関係代名詞・完了形・仮定法などへ進む前に、短い一文を作る土台を確認したい方は、英会話に必要な英文法はどこまで?大人初心者が短い一文を作る5つのコア文法から始めてください。
関係代名詞、分詞構文、to不定詞、現在完了、過去完了、仮定法――。 名前を聞いただけで、「自分には難しい」「もう一度、文法書を最初からやり直さなければ」と感じる人もいるかもしれません。学校では、それぞれを別の単元として学び、さらに「名詞的用法」「副詞的用法」「継続・経験・完了・結果」など、細かな分類も覚えてきました。 ところが、実際の英会話で必要なのは、用法名を思い出すことではありません。英語が話される順番に沿って景色を受け取り、自分も思いついた順に情報を置いていくことです。 一見すると複雑な“ラスボス英文法”も、認知処理まで戻れば、次の5つの感覚に整理できます。- 後から情報を足す
- -ingで動きのある場面を置く
- toで到達点への矢印を向ける
- haveの中に完了した状態を持つ
- 過去形で現実から距離を取る
「ラスボス英文法」とは?
ここでいうラスボス英文法とは、テストで難しい文法だけを指す言葉ではありません。 知識としては見たことがあるのに、長い英文の中に出ると処理が止まり、会話では自分から使いにくい文法のことです。- 関係代名詞が出ると、文を後ろから訳し直す
- -ingを見るたびに、進行形・動名詞・分詞構文のどれかを考える
- 現在完了を見ると、4つの用法から正解を選ぼうとする
- 仮定法では、動詞を何形にするかで頭がいっぱいになる
難しい英文法を5つの認知処理で整理する
| 認知処理 | 主に理解できる文法 | 中心となる感覚 |
|---|---|---|
| 後から情報を足す | 関係代名詞・関係副詞・so that | 先に骨格を出し、説明や結果を追加する |
| -ingを場面として置く | 進行形・動名詞・現在分詞・分詞構文 | 動きのある映像をひとかたまりで見る |
| toで矢印を向ける | to不定詞・want 人 to・ask 人 to | 行為の到達点や向かう先を見る |
| have+完了状態 | 現在完了・過去完了・未来完了 | ある時点の領域に完了した状態を持つ |
| 過去形で距離を取る | 仮定法過去・仮定法過去完了 | 今の現実から離れた世界を示す |
ラスボス1|関係代名詞・関係副詞は「後から足す」
日本語では、説明を先に作ってから名詞を置く傾向があります。 「昨日カフェで会った女性」と言うとき、日本語では「昨日カフェで会った」を完成させてから「女性」を置きます。 英語では、まず中心となる名詞を置きます。 I met a woman. 私はある女性に会いました。 そのあと、言い足りない説明を追加します。 I met a woman / who works in London. 私はある女性に会いました/その人はロンドンで働いています。 who以下を先に日本語へ並べ替える必要はありません。「女性が出てきた。さらに、その人について説明が足された」と前から受け取ります。 関係副詞も同じです。 This is the café / where we first met. ここがそのカフェです/私たちが最初に会った場所です。 最初から長い文を設計しているのではなく、先に骨格を出し、必要な説明を後から加えています。これは、英語の文法を考えすぎて口が止まる状態を減らすうえでも重要な処理です。ラスボス2|so thatも「結果・目的を後から足す」
so thatは「とても~なので…」「…するために」など、日本語訳ごとに構文として覚えられがちです。 しかし、会話では先に出来事を置き、その結果や目的を後から追加すると考えると処理しやすくなります。 I was so tired / that I fell asleep on the sofa. 私はとても疲れていました/その結果、ソファで眠ってしまいました。 I spoke slowly / so that everyone could understand me. 私はゆっくり話しました/みんなが理解できるように。 関係詞と役割は違っても、認知処理は共通しています。まず核を出し、相手に必要な情報を後から足します。ラスボス3|進行形・動名詞・分詞構文は同じ-ingから見る
特に混同しやすいto doとdoingの違いは、to不定詞と動名詞の違い|「方向」と「行為のまとまり」で理解するで、動詞別の使い分けまで整理しています。 学校文法では、次の文は別々の単元に分けられます。- I am playing tennis.:現在進行形
- I like playing tennis.:動名詞
- I walked in the rain, singing a song.:分詞構文
- I am / playing tennis.:私=テニスをしている場面
- I like / playing tennis.:私は好き=テニスをする場面
- I walked in the rain / singing a song.:雨の中を歩いた+歌っている場面
ラスボス4|to不定詞は「到達点への矢印」
to不定詞は、名詞的用法・形容詞的用法・副詞的用法に分類されます。ただ、話す瞬間に「ここは副詞的用法」と確認する必要はありません。 toは、ある方向や到達点へ意識を向けます。 I want / to travel abroad. 私は望んでいる → 海外旅行をする方向へ。 I went to the station / to meet my friend. 駅へ行った → 友達に会う目的へ。 I have something / to tell you. 何かを持っている → あなたに伝える用途へ。 want 人 toやask 人 toも同じです。 I asked him / to call me. 私は彼に頼んだ → 私へ電話する方向へ。 訳し分けは文脈によって変わりますが、矢印という中心感覚は変わりません。ラスボス5|現在完了・過去完了・未来完了はhave+完了した状態
現在完了は、継続・経験・完了・結果の4用法として学ぶことが一般的です。しかし、最初から4つの箱を選ぶと、過去形との違いが見えにくくなります。 まず、過去分詞を「完了した状態」「何らかの変化を受けた状態」と捉えます。そしてhaveは、その状態を自分の領域に持っていると考えます。 I have lost my keys. 鍵をなくした状態を、今の自分が持っている。 だからこの文の中心は、単なる過去の出来事ではなく「今、鍵がない」という現在です。 基準となる時点を動かせば、過去完了・未来完了になります。- I had lost my keys.:過去のその時点で、鍵をなくした状態を持っていた
- I will have finished my work.:未来のその時点で、仕事を終えた状態を持っているだろう
ラスボス6|仮定法の過去形は「時間」ではなく「現実からの距離」
仮定法過去・過去完了・wish・as if・仮定法現在・倒置までの全体地図は、英語の仮定法とは?過去形を「現実からの距離」で理解するで詳しく解説しています。 過去形は、過去の時間を表すだけではありません。話し手が現在の現実から心理的な距離を取るときにも使われます。 If I were you, I would talk to her. もし私があなたなら、彼女に話します。 実際には、私はあなたではありません。現実から離れた世界へ移るため、過去形のwereが使われています。 I wish I had more time. もっと時間があればいいのに。 これも、現実には十分な時間がないため、過去形で距離を示しています。 過去の事実と異なる世界なら、距離はさらに一段深くなります。 If I had studied harder, I would have passed the exam. もっと勉強していたら、試験に合格していただろう。 「if節は過去完了、主節はwould have+過去分詞」と形だけを覚えるより、現実から離れた過去の世界を眺めていると理解した方が、文全体の意味を保ちやすくなります。5つの処理を土台に理解できる追加ラスボス
ここまでの5つは、複雑な英文を前から処理するための中心軸です。その後に整備した記事群には、別の巨大ルールを増やすのではなく、既存の処理を組み合わせて理解できる追加ラスボスもあります。名詞節・間接疑問文|文を箱に入れて名詞の場所へ置く
that he is honestやwhere he livesのような節は、内部に主語+動詞を持ちながら、全体をひとつの情報として主語・目的語・補語の位置へ置きます。 関係詞が「先に置いた名詞へ説明を後から足す」のに対し、名詞節は文そのものを箱に入れて名詞として置きます。間接疑問文では、質問を直接投げずに情報の箱へ戻すため、where he livesのように主語+動詞の語順になります。使役動詞|相手をどう動かすかを選ぶ
make・have・let・getはすべて「〜させる」と訳せますが、同じ力ではありません。結果を作る、役割を渡す、自由にする、働きかけて到達させるという、相手の動かし方の違いがあります。 これは、make・have・let・getのコアイメージと、動詞の原形・to不定詞・過去分詞を組み合わせる領域です。既存の基本動詞と文法処理がつながるため、訳語の暗記よりも場面で整理できます。ラスボス英文法の個別攻略記事一覧
全体像をつかんだあと、処理が止まりやすい単元から個別記事へ進んでください。最初からすべてを順番に学び直す必要はありません。関係詞・後置修飾
- 関係代名詞とは?who・which・thatを「後から足す」感覚で理解する
- 関係代名詞と関係副詞の違い|which・whereを後ろの文の形で見分ける
- so that構文とは?目的を「後から足す」感覚で理解する
-ing・分詞構文・動名詞
to不定詞
完了形
- 英語の完了形とは?have+過去分詞を「完了状態を持つ」感覚で理解する
- 現在完了形とは?4用法と過去形との違い
- 現在完了形と現在完了進行形の違い
- 過去完了形とは?had+過去分詞を過去の基準点で理解する
- 過去完了進行形とは?had been+ingの感覚
- 未来完了形とは?will have+過去分詞の感覚
仮定法
- 英語の仮定法とは?過去形を「現実からの距離」で理解する
- 仮定法過去とは?If+過去形を今の現実との距離で理解する
- 仮定法過去完了とは?If+had+過去分詞の感覚
- 混合仮定法とは?過去から今への影響で理解する
- wishの使い方|過去形・過去完了・wouldの違い
- as if・as thoughの意味と使い方
- 仮定法の倒置とは?Had I known・Were I・Should you
- 仮定法と条件文の違い|If I amとIf I were
文を箱に入れる・人を動かす
ラスボス英文法は、すべて会話で使えなければならない?
ここまで紹介した文法を、最初からすべて自由に使う必要はありません。 会話の土台になるのは、主語と動詞、be動詞と一般動詞、現在・過去・未来、疑問文、基本的な助動詞などです。土台が不安定な状態で分詞構文や仮定法を練習しても、発話中の負担が増える場合があります。 一方、長い英語を聞いたり読んだりするときには、ラスボス文法を前から理解できることが役立ちます。自分で使う段階に達していなくても、情報がどのように足されているか分かれば、途中で骨格を見失いにくくなります。 学習順は、次のように分けるとよいでしょう。- 短い文の骨格を安定させる
- 基本動詞・前置詞・助動詞を感覚で使えるようにする
- 長い文を前から理解する
- 必要なラスボス文法を、自分の場面で少しずつ使う
文法用語を捨てるのではなく、使う順番を変える
文法用語は、あとから整理したり、講師へ質問したりするときには便利です。問題は、会話やリスニングの最中に用語を検索し続けることです。 リアルタイムでは、まず景色と関係性を処理します。- 何かが後から足された
- 動きのある場面が置かれた
- 意識が次の行為へ向かった
- 完了した状態を持っている
- 現実から距離を取った
まとめ|難しい英文法も、処理をまとめれば怖くない
関係代名詞、分詞構文、完了形、仮定法が難しく見えるのは、それぞれに大量の用法とルールがあるように教わるからです。 しかし、英語を実際に処理する視点へ戻ると、ラスボス英文法は次の5つに整理できます。- 関係詞とso that:後から情報を足す
- -ing:動きのある場面を置く
- to:到達点へ矢印を向ける
- 完了形:haveの中に完了した状態を持つ
- 仮定法:過去形で現実から距離を取る



