I want to praise her. と I want to be praised. は、どちらもto不定詞を使っています。しかし、意味の向きは反対です。
- I want to praise her.:私は彼女を褒めたい
- I want to be praised.:私は褒められたい
違いを作るのが、不定詞の受動態「to be+過去分詞」です。「受動不定詞」と呼ばれることもあります。
結論からいうと、to doはtoの先で主語側が動作をし、to be doneはtoの先で主語側が動作を受ける形です。
toは後ろの動作・状態へ意識を向ける矢印。その先にdoを置けば能動、be doneを置けば「動作を受けた状態」へ向かいます。
受動態を「be動詞+過去分詞の公式」として覚えるだけでは、会話中に形が出てきません。まず、誰から誰へ動作が向かっているのかを思い浮かべます。主語が矢印を受ける側なら、toの先にも受動態を置きます。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
不定詞の受動態とは?to be+過去分詞で作る
不定詞の受動態は、次の形で作ります。
to+be+過去分詞
| 形 | 動作の向き | 例 |
|---|---|---|
| to do | 主語側が動作する | to invite 招待する |
| to be done | 主語側が動作を受ける | to be invited 招待される |
She hopes to invite Tom.
彼女はトムを招待したいと思っています。
She hopes to be invited.
彼女は招待されたいと思っています。
一つ目ではsheが招待する側、二つ目ではsheが招待を受ける側です。日本語訳の「〜される」だけでなく、動作の矢印がどちらへ向くかを確認しましょう。

to doとto be doneの違い|矢印を出す側か受ける側か
同じ動詞を使って比較すると、違いがはっきりします。
| 能動の不定詞 | 受動の不定詞 |
|---|---|
| I want to help. 私は助けたい |
I want to be helped. 私は助けられたい |
| She expects to choose someone. 彼女は誰かを選ぶつもりだ |
She expects to be chosen. 彼女は選ばれると思っている |
| He likes to respect others. 彼は人を尊重したい |
He likes to be respected. 彼は尊敬されることを好む |
toの働きは変わりません。現在地点から後ろの内容へ意識を向けます。その先の動作を主語が行うならto do、受けるならto be doneです。
to不定詞全体のコアイメージと3用法は、to不定詞とは?「未来へ向かう矢印」で解説で整理しています。
want・would like+to be done|「〜されたい」
希望を表すwantやwould likeでは、誰がその動作をするかで形が変わります。
I want to be treated fairly.
私は公平に扱われたいです。
She wants to be heard.
彼女は自分の話を聞いてもらいたいと思っています。
We’d like to be informed in advance.
私たちは事前に知らされたいです。
日本語では「聞いてもらいたい」「知らせてほしい」と訳すこともありますが、英語の景色ではI・she・weが動作の受け手です。
一方、相手に何かをしてほしいなら、通常はwant+人+to doを使います。
I want him to explain the problem.
私は彼にその問題を説明してほしいです。
I want to be explained the problem.は不自然です。「説明される内容」ではなく「説明を受ける人」を主語にしたいため、普通はI want the problem to be explained to me.またはI want him to explain the problem to me.とします。
need+to be done|「〜される必要がある」
物事や作業を主語にして必要性を述べるとき、need to be doneがよく使われます。
This report needs to be checked.
この報告書は確認される必要があります。
The problem needs to be solved quickly.
その問題は早急に解決される必要があります。
Several changes need to be made.
いくつか変更を加える必要があります。
実際に確認・解決・変更する人を主語にせず、対応が必要な対象を先に置いています。仕事の英語で頻出する形です。
会話ではThe report needs checking.のように、need+doingで受動的な意味を表すこともあります。
- The report needs to be checked.
- The report needs checking.
どちらも「報告書を確認する必要がある」という意味ですが、まずは意味が透明なneed to be doneを使えるようにすると安全です。
expect・allow・require+目的語+to be done
目的語の後ろへ不定詞を置く文でも、その目的語が動作を受けるならto be doneになります。
We expect the work to be completed by Friday.
私たちは、その仕事が金曜日までに完了すると見込んでいます。
Visitors are not allowed to be photographed here.
来訪者はここで写真を撮られることを許可されていません。
The form is required to be submitted online.
その用紙はオンラインで提出する必要があります。
the workは完了される側、visitorsは撮影される側、the formは提出される側です。長い文でも、まず目的語・主語と動作の向きを見れば形を決められます。
be said・believed・expected+to doとの関係
He is said to be a doctor.のような形は、文全体の前半にも受動態があります。
He is said to be a doctor.
彼は医師だと言われています。
ここではis saidが受動態であり、後ろのto beは「医師である状態」を表す普通の不定詞です。to beを含むだけでは、不定詞の受動態ではありません。
後ろの不定詞まで受動態になる例もあります。
The building is believed to be protected by law.
その建物は法律で保護されていると考えられています。
この文では、is believedが主文の受動態、to be protectedが不定詞内部の受動態です。二つの層を分けて見ましょう。
英語は主文の中に、もう一つ小さな動作を組み込めます。外側が受動か、内側が受動か、両方が受動か。一つずつ動作の矢印を確認すれば、be動詞が続いても混乱しません。
しゅみすけ(大山俊輔)
to be done・to be doing・to have doneの見分け方
| 形 | 注目する関係 | 例 |
|---|---|---|
| to be done | 動作を受ける | to be invited |
| to be doing | 基準時に進行中 | to be waiting |
| to have done | 基準時より前 | to have left |
| to have been done | 基準時より前+受動 | to have been completed |
She seems to be invited every year.
彼女は毎年招待されているようです。
She seems to be waiting outside.
彼女は外で待っているようです。
She seems to have left already.
彼女はすでに出発したようです。
The work seems to have been completed.
その作業は完了したようです。
to be doneは能動・受動の向き、to be doingは進行中かどうか、to have doneは時間の前後を示します。進行中の場面は不定詞の進行形to be doing、基準時より前の出来事は完了不定詞to have doneで詳しく確認できます。
不定詞の受動態の否定形
否定するときは、原則として不定詞のまとまりの前へnotを置きます。
I asked not to be disturbed.
邪魔をしないでほしいと頼みました。
She hopes not to be misunderstood.
彼女は誤解されないことを望んでいます。
not → to → be → 過去分詞の順です。「される」という受動だけを消すのではなく、to be disturbed・to be misunderstoodという内容全体の成立に×を置きます。
よくある間違い
to been doneとする
× The work needs to been done.
○ The work needs to be done.
toの直後は動詞の原形なのでbeです。過去分詞になるのは、その後ろの中心動詞です。
beを落としてto doneとする
× I want to praised.
○ I want to be praised.
受動態にはbe動詞が必要です。to+be+過去分詞を一つのまとまりとして置きます。
動作する人を主語にしたまま受動態にする
「私は彼女を招待したい」ならI want to invite her.です。I want to be invited her.とは言えません。Iが招待する側なのか、される側なのかを先に決めましょう。
過去分詞を過去形だと考える
to be praisedのpraisedは過去の出来事を表す過去形ではありません。動作を受けた側を示す過去分詞です。未来の希望にも使えます。
I hope to be promoted next year.
私は来年、昇進することを願っています。
前から組み立てる3ステップ
- 主文の骨格を置く
I want …=私は望んでいる。 - toで望みの先へ向かう
何を望んでいるのか、後ろの内容を開く。 - 動作の向きを決める
自分が評価するならto praise、評価を受けるならto be praised。
日本語の「〜されたい」を完成させてから訳すより、I wantまで先に出し、次の場面で自分が動作をする側か受ける側かを選びます。
不定詞・動名詞・分詞を「動詞を文の部品にする仕組み」として俯瞰したい方は、準動詞とは?もご覧ください。
まとめ|toの矢印の先で動作を受ける
- 不定詞の受動態はto be+過去分詞で作る
- 受動不定詞と呼ばれることもある
- to doは主語側が動作し、to be doneは主語側が動作を受ける
- want to be praisedは「褒められたい」
- need to be doneは「対応される必要がある」
- to beがあるだけでは受動態とは限らない
- to be doingは進行、to have doneは基準時より前
- 否定形はnot to be done
to be done=toの矢印の先で、主語が動作を受ける側に立つ。
この景色を持っておけば、be動詞と過去分詞を機械的につなぐのではなく、伝えたい動作の向きから形を選べるようになります。
英文法を会話で使うには、公式を増やすだけでなく、誰が動作するのか、誰が受けるのかを英語の語順で組み立てる練習が必要です。
be:RIZEでは、語彙・文法・リスニング・スピーキングの現在地を確認し、日本語話者が英語を話すための学習順を一緒に設計しています。





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