import、export、transport、portable。意味の違う4語に見えますが、すべての中心にはport=運ぶという共通イメージがあります。
このように、英単語の意味の中心を担うパーツを語根といいます。語根が分かると、英単語を一語ずつ孤立させず、意味の家族としてつなげられます。
ただし、語根から現代の意味を機械的に直訳できるとは限りません。長い歴史の中で意味が広がった単語もあります。語根は正解を一発で当てる公式ではなく、単語の中心にある動きや感覚を見つける補助線として使いましょう。
語源学習全体については英語の語源とは?大人が英単語を丸暗記せず覚える方法、単語の前につくパーツについては英語の接頭辞一覧・基本20選で解説しています。
英語の語根とは?
語根とは、英単語の核となる意味を持つパーツです。「語幹」とほぼ同じ意味で紹介されることもありますが、厳密には文法上の語幹と語源上の語根は必ずしも同じではありません。この記事では、英単語の成り立ちを理解するための中心パーツを語根と呼びます。
| 位置 | 役割 | transportの例 |
|---|---|---|
| 接頭辞 | 方向や位置を加える | trans-=越えて |
| 語根 | 意味の中心になる | port=運ぶ |
| 接尾辞 | 意味や品詞を整える | transportationの-ationなど |
英語の語根・基本20選早見表
| No. | 語根 | コアイメージ | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 1 | port | 運ぶ | import、portable |
| 2 | spect | 見る | inspect、spectator |
| 3 | vis / vid | 見る | visible、video |
| 4 | aud | 聞く | audio、audience |
| 5 | voc / voke | 呼ぶ・声 | vocal、invoke |
| 6 | dict | 言う | predict、dictate |
| 7 | scrib / script | 書く | describe、manuscript |
| 8 | graph | 書く・描く | autograph、graphic |
| 9 | ject | 投げる | inject、reject |
| 10 | tract | 引く | attract、extract |
| 11 | mit / miss | 送る | transmit、dismiss |
| 12 | duc / duct | 導く | introduce、conduct |
| 13 | struct | 組み立てる | construct、structure |
| 14 | fac / fect | 作る・行う | factory、effect |
| 15 | form | 形 | transform、uniform |
| 16 | press | 押す | compress、express |
| 17 | pose / posit | 置く | propose、position |
| 18 | tain / ten | 保つ・持つ | contain、retain |
| 19 | ceive / cept | 取る・受け取る | receive、accept |
| 20 | cred | 信じる | credit、credible |
感覚・伝達につながる語根
1.port|運ぶ
portは「運ぶ」が中心です。接頭辞が、どの方向へ運ぶのかを加えます。
- import:in(中へ)+port(運ぶ)→ 輸入する
- export:ex(外へ)+port(運ぶ)→ 輸出する
- transport:trans(越えて)+port(運ぶ)→ 輸送する
- portable:port(運ぶ)+able(できる)→ 持ち運べる
2.spect|見る
spectは「目を向けて見る」という感覚です。
- inspect:in(中へ)+spect(見る)→ 詳しく調べる
- respect:re(振り返って)+spect(見る)→ 重く見る・尊敬する
- prospect:pro(前へ)+spect(見る)→ 見通し・将来性
- spectator:見る人 → 観客
3.vis・vid|見る
vis・vidも「見る」を表します。spectが「目を向ける動作」なら、vis・vidは「視界に入る・見えるもの」と結びつけると整理しやすいでしょう。
- visible:見ることができる → 目に見える
- vision:見る働き・見えている像 → 視覚・展望
- video:見るもの → 映像
- revise:re(再び)+vis(見る)→ 見直す・修正する
4.aud|聞く
audは「聞く」です。音や聞き手に関する単語がつながります。
- audio:音・音声
- audible:聞くことができる → 聞こえる
- audience:聞く人々 → 聴衆・観客
- audition:聞いて確かめる → オーディション
5.voc・voke|呼ぶ・声を出す
voc・vokeには「声」「呼ぶ」という中心があります。
- vocal:声に関する → 声の・発声の
- vocabulary:言葉として呼ばれるものの集まり → 語彙
- invoke:in(中へ)+voke(呼ぶ)→ 呼び起こす
- revoke:re(戻す)+voke(呼ぶ)→ 呼び戻す・取り消す
6.dict|言う・述べる
dictは「言う・述べる」です。
- predict:pre(前もって)+dict(言う)→ 予測する
- contradict:contra(反対に)+dict(言う)→ 反論する・矛盾する
- dictate:言って書き取らせる → 口述する・命令する
- dictionary:言葉を集めたもの → 辞書
7.scrib・script|書く
scrib・scriptは「書く」を表す形違いの語根です。
- describe:de(はっきりと)+scribe(書く)→ 描写する
- prescribe:pre(前に)+scribe(書く)→ 処方する・規定する
- manuscript:manu(手)+script(書かれたもの)→ 原稿
- transcript:trans(移して)+script(書く)→ 書き起こし
8.graph|書く・描く
graphは「書く・描く」です。文字だけでなく、線や記録にも広がります。
- autograph:auto(自分で)+graph(書く)→ 直筆の署名
- biography:bio(生命)+graph(書く)→ 伝記
- graphic:描かれたものに関する → 図表の・視覚的な
- paragraph:まとまりとして書かれたもの → 段落
動き・移動につながる語根
9.ject|投げる
jectは「投げる」です。接頭辞によって投げる方向が変わります。
- inject:in(中へ)+ject(投げる)→ 注入する
- reject:re(後ろへ)+ject(投げる)→ 拒絶する
- project:pro(前へ)+ject(投げる)→ 投影する・計画する
- eject:e(外へ)+ject(投げる)→ 外へ排出する
10.tract|引く・引っ張る
tractは「引く・引っ張る」です。
- attract:ad(〜へ)+tract(引く)→ 引きつける
- distract:dis(離れて)+tract(引く)→ 注意をそらす
- extract:ex(外へ)+tract(引く)→ 抽出する
- contract:con(ともに)+tract(引く)→ 縮める・契約する
11.mit・miss|送る
mit・missは「送る・行かせる」を表す形違いです。
- transmit:trans(越えて)+mit(送る)→ 送信する
- submit:sub(下へ)+mit(送る)→ 提出する・従う
- permit:per(通して)+mit(行かせる)→ 許可する
- dismiss:dis(離して)+miss(送る)→ 解散させる・退ける
12.duc・duct|導く
duc・ductは「導く・連れていく」です。
- introduce:intro(内側へ)+duce(導く)→ 紹介する・導入する
- conduct:con(ともに)+duct(導く)→ 案内する・実施する
- produce:pro(前へ)+duce(導く)→ 生み出す
- reduce:re(後ろへ)+duce(導く)→ 減らす
形・状態を作る語根
13.struct|組み立てる・築く
structは、部品を積み上げて「組み立てる・築く」というイメージです。
- construct:con(ともに)+struct(築く)→ 建設する
- structure:組み立てられたもの → 構造
- instruct:in(中へ)+struct(組み立てる)→ 教える・指示する
- destruction:de(崩して)+struct(築く)→ 破壊
14.fac・fect|作る・行う
fac・fectは「作る・行う」です。単語の中で形が変化しています。
- factory:作る場所 → 工場
- manufacture:manu(手)+facture(作る)→ 製造する
- effect:e(外へ)+fect(作る)→ 生じた結果・効果
- perfect:per(完全に)+fect(作られた)→ 完全な
15.form|形
formは「形・形作る」です。
- transform:trans(別の側へ)+form(形)→ 変形させる
- reform:re(再び)+form(形作る)→ 改革する
- uniform:uni(一つ)+form(形)→ 同じ形・制服
- formation:形作ること → 形成
16.press|押す
pressは「押す・圧力をかける」です。
- compress:com(ともに)+press(押す)→ 圧縮する
- depress:de(下へ)+press(押す)→ 気分を落ち込ませる
- express:ex(外へ)+press(押し出す)→ 表現する
- pressure:押す力 → 圧力
17.pose・posit|置く
pose・positは「置く」が中心です。接頭辞が、どこに・どのように置くかを示します。
- propose:pro(前へ)+pose(置く)→ 提案する
- compose:com(ともに)+pose(置く)→ 構成する
- expose:ex(外へ)+pose(置く)→ さらす・明らかにする
- position:置かれた場所 → 位置・立場
18.tain・ten|保つ・持つ
tain・tenは「手元に持つ・保つ」という感覚です。
- contain:con(ともに)+tain(持つ)→ 中に含む
- retain:re(後ろに)+tain(保つ)→ 保持する
- maintain:手に持ち続ける → 維持する
- sustain:下から支えて保つ → 持続させる
受け取り・信頼につながる語根
19.ceive・cept|取る・受け取る
ceive・ceptは「取る・受け取る」に由来する形です。
- receive:re(こちらへ)+ceive(受け取る)→ 受け取る
- perceive:per(通して)+ceive(取る)→ 知覚する
- accept:ac(〜へ)+cept(取る)→ 受け入れる
- intercept:inter(間で)+cept(取る)→ 途中で捕らえる
20.cred|信じる
credは「信じる・信頼する」です。
- credit:信頼されていること → 信用・単位・掛け
- credible:信じることができる → 信頼できる
- credential:信頼を証明するもの → 資格・経歴
- incredible:in(否定)+credible(信じられる)→ 信じられない
語根一覧を丸暗記しない覚え方
- 知っている代表語を一つ決める
portならtransport、spectならspectatorなど、すでに意味を知っている語を入口にします。 - 語根を動きや場面にする
ject=「投」ではなく、何かをポンと投げる場面として持ちます。 - 接頭辞で方向を変える
injectは中へ、rejectは後ろへ、ejectは外へ、と同じ動きの向きを変えます。 - 一つの語根につき3〜4語で止める
最初から派生語を大量に増やさず、共通イメージが見える範囲に絞ります。 - 最後は辞書と文脈で確認する
語根は意味の出発点です。現在の意味、使われる場面、発音を例文の中で確認します。
語根から意味を推測するときの注意点
- 現代の意味と語源的な直訳は一致しないことがある
語根のイメージは成り立ちを理解する手がかりであり、そのまま日本語訳になるとは限りません。 - 見た目が似ていても同じ語根とは限らない
アルファベットが一致するだけで、語源的には別の言葉である場合があります。 - 音や形が変化することがある
scribとscript、mitとmiss、ducとductのように、同じ系統でも単語の中で形が変わります。 - 会話で使うには別の練習が必要
語源を説明できることと、瞬時に話せることは別です。場面・音・語の組み合わせまで経験しましょう。
これは英会話で重要なコア単語をイメージで学ぶ方法と共通します。日本語訳を増やすのではなく、中心となる感覚から意味の広がりを整理することが大切です。
まとめ|語根を中心に英単語を家族としてつなげる
語根は、英単語の意味の中心となるパーツです。port=運ぶ、spect=見る、ject=投げる、tract=引くという核を持っておくと、接頭辞が変わっても単語同士のつながりを見つけやすくなります。
基本20選を新しい暗記リストにする必要はありません。まずは知っている単語を分解し、同じ語根を持つ2〜3語と結びつけてください。点だった英単語が、少しずつ意味のネットワークへ変わっていきます。
理解した英単語を、会話で使える英語へ
be:RIZEでは、英単語や文法を丸暗記するのではなく、コアイメージ・場面・音・英文の処理順を結びつけながら、大人の英語学習を組み直します。



