「いつか海外で働いてみたい。でも、英語が話せない自分には無理だと思う」
「海外求人を見ても、応募条件の英語を読んだだけで諦めてしまう」
「TOEICの勉強はしているけれど、英語面接や現地で働く姿を想像できない」
海外で働くことに興味があっても、英語への不安から動けない人は少なくありません。求人を探す前に「まず英語を完璧にしなければ」と考え、何年も準備だけが続いてしまうこともあります。
先に結論をお伝えすると、英語が流暢になってからでなければ海外で働く準備を始められないわけではありません。一方で、「英語ができなくても何とかなる」と楽観するだけでも不十分です。
必要なのは、海外でどんな仕事をしたいのかを具体化し、その仕事の選考と実務で使う英語から逆算することです。キャリアの準備と英語学習を別々にせず、同時に進めます。
この記事では、海外で働きたいのに英語が話せない社会人が、今の地点から何を準備すればよいのかを5つのステップで解説します。英語力だけで夢を諦める前に、まず自分に必要な条件を整理してみましょう。
「英語が話せる」だけでは海外就職は決まらない
海外で働くために英語は重要です。ただし、企業が採用する理由は英語力だけではありません。英語は仕事を進めるための手段であり、その英語を使って何ができるかも同時に見られます。
たとえば、次の要素が組み合わさって評価されます。
- これまでの職務経験や専門性
- 応募先で解決できる課題
- チームで働くためのコミュニケーション力
- 新しい環境への適応力
- 選考や実務を進められる英語力
- 就労資格など、採用側が確認すべき条件
英語が流暢でも、応募する仕事との接点を説明できなければ採用にはつながりにくいでしょう。反対に、豊富な経験があっても、それを英語で伝えられなければ相手に届きません。
だからこそ、「英語を完成させてからキャリアを考える」のではなく、売りたい経験を整理し、それを伝えるための英語を作るという順番が現実的です。
最初に決めたいのは「海外」のどこで、どう働くか
「海外で働きたい」という希望は、まだ広すぎます。国や都市を一つに決める必要はありませんが、少なくとも働き方の候補を分けて考えましょう。
- 日本企業からの海外赴任や社内異動
- 海外の現地企業への転職
- 日本にいながら海外チームと働く
- 外資系企業の日本法人で国際業務を経験する
- 留学や研修を経て、現地での就職を目指す
- フリーランスや業務委託で海外案件に関わる
選ぶルートによって、必要な準備は異なります。社内異動なら、社内評価や上司への意思表示が重要になるかもしれません。現地企業への転職なら、英文履歴書、面接、専門経験、就労資格など複数の条件を確認する必要があります。
就労資格やビザの条件は、国・制度・職種・時期によって変わります。一般的な記事だけで判断せず、候補国の政府機関、勤務先、必要に応じて専門家の最新情報を確認してください。
まだ国が決まっていない人は、「どこで」より先に「どの職種で、誰と、どんな価値を提供したいか」を考えても構いません。
海外で働きたい人が準備する5ステップ
ステップ1.海外で生かせる自分の経験を棚卸しする
最初に英語教材を開くのではなく、これまでの仕事を振り返ります。
- どの業界で何年働いてきたか
- 担当してきた業務や役割は何か
- どのような問題を解決したか
- 数字で説明できる成果はあるか
- 他の人より詳しい分野や得意な作業は何か
- 海外でも再現できそうな経験は何か
「英語が話せない」という不安が強いと、自分の職務経験まで小さく見えてしまいます。しかし、採用側へ伝える材料は、英語学習歴だけではありません。
営業、顧客対応、プロジェクト管理、技術、経理、マーケティング、教育、店舗運営など、日本で積み上げた経験を、相手の課題と結びつけて説明できるかが重要です。
まず日本語で構いません。「私は何をしてきた人なのか」「次の職場で何を提供できるのか」を3〜5項目にまとめましょう。
ステップ2.候補となる求人を見て、必要条件を集める
応募できる英語力になってから求人を見るのではなく、早い段階で実際の求人を確認します。目的は、すぐ応募することではなく、必要条件を知ることです。
複数の求人から、次の項目を拾います。
- 共通して求められる職務経験
- 必要な資格や技術
- 英語で行う業務
- 面接や選考の形式
- 勤務場所や働き方
- 就労資格やスポンサーに関する記載
求人に「高いコミュニケーション能力」と書かれていても、実際に何をするのかを見ます。顧客へのプレゼンが中心なのか、社内チャットが中心なのか、資料を読むことが多いのかで、求められる英語は違います。
10件ほど見ると、共通項と不足項目が見え始めます。求人票は、自分を落とすための採点表ではなく、準備内容を具体化する資料として使いましょう。
ステップ3.選考英語と実務英語を分けて準備する
海外で働くための英語は、大きく「採用されるまで」と「働き始めてから」に分けられます。
選考で必要になりやすい英語
- 自己紹介と職歴の説明
- 応募理由と転職理由
- 過去の成果や問題解決の説明
- 得意・不得意や働き方についての回答
- 応募先への質問
実務で必要になりやすい英語
- 会議で話を聞き、確認する
- 進捗や問題を短く報告する
- メールやチャットで依頼・共有する
- 分からないことを質問する
- 同僚と認識や期限を合わせる
英語面接の回答を丸暗記するだけでは、入社後の会話には対応しにくくなります。反対に、日常英会話だけを続けても、自分の職務経験を論理的に説明できるとは限りません。
「応募に使う英語」と「働くための英語」を並行して準備しましょう。仕事で英語が必要になった人の基本設計は、仕事で英語が必要になった社会人は何から始めるかでも詳しく解説しています。
ステップ4.短い自己紹介と職務エピソードを声に出す
海外就職を考えるなら、まず自分について話せる英語を作ります。難しい単語を使う必要はありません。
最初は次の3つで十分です。
- 現在または直近の仕事を30秒で説明する
- 得意な仕事と実績を1分で説明する
- なぜ次の仕事を希望するのかを30秒で説明する
一文を短くし、「私は何を担当した」「何が問題だった」「何をした」「結果はどうなった」の順に並べます。日本語の長い説明をそのまま英訳すると、覚えにくく、途中で止まりやすくなります。
原稿を作ったら、見ずに話す、録音して聞く、質問を一つ追加する、という順で負荷を上げます。完璧に暗記するよりも、単語が変わっても同じ骨格で話せる状態を目指します。
英語を話そうとすると頭が止まる人は、英語を話すと頭が真っ白になる原因と対処法も参考にしてください。
ステップ5.小さな「国際業務」を今の環境で作る
海外へ移るまで英語を使う機会がない、と考える必要はありません。現在の仕事や生活の中でも、準備に近い経験を作れる場合があります。
- 海外拠点との会議に同席できないか相談する
- 英語資料や海外事例の調査を担当する
- 外国人顧客への対応を一部手伝う
- 社内の国際プロジェクトへ手を挙げる
- オンライン英会話で仕事の説明や面接練習をする
- 英語を使う勉強会や職種コミュニティへ参加する
こうした小さな経験は、英語練習になるだけでなく、「自分は国際環境の何に困るのか」を知る機会になります。会議の速さなのか、質問への対応なのか、専門用語なのか。実際の課題が分かれば、学習も具体的になります。

英語はどのレベルまで必要?答えは職種と場面で変わる
「海外で働くにはTOEIC何点必要ですか」「どれくらい話せれば応募できますか」と気になる人も多いでしょう。しかし、すべての仕事に共通する一つの基準はありません。
たとえば、顧客との交渉やプレゼンが中心の職種では、高い即応力や説明力が求められやすくなります。一方、専門技術を中心に働き、やり取りの範囲が比較的明確な職種では、まず必要業務を進められる英語から始められることもあります。
確認したいのは、次の4点です。
- 誰と英語を使うのか
- 話す・聞く・読む・書くのどれが多いか
- 即答が必要か、準備時間を取れるか
- 専門性と英語力がどのような割合で評価されるか
資格スコアを求める企業や制度もあるため、必要条件は個別に確認します。ただし、スコアを持っていることと、面接や会議で使えることは別です。TOEICで高得点でも英語が話せない理由を理解し、知識を取り出す練習も行いましょう。
「英語が話せないから応募できない」と感じる3つの原因
1.流暢さを応募資格だと思っている
海外で働く人が、全員ネイティブのように話すわけではありません。国際チームでは、さまざまな母語を持つ人が英語を共通語として使っています。
大切なのは、分からないときに確認し、誤解を放置せず、必要な情報を相手に届けることです。発音や文法の正確さは重要ですが、完璧でなければ一切働けないというものではありません。
2.英語の問題とキャリアの問題が混ざっている
「英語ができないから無理」と思っていても、実際には希望職種が曖昧、実績を説明できない、候補国の条件を調べていない、といった別の問題が隠れていることがあります。
英語力を上げればすべて解決するとは限りません。英語、職務経験、応募経路、就労条件を分けて、足りないものを一つずつ確認しましょう。
3.勉強と応募準備を順番にしすぎている
「英語を勉強する→話せるようになる→求人を探す→応募する」という完全な直列型にすると、最初の段階がいつまでも終わりません。
求人を調べながら英語を学び、職務経歴をまとめながら自己紹介を練習し、情報収集の面談をしながら聞き取れなかった表現を復習する。準備を並行させることで、英語学習の内容も現実に近づきます。
海外就職に向けて優先したい英語学習
職務経験を説明するための短い骨格
専門的で長い説明から始めるのではなく、「担当」「課題」「行動」「結果」を短い英文でつなぎます。基本動詞を使い、自分が何をしたかを明確にします。
単語を日本語訳だけで覚えるより、自分の職務場面と結びつける方が取り出しやすくなります。詳しい方法は英単語を会話で使えるようにする覚え方で解説しています。
質問を聞き、要点をつかむリスニング
面接でも会議でも、すべての単語を聞き取る必要はありません。何について聞かれているか、どの時点の話か、具体例を求められているかを捉えます。
短い質問音声を使い、聞く、内容を確認する、声に出してまねる、自分の回答を返す、という流れで練習します。聞き流しだけでなく、理解と応答までセットにしましょう。
聞き返し・確認・保留の表現
実務では、聞き取れないことより、分からないまま進めることの方が問題になります。
- もう一度言ってもらう
- 別の言い方で説明してもらう
- 自分の理解が合っているか確認する
- 調べてから回答すると伝える
- 期限や担当者を確認する
こうした「会話を修復する英語」を持っていると、すべてを完璧に聞き取れなくても仕事を止めずに済みます。
海外で働く準備を進める90日プラン
1〜30日目:選択肢と現在地を見える化する
- 希望する職種・働き方・候補地域を書き出す
- 求人を10件程度集め、共通条件を確認する
- 自分の経験と成果を日本語で整理する
- 英語が必要な選考・業務場面を分類する
- 30秒の自己紹介を作って録音する
31〜60日目:応募と実務の英語を作る
- 頻出する面接質問への短い回答を準備する
- 職務エピソードを3つ、英語で話せる形にする
- 希望職種で使う会議・メール表現を集める
- 週に一度、模擬面接や仕事説明の練習を行う
- 不足する資格・経験・就労条件を追加調査する
61〜90日目:外部との接点を作って修正する
- 転職サービスや社内制度など、候補ルートへ接触する
- 応募先に合わせて職歴や自己紹介を調整する
- 模擬面接で想定外の質問を受ける
- 実際に困った英語を記録し、練習内容へ戻す
- 次の90日で優先する課題を一つか二つに絞る
90日で海外就職が決まると約束する計画ではありません。英語の勉強だけを続ける状態から、求人・キャリア・英語を接続した準備へ移るための期間です。
独学で進められる人と、伴走が役立つ人
自分で求人を分析し、必要な英語を特定し、録音や模擬面接で修正できるなら、独学でも準備を進められます。
一方、次のような状態では第三者の支援が役立つことがあります。
- 英語とキャリアの課題が混ざり、何から始めるか決められない
- 資格勉強はしてきたが、話す・聞く練習へ移れない
- 自分の職務経験を英語でどこまで簡単にすればよいか分からない
- 期限があるため、学習の優先順位を定期的に修正したい
- 一人では面接や会議に近い練習を作れない
英語コーチングも、申し込めば海外で働けるようになるサービスではありません。現在地と目的を整理し、必要な練習を設計・修正するための選択肢です。契約前には、英語コーチングが向いている人・向いていない人も確認してみてください。
まとめ|英語が完成するのを待たず、仕事と英語を一緒に準備する
海外で働きたいのに英語が話せないからといって、今すぐ夢を諦める必要はありません。ただし、英語力だけを上げれば自動的に海外就職が決まるわけでもありません。
まず、次の順番で進めてみましょう。
- 海外で生かせる職務経験を整理する
- 実際の求人から必要条件を集める
- 選考英語と実務英語を分ける
- 自分の経験を短い英語で話す
- 今の環境で小さな国際業務を作る
海外で働く準備は、「英語が話せる人」になるだけのプロジェクトではありません。自分が提供できる価値を明確にし、それを必要な相手へ英語で届けられる状態を作るプロジェクトです。
be:RIZEでは、一般的な教材を一律に進めるのではなく、これまでの学習経験、目標、期限、実際に英語を使いたい場面を整理しながら、話す・聞く力につながる練習を設計します。海外勤務や国際業務を見据えて、今の自分が何から始めるべきか整理したい方は、相談の流れをご確認ください。



