「英語は口ではなく、喉から発音する」と聞いたことはありませんか。
そう言われても、「喉のどこを動かすの?」「低い声を出せばいい?」「練習すると喉が痛くなりそう」と戸惑う人も多いでしょう。実際、喉から発音しようとして首に力を入れたり、無理に声を低くしたりすると、英語が話しやすくなるどころか、声が苦しくなることがあります。
be:RIZEでいう「喉発音」は、喉を締めて特殊な音を作る方法ではありません。日本語を話すときのように口先で一音ずつ作り直す状態から離れ、喉や首まわりの余計な力を抜き、息と声の流れを保ったまま英語の音をまとめるための考え方です。
この記事では、「喉から発音する」とは何を意味するのか、口先の発音と何が違うのかを初心者向けに整理します。自宅で安全に試せる練習も紹介するので、喉発音ができているかわからない人も、一つずつ確認してみてください。
「英語を喉から発音する」とはどういう意味?
人の声は、肺から送られた空気によって喉にある声帯が振動し、その音が喉・口・鼻などの空間で響き、舌や唇の動きによって言葉になります。日本語でも英語でも、この基本的な仕組みが別物になるわけではありません。
そのため、「英語だけは喉から音が出て、日本語は口から音が出る」と文字どおりに捉えるのは正確ではありません。どちらの言語でも、声帯、息、共鳴する空間、口や舌を使います。
では、なぜbe:RIZEでは「喉発音」と呼ぶのでしょうか。それは、日本語話者が英語を発音するときに、見えやすい口・唇・舌の動きだけへ意識を集中させ、声や息の土台を忘れやすいからです。
喉発音という言葉は、英語を話すための感覚をつかみやすくする説明です。喉を新しく操作するというより、口先だけで英語を完成させようとせず、喉から口までを一つの楽器として使うと考えてください。
口先の発音と喉発音の違い
口先の発音と喉発音は、特定の筋肉を使う・使わないという単純な二択ではありません。話すときにどこへ注意が向き、声と息がどのように流れているかの違いです。
| 比較する点 | 口先に偏った発音 | be:RIZEでいう喉発音 |
|---|---|---|
| 音の作り方 | 一音ごとに口の形を作り直す | 声と息を保ち、複数の音をまとめる |
| 身体の状態 | 顎・唇・首へ力が入りやすい | 首や喉まわりの余計な力を抜く |
| 音の印象 | 細かく区切られ、平坦になりやすい | 強弱があり、音が流れやすい |
| 意識する場所 | 見える口・歯・舌が中心 | 息、声の響き、音全体のまとまり |
| 目標 | 一つひとつを正確に再現する | 文として無理なく伝わる土台を作る |
舌や唇の位置を学ぶことが不要なわけではありません。LとR、THなど、個別の音を調整するときには役立ちます。ただし、その前に声の土台が途切れていると、一音をきれいに出せても、文章になった瞬間に日本語のリズムへ戻りやすくなります。
日本語を話す感覚のままでは、なぜ口先に偏りやすいのか
日本語では、「か・き・く・け・こ」のように子音と母音が一組になった音が多く、仮名に近い単位を比較的均等に刻みます。そのため、英語でも一つひとつの子音へ母音を足し、口の形を完成させてから次の音へ進みやすくなります。
たとえば desk を「デ・ス・ク」、strike を「ス・ト・ラ・イ・ク」のように読むと、口は音ごとに大きく動きます。本来は一つの音節へ入る複数の音が細分化され、英語にはなかった母音も増えます。この仕組みはカタカナ英語になるのはなぜ?日本語では母音を入れてしまう理由で詳しく解説しています。
さらに、文章でも全単語を同じ強さで一つずつ置くと、声が単語のたびに止まります。英語では、強い音を中心に弱い音をまとめ、意味のかたまりの中で流す感覚が必要です。文になるとぶつ切りになる方は、英語が一音ずつ途切れてしまう人へ|日本語と英語の音節・リズムの違いも参考にしてください。
喉発音は「楽器を持ち替える」イメージ
僕は、日本語から英語へ声の出し方を切り替えることを、「楽器を持ち替える」と表現しています。
日本語という楽器を使ったまま、英語のスペルだけを演奏しようとすると、どうしても母音が増え、音が細かく区切られます。そこで、個別の音を完璧に直す前に、喉まわりをゆるめ、身体の奥から出る息と声を連続させる「英語の楽器」へ切り替えます。
ただし、声を低くすれば英語の楽器になるわけではありません。英語を話すと日本語より低く聞こえる人はいますが、声の高さには個人差があります。女性が男性のような低い声を作ったり、自分の自然な声域を外れたりする必要はありません。
変えたいのは声の高さそのものではなく、毎回声を止めて口先で作り直す習慣です。自分にとって無理のない高さで、声と息が流れていれば十分です。
喉発音でよくある3つの誤解
誤解1.喉を締めて低い声を出す
喉発音と聞いて、首に力を入れ、喉仏の周辺を固めて声を押し出す人がいます。しかし、これは目指す状態と反対です。喉を締めると声と息が通りにくくなり、短時間でも疲れやすくなります。
誤解2.胸を強く響かせなければならない
胸や身体に振動を感じることはありますが、胸から音を出そうと力む必要はありません。振動の感じ方には個人差があり、「胸が響かなければ失敗」という判定もできません。重要なのは、特定の場所を振動させることより、顎や首を固めずに声を出せることです。
誤解3.ネイティブと同じ声質に変える
母語のアクセントや声質が残っていても、英語で十分に意思疎通している人は世界中にいます。喉発音の目的は、ネイティブの声をコピーすることではありません。余分な母音やぶつ切りを減らし、相手が無理なく理解できる発音へ近づけることです。
初心者が喉発音の感覚をつかむ5ステップ
ステップ1.首・肩・顎の力を確認する
背筋を無理に伸ばさず、楽に立つか座ります。肩を一度上げてから落とし、顎を軽く動かしてください。歯を噛みしめたり、顎を前へ突き出したりしていない状態を作ります。
ステップ2.ため息のように息と声を流す
楽な高さで「はぁ」と短くため息をつきます。大声は不要です。息を強く吐くのではなく、喉や顎を固めずに空気が出ていく感覚を確かめます。次に、同じ楽さを保ったまま “ah” と声を乗せます。
ステップ3.一音節の短い単語へつなげる
息と声を止めずに、短い単語を言います。最初は go、come、good、desk などで構いません。口を大きく動かすことより、一つの単語を一つのまとまりで出すことを優先してください。
- go:最後に「ウ」を追加しない
- come:C・O・Mを別々に作らない
- desk:最後を「ク」と完成させず、Kを作る位置で終える
ステップ4.短いフレーズを一息で言う
単語で感覚をつかんだら、二〜五語ほどのフレーズへ進みます。
- Come with me.
- Take a look.
- I need some help.
- Could you send it?
速く話す必要はありません。途中で喉や息をリセットせず、意味のまとまりが終わるまで声を運びます。強く伝えたい語を一つ決め、それ以外を軽くすると流れを作りやすくなります。
ステップ5.録音して「楽さ」と「流れ」を比べる
録音では、ネイティブらしさだけを評価しないでください。次の3点を確認します。
- 一音・一語ごとに無音が入っていないか
- 余分な「ウ」「オ」が増えていないか
- 録音後に喉、首、顎が疲れていないか
同じフレーズを、普段どおりの読み方と、首・顎をゆるめて一息で話す方法の二つで録音すると違いがわかります。一回で大きく変えようとせず、毎日一〜三文を繰り返すほうが安全で実用的です。
喉が痛い・声がかすれるなら練習を中止する
喉発音の練習で、痛み、強い違和感、声のかすれが出る状態は「効いている証拠」ではありません。その日は練習をやめ、声を休めてください。痛みを我慢して繰り返したり、大声やささやき声で無理に確認したりしないようにしましょう。
喉の痛みや声の不調が続く、繰り返す場合は、発音練習だけの問題とは限りません。医療機関や耳鼻咽喉科などの専門家へ相談してください。喉発音は治療ではなく、英語学習のための発声イメージです。
発音できない音は、聞き取れないのか?
喉発音を練習し、自分で英語の音のまとまりを作れるようになると、実際の英語がなぜカタカナどおりに聞こえないのかを理解しやすくなります。弱い音やつながる音へ注意が向くため、リスニングにも役立つことがあります。
ただし、「自分で発音できない音は絶対に聞こえない」とは言えません。母語の影響がある発音でも英語を理解する人は多く、リスニングには語彙・文法・話題の知識・処理速度なども関係します。発音はリスニングを支える方法の一つであり、唯一の条件ではありません。
発音の全体像と、どの順番で練習すればよいかは、親記事の英語の発音は何から練習する?日本語発音から抜け出す「喉発音」の考え方で整理しています。
喉発音ができているかを判断するチェックリスト
- 喉や首へ力を入れなくても声が出る
- 無理に低い声を作っていない
- 短いフレーズを一息で言える
- 単語の間で毎回声を止めていない
- 子音の後へ余分な母音を足す回数が減った
- 練習後に痛みや声のかすれがない
すべてに一度でチェックがつかなくても問題ありません。声の出し方は、説明を理解しただけで急に変わるものではありません。自分の目的に必要な範囲で、少しずつ楽に話せる状態を増やしていきましょう。
まとめ:喉発音は、喉を頑張らせない発音
英語を喉から発音するとは、喉を締めたり、無理に低い声を作ったりすることではありません。口先だけで一音ずつ英語を完成させる状態から離れ、首や顎の余計な力を抜き、息と声を保ったまま音をまとめるための考え方です。
- 日本語と英語で「楽器を持ち替える」と考える
- 声の高さではなく、息と声の連続性に注目する
- ため息から単語、短いフレーズの順に進める
- 速さやネイティブらしさより、楽に伝わることを優先する
- 痛みやかすれが出たら中止する
目標は100点の発音ではありません。英語を話すたびに口や喉が忙しくなっていた人が、相手へ伝える内容に集中できる発音へ近づくことです。まずは “Come with me.” のような短い一文を、力まず一息で言うところから始めてみてください。
発音記号をすべて覚えてから会話へ進むべきか迷っている方は、発音記号を覚えなくても英語は話せる?必要な人・後回しでよい人で、自分に合う優先順位を確認してください。
リエゾンを一覧で暗記せず、声と息が流れた結果として理解したい方は、英語のリエゾンは暗記しなくてもいい?音が自然につながる仕組みをご覧ください。
ネイティブ音声を何度まねても同じように言えない方は、英語の発音練習でネイティブを真似してもできない理由で、完成形を分解して練習する手順を確認してください。
発音をどこまで直すべきか迷っている方は、英語の発音はどこまで直すべき?通じる発音とネイティブ発音の違いで、自分の目的に合う到達点を確認してください。
発音を独学で進める方法と、第三者に確認してもらう境界を知りたい方は、英語の発音は独学で練習できる?講師の確認が役立つポイントも参考にしてください。
自分の声の出し方を客観的に確認したい方へ
録音と音源を比べ、自分で余分な母音や力みを見つけられる方は、独学で練習を続けても問題ありません。オンライン英会話で相手に通じているなら、発音だけを細かく直す必要がない場合もあります。
一方、自分のどこが伝わりにくいのかわからない、発音へ意識を向けると会話が止まる、仕事で英語を使う期限がある場合は、第三者と学習の優先順位を整理する方法もあります。be:RIZEでは、発音だけでなくリスニングやスピーキングも含め、目的と現在地に合った学習方法を考えます。必要な方は、無料カウンセリングの前にご確認いただきたいことをご覧ください。



