海外駐在したのに英語が話せない|会議・部下との会話についていけない人の立て直し方

国際会議で現地スタッフへ意見を伝える日本人駐在員

海外駐在が決まり、赴任前研修を受けた。TOEICの基準も満たした。オンライン英会話で会議や自己紹介も練習した。

それなのに現地へ着くと、会議の話が速くて途中から追えない。現地スタッフへ依頼したつもりが、期限も完成イメージも伝わっていない。雑談では笑うタイミングさえ分からず、日本では普通にできていた判断やリーダーシップまで失ったように感じる。

海外駐在後に英語でつまずくと、「会社はなぜ自分を選んだのだろう」「駐在員なのに話せないのは恥ずかしい」と、自分の能力全体を疑いたくなるかもしれません。

しかし、赴任前に得た知識と、現地の予測できない会話をリアルタイムで処理する力は同じではありません。必要なのは、ビジネス英語を最初から全部やり直すことではなく、自分の実務で処理が止まる場所を特定し、すでに持っている知識を「聞く・判断する・話す」へ接続し直すことです。

この記事では、海外駐在中に会議、部下との会話、電話、雑談で困っている方へ、現地にいる今から英語を立て直す方法を解説します。

しゅみすけ(大山俊輔)

外資系企業で働いていた頃、英語が流暢だから仕事ができる人と、英語がまだ不完全でも仕事を前へ進められる人は同じではありませんでした。駐在後の立て直しでも、難しい表現を増やす前に、自分の判断を短く伝える、分からない点を確認する、次の行動を合意する、という仕事の骨格を英語へ戻すことが大切です。

英語コーチング「be:RIZE」創業者。外資系企業4社での勤務と米国MBA留学を経験。

海外駐在で英語が話せないと、仕事の情報から外れやすくなる

英語での発言が減ると、単に会話へ参加できないだけでは済まないことがあります。現地スタッフが「説明しても伝わりにくい」と感じ、重要な相談を別の人へ先に持っていく。会議後の雑談で共有される背景情報が入らない。本社へ報告するときには結果だけを伝えることになり、現地で何が起きているかを十分に説明できない。

その結果、日本では経験豊富な管理職だった人でも、現地では通訳や日本人同僚を経由しなければ判断できないように見えることがあります。これは職務能力が消えたのではありません。英語の処理が、持っている専門性と現場をつなぐ細い配管になっている状態です。

赴任前研修やTOEICがあっても現地で止まる5つの理由

1.研修では話題と正解が先に分かっていた

研修や教材では、会議、交渉、電話などテーマが決まっています。講師も学習者の英語へ配慮し、必要なら言い直してくれます。現地の会議では、話題が途中で変わり、複数人が重なって話し、予想外の質問も飛んできます。準備した英文を言えることと、流れの中で判断して返すことは別の技能です。

2.単語は聞こえても、会議の意味を保持できない

一語ずつは知っていても、聞いた順番で意味を保てなければ、文の後半で前半を忘れます。さらに「なぜ今この発言が出たのか」「前の人の意見へ賛成なのか反対なのか」まで処理する必要があります。語彙だけでなく、音から意味へ変える速度と保持が課題です。

3.正しい英文を作ってから話そうとする

日本語で考え、長い英文を完成させてから発言しようとすると、その間に会議は進みます。ようやく準備できた頃には話題が変わり、ますます発言しにくくなります。実務では、結論を短く出し、理由や条件を後から足す処理が必要です。

4.現地スタッフへの依頼が曖昧になる

強く言いすぎることを恐れて丁寧な表現を重ねると、依頼なのか提案なのか分からなくなることがあります。逆に、短くしようとして命令形だけになると、関係性を損なう場合があります。何を、なぜ、いつまでに、どの状態で必要としているかを分ける必要があります。

5.仕事と生活の負荷で復習まで手が回らない

赴任直後は、仕事に加えて住居、手続き、家族への対応、時差のある本社との連絡が重なります。英語で失敗した場面を振り返る余力がなく、翌日も同じところで止まります。海外にいるから英語へ触れる量は増えても、学習として処理し直す時間は自動的には生まれません。

「英語が話せない」を仕事の場面ごとに分解する

立て直しの第一歩は、「英語全般が苦手」と考えるのをやめ、止まった仕事を具体的に記録することです。

  • 会議:話題の切り替わりを追えず、発言のタイミングを逃す
  • 部下・現地スタッフ:依頼内容や期限を明確に合意できない
  • 報告:問題の背景と判断理由を本社へ説明できない
  • 電話:相手の名前・数字・次の行動を保持できない
  • 雑談:質問には答えられるが、自分から話題を広げられない
  • プレゼン:準備部分は話せるが、質疑応答で止まる

次に、それぞれが音の認識、意味の保持、文の組み立て、表現の取り出し、対話の継続のどこで止まっているかを確認します。同じ会議の悩みでも、聞き取れない人と、理解はできるが割り込めない人では練習が変わります。

英語の会議で孤立した駐在員が実務を使ったオンライン練習を経て会議へ再参加するイラスト
会議で止まった場面を具体的に記録し、短い骨格へ戻して練習すると、持っている仕事力を英語の場へつなぎ直せます。

現地の実務を教材に変える5段階

  1. 記録する:誰と何を話し、どこで止まったかを会話後に日本語でメモする
  2. 一文を短くする:本当に伝える必要があった結論を短い英語へ戻す
  3. 相手の返答を予測する:質問・反対・保留など2〜3通りを用意する
  4. 処理を練習する:同じ台本を暗記せず、数字や条件を変えてロールプレイする
  5. 現地で再使用する:別の会議や相手でも同じ骨格を使い、通じなかった点を再び持ち帰る

例えば “We need to delay the launch.” という結論を先に出し、because で理由を足し、相手の反対へ “I understand your concern. The main risk is…” と返すところまで練習します。一つの長い模範回答を覚えるより、仕事の判断を小さな単位で出せる方が実戦へ転用できます。

会議についていけない人の立て直し方

会議では、すべてを聞き取ろうとせず、議題、結論、理由、担当者、期限の5点を優先します。会議前に資料から頻出語と論点を予測し、会議中は分からない箇所を一度で全部解決しようとしません。

  • Could we go back to the previous point?(一つ前の点に戻ってもよいですか)
  • Do we agree that the deadline is Friday?(期限は金曜日という認識で合っていますか)
  • I agree with the direction, but I have one concern.(方向性には賛成ですが、懸念が一つあります)
  • Before we move on, may I clarify…?(次へ進む前に、〜を確認してもよいですか)

発言は完成した意見でなくても構いません。確認質問で流れへ入り、短い賛成・懸念を出し、必要なら詳細を後から足します。会議で一度も発言しない状態から、確認を一回、意見を一回というように行動目標を作ります。

現地スタッフとの関係を英語で作り直す

現地スタッフへのコミュニケーションでは、文法的な正しさだけでなく、役割、期待、判断権限を明確にすることが重要です。

  • 依頼の背景と目的を一文で伝える
  • 期限を一方的に置かず、実行可能か確認する
  • 途中確認の日時と完成条件を合意する
  • 分からない点を質問してよいと明示する
  • 完了後は、できていた点と次の修正を分けて伝える

英語が不安だと、依頼をメールだけで済ませたくなります。しかし、短い口頭確認を加えることで、相手の理解と懸念を早く把握できます。メールで正確さを確保し、会話で認識と関係性を確認するという使い分けが現実的です。

雑談は「仕事と無関係な英語」ではない

海外の職場では、会議前後、ランチ、移動中の雑談で、相手の関心、現場の空気、進行中の問題が見えることがあります。雑談が苦手だからと避け続けると、英語力だけでなく情報経路も細くなります。

面白い話を用意する必要はありません。相手の週末、食事、地域の出来事、仕事の近況について質問し、自分の情報を一文足します。質問だけのインタビューにせず、小さな自己開示を返すと会話が続きやすくなります。

赴任後4週間で始める英語の再設計

1週目:止まった実務を記録する

教材を増やさず、会議、依頼、報告、電話、雑談で止まった場面を記録します。頻度、仕事への影響、自分の役割から優先順位をつけます。

2週目:最優先の一場面を分解する

「会議が苦手」ではなく、「反対意見を聞いたあと、自分の懸念を短く返せない」のように狭くします。音、保持、組み立て、取り出し、対話のどこを練習するか決めます。

3週目:条件を変えてロールプレイする

相手の回答、数字、期限、賛否を変えて繰り返します。台本どおり言う練習から、予想外の返答にも短く対応する練習へ移します。

4週目:現地で使い、次の修正を決める

実際の仕事で一つ使い、通じた点と止まった点を持ち帰ります。成功・失敗で評価せず、次回変えることを一つ決めます。この循環を自分で回せるなら、独学やオンライン英会話でも改善を続けられます。

英会話を増やすか、英語コーチングを使うか

練習したい実務場面と課題が自分で分かり、講師へロールプレイを依頼できるなら、オンライン英会話で会話量を増やす方法が合います。

一方、次の状態なら、会話量の前に学習設計を支援してもらう価値があります。

  • 教材や研修を変えても、現地で同じところに止まる
  • TOEICや文法の知識と、聞く・話す処理がつながらない
  • 仕事上の優先順位から学習内容を選べない
  • 時差や業務負荷を含め、実行できる計画を作れない
  • 現地での任期や評価面談までに変えたい期限がある

仕事目的でのコーチングの使い方は、仕事の英語にコーチングは効果がある?目的別の考え方でも解説しています。

まだ出発前なら、赴任先の仕事を使った英会話準備から

赴任前で、自己紹介、会議、依頼、報告、生活場面をロールプレイしたい段階なら、まず英会話レッスンで実戦準備をする方法があります。女性の方は、女性の海外赴任に英語力はどれくらい必要?出発前に準備したい仕事・生活英会話も参考にしてください。

海外駐在中の英語に関するよくある質問

海外に住んで働けば、自然に英語は伸びますか?

英語へ触れる量は増えますが、聞き流した会話や、他の人に任せたやり取りが自動的に処理力へ変わるとは限りません。止まった場面を振り返り、作り直し、別の場面で再使用する必要があります。

TOEICの点数が高いのに話せないのはおかしいですか?

おかしくありません。TOEICで測る知識や理解力は重要な土台ですが、複数人の会議で意味を保持し、判断し、発言する処理とは同じではありません。点数を否定せず、実務で不足している接続を練習します。

海外から日本の英語コーチングを受けられますか?

オンライン対応なら受講できます。時差、面談時間、現地から使える教材、支払方法を確認してください。仕事と生活の負荷を考え、毎日実行できる学習量で設計されるかも重要です。

まとめ|失ったのは仕事力ではなく、英語との接続かもしれない

海外駐在後に会議や部下との会話についていけなくても、日本で培った専門性や判断力が消えたわけではありません。持っている知識と、現地の英語をリアルタイムで処理する力の接続が細くなっている可能性があります。

まず止まった実務を具体的に記録し、音の認識、意味の保持、文の組み立て、取り出し、対話の継続のどこが課題かを分けます。そのうえで、仕事の結論を短い骨格へ戻し、相手の反応を変えて練習し、現地で再使用します。

be:RIZEでは、海外から受講される方を含め、現在の職務、英語を使う相手、困っている実務、任期や評価の期限を確認して学習を設計します。受講を前提にせず、独学やオンライン英会話で続けられる部分も含めて整理します。気になる方は、無料カウンセリングの前に知っていただきたいことをご覧ください。

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