giveと聞くと、多くの方が最初に思い浮かべるのは「与える」「あげる」だと思います。
I gave her a present.
私は彼女にプレゼントをあげました。
これはもちろん正解です。でも、英会話ではgiveの後ろに、モノとは言いにくい言葉が次々に登場します。
- give me advice:助言する
- give it a try:試してみる
- give me a call:電話する
- give permission:許可する
- give up:諦める
電話を「あげる」わけでも、試みを「与える」わけでもありません。日本語訳を一つずつ増やしていくと、giveはすぐに意味一覧だらけになります。
でも、頭の中の絵は一つです。
giveのコアイメージは、「自分の中・自分の領域から何かを取り出して、相手や外側へ渡す」です。
giveのコアイメージは「自分の中から取り出して、相手へ渡す」
giveでは、何かが自分側から外へ動きます。モノでも、情報でも、時間でも、許可でも構いません。

I gave him a book.
私は彼に本をあげました。
自分の手元にあった本が、相手の手元へ移ります。これが最も分かりやすいgiveです。
She gave me some useful advice.
彼女は私に役立つ助言をくれました。
今度はモノではなく、彼女の中にあった知識・考えが、言葉になって僕のところへ届きます。
Can you give me a minute?
少し時間をもらえますか。
相手が持っている時間の一部を、自分のために差し出してもらうイメージです。
日本語では「あげる」「くれる」「教える」「時間を取る」と訳が変わっても、英語側では同じ矢印が動いています。
give+人+モノは「相手の手元へ届ける」語順
giveの代表的な形は、give+人+モノ・情報です。
Give me the key.
その鍵を渡してください。
He gave his daughter a chance.
彼は娘に機会を与えました。
Could you give us an example?
例を一つ挙げてもらえますか。
人が先に来るのは偶然ではありません。giveは、受け手の領域へ何かを送り込む動詞です。まず「誰のところへ」、次に「何が動くか」を置きます。
同じ内容はgive+モノ+to+人でも表せます。
I gave the report to my manager.
私は上司に報告書を渡しました。
こちらはreportに少し焦点を当てたり、受け手を後から明示したりする形です。
- give my manager the report:上司を受け手として先に置く
- give the report to my manager:報告書を先に置き、行き先をtoで示す
give advice・information・feedbackは「自分の中の情報を渡す」
giveが日常や仕事でよく渡すものは、物体だけではありません。
Could you give me some advice?
アドバイスをもらえますか。
My coach gave me helpful feedback.
コーチは役立つフィードバックをくれました。
Let me give you an update.
最新状況を共有させてください。
Can you give me more information?
もう少し情報をもらえますか。
話し手の頭の中や手元にある情報を取り出し、受け手の認識の中へ移しています。
ここはtellとも似ています。tellは「情報を相手の認識へ届ける」という伝達行為を見ます。一方、giveは情報を一つの資源として、自分側から相手側へ渡す矢印を見ています。
give a chance・permission・timeは「相手が使える領域を渡す」
Please give me another chance.
もう一度チャンスをください。
chanceは手で触れませんが、「もう一度行動できる余地」を相手が自分へ差し出します。
They gave us permission to use the room.
彼らは私たちに部屋を使う許可をくれました。
permissionも、相手が管理している領域の一部をこちらへ開く感覚です。
I’ll give you more time.
もう少し時間をあげます。
期限を管理する側が、自分の持ち時間から一部を相手のために差し出しています。
Give me a second.
ちょっと待ってください。
直訳すると「私に1秒ください」。日本語では「待って」になりますが、giveの矢印は消えていません。
give me a call・give it a tryは「行為をひとまとまりで渡す」
英語では、動作を名詞にしてgiveと組み合わせることがよくあります。
Give me a call when you arrive.
着いたら電話してください。
callという一回分の行為を、こちらへ届ける感覚です。
Give it a try.
試してみて。
自分の中から「一回やってみる力」を取り出し、itへ向けます。日本語訳は命令のように見えますが、give自体は行為を差し出す矢印です。
Let me give it a shot.
僕にやらせてください。
She gave me a smile.
彼女は私に微笑みかけました。
He gave me a nod.
彼は僕にうなずきました。
笑顔やうなずきも、自分の中から表情・反応を取り出して相手へ送っています。
give a speech・give a presentationは「人前へ内容を差し出す」
She gave a speech at the ceremony.
彼女は式典でスピーチをしました。
I have to give a presentation tomorrow.
明日プレゼンをしなければなりません。
speechやpresentationは、準備した内容を自分の中・手元から取り出し、聴衆へ差し出すものです。
日本語では「する」と訳すためdoやspeakを使いたくなりますが、英語ではプレゼンというまとまりを相手へ届ける視点からgiveが自然になります。
give someone a handは「自分の力を相手へ渡す」
Can you give me a hand?
手を貸してもらえますか。
もちろん、手そのものを切り離して渡すわけではありません(笑)。自分の手・能力・労力を、相手が使えるように差し出す表現です。
Let’s give her our full support.
彼女を全力で支えましょう。
He gave his life to helping others.
彼は人助けに人生を捧げました。
giveが渡せるものは、少しの手助けから人生そのものまで広がります。
give me a breakは場面によって意味が変わる
Could you give me a break?
少し休ませてもらえますか。
仕事や負担を管理している相手から、休める時間・余地を渡してもらう表現です。
一方、強い口調のGive me a break!は、「いい加減にして」「勘弁してよ」という意味になります。
こちらも、自分に息をつく余地をくれ、これ以上負担を持ち込まないでくれ、というイメージです。訳語だけ見ると別物ですが、giveの矢印からは離れていません。
give upは「自分の中から外へ手放し切る」
Don’t give up.
諦めないで。
give upでは、目標・努力・権利など、自分の中で保っていたものを外へ出して手放します。upには「完全に」「やり切る」という感覚が加わり、もう自分の領域で支え続けない状態になります。
He gave up smoking.
彼は喫煙をやめました。
I won’t give up on my dream.
夢を諦めません。
夢を自分の領域から追い出さず、持ち続けるという宣言です。
give inは「抵抗を差し出して降参する」
Finally, he gave in.
ついに彼は折れました。
Don’t give in to pressure.
圧力に屈しないでください。
give inでは、外からの圧力に対して保っていた抵抗を手放し、相手側へ主導権を渡します。「屈する」という訳を丸暗記するより、何をgiveしてしまったのかを見ると分かりやすいでしょう。
give away・give back・give outも矢印でつながる
give away:自分の領域から離してしまう
She gave away her old clothes.
彼女は古い服を譲りました。
His face gave away the truth.
彼の表情から真実がばれました。
隠していた情報まで、自分の領域から外へ漏れ出しています。
give back:元の相手・場所へ返す
Please give me back my book.
本を返してください。
外向きのgiveに、元の場所へ戻るbackが加わります。
give out:外へ配る・中身が尽きる
They gave out free samples.
彼らは無料サンプルを配りました。
My legs gave out.
足に力が入らなくなりました。
外へ出し続けた結果、中の力が尽きるところまでイメージできます。
giveとtakeは矢印が反対
giveを理解するうえで、反対向きのtakeを並べると一気に分かりやすくなります。
- give:自分側から外・相手側へ渡す
- take:自分の意思で選び、自分側へ取り込む
I gave her the book.
僕の側から彼女の側へ本が動きます。
She took the book.
彼女が本を選び、自分の側へ取り込みます。
同じ一冊の本でも、どちら側の意思と矢印を見るかで動詞が変わります。takeについては、takeのコアイメージは「自分の意思で選び、自分側へ取り込む」で詳しく解説しています。
動画でgiveのコアイメージを確認する
しゅみすけの基本動詞Top55では、giveを「自分の中から取り出す」というイラストで解説しています。
長尺動画なので、気になる基本動詞へ何度も戻って、イラストと一緒に復習する使い方がおすすめです。
giveを身につける3分トレーニング
今日、自分が誰かに渡したものを3種類考えてみてください。
- モノ:I gave my colleague a document.
- 情報:I gave her some feedback.
- 時間・行為:I gave him a few minutes. / I gave her a call.
日本語を英訳するのではなく、自分の領域から何が外へ動いたかを先に思い浮かべます。この練習をすると、giveが「あげる」以外の場面でも出やすくなります。
まとめ:giveは自分の領域から外へ向かう矢印
giveのコアイメージは、「自分の中・領域から何かを取り出して、相手や外側へ渡す」です。
- モノを渡す:give a present
- 情報を渡す:give advice / feedback
- 余地を渡す:give a chance / permission / time
- 行為を渡す:give me a call / give it a try
- 力を渡す:give me a hand / give support
- 手放す:give up / give in / give away
英会話では、単語の日本語訳を何個知っているかより、矢印がどちらへ動いているかをつかむほうが応用できます。
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モノ・人・話題を会話の中心へ運ぶ感覚は、bringのコアイメージで詳しく解説しています。bringが加わると、give・bring・takeの矢印がさらに立体的に見えてきます。
give・bring・takeを一枚の矢印で見比べたい方は、give・bring・takeの違いをご覧ください。



