海外赴任の前に、会社の補助でオンライン英会話を受けた。短期の英語研修やコーチングにも取り組んだ。買い物や自己紹介の練習もして、「これなら何とかなるかもしれない」と思って出発した。
ところが現地へ着くと、学校からの電話が聞き取れない。住居の不具合を説明できない。病院では質問の意味が分からず、保護者同士の会話にも入れない。レッスンでは話せていたはずなのに、生活の英語になると頭が真っ白になる。
このような「行ってみたら撃沈した」という経験は、珍しいものではありません。事前学習が無駄だったわけでも、英語の才能がないわけでもありません。準備した英語と、現地で処理しなければならない英語の間に、まだ接続されていない部分があるだけです。
この記事では、海外駐在に帯同し、英語が話せないことに困っている妻・配偶者に向けて、現地にいる今から学習を立て直す方法を解説します。
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私たちの英語コーチングには、赴任前に英会話や研修を受けたものの、海外生活が始まってから「実際の会話についていけない」と相談される方がいます。すでに学んだものを捨てる必要はありません。現地で困った場面を材料にして、知識を聞く・話す処理へつなぎ直していきます。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
赴任前に勉強したのに、現地で英語が話せないのはなぜ?
レッスンでは、何を話すか分かっていた
教材を使うレッスンでは、買い物、自己紹介、予約など、その日のテーマが先に分かっています。先生も学習者のレベルに合わせて話し、必要なら言い直してくれます。
現地の会話には台本がありません。相手が何を聞くか分からず、途中で話題が変わり、周囲の音も入ります。準備した表現を知っていることと、予測できない会話の中から瞬時に取り出すことは、別の技能です。
速さ・発音・訛りが、教材の英語と違った
実際の英語は単語同士がつながり、弱く発音される音や消える音があります。地域や話者による訛りもあります。単語を文字では知っていても、音のまとまりとして認識できなければ、会話の意味を追えません。
生活を回すだけで、頭の容量を使っている
赴任直後は、住居、買い物、子どもの学校、病院、行政手続き、人間関係など、新しい判断が連続します。英語以前に認知的な負荷が高く、知っている表現さえ出にくくなります。「日本でできたのに」と自分を責めるより、今の生活で実行できる学習量へ組み直す必要があります。
家族や日本語環境に頼れば、生活は成立してしまう
配偶者、会社の担当者、日本人コミュニティ、翻訳ツールに助けてもらうことは悪くありません。安全や正確さが必要な場面では、積極的に使うべきです。ただ、すべてを誰かに任せる状態が続くと、自分で聞き返し、言い直し、最後までやり取りする経験は増えません。

「英語ができない」を一つの問題にしない
最初に必要なのは、教材を増やすことではなく、どこで処理が止まっているかを分けることです。
- 音の認識:知っている単語なのに、相手の発音では聞き取れない
- 意味の保持:単語は聞こえるが、文の後半で前半を忘れる
- 文の組み立て:言いたいことはあるが、語順を作れない
- 取り出し:習った表現なのに、必要な瞬間に出てこない
- 対話の継続:聞き返しや確認ができず、一度止まると会話が終わる
例えば、学校からの電話が苦手でも、原因が音の認識ならリスニングの分解が必要です。要件は分かったのに返答できないなら、短い文の組み立てと取り出しが課題です。同じ「電話が苦手」でも、練習内容は変わります。
現地で困った場面を、そのまま教材に変える
駐在中の学び直しには、一般的な旅行英会話を最初から広く進めるより、その週に実際に困った場面を使う方が効率的です。
- 会話の直後に「誰と・何について・どこで止まったか」を日本語でメモする
- 本当に言いたかった内容を、一文を短くして英語にする
- 相手から返ってきそうな質問を2〜3通り用意する
- 聞き返し・確認・保留の表現もセットで練習する
- 別の相手との会話で同じ骨格を使い、再現できるか確かめる
学校への欠席連絡、住居の修理依頼、病院の予約、保護者との雑談など、一つずつ処理できる場面を増やします。重要な会話を無断で録音するのではなく、個人情報や現地の法律に配慮し、まずは会話後のメモを使いましょう。
赴任後の英語を立て直す4週間の始め方
1週目:困った場面を記録する
新しい教材は増やさず、英語で止まった場面を記録します。「病院」ではなく「電話で予約日時を聞き取れなかった」のように具体的に書きます。
2週目:最優先の一場面を分解する
頻度と重要度が高い一場面を選び、音・意味・組み立て・取り出しのどこで止まるか確認します。ここで初めて、必要な音声や文法、表現を選びます。
3週目:短い骨格でロールプレイする
長い模範回答を暗記せず、I need…、Could you…?、I’m not sure… など、別の場面にも転用できる短い骨格を繰り返します。相手の返答を変えながら、会話を続ける練習も行います。
4週目:現地で使い、修正する
実際の生活で一度使い、通じた点と言えなかった点を持ち帰ります。成功か失敗かで判断せず、次に一つ変える内容を決めます。この循環が自分で回るなら、オンライン英会話や独学だけでも続けられる可能性があります。
オンライン英会話を続けるか、コーチングを使うか
オンライン英会話そのものが悪いわけではありません。課題を自分で特定し、練習する場面を講師へ伝え、実践後に修正できるなら、有効な練習場所になります。
一方、次の状態なら、会話量を増やす前に学習設計の支援を受ける価値があります。
- 何を直せばよいか分からず、教材だけが増えている
- 単語や文法は知っているのに、聞く・話す力へつながらない
- 毎回同じ場面で止まり、復習方法も定まらない
- 時差、家事、育児を含めて実行できる計画を作れない
- 現地にいる期間という期限から、優先順位を逆算したい
詳しい判断基準は、オンライン英会話から英語コーチングへ乗り換えるべき人・不要な人も参考にしてください。
赴任前の方は、生活場面を絞った英会話から
まだ出発前で、買い物、住居、病院、学校などの基本場面を練習したい段階なら、まず英会話レッスンで具体的なロールプレイをする方法があります。海外駐在員の妻に英語力は必要?赴任前に準備したい生活英会話で、準備の優先順位をまとめています。
駐在妻の英語学習に関するよくある質問
海外に住めば、自然に英語を話せるようになりますか?
英語を使う機会は増えますが、生活するだけで会話力が自動的に伸びるとは限りません。言えなかった内容を作り直し、同じ骨格を別の場面で再使用する練習が必要です。
赴任前のオンライン英会話や研修は無駄だったのでしょうか?
無駄ではありません。覚えた表現、英語へ触れる習慣、講師と話した経験は学習資産です。現地で困った場面と接続し、使える形へ組み替えることで生かせます。
海外から日本の英語コーチングを受けられますか?
オンライン対応のサービスなら海外から受講できます。ただし、時差、面談時間、教材の利用地域、支払方法を事前に確認してください。現地生活に無理なく組み込める学習量かどうかも重要です。
まとめ|「撃沈した場面」は、立て直しの教材になる
赴任前に勉強したのに現地で話せなかったとしても、準備がすべて無駄だったわけではありません。レッスンで準備した英語と、予測できない現地の会話を処理する力の間に、まだつながっていない部分があります。
まず、困った場面を具体的に記録し、音の認識、意味の保持、文の組み立て、取り出し、対話の継続のどこで止まるかを分けます。そして、一場面を短い骨格へ戻し、練習し、現地で使い、修正します。
be:RIZEでは、海外から受講される方を含め、現在地と生活条件を確認したうえで学習を設計します。受講を前提にせず、独学やオンライン英会話で続けられる部分も含めて整理します。気になる方は、無料カウンセリングの前に知っていただきたいことをご覧ください。




