「make・have・let・getは、どれも『〜させる』と訳すから違いが分からない」——使役動詞で迷う原因は、日本語訳が同じに見えることです。ところが英語では、相手にどんな力をかけ、どう行動へ動かすかによって動詞を使い分けます。
先に結論を言えば、makeは力を加えて結果を作る、haveは役割を渡す、letは自由にさせる、getは働きかけて行動へ到達させる動詞です。この違いが見えれば、後ろが動詞の原形になる理由も、getだけto不定詞を取る理由も一本につながります。
使役動詞とは?「人+動作」をひとつの結果として置く表現
使役動詞とは、人や物に何かをさせたり、ある状態にしたりする表現に使う動詞です。学校文法では、おもに次の形を第5文型(SVOC)として学びます。
- make+人+動詞の原形:人に〜させる
- have+人+動詞の原形:人に〜してもらう・させる
- let+人+動詞の原形:人が〜するのを許す
- get+人+to do:人に働きかけて〜してもらう
ここで大切なのは、O(人)とC(動作)の間に「その人がその動作をする」という関係があることです。たとえば I got him to help me. なら、him=helpする人です。日本語の「〜させる」という訳ではなく、この関係を先に見ると構造をつかみやすくなります。
make・have・let・getの違いを一覧で比較
| 動詞 | 基本の形 | コアイメージ | 自然な日本語 |
|---|---|---|---|
| make | make+人+動詞の原形 | 力を加え、結果を作る | 〜させる |
| have | have+人+動詞の原形 | 役割・手配の中に置く | 〜してもらう/〜させる |
| let | let+人+動詞の原形 | 止めずに自由にする | 〜させてあげる/許す |
| get | get+人+to do | 働きかけて行動へ到達させる | 何とか〜してもらう |
make・have・letを「強制の強さ順」とだけ覚えると、実際の英語では崩れます。haveは弱いmakeではなく、仕事・役割・手配として相手に動いてもらう感覚です。またmakeも、必ずしも人を無理やり動かすとは限りません。The movie made me cry. のように、原因が結果を生んだ場合にも使います。
make+人+動詞の原形|力を加えて結果を作る
makeのコアイメージは「材料に力を加えて、結果を作る」です。使役でも同じで、相手に力や影響を加え、「相手が動作する」という結果を作ります。
The teacher made us rewrite the essay.
先生は私たちにその作文を書き直させた。
That movie made me cry.
その映画を見て、私は泣いた。
1文目では先生の指示が、2文目では映画の影響が結果を生んでいます。「強制」と訳せない場合でも、原因→結果というmakeの芯は変わりません。
makeは人+形容詞も取れる
makeが作る結果は、動作だけではありません。The news made me happy. なら「その知らせが、私をうれしい状態にした」です。make+O+CのCには、動詞の原形だけでなく形容詞なども置けます。
makeの受動態ではtoが戻る
能動態では make+人+動詞の原形 ですが、受動態では be made to do になります。
I was made to apologize.
私は謝らされた。
I was made apologize. とはしません。能動態で表に出なかったtoが、受動態では現れると覚えてください。
have+人+動詞の原形|役割・依頼として動いてもらう
haveのコアイメージは「自分のところに持つ・自分の領域に置く」です。使役では、仕事や役割を自分の手配の中に置き、その担当者に動いてもらいます。
I had my assistant book the room.
アシスタントに部屋を予約してもらった。
The doctor had me lie down.
医師は私を横にならせた。
haveには依頼だけでなく、立場上の指示や当然期待される役割も含まれます。ただし、makeのように外から力を押しつけることが中心ではありません。誰かにその役割を担ってもらうことに焦点があります。
have+物+過去分詞|サービスを受ける・出来事を経験する
I had my hair cut.
髪を切ってもらった。
hairは「切る側」ではなく「切られる側」です。そのため動詞の原形ではなく過去分詞cutを置きます。これは「自分で髪を切った」という意味ではありません。
I had my wallet stolen.
財布を盗まれた。
この文では、盗ませるよう手配したのではありません。have+O+過去分詞は、被害など「Oが〜される出来事を経験した」という意味にもなります。文脈から、手配か経験かを判断します。
let+人+動詞の原形|止めずに自由にさせる
letのコアイメージは「つながりや制限をゆるめ、自由にする」です。相手を押して動かすのではなく、相手がもともとしたい行動を止めません。
She let me use her laptop.
彼女は私にノートパソコンを使わせてくれた。
Let me explain.
私に説明させてください。
日本語では同じ「〜させる」でも、letに強制の意味はありません。「許可する」「邪魔せず、そのまま行かせる」が中心です。
letは普通be let to doにしない
「〜することを許された」と受動態で言うときは、通常 be allowed to do を使います。
I was allowed to leave early.
私は早く帰ることを許された。
学校文法や標準的な英語では、I was let to leave early. は避けましょう。
get+人+to do|働きかけて行動へ到達させる
getのコアイメージは「動いて、ある状態・地点に到達する」です。使役では、説得・工夫・依頼などの働きかけを経て、相手が行動する地点まで持っていきます。
I got him to check the report.
彼に働きかけて、レポートを確認してもらった。
How did you get her to agree?
どうやって彼女を説得して同意してもらったの?
getだけがto不定詞を取るのは偶然ではありません。to不定詞のtoには「これからその行動へ向かう」という方向があります。getは、人を動作へ到達させるプロセスを含むため、人→to do の矢印が残ります。
get+物+過去分詞|物を完了した状態へ持っていく
I got my phone repaired.
スマートフォンを修理してもらった。
Let’s get this done today.
これを今日中に終わらせよう。
get+O+過去分詞は、Oを「〜された状態」へ到達させる表現です。have+O+過去分詞よりも、そこに至る働きかけや完了への意識が出やすく、日常会話でもよく使われます。
haveとgetの違い|手配か、到達までの働きかけか
haveとgetはどちらも「〜してもらう」と訳せますが、視点が違います。
| 人+動作 | 物+過去分詞 | |
|---|---|---|
| have | 役割・依頼としてしてもらう have him check it |
サービスを手配する/出来事を経験する have it repaired |
| get | 働きかけてしてもらう get him to check it |
完了状態へ持っていく get it repaired |
業者に修理を普通に依頼したことを淡々と述べるならhaveが自然です。修理先を探した、説得した、ようやく直したなど、結果まで持っていく動きに焦点を当てるならgetが合います。ただし現実の会話では重なる場面も多く、文脈と話し手の見方で選択が変わります。
なぜmake・have・letの後ろは動詞の原形なのか
make・have・letでは、人とその動作をひとまとまりの結果として直接置きます。つまり、make [him apologize] のように「彼が謝る」という出来事を、そのままmakeの結果として扱っています。途中の方向を示すtoを挟まず、動詞の原形を置くのが基本です。
一方getは、相手が行動するまでの働きかけや到達を見ます。そのため、行動への方向を示すtoを残して get him to apologize とします。暗記するなら形だけでなく、直接結果に置く3語/行動へ到達させるgetという対比で覚えると崩れません。
使役動詞でよくある5つの間違い
1. make me to doとしてしまう
能動態は make me do です。toが必要なのは受動態の be made to do です。
2. let me to doとしてしまう
letの後ろも動詞の原形です。Let me know. や Let me explain. のまとまりで口から出せるようにしましょう。
3. get me doとしてしまう
getは get me to do。toは、人をその行動へ向かわせる矢印です。
4. have my hair cutを「自分で切る」と考える
hairはcutされる側なので過去分詞を使います。「髪が切られた状態を自分の手配として持つ」=美容師などに切ってもらう、です。
5. すべてを強制の強さだけで並べる
make=強制、have=やや弱い強制、let=弱い強制、という一直線ではありません。letは許可、haveは役割・手配、getは働きかけと到達です。違うのは力の強さだけでなく、力のかけ方そのものです。
補足|helpは動詞の原形とto不定詞の両方を取れる
helpのコアイメージは、相手の動作を助けることです。現代英語では次の両方が使われます。
She helped me carry the box.
She helped me to carry the box.
彼女は私が箱を運ぶのを手伝ってくれた。
helpは代表的な使役動詞4語とは少し性質が違いますが、「人+動作」の形を理解するうえで一緒に押さえておくと便利です。
使役動詞の使い分け練習
次の日本語に最も合う動詞を選んでみてください。答えを出す前に「相手をどう動かしているか」を考えるのがポイントです。
- そのニュースを聞いて、私は笑顔になった。
- 部下に資料を確認してもらった。
- 子どもが外で遊ぶのを許した。
- 何とか彼を説得して参加してもらった。
- 車を修理してもらった。
基本の答えは、1がmake、2がhave、3がlet、4がgetです。5は中立的な手配ならhave、完了まで持っていった感覚ならgetが使えます。ひとつの日本語に答えが一語だけとは限りません。話し手がどこを見るかで、英語の選択が変わります。
使役動詞についてよくある質問
使役動詞で一番強制力が強いのはmakeですか?
人への直接的な強制を表す場面ではmakeが最も強く感じられます。ただしmakeの本質は「原因が結果を作る」ことです。映画が人を泣かせるような、意志を持たない原因にも使うため、常に命令・強制というわけではありません。
haveとgetは置き換えられますか?
重なる場面はありますが、完全に同じではありません。haveは役割・手配として動いてもらうこと、getは働きかけて行動・完了へ到達させることに焦点があります。またhave+人の後ろは動詞の原形、get+人の後ろはto不定詞です。
使役動詞を受動態にできますか?
makeは be made to do にできます。letの許可は通常 be allowed to do で表します。haveやgetは、能動態と左右対称に受動態へ変えるより、伝えたい意味に合わせて別の表現へ組み替えるのが自然です。
使役動詞と知覚動詞は同じですか?
どちらも「人+動詞の原形/現在分詞/過去分詞」のような形を取ることがありますが、意味は別です。使役動詞は人や物を動かし、知覚動詞は人や物の動作を見たり聞いたりします。形の共通点と意味の違いを分けて考えましょう。
まとめ|「〜させる」ではなく、相手の動かし方を見る
- make+人+原形:力・影響を加えて結果を作る
- have+人+原形:役割・依頼として動いてもらう
- let+人+原形:止めずに自由にさせる
- get+人+to do:働きかけて行動へ到達させる
- have/get+物+過去分詞:物が「される側」になる
- makeの受動態:be made to do
使役動詞を理解する鍵は、日本語訳の「〜させる」を覚えることではありません。誰が誰に、どんな力をかけ、どんな行動・状態へ動かしたかを場面として見ることです。そうすれば、make・have・let・getは紛らわしい4択ではなく、それぞれ違う映像を持った動詞になります。
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