「英語をやり直したいけれど、まずTOEICを勉強したほうがよいのか。それとも、最初から英会話を始めたほうがよいのか」
社会人の英語学習では、よく出てくる迷いです。
TOEICなら目標点があり、教材も豊富で、成長を数字で確認できます。一方、実際に英語を使いたいなら、最初から話す練習をしたほうが近道に見えます。
結論から言えば、全員に共通する「こちらを先にやれば正解」という答えはありません。決める基準は、英語を使う目的・必要になる期限・現在の基礎力の三つです。
ただし、どちらか一方が終わるまで、もう一方を完全に封印する必要もありません。この記事では、TOEICと英会話のどちらを優先すべきかをケース別に整理し、両方を無理なくつなげる学習方法を紹介します。
TOEICと英会話は「競合する勉強」ではない
TOEIC学習と英会話には、共通する土台があります。
- 基本的な単語と文法
- 英語の語順で意味を捉える力
- 英語の音を認識する力
- 短時間でも学習を継続する習慣
一方で、最終的に求められる行動は違います。
TOEIC Listening & Reading Testでは、限られた時間の中で英文を読み、音声を聞き、正解を選びます。英会話では、相手の意図を理解し、自分の伝えたい内容をその場で組み立て、言葉にして返します。
したがって、TOEICの勉強だけで会話に必要な処理がすべて身につくわけではありません。しかし、TOEICで学ぶ語彙や文法が英会話で無駄になるわけでもありません。
大切なのは、「どちらが優れているか」ではなく、「今の目的に対して、どちらへ多く時間を配分するか」です。
まず確認したい3つの判断基準
1.英語を何のために使いたいのか
「英語力を上げたい」だけでは、学習の優先順位を決めにくくなります。もう一段具体的に考えてみましょう。
- 転職や昇進の条件としてスコアが必要
- 海外出張や英語会議で話す必要がある
- 外国人の同僚や顧客と仕事をしたい
- 旅行や日常の交流で会話したい
- まず基礎英語を学び直したい
スコアそのものが必要ならTOEICの比率を上げます。実際のやり取りが目的なら、初心者でも早い段階から聞く・話す練習を入れます。
2.いつまでに必要なのか
同じ目的でも、期限によって優先順位は変わります。
2か月後の社内試験で一定のスコアが必要なら、当面はTOEIC対策を中心にするのが合理的です。3か月後に海外赴任するなら、スコア対策だけでなく、自己紹介、聞き返し、会議での短い応答などをすぐに練習する必要があります。
期限がない場合は、数字だけを追い続けたり、反対にフリートークだけを続けたりせず、基礎と実践を並行させやすくなります。
3.現在、どこで止まっているのか
中学レベルの短い英文を読んでも意味が取れず、基本的な語順も曖昧なら、英会話だけへ飛び込むと毎回同じ表現で止まりやすくなります。
反対に、TOEICで高得点を取れているのに話せない場合は、さらに問題集を増やすより、知識を取り出す発話練習の比率を上げるべきです。詳しくはTOEICで高得点でも英語が話せないのはなぜ?で解説しています。
TOEICを先に優先したほうがよい人
就職・転職・昇進で目標スコアが必要な人
応募条件や社内基準にTOEICスコアが明記されているなら、期限までのスコア獲得を優先します。この場合、出題形式への慣れ、時間配分、頻出語彙など、試験に特化した対策が必要です。
ただし、試験期間中も1日5~10分だけ発話を残しておくと、試験終了後に会話へ移りやすくなります。覚えた表現を自分の仕事の一文へ変えて声に出すだけでも構いません。
客観的な目標があるほうが学習を続けやすい人
英会話の成長は、数字で見えにくいことがあります。「前より聞き返しが減った」「短い返答が早くなった」といった変化を、自分では評価しづらい人もいます。
その場合、TOEICの試験日と目標点を中間目標に置くと、学習の区切りを作れます。ただし、目標点を取ることと、最終目的を混同しないようにしましょう。
基礎語彙・文法を体系的に整理したい人
基本的な単語や文法が抜けていて、何から復習すればよいか分からない人にとって、試験教材は学習範囲を整理する枠になります。
ただし、初心者がいきなり模試を何冊も解く必要はありません。短い英文を理解し、音と結びつける基礎練習を優先します。基礎へ戻る位置は、中学英語からやり直す社会人はどこまで戻ればいい?も参考にしてください。
英会話を先に優先したほうがよい人
近いうちに仕事や生活で話す必要がある人
海外赴任、英語会議、外国人顧客への対応など、具体的な場面が迫っているなら、会話練習を後回しにはできません。
必要な場面を洗い出し、自己紹介、確認、依頼、説明、聞き返しなど、使用頻度の高い機能から練習します。難しいビジネス用語を増やす前に、短い骨格で反応できることが重要です。
TOEICを勉強してきたのに、会話だけ変わらない人
すでにある程度のスコアがあり、英文を読めば理解できるなら、知識不足より「取り出す練習」の不足を疑います。
試験学習を完全にやめなくても構いませんが、学習時間の30~50%を、独り言、短い応答、オンライン英会話などへ移します。TOEIC音声なら聞けるのに会話で崩れる人は、TOEICのリスニング問題は解けるのに英会話が聞き取れない理由も確認してください。
英語を「使えた実感」がないと続かない人
問題集だけでは目的を感じられず、勉強が止まってしまう人もいます。その場合は、最初から短い会話を入れたほうが、英語を学ぶ理由を保ちやすくなります。
ただし、準備なしのフリートークを毎回受け、何も言えずに落ち込む必要はありません。話す内容と使う表現を先に決めてから実践します。オンライン英会話で全く話せない初心者が準備すべき3つのことも役立ちます。
初心者は「基礎が完成してから英会話」と考えなくてよい
「単語と文法を完璧にして、TOEICで高得点を取ってから英会話を始めよう」と考えると、話し始める時期が何年も先になることがあります。
会話には、会話でしか慣れにくい要素があります。
- 数秒以内に反応する
- 短い文で話し始める
- 相手の反応を見て説明を足す
- 聞き取れない部分を確認する
- 間違いを含んだまま会話を続ける
これらは、知識が完成した後に自動的についてくるものではありません。
初心者こそ、基礎学習と並行して、今知っている単語と文法だけで短く話す時間を作ります。英語が全くできないと感じる場合は、英語が全くできない社会人は何から始める?で最初の順番を整理しています。
目的別|おすすめの学習配分
以下は絶対的な比率ではありませんが、最初の目安として使えます。
3か月以内に目標スコアが必要
- TOEIC対策:80%
- 聞く・話す実践:20%
試験対策を中心にしながら、学んだ表現を声に出す時間を残します。
3か月以内に英語を使う予定がある
- 基礎・TOEIC型学習:30%
- リスニング・スピーキング実践:70%
使う場面から逆算し、必要な表現と会話練習へ時間を集中します。
期限はないが、総合的に英語力を伸ばしたい
- 基礎・TOEIC型学習:50%
- リスニング・スピーキング実践:50%
基礎知識と実際に使う練習を、最初から二本柱にします。
TOEIC教材を英会話教材としても使う5つの方法
両方を学びたいからといって、教材を二倍に増やす必要はありません。
- 会話問題を解いた後、選択肢を見ずに要点を言う
- 教材中の表現を、自分の仕事や生活の一文へ変える
- 音声を聞いた後、相手への返答を一文作る
- 同じ場面を使い、自分が登場人物ならどう話すか練習する
- 翌日、教材を見ずに同じ内容をもう一度話す
試験教材を「正解するための素材」だけでなく、「自分が使うための素材」に変えれば、TOEICと英会話の学習をつなげられます。
1週間の学習例|忙しい社会人の場合
平日に1日30分、週末に60分取れる場合の一例です。
- 月・水・金:TOEIC教材20分+教材表現を声に出す10分
- 火・木:短いリスニング10分+独り言または応答練習20分
- 土曜日:一週間の復習30分+オンライン英会話などの実践30分
- 日曜日:休む、または好きな英語動画を楽しむ
毎日すべてを行う必要はありません。週単位で両方が入っていれば、目的に応じて配分を調整できます。
迷い続けるより、4週間試して配分を見直す
最初から完璧な学習計画を作ることはできません。まず4週間続け、次の点を確認します。
- TOEICの正答率や処理速度は変わったか
- 以前より短い返答が早く出るようになったか
- 教材の音声と自然な会話の差は縮まったか
- 学習量が生活に対して無理になっていないか
- 最終目的に近づいている感覚があるか
結果を見て、TOEICを70%から50%へ下げる、会話練習を週1回から週2回へ増やす、といった修正をします。計画は守るための規則ではなく、目的へ近づくための仮説です。
英検を取得したあと、知識を会話へどうつなげるか悩んでいる方は、英検に合格しても英語が話せない理由|知識を会話力に変える方法も参考にしてください。
まとめ|先に決めるのは教材ではなく、目的と期限
TOEICと英会話のどちらを先に始めるべきかは、目的・期限・現在地によって変わります。
- スコアが期限付きで必要なら、TOEICを優先する
- 実際に話す予定が迫っているなら、英会話を優先する
- 基礎が弱ければ整理しながら、短い発話も始める
- すでに高得点なら、会話へ使う練習を増やす
- 迷う場合は、両方を少量ずつ4週間試して修正する
TOEICを終えてから英会話を始める必要も、英会話を始めたら試験勉強を捨てる必要もありません。二つを同じ教材と週間計画の中でつなげることができます。
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