「英語を基礎からやり直したい。でも、中学1年生の教科書から全部やり直さないといけないのだろうか」
学生時代から英語に苦手意識がある。文法用語は忘れてしまった。簡単な英文を読めても、いざ話そうとすると言葉が出てこない。
そんなとき、「中学英語からやり直そう」と考える社会人は多いでしょう。しかし、仕事や家庭がある中で、中学3年間の教科書と問題集を最初からすべて復習するのは大変です。始める前から、その量に圧倒される人も少なくありません。
最初に結論をお伝えします。
英語を話せるようになりたい社会人は、中学英語を学年順に全部やり直す必要はありません。戻るべきなのは「中学1年生」ではなく、英語の意味を組み立てる基本の骨格です。
はじめまして。しゅみすけ(大山俊輔)です。僕は20年以上にわたり、大人の英語学習をサポートしてきました。現在は、聞ける・話せる力に特化した英語コーチング「be:RIZE」を運営しています。
この記事では、中学英語からやり直したい社会人が、どこまで戻り、何を優先して学べばよいのかを、会話につながる順番で解説します。
なぜ「中学英語からやり直す」と考えるのか
大人が英語に行き詰まったとき、中学英語へ戻ろうとする判断は間違っていません。日常会話の土台になる語順、時制、疑問文、助動詞などの多くは、中学校で学ぶ範囲に含まれています。
実際、次のような英語だけでも、かなり多くのことを伝えられます。
- I’m tired.
- I work in Tokyo.
- I went there yesterday.
- I can help you.
- Do you have time?
- I want to learn English.
どれも難しい構文ではありません。それでも、会話になると出てこないことがあります。
問題は、中学英語を一度も習っていないことではなく、テストで答える知識として保存され、会話中に使う道具になっていないことです。
そのため、昔と同じように教科書を読み、文法問題を解くだけでは、「わかるけれど話せない」状態をもう一度作る可能性があります。やり直すなら、内容だけでなく、学び方も変える必要があります。
中1から中3まで、学年順に全部復習しなくてよい
学校英語は、授業と試験の都合に合わせて学年順に整理されています。しかし、大人の学び直しは、学校の時間割を再現することが目的ではありません。
たとえば、中学1年生の最初にはbe動詞を学び、その後に一般動詞、疑問文、過去形と進みます。この順番には意味がありますが、大人はすでに英語へ触れた経験があります。完全な白紙ではありません。
「現在完了の名前は思い出せないが、I’ve been to London.は見たことがある」「三単現のsは説明できないが、He likes music.には違和感がない」という人も多いでしょう。
つまり必要なのは、全範囲の再受講ではなく、現在の穴を見つけ、会話の土台から組み直すことです。
戻る場所は「学年」ではなく「処理が止まる地点」
次の文を声に出して、自分について中身を変えられるか確認してみてください。
- I’m busy today.
- I work from home.
- I had a meeting this morning.
- I’m going to see my friend tomorrow.
- I can’t hear you clearly.
- Do you like cooking?
文を読めるかだけでなく、busyをtiredへ、work from homeをwork in Shibuyaへ、my friendをmy motherへ変えられるかがポイントです。
読めても中身を変えられないところが、今の自分が戻る地点です。
社会人が最初に戻るべき5つの土台
会話を目的に中学英語をやり直すなら、最初は次の5つを優先します。
1.「誰が、どうする」「誰が、どんな状態」の骨格
英語は、最初に主役を置き、その後に動きや状態を続けます。
- I work.
- She smiled.
- We need help.
- I’m tired.
- He is kind.
最初から五文型の名称を暗記する必要はありません。まずは、英語が「誰が」から始まり、その人や物について情報を足していく言語だと身体で理解します。
日本語の完成文を考えてから訳すのではなく、主役と中心の動詞を先に置く。これが話すための最初の土台です。
2.be動詞と一般動詞の違い
中学英語をやり直す人が混乱しやすいのが、be動詞と一般動詞です。
- I am busy.:私は忙しい状態です
- I work every day.:私は毎日働きます
be動詞は主に、状態や存在を表します。一般動詞は、動作や変化などを表します。
文法用語を正確に説明することより、「状態を置きたいのか、動きを置きたいのか」を選べることが大切です。
次のように、自分の状態と行動を交互に言ってみましょう。
- I’m hungry.
- I want lunch.
- I’m busy.
- I have a meeting.
3.現在・過去・未来の時間感覚
社会人の会話では、今日の予定、昨日の出来事、これからしたいことを話す機会が多くあります。
- I work in Tokyo.:普段のこと
- I worked late yesterday.:終わったこと
- I’m going to work from home tomorrow.:これからの予定
まずは細かな例外よりも、「いつの映像を話しているか」を意識します。
今日、昨日、明日について、それぞれ短い文を1つ作るだけでも、時制が会話の道具に変わっていきます。
4.疑問文と否定文
英会話は、自分が説明するだけでは成立しません。相手に聞く、違うと伝える、わからないと伝える力が必要です。
- Are you busy?
- Do you work here?
- Did you enjoy it?
- I’m not ready.
- I don’t know.
- I didn’t understand.
疑問文を作るときに語順が止まる人は、ここへ戻る価値があります。
ただし、問題集で書き換えるだけではなく、肯定文、否定文、疑問文を同じ場面で動かしてください。
- You have time.
- You don’t have time.
- Do you have time?
1つの骨格を3方向へ動かすと、知識が会話で使える形になります。
5.can、will、want toなどの頻出パーツ
会話では、自分の能力、意思、希望、必要性を伝える場面が多くあります。
- I can do it.
- I can’t remember.
- I’ll call you later.
- I want to try it.
- I need to leave now.
これらは一度覚えると、後ろの動詞を替えて何度も使えます。
難しい表現を増やす前に、少数の頻出パーツで自分に必要な文を作るほうが、会話への効果は大きくなります。
後回しにしてもよい中学英語はある
「中学英語を全部完璧にしてから話す練習へ進む」という考え方では、いつまでも実践を始められません。
目的が日常会話なら、最初の段階では次のような項目を完璧にする必要はありません。
- すべての文法用語の定義
- 細かな例外規則
- 長く複雑な関係代名詞の文
- 入試問題のような語句整序
- 使う場面が思い浮かばない熟語の暗記
これらが不要という意味ではありません。必要な場面が来たら学べばよいのです。
まずは、自分の状態、日常、過去の出来事、予定、希望、質問を短い英語で表せることを優先してください。
「文法を理解してから話す」ではなく、話しながら文法を確認する
大人は、全体を理解してから実践へ進みたいと考えがちです。しかし、文法書を最後まで終えるのを待つと、話す練習が数か月先になります。
おすすめは、文法と会話を往復する方法です。
- 基本の骨格を1つ理解する
- 自分について3〜5文作る
- 何も見ずに声に出す
- 言えなかったところだけ文法へ戻る
- 文を直して、もう一度使う
たとえば過去形を学んだら、問題集を50問解くだけでなく、昨日の出来事を3文で話します。
- I went to the office.
- I had two meetings.
- I came home late.
このとき、goの過去形が出なければ、そこだけ確認します。実際に言いたかった文と結びつくため、単なる正解よりも記憶に残りやすくなります。
中学英語のやり直しで、単語帳を最初から覚え直す必要はある?
語彙も、すべてをゼロから覚え直す必要はありません。
まず優先したいのは、get、have、take、make、go、come、putなどの基本動詞と、日常で自分がよく使う単語です。
たとえばhaveを「持っている」という一つの日本語訳だけで覚えると、次の英文が別々の表現に見えます。
- I have a meeting.
- I have a headache.
- I had a good time.
- I have no idea.
しかし、「自分のところに予定、症状、経験、考えがある」という共通感覚で捉えると、一つの単語を多くの場面で使えるようになります。
難しい単語を大量に増やすより、基本単語を自分の場面で繰り返し動かしてください。
中学英語を「読める」だけで終わらせない3つのチェック
やり直した範囲が使える状態になったかは、テストの点数だけでなく、次の3つで確認できます。
チェック1:中身を自分用に替えられるか
I went to the park yesterday.を読めたら、場所と時間を自分の出来事へ替えてみます。
- I went to Shibuya this morning.
- I went to a café after work.
チェック2:肯定・否定・質問へ動かせるか
- You work here.
- You don’t work here.
- Do you work here?
同じ文を変形できれば、骨格を部品として扱い始めています。
チェック3:何も見ず、場面から言えるか
最後は日本語訳や英文を隠し、実際の場面を思い浮かべて口から出します。
読むとわかるのに出てこない場合は、知識不足ではなく取り出す練習が不足しています。前の記事「英語を毎日勉強しても話せないのはなぜ?努力が会話力につながらない5つの原因」も参考にしてください。
1日30分で進める、中学英語やり直しメニュー
| 時間 | 学習内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 10分 | 基本骨格を1つ理解する | 語順と意味を確認する |
| 10分 | 自分について3〜5文作る | 教材を自分の場面へ移す |
| 5分 | 肯定・否定・質問へ変える | 骨格を動かす |
| 5分 | 何も見ずに声に出す | 場面から英語を取り出す |
一日に複数の文法項目へ進む必要はありません。1つの骨格を、自分の場面で何度も使うことを優先します。
どこまでできれば、中学英語のやり直しを卒業できる?
文法書の最終ページまで終わったときが卒業ではありません。次のことが短い英語でできれば、基礎を使いながら次の段階へ進めます。
- 自分の仕事や日常を説明できる
- 昨日あったことを3〜5文で話せる
- 予定や希望を伝えられる
- 相手へ簡単な質問を返せる
- わからない、聞こえないと言える
- 長い内容を短い文に分けられる
すべてを間違いなく言える必要はありません。使いながら不足を発見し、必要な文法へ戻れる状態になれば十分です。
英語を話せるようになるための具体的な練習については、「英語を話せるようになるには?勉強しても話せない人に必要な3つの練習」で詳しく解説しています。
まとめ:中学英語は「全部戻る場所」ではなく「使える土台を拾い直す場所」
中学英語からやり直したい社会人が、学年順に3年間分をすべて復習する必要はありません。
最初に戻るべきなのは、次の5つです。
- 「誰が、どうする」「誰が、どんな状態」の骨格
- be動詞と一般動詞の違い
- 現在・過去・未来の時間感覚
- 疑問文と否定文
- can、will、want toなどの頻出パーツ
そして、理解した英文を読むだけでなく、自分の場面へ替え、肯定・否定・質問へ動かし、何も見ずに口から出してください。
戻るべきなのは中学1年生ではなく、自分の英語処理が止まる地点です。
英語を全くできない状態から全体の学習順序を確認したい方は、「英語が全くできない社会人は何から始める?初心者向け5ステップ」もご覧ください。
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独学でどこからやり直せばよいか迷っている方は、しゅみすけの無料英語ウェビナーで、聞ける・話せる状態へ変わるための全体像を確認してみてください。



