英単語の最初についているun-、re-、pre-、sub-などの小さなパーツを、接頭辞といいます。
接頭辞そのものが単独で使われることはほとんどありません。しかし、単語の中心となる意味に「反対」「もう一度」「前」「下」「越えて」といった方向を加えます。つまり接頭辞は、英単語の頭につく小さな矢印のようなものです。
この記事では、接頭辞をアルファベット順に羅列するのではなく、意味の働きごとに整理します。20個すべてを一度に丸暗記する必要はありません。まずは知っている単語の中に接頭辞を見つけ、意味がどう動くのかを確かめていきましょう。
語源学習全体の考え方を先に確認したい方は、英語の語源とは?大人が英単語を丸暗記せず覚える方法をご覧ください。
英語の接頭辞とは?
接頭辞とは、単語の先頭につき、中心となる意味に補足情報を加えるパーツです。「接頭語」と呼ばれることもあります。
| 単語 | 接頭辞 | 残りの部分 | 意味の組み立て |
|---|---|---|---|
| rewrite | re-(再び) | write(書く) | 再び書く → 書き直す |
| preview | pre-(前もって) | view(見る) | 前もって見る → 下見・予告編 |
| subway | sub-(下) | way(道) | 下の道 → 地下鉄 |
| transport | trans-(越えて) | port(運ぶ) | 向こうへ運ぶ → 輸送する |
英語の接頭辞・基本20選早見表
| No. | 接頭辞 | コアイメージ | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 1 | un- | 反対・取り消し | unhappy、unlock |
| 2 | in- / im- / il- / ir- | 否定、または中へ | incorrect、import |
| 3 | dis- | 離れる・反対 | disagree、disconnect |
| 4 | re- | 再び・元へ | rewrite、return |
| 5 | pre- | 前もって | preview、prepaid |
| 6 | post- | 後 | postwar、postgraduate |
| 7 | ex- | 外へ・以前の | export、ex-president |
| 8 | de- | 下へ・離す・取り除く | decrease、defrost |
| 9 | mis- | 誤って | misunderstand、misplace |
| 10 | over- | 上を越える・過剰 | overcook、overwork |
| 11 | under- | 下・不足 | underground、underestimate |
| 12 | sub- | 下・下位 | subway、submarine |
| 13 | super- | 上・超える | superhuman、superpower |
| 14 | inter- | 間・相互 | international、interact |
| 15 | intra- | 内部 | intranet、intracellular |
| 16 | trans- | 越えて・移して | transport、translate |
| 17 | con- / com- | ともに・一緒に | connect、combine |
| 18 | pro- | 前へ・支持する | progress、pro-democracy |
| 19 | anti- | 反対・対抗 | antivirus、antiwar |
| 20 | en- / em- | 中へ入れる・その状態にする | enable、empower |
否定・反対を表す接頭辞
1.un-|反対の状態・動作の取り消し
un-のコアイメージは「反対側へ」です。形容詞につくと「〜ではない」、動詞につくと「動作を元に戻す」という意味になりやすい接頭辞です。
- unhappy:happyではない → 不幸な
- unknown:知られていない → 未知の
- unlock:lockした状態を戻す → 鍵を開ける
- unpack:packした状態を戻す → 荷ほどきする
同じun-でも、unhappyは単純な否定、unlockは動作の取り消しです。「不〜」という日本語だけで固定せず、元の状態から反対側へ動く感覚で捉えましょう。
2.in-・im-・il-・ir-|否定、または中へ
否定のin-は「〜でない」を表します。後ろの音に合わせてim-、il-、ir-へ形が変わります。
- incorrect:正しくない
- impossible:可能ではない
- illegal:合法ではない
- irregular:規則的ではない
注意したいのは、in-には「中へ」という別の働きもあることです。importは「中へ+運ぶ」で輸入する、injectは「中へ+投げ入れる」で注入する、という成り立ちです。見た目だけで否定と決めず、単語全体から判断します。
3.dis-|離れる・反対方向へ
dis-の中心には「離す・別方向へ」という感覚があります。そこから、不一致・否定・除去などの意味が生まれます。
- disagree:意見が離れる → 同意しない
- disconnect:つながりを離す → 切断する
- disappear:見える状態から離れる → 消える
- dislike:好む方向と反対 → 嫌う
時間・反復を表す接頭辞
4.re-|再び・元へ戻る
re-は「もう一度」と「元へ戻る」という2つの感覚を持ちます。
- rewrite:もう一度書く → 書き直す
- reconsider:もう一度考える → 再検討する
- return:元の場所へ向く → 戻る
- recover:元の状態を取り戻す → 回復する
5.pre-|時間・位置が前
pre-は「前に」を表します。時間的に先に行う場合にも、位置や段階が前にある場合にも使われます。
- preview:前もって見る → 下見・予告編
- prepaid:前もって支払われた → 前払いの
- predict:前もって言う → 予測する
- preschool:学校の前段階 → 就学前教育
6.post-|時間・位置が後
post-はpre-と反対に「後」を表します。
- postwar:戦争の後の → 戦後の
- postgraduate:卒業後の → 大学院の
- postpone:後ろへ置く → 延期する
外・下・誤りを表す接頭辞
7.ex-|外へ・以前の
ex-の基本は「外へ」です。現代英語では、人の肩書きの前について「以前の」という意味でも使われます。
- export:外へ運ぶ → 輸出する
- exclude:外へ閉め出す → 除外する
- exhale:外へ息を出す → 息を吐く
- ex-president:以前の大統領 → 元大統領
8.de-|下へ・離す・取り除く
de-には「下へ」「離す」「取り除く」という方向があります。何かが減ったり、元の機能が外れたりするイメージです。
- decrease:下へ向かう → 減少する
- descend:下へ進む → 降りる
- defrost:霜を取り除く → 解凍する
- deactivate:働く状態を外す → 無効化する
9.mis-|間違った方向へ
mis-は「誤って・悪く」を表します。
- misunderstand:誤って理解する → 誤解する
- misplace:誤った場所へ置く → 置き忘れる
- mispronounce:誤って発音する
- mislead:誤った方向へ導く → 誤解させる
上下・程度を表す接頭辞
10.over-|上を越える・やりすぎる
over-は「上を覆う・境界を越える」という感覚から、過剰を表します。
- overcook:調理しすぎる
- overwork:働きすぎる
- overestimate:高く見積もりすぎる
- overseas:海を越えたところに → 海外へ・海外の
11.under-|下・基準に届かない
under-は「下」を表し、量や評価では「基準より不足している」という意味につながります。
- underground:地面の下の → 地下の
- underestimate:低く見積もる → 過小評価する
- underpaid:十分な額より少なく支払われた
- underdeveloped:発達が十分でない
12.sub-|下・下位の層
sub-は「下にある・下位にある」という位置関係です。
- subway:下の道 → 地下鉄
- submarine:海面の下を進むもの → 潜水艦
- subtitle:主題の下につく文字 → 字幕・副題
- subsection:大きな区分の下の区分 → 小節
13.super-|上・通常を超える
super-は「上にある・通常を超える」を表します。
- superhuman:人間を超えた → 超人的な
- superpower:通常を超えた力 → 超能力・超大国
- superstructure:基礎の上にある構造物 → 上部構造
間・内部・越境を表す接頭辞
14.inter-|複数のものの間・相互
inter-は「〜の間」を表します。複数の国・人・組織などをまたぐイメージです。
- international:国と国の間の → 国際的な
- interpersonal:人と人の間の → 対人関係の
- interact:互いの間で作用する → 交流する
- interconnect:互いにつなぐ
15.intra-|一つのものの内部
intra-は「内部」を表します。inter-との違いは、複数のものの間ではなく、一つの集団や範囲の内側である点です。
- intranet:組織内部のネットワーク
- intracellular:細胞内の
- intracompany:社内の
16.trans-|境界を越える・別の形へ移す
trans-は「こちら側から向こう側へ越える」という動きです。場所だけでなく、状態や形式が移る場合にも使われます。
- transport:向こうへ運ぶ → 輸送する
- transfer:別の場所へ運ぶ → 移す・転勤させる
- transform:別の形へ変える → 変形させる
- translate:別の言語へ移す → 翻訳する
結合・前進・対抗・変化を表す接頭辞
17.con-・com-|ともに・一緒に
con-・com-は「一緒に」を表します。後ろの音に合わせてcol-、cor-などに変化することもあります。
- connect:一緒につなぐ → 接続する
- combine:一緒にする → 結合する
- collaborate:一緒に働く → 協力する
- correspond:互いに応じる → 対応する・文通する
18.pro-|前へ・何かを支持する
pro-の基本には「前へ」という動きがあります。現代英語では、立場を表して「〜に賛成する」という意味でも使われます。
- progress:前へ進む → 進歩する
- promote:前へ動かす → 促進する・昇進させる
- pro-democracy:民主主義を支持する
19.anti-|向かい合う・反対する
anti-は「反対・対抗」を表します。
- antivirus:ウイルスに対抗するもの
- antiwar:戦争に反対する
- antibacterial:細菌に対抗する → 抗菌の
- antisocial:社会的な関わりに反する → 反社会的な
20.en-・em-|中へ入れる・その状態にする
en-・em-は、名詞や形容詞を「その状態にする」という動詞へ変えることがあります。
- enable:できる状態にする → 可能にする
- enrich:豊かな状態にする → 豊かにする
- encourage:勇気のある状態にする → 励ます
- empower:力を持つ状態にする → 権限を与える
接頭辞を覚えるときの3つの注意点
1.日本語訳を一つに固定しない
over-を常に「上」、de-を常に「下」と訳すわけではありません。物理的な方向から、過剰・除去・低下などの抽象的な意味が広がっています。訳語ではなく、中心となる方向を押さえましょう。
2.同じ形に複数の由来があることを知る
in-のように「否定」と「中へ」の両方を表すものがあります。また、接頭辞に見えても、すべての単語が現代の感覚できれいに分解できるとは限りません。無理に意味を当てはめないことも大切です。
3.接頭辞だけで単語の意味を決めない
接頭辞から分かるのは意味の方向です。単語全体の意味は、中心となる語根や現在の使われ方、文脈と合わせて判断します。接頭辞は正解を一発で当てる道具ではなく、推測の範囲を狭める手がかりです。
大人が接頭辞を定着させる覚え方
- 方向ごとにまとめる
否定、時間、上下、内外など、似た働きの接頭辞を一緒に見ます。 - 知っている単語を起点にする
re-ならrewrite、pre-ならpreviewなど、意味を知っている単語から感覚をつかみます。 - 反対の組み合わせで覚える
pre-とpost-、over-とunder-、inter-とintra-のように比べます。 - 一つの接頭辞につき3語程度から始める
大量の単語を一度に広げず、共通する方向が見える少数例から始めます。 - 最後は文脈と音へ戻す
語源を確認した後は、例文を読み上げ、実際の使われ方を経験します。
接頭辞の多くは、前置詞や副詞と同じように、位置や方向の感覚を持っています。句動詞を基本動詞+方向から理解する考え方とあわせると、英単語の内側と外側に共通する英語のイメージが見えやすくなります。
まとめ|接頭辞は単語の意味を動かす小さな矢印
接頭辞は、英単語の先頭について、否定・反復・時間・位置・方向・程度などを加えるパーツです。
20個を日本語訳として丸暗記するのではなく、un-なら反対側、re-なら再び・元へ、sub-なら下、trans-なら境界を越える、というコアイメージで捉えましょう。知らない単語に出会ったとき、意味の方向を予測する補助線になります。
覚えた英単語を、会話で使える知識へ
be:RIZEでは、英単語を日本語訳の一覧として増やすのではなく、コアイメージ・場面・音・英文の処理順を結びつけながら、大人の英語学習を組み直します。



