語コーチング「be:RIZE」創業者。外資系企業4社での勤務と米国MBA留学を経験。

目次

人事の仕事で英語が必要になる主な場面

同じ人事でも、採用、労務、人材開発、評価、制度企画、海外人事などで必要な英語は異なります。まず、自分が英語で完了させる仕事を洗い出します。

  • 外国人候補者との採用面接、オファー面談、入社手続き
  • 海外エージェントや採用担当者との候補者・ポジション調整
  • 外国人社員のオンボーディング、制度説明、日常相談
  • 外国人マネージャーとの評価、昇格、報酬、人員計画の会議
  • 海外本社・Regional HRから届く方針や制度の理解
  • 日本の就業ルールや社内手続きを海外関係者へ説明
  • 海外駐在員・出向者・帰任者の手続きとフォロー
  • 研修、タレントレビュー、後継者計画、組織開発
  • 退職、休職、職場の問題などセンシティブな面談

すべての英語を学ぶのではなく、頻度、期限、認識違いが起きた場合の影響から優先順位を決めます。

日系企業と外資系企業で人事英語の入り方は違う

日系企業|外国人採用・海外拠点・駐在員対応から始まりやすい

日系企業では、国内の人事業務は日本語でも、外国人採用、海外子会社との連携、グローバル人材育成、駐在員制度を担当した瞬間に英語が必要になります。海外拠点へ日本本社の制度を一方的に説明するだけでなく、現地の実情を聞き、日本側の関係者へ戻す力も必要です。

外資系企業|海外本社・Regional HRとの意思決定に英語が入る

外資系では、採用や労務の実務は日本語でも、人員計画、評価、報酬、組織変更、ポリシーが海外本社やRegional HRと結びついています。日本特有の事情を短く説明し、グローバル方針との違いを調整する場面が増えます。

外国人上司や海外同僚との会議そのものに困っている方は、外資系で働いているのに英語が話せない人の勉強法も参考になります。

人事英語は専門用語だけでは足りない

recruitment、performance evaluation、compensation、employee relations、leave of absenceなどの用語を知ることは役立ちます。しかし、人事の実務では、その言葉が会社や地域で何を指すかを確認する必要があります。

たとえば「performance issue」という言葉が出ても、事実、期待値、本人への伝達状況、支援、記録、次の手続きは分かりません。

  • What specific expectations were not met?
  • Could you give me a few concrete examples?
  • Has this feedback already been shared with the employee?
  • What support has been provided so far?
  • What outcome are you expecting from HR?

ラベルだけで判断せず、具体的な事実と期待される対応を質問します。

人事担当者が英語で苦戦しやすい理由

1.相手の感情を受け止めながら事実を確認する必要がある

社員相談では、共感を示しつつ、いつ、どこで、誰が、何を言ったのかを整理します。英語を作ることへ集中しすぎると、相手の感情を受け止められなかったり、逆に共感だけで事実確認が不足したりします。

2.曖昧な表現にも、断定的な表現にもリスクがある

約束していない結果を約束したり、確認前の情報を断定したりしないよう注意が必要です。“I understand your concern.” と “I agree that…” は同じではありません。理解を示すことと、事実や主張へ同意することを分けます。

3.制度や法律の前提が国・地域で違う

日本で当然の制度が海外関係者には伝わらないことがあります。逆に、グローバルポリシーをそのまま日本へ適用できるとは限りません。人事担当者自身が法的判断を英語だけで行うのではなく、必要に応じて社内法務や専門家と確認し、説明する範囲を明確にします。

4.秘密保持を守りながら関係者を動かす必要がある

誰に何を共有できるかを判断し、詳細を伝えずに協力を求める場面があります。英語では “I can share the next steps, but I’m not able to discuss personal details.” のように境界を伝えます。

5.会話ごとに正解が違い、定型文だけでは対応できない

採用面接、評価面談、社員相談では相手の返答によって次の質問が変わります。自分の台本だけでなく、想定回答と再質問まで練習する必要があります。

採用面接・人事評価・社員相談・制度説明を英語で行うグローバル人事チーム
グローバル人事では、採用・評価・社員相談・制度説明のどの場面でも、傾聴、確認、記録、次の行動の合意が必要です。

外国人候補者の採用面接で使う英語

面接では、質問を読み上げるだけでなく、抽象的な回答を具体化する力が必要です。

  • Could you walk me through your role in that project?
  • What was the most difficult decision you had to make?
  • What did you personally contribute to the result?
  • How did you handle disagreement within the team?
  • What would you do differently next time?

「We improved the process.」と返ってきたら、誰が、何を、どの程度改善したのかを聞きます。採用基準に沿って情報を集め、英語の流暢さだけで候補者を評価しないことも大切です。

評価会議では印象と事実を分ける

評価会議では、印象ではなく、期待、行動、成果、影響を分けます。

She achieved the sales target for the second half.
She also improved the reporting process for the team.
One development area is cross-functional communication.
I recommend giving her a broader project before the next review.

評価を上げ下げする結論だけでなく、その根拠、他社員との整合性、今後の育成案まで説明します。分からない場合は “What evidence supports this rating?” “How does this compare with others at the same level?” と確認します。

外国人社員の相談対応は4段階で進める

センシティブな相談では、次の順番を意識します。

  1. 受け止める:話してくれたことへの感謝と理解を示す
  2. 確認する:事実、時系列、関係者、本人の希望を聞く
  3. 範囲を説明する:秘密保持と共有が必要になる場合を説明する
  4. 次の行動を伝える:誰が確認し、いつ連絡するかを合意する

Thank you for telling me about this.
I’d like to make sure I understand what happened.
Who was present at the time?
What outcome would you like to see?
I may need to involve the appropriate team, but I will explain the next step before doing so.

実際の対応は、会社の方針、地域の法令、案件の性質に従い、必要に応じて法務・専門家と連携してください。

人事の実務から逆算する英語の勉強法

1.一年間の人事カレンダーから英語業務を抜き出す

採用期、評価、昇給、異動、組織変更、研修、駐在員対応など、英語が必要になる時期と相手を並べます。直近の重要イベントから始めます。

2.場面を「相手・目的・リスク」で分ける

候補者から経験を聞く、海外本社へ日本の事情を説明する、社員相談で事実を確認するなど、目的を一つに絞ります。認識違いが起きた場合の影響も書きます。

3.自社で実際に使う表現と制度語彙を集める

求人票、評価フォーム、就業規則、過去メール、グローバルポリシーから頻出表現を集めます。一般的な訳語だけでなく、自社で定義されている意味を確認します。

候補者情報、社員情報、評価、給与、健康情報などの個人情報を外部の翻訳・生成サービスへ入力するときは、会社の情報管理ルールを必ず確認してください。

4.会話を「事実・理解・判断・次の行動」に分ける

長い日本語をそのまま英訳せず、何が事実か、自分はどう理解したか、何をまだ確認中か、次に何をするかへ分けます。分からないことを明示する表現も準備します。

5.相手の返答まで含めてロールプレイする

候補者が抽象的に答える、マネージャーが評価理由を示せない、社員が強い感情を表すなど、複数の返答を想定します。再質問、要約、保留、次の行動の説明まで練習します。

6.面談後のメールと記録まで練習する

会話だけで終わらず、決定事項、未確認事項、担当者、期限を短く文書へ戻します。人事記録として何を残すべきかは、社内方針に従ってください。

人事の職種別に優先する英語を変える

  • 採用:経験の深掘り、動機、期待値、オファー条件
  • 労務・Employee Relations:傾聴、事実確認、秘密保持、次の手続き
  • 評価・報酬:成果、行動、根拠、比較、育成課題
  • 人材開発:スキル、キャリア、研修、後継者計画
  • HRBP:事業課題、人員計画、組織設計、経営陣への提案
  • Global Mobility:駐在、出向、赴任、帰任、家族支援

経理財務と連携して人件費や海外子会社の数字を扱う方は、経理・財務の仕事で英語が必要になった人の勉強法も参考になります。

独学・オンライン英会話・英語コーチングの使い分け

独学では、次の採用面接や評価会議を選び、必要な質問・説明・確認を準備します。オンライン英会話では、個人情報を匿名化し、候補者の抽象的な回答を深掘りする、評価理由をマネージャーへ確認するなどのロールプレイを行います。

英語コーチングは、どの業務から始めるべきか分からない、センシティブな会話で言葉が止まる、英語知識はあるのに相手の返答へ対応できない場合の選択肢です。実際の人事カレンダーから優先順位を決め、語彙・文法・リスニング・発話・対話練習を組みます。判断基準は仕事の英語にコーチングは効果がある?でも解説しています。

人事の英語に関するよくある質問

人事の英語は何から勉強すればよいですか?

直近の採用面接、評価会議、外国人社員との面談など、一つの場面を選びます。必要な専門語彙だけでなく、深掘り質問、理解確認、保留、次の行動を伝える文を用意してください。

人事英語の資格やTOEICは役立ちますか?

基礎語彙、文法、読解、リスニングの目安にはなります。ただし、人事実務では、感情を含む話を聞き、事実を確認し、制度を説明する対話力が別に必要です。試験学習と実際の面談ロールプレイを組み合わせましょう。

外国人候補者の面接で英語が流暢でなくても大丈夫ですか?

質問の目的と評価基準が明確で、回答を具体化し、理解を確認できれば面接は進められます。流暢さを見せることより、候補者から必要な情報を公平に集めることを優先してください。

センシティブな社員相談を英語で受けるのが不安です

その場で結論を出す必要はありません。話を受け止め、事実を確認し、即答できない点と次の確認先を説明します。会社の手続きに従い、必要に応じて法務・専門家・適切な社内担当者と連携してください。

まとめ|人事の判断を英語の傾聴・確認・合意へつなげる

人事の仕事で英語が必要になったとき、専門家としての経験がなくなったわけではありません。採用、評価、制度、社員対応で培った判断を、英語の傾聴・確認・説明・合意へ接続する段階にいるだけです。

まず人事カレンダーから直近の重要な場面を一つ選び、事実、理解、判断、次の行動へ分けて準備しましょう。難しい表現より、相手の言葉を正確に受け取り、分からない点を保留し、次の手続きを明確にすることが、人事の信頼を守ります。

be:RIZEでは、採用・評価・外国人社員対応など実際の人事業務から、必要な英語と学習順を設計します。現在地と課題を一度整理したい方は、無料カウンセリングの前に知っていただきたいことをご覧ください。

職種にかかわらず、仕事で英語が必要になったときの全体的な学習順は、仕事で英語が必要になった社会人は何から始める?で整理しています。

採用面接・オンボーディング・制度説明・評価・社員相談でそのまま使える例文は、b-cafeの人事・採用で使う英語フレーズで確認できます。HR担当者側の質問・説明・事実確認を会話例とともに整理しています。

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