I regret having said that.のhaving saidは、なぜsayingではなく「having+過去分詞」なのでしょうか。
完了動名詞とは、having+過去分詞の形で、主となる動詞が示す基準時より前に完了した行為を、一つの話題・対象として置く表現です。「〜したこと」「〜してしまったこと」などと訳されます。
ただし、普通の動名詞でも文脈によって過去の行為を表せます。完了動名詞は、二つの出来事の前後関係をはっきり示したいときや、行為がすでに完了していることを強調したいときに使います。
しゅみすけ
having doneを「動名詞の過去形」と丸暗記すると、普通のdoingでも過去を表せる理由が分からなくなります。ポイントは、基準時より前の出来事を、完了済みのひとかたまりとして取り出すことです。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
完了動名詞とは?形と意味
完了動名詞の基本形はhaving+過去分詞です。
| 形 | 基本的な時間関係 | 例 |
|---|---|---|
| doing | 行為をひとかたまりとして置く | I regret saying that. |
| having done | 基準時より前に完了した行為を置く | I regret having said that. |
- I regret saying that.
私はそんなことを言ったのを後悔しています。 - I regret having said that.
私はそんなことを言ってしまったのを後悔しています。
どちらも自然で、過去に言ったことを指せます。having saidにすると、「言った」が「後悔する」より前に完了している関係を形の上でも明示できます。

完了動名詞のコアイメージ|完了した行為を箱に入れて置く
動名詞の-ingは、動いている場面を一つの対象として扱える形にします。そこへ完了形のhave+過去分詞を組み合わせたのがhaving doneです。
- doing:行為・場面をひとかたまりにする
- having done:基準時より前に完了した行為をひとかたまりにする
She is proud of having finished the race.では、レースを完走した出来事が先にあり、その完了した事実を現在の誇りの対象として持っています。
動名詞の基本的な働きは英語の動名詞とは?、完了形の「基準時点に完了状態を持つ」感覚は英語の完了形とは?で確認できます。
完了動名詞を使う代表的な場面
過去の行為を後悔する
- I regret having wasted so much time.
私はあれほど多くの時間を無駄にしたことを後悔しています。 - She regretted having told him the truth.
彼女は彼に真実を話したことを後悔しました。
過去の実績・経験を誇りに思う
- He is proud of having completed the project.
彼はその計画を完成させたことを誇りに思っています。 - She was proud of having represented her country.
彼女は国を代表したことを誇りに思っていました。
過去の行為を否定・認める
- He denied having taken the money.
彼はそのお金を取ったことを否定しました。 - She admitted having made a mistake.
彼女は間違いを犯したことを認めました。
過去の行為について謝る・責める
- He apologized for having arrived late.
彼は遅れて到着したことを謝りました。 - They blamed him for having ignored the warning.
彼らは警告を無視したことで彼を責めました。
普通の動名詞と完了動名詞の違い
普通の動名詞は、必ずしも主動詞と同時の行為だけを表すわけではありません。動詞の意味や文脈によって、すでに起きた出来事を自然に表せます。
- She admitted taking the money.
- She admitted having taken the money.
どちらも「彼女はお金を取ったことを認めた」と言えます。admitは通常、すでに行ったことを認めるため、takingだけでも前後関係が分かります。having takenは、取った行為が認めた時点より前だと明示・強調します。
| 選び方 | 向いている場面 |
|---|---|
| doing | 前後関係が文脈から明らかで、簡潔に言う |
| having done | 完了・先行関係を明確にする、誤解を避ける |
日常会話では普通の動名詞が選ばれることも多く、having doneを使わなければ過去を表せないわけではありません。
主動詞が過去形なら、その過去よりさらに前
完了動名詞は「現在より前」と決まっているのではなく、主動詞が作る基準時より前を示します。
- She regretted having left the company.
彼女は会社を辞めたことを後悔しました。 - He denied having met her before.
彼は以前彼女に会ったことを否定しました。
regrettedやdeniedが過去の基準時を作り、having leftやhaving metはそれよりさらに前に置かれます。考え方は完了不定詞to have doneと共通しています。
完了動名詞の受動態|having been+過去分詞
基準時より前に「〜されたこと」を表す場合は、having been+過去分詞を使います。
- He complained about having been treated unfairly.
彼は不公平に扱われたことに不満を述べました。 - She was proud of having been chosen for the team.
彼女はチームに選ばれたことを誇りに思っていました。 - I remember having been told the same story.
私は同じ話を聞かされたことを覚えています。
havingが基準時より前、been+過去分詞が受け身を示します。長く見えても、この二つの役割に分ければ整理できます。
完了動名詞の否定|not having done
完了動名詞を否定するときは、notをhavingの前へ置きます。
- She regretted not having studied harder.
彼女はもっと勉強しなかったことを後悔しました。 - He apologized for not having replied sooner.
彼はもっと早く返信しなかったことを謝りました。 - I was ashamed of not having kept my promise.
私は約束を守らなかったことを恥じました。
完了動名詞の意味上の主語
誰がhaving doneの行為をしたか明示する場合は、所有格または目的格・普通格を前へ置きます。
- I was surprised at his having finished so early.
彼がそんなに早く終えたことに驚きました。 - We appreciated Tom having prepared everything.
トムがすべて準備してくれたことに感謝しました。 - She complained about them having changed the schedule.
彼女は彼らが予定を変えたことに不満を述べました。
正式な書き言葉では所有格が好まれますが、会話では目的格や普通格も使われます。詳しくは不定詞・動名詞の意味上の主語をご覧ください。
having doneを見たら、まず主動詞のところに基準点を置きます。そこから一段前へ戻り、完了した出来事を丸ごと箱に入れて、後悔・誇り・否定などの対象にしていると読んでみてください。
完了動名詞と完了不定詞の違い
どちらも主動詞の基準時より前を表しますが、文中での置き方が異なります。
| 完了動名詞 | 完了不定詞 | |
|---|---|---|
| 形 | having+過去分詞 | to have+過去分詞 |
| 基本感覚 | 完了した行為を対象として置く | 完了した出来事へ視線を向ける |
| 例 | He denied having lied. | He seems to have lied. |
| 主な位置 | 主語・目的語・前置詞の後ろ | seem・appear・be saidなどの後ろ |
完了動名詞と分詞構文のhaving doneの違い
同じhaving doneでも、文中で名詞として働く場合は完了動名詞、主文へ背景を足す場合は完了形の分詞構文です。
- 完了動名詞:She denied having broken the vase.
having以下がdeniedの目的語。 - 分詞構文:Having finished the work, she went home.
having以下が「仕事を終えたので/終えてから」という背景。
見た目ではなく、文の中で「こと」として主語・目的語になっているか、主文全体へ時間・理由などを足しているかを確認します。分詞構文は分詞構文とは?で解説しています。
完了動名詞でよくある間違い
- × having went:haveの後ろは過去分詞なので○ having gone。
- × have doneを名詞として置く:動名詞なのでhaveをhavingにします。
- 基準時を必ず現在にする:主動詞が過去なら、その過去より前です。
- 過去なら常にhaving doneを使う:文脈が明確なら普通のdoingでも過去の行為を表せます。
- 受動態でbeenを落とす:「扱われたこと」はhaving been treatedです。
- 分詞構文と形だけで区別する:文中で名詞の席にあるか、背景説明かを見ます。
完了動名詞を見分ける3ステップ
- having+過去分詞を見つける
過去分詞の形まで含めて確認します。 - 主動詞の基準時を置く
現在・過去のどこから見ているかを確認します。 - 文中の役割を調べる
主語・目的語・前置詞の後ろで「〜したこと」として置かれていれば完了動名詞です。
よくある質問
Q. 完了動名詞は「動名詞の過去形」ですか?
便宜的にそう説明されることもありますが、正確には主動詞の基準時より前の完了を示す形です。主動詞が過去なら、その過去よりさらに前になります。
Q. having doneとdoingはどちらを使えばよいですか?
前後関係が明らかで簡潔に言うならdoingで十分な場合があります。先に完了したことを強調したい、時間関係を誤解なく示したい場合はhaving doneが有効です。
Q. 完了動名詞は日常会話でも使いますか?
I regret having said that.やThank you for having helped me.など使われます。ただし会話では、文脈が明らかならI regret saying that.のような簡潔な形もよく選ばれます。
Q. having doneとhaving been doingの違いは?
having doneは行為の完了、having been doingは基準時より前までの継続を強調します。ただし完了進行形の動名詞は長くなるため、実際には文を分けるなど別表現が好まれることもあります。
まとめ|完了した行為を一つの対象として置く
- 完了動名詞の形はhaving+過去分詞
- 主動詞の基準時より前に完了した行為を表す
- 後悔・誇り・否定・承認・謝罪などの対象として使われる
- 文脈が明確なら普通のdoingでも過去を表せる
- 受動態はhaving been+過去分詞
- 否定はnot having+過去分詞
- 分詞構文とは文中の役割で見分ける
having doneは、過去という日本語訳を作るためだけの形ではありません。基準時より前の出来事を完了済みのひとかたまりとして取り出し、今の後悔・誇り・判断などの対象にする表現です。文法全体の位置づけは高校英文法一覧から確認できます。
be:RIZEでは、形を訳語で暗記するだけでなく、基準時と出来事の位置を整理し、自分が伝えたい場面を英語の順番で組み立てる練習を行います。
having doneを見たら、「何が先に完了し、今はそれを何の対象にしているか」を確認してみてください。






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