「tell=言う」と覚えていると、sayとの違いがいつまでも曖昧なままになりがちです。
たとえば、なぜ Tell me the truth. は自然なのに、Say me the truth. は不自然なのか。なぜ I can tell. が「私は言える」ではなく「私には分かる」になるのか。
これ、tellの日本語訳を増やしても、あまりスッキリしません。大事なのは、tellがどんな景色を持っている動詞なのかです。
先に結論を言うと、tellのコアイメージは、「人へ情報を届け、相手の認識に入れる」です。
「言う」は口から言葉を出すところに目が向きます。一方、tellが見ているのは、その情報が誰かに届き、その人が分かる状態になるところ。ここをつかむと、tell me、tell the truth、tell someone to do、I can tell、Time will tellまで、一本につながります。
tellのコアイメージは「人へ情報を届け、分からせる」
tellは、単に声を出す動詞ではありません。話し手の持っている情報を受け手まで運び、受け手の頭の中に入れる動詞です。

イメージとしては、情報の入った荷物を相手に手渡す感じです。
tell → 情報を届ける → 相手が知る・分かる
だからtellのすぐ後ろには、情報の受取人である「人」がよく来ます。
Tell me.
私に教えて。
She told us the news.
彼女は私たちにその知らせを伝えた。
I told him that I was busy.
私は彼に、忙しいと伝えた。
me、us、himはいずれも「情報が届く相手」です。tellを見たら、まず「誰に?」と考える。この癖をつけるだけで、英文の組み立てがかなり安定します。
tell+人+内容:誰に何を伝えたのか
tellの基本形は、tell+人+内容です。
Tell me your name.
あなたの名前を教えて。
Can you tell me the way to the station?
駅までの道を教えてくれますか。
He told me the answer.
彼は私に答えを教えてくれた。
学校文法では「第4文型」と呼ばれる形ですが、名前を覚えるより、人に情報を手渡す絵を持つほうが使いやすいです。
内容が文になる場合は、thatを使います。
She told me that she was leaving.
彼女は私に、もう帰ると伝えた。
会話ではthatが省略され、She told me she was leaving. となることもよくあります。thatが見えなくても、「meに“she was leaving”という情報が届いた」と捉えれば、構造を見失いません。
tell someone thatとtell someone to doの違い
tellの後ろにthat節が来る形と、to doが来る形。この2つはよく混同されます。
I told him that the door was open.
私は彼に、そのドアが開いていると伝えた。
I told him to open the door.
私は彼に、そのドアを開けるように言った。
tell+人+that…で届けるのは「情報」です。一方、tell+人+to doで届けるのは「指示」です。
ただし、コアイメージは同じです。指示も、相手に届けて終わりではなく、相手を行動へ向かわせる情報だと考えればいい。
My coach told me to slow down.
コーチは私に、ゆっくり話すように言った。
Tell her not to worry.
彼女に心配しないよう伝えて。
否定の指示はtell+人+not to doです。日本語の語順に引っ張られて、notの場所を迷いやすいので、このまとまりで覚えておくと便利です。
tell the truth・tell a storyは「情報のまとまり」を届ける
tellの後ろには、ある種の「情報パッケージ」がよく来ます。
- tell the truth:真実を話す
- tell a lie:うそをつく
- tell a story:物語を話す
- tell a joke:冗談を言う
- tell a secret:秘密を話す
Tell me the truth.
本当のことを言って。
My grandfather used to tell us stories.
祖父はよく私たちに物語を聞かせてくれた。
storyには出来事の流れがあり、truthやsecretには相手がまだ知らない中身があります。それを相手の認識へ届けるからtellが合います。
tell aboutも同じ発想です。
Tell me about your trip.
旅行のことを聞かせて。
about以下は、話してほしい情報のテーマです。「あなたの旅行についての情報を私に届けて」という形になっています。
I can tell. が「私には分かる」になる理由
I can tell. を「私は言うことができる」と訳すと、しっくりきません。ここでのtellは、目の前の表情、声、状況などが、こちらに情報を届けてくれている感覚です。
I can tell you’re tired.
疲れているのが分かるよ。
I could tell something was wrong.
何かがおかしいと分かった。
相手が直接「疲れています」と言わなくても、表情や声が手がかりになります。その手がかりから情報を受け取り、見抜ける。だからcan tell=判断できる、見分けられるになるんです。
Can you tell?
分かる?/見分けられる?
これも「言える?」ではなく、文脈によって「違いが分かる?」「気づいた?」という意味になります。
tell the difference・tell apart・tell fromも同じ
「見分ける」を表すtellも、別の意味を丸暗記する必要はありません。
I can’t tell the difference.
違いが分からない。
Can you tell the twins apart?
その双子を見分けられる?
It’s hard to tell real leather from fake leather.
本革と合皮を見分けるのは難しい。
違いという情報が自分に届き、認識できるかどうか。それを表しているのがtellです。
- tell the difference:違いを認識する
- tell A and B apart:AとBを別々のものとして見分ける
- tell A from B:AをBと区別する
形は違っても、「情報を受け取って分かる」という芯は変わりません。
Time will tell. は「時間が答えを明らかにする」
Time will tell. は会話でもよく使われる表現です。
直訳すると「時間が伝える」。つまり、今は分からない答えを、時間の経過がこちらへ届けてくれるということです。
Will this plan work? Time will tell.
この計画はうまくいくのか。いずれ分かるよ。
自然な日本語なら「時間がたてば分かる」「結果を見れば分かる」です。
Only time will tell.
それは時間がたたないと分からない。
主語が人でなくtimeでも、「隠れている情報を明らかにし、こちらに届ける」というtellらしさは残っています。
tell on someoneは「悪事をしかるべき人に伝える」
tell on someone は、誰かの悪事やルール違反を先生、親、上司などに告げ口する表現です。
I’m going to tell on you.
先生に言いつけるからね。
onは「その人に関する不利な情報」という感覚。日本語の「言いつける」に近く、少し子どもっぽい場面でもよく使われます。
tellとteachの違い:情報を渡すか、できる状態まで育てるか
「教える」と訳せるため、tellとteachも迷いやすい組み合わせです。
tellは、情報を相手に渡すことです。
Tell me your phone number.
電話番号を教えて。
teachは、知識や技能を身につけられるように教えることです。
She taught me how to swim.
彼女は私に泳ぎ方を教えてくれた。
電話番号や答えは、一度情報を渡せば成立します。一方、泳ぎ方や英語は、説明、練習、修正を重ね、相手ができる状態へ近づけていくものです。
情報を届けるならtell。学べる・できる状態へ育てるならteach。 この区別が分かりやすいでしょう。
sayとtellの違いは「言葉」か「受け手」か
sayとtellは、どちらも日本語では「言う」になりやすい動詞です。ただ、英語が注目している場所が違います。
- say:どんな言葉・内容が口から出たか
- tell:誰に情報を届け、分からせたか
She said, “I’m busy.”
彼女は「忙しい」と言った。
She told me that she was busy.
彼女は私に、忙しいと伝えた。
sayは発せられた内容が主役。tellは受け手であるmeまで含めた情報伝達が主役です。
そのため、sayで相手を示すならsay something to someone、tellならtell someone somethingとなります。
Say it to me.
それを私に言って。
Tell me the answer.
答えを教えて。
sayの感覚を先に整理したい人は、sayのコアイメージは「言葉を口から出す」もあわせて読んでみてください。
動画でsay・tell・speak・talkの違いを確認
say、tell、speak、talkの違いは、動画では次のように整理しています。
- say:言葉そのもの
- tell:情報を相手に伝える
- speak:声を出して話す、言語を話す
- talk:相手との双方向の会話
実際の会話でtellがどう聞こえるかも確認したい人は、「I was wondering if you could tell me…」を扱ったショート動画がおすすめです。少し長めに、英語を聞くときの頭の動きまで追いたい人は、長尺動画「英語が聞こえる人、頭の中こうなってます」もどうぞ。
3分でできるtellの練習
最後に、訳を覚えるのではなく、tellの感覚を自分で使う練習をしてみましょう。
1.「誰に?」を足す
次の情報を、誰かへ届ける英文にします。
- the truth → Tell me the truth.
- the answer → Can you tell me the answer?
- I’m busy → I told her that I was busy.
2.情報か指示かを選ぶ
事実を伝えるならthat、相手に行動してほしいならto doです。
- 「彼に会議は10時だと伝えた」
I told him that the meeting was at ten. - 「彼に10時に来るよう伝えた」
I told him to come at ten.
3.目の前の手がかりからI can tellを使う
相手の表情、声、天気などを見て、分かることを言います。
I can tell you’re nervous.
I can tell it’s going to rain.
「tell=言う」と日本語へ変換するより、情報が誰かの認識へ届く瞬間を浮かべてください。数日繰り返すと、tellの後ろに人を置く感覚も自然になってきます。
まとめ:tellは「相手が分かるところ」まで見る
tellのコアイメージは、「人へ情報を届け、相手の認識に入れる」です。
- tell me:私に情報を届ける
- tell someone that:人に事実・内容を伝える
- tell someone to do:人に指示を届け、行動を促す
- tell the truth/a story:情報のまとまりを伝える
- I can tell:手がかりから情報を受け取り、分かる
- Time will tell:時間が答えを明らかにする
日本語訳が変わって見えても、tellの視線はずっと「情報が届き、分かる」にあります。
こうしたコアイメージは、知識として読んだだけでも役に立ちます。ただ、会話中に反射的に使えるようにするには、自分の間違い方や詰まり方に合わせて練習することが大切です。
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声を出して言語を話す感覚は、speakのコアイメージで詳しく解説しています。さらに、相手と言葉を交わす感覚はtalkのコアイメージで確認できます。4語を同じ場面で比較したsay・tell・speak・talkの違いまとめもあわせてご覧ください。



