外国人のお客様が来店し、写真を見せながら英語で希望の髪型を説明し始めた。長さや雰囲気は何となく分かっても、「前髪はどうするか」「どの程度すくか」「カラー履歴はあるか」と確認しようとすると、急に言葉が出てこない。
美容師・美容院で必要な英語は、接客フレーズを覚えるだけでは足りません。お客様の希望を聞き取り、仕上がりの認識を合わせ、施術中の安全を確認し、最後にスタイリングやホームケアまで説明する必要があります。
一方、すべての美容師が高度な英語力を必要とするわけではありません。アシスタントとして案内やシャンプーを担当する人、外国人客を時々担当するスタイリスト、海外のお客様から指名を増やしたいオーナーでは、必要な英語の範囲が異なります。
この記事では、美容師・美容院で使う英語を実際の接客フローから整理し、自分の立場と目標から逆算して学ぶ方法を解説します。
しゅみすけ
美容師・美容院で英語が必要になる場面
美容院の英語接客は、来店から退店までの流れに沿って考えると準備しやすくなります。
- 予約と来店目的を確認する
- 荷物を預かり、席へ案内する
- 希望の髪型・長さ・色を聞く
- 髪質、履歴、頭皮の状態を確認する
- 施術内容・料金・所要時間を説明する
- シャンプーや施術中に体調を確認する
- 仕上がりを確認し、微調整する
- スタイリングとホームケアを説明する
- 会計、次回予約、再来店につなげる
美容師側が話す文章は短くても、お客様の答えによって施術内容が変わります。そのため、定型文の暗記だけでなく、相手の返答を聞き取り、確認し直す力が必要です。
場面別|美容師が使う英語表現
予約・受付を確認する
- “Do you have an appointment?”
- “May I have your name, please?”
- “What service are you booked for today?”
- “Please have a seat. Your stylist will be with you shortly.”
名前、予約時刻、担当者、施術メニューを確認します。電話予約では聞き間違いが起きやすいため、名前のつづりや電話番号を復唱できるようにします。
希望の髪型をカウンセリングする
- “What would you like to do with your hair today?”
- “Do you have a reference photo?”
- “How much would you like me to cut?”
- “Would you like to keep the length?”
- “Where would you like your bangs to fall?”
- “Would you like more volume or less volume?”
「短くしたい」「軽くしたい」という言葉だけでは、仕上がりの認識がずれることがあります。鏡の前で位置を示し、センチやインチだけに頼らず、指や写真でも確認します。
カラー・パーマ・薬剤施術を確認する
- “Have you colored or bleached your hair recently?”
- “When was your last color treatment?”
- “Have you ever had a reaction to hair color?”
- “This color may look slightly different depending on your current hair color.”
- “We recommend a patch test before the treatment.”
カラー履歴、ブリーチ、縮毛矯正、アレルギーや過去の反応は、仕上がりと安全に関わります。分からないまま進めず、店舗のカウンセリングシートや同意手順に沿って確認します。安全性に関する判断を英語力だけで行わず、責任者や店舗ルールへつなぐことも重要です。
料金と所要時間を説明する
- “The total will be approximately 12,000 yen.”
- “This treatment will take about two hours.”
- “There is an additional charge for long hair.”
- “Would you like to add a treatment?”
施術後の金額トラブルを防ぐため、追加メニュー、ロング料金、指名料などは開始前に確認します。数字は口頭だけでなく、料金表や画面も見せると伝わりやすくなります。

シャンプー・施術中に確認する
- “Is the water temperature okay?”
- “Is the pressure okay?”
- “Please let me know if it feels too hot or uncomfortable.”
- “Could you tilt your head slightly forward?”
- “I’m going to trim around your ears.”
美容院では、お客様が鏡を見られない状態や、動きにくい姿勢になる場面があります。何をするかを短く伝え、熱さ、痛み、不快感がないかを確認します。
仕上がりを確認する
- “How do you like the length?”
- “Would you like me to make it a little shorter?”
- “Is there anything you’d like me to adjust?”
- “Let me show you the back.”
“Is it okay?”だけでは、お客様が遠慮して “Yes” と答える場合があります。長さ、前髪、毛量、左右、後ろ姿など、確認項目を分けて聞く方が具体的な希望を引き出せます。
スタイリングとホームケアを説明する
- “Use a small amount of this product on damp hair.”
- “Dry your roots first to create volume.”
- “Try not to wash your hair for the next 24 hours.”
- “This color may fade gradually.”
仕上げの説明は、技術への信頼や再来店にもつながります。商品を売るための英語より、お客様が翌日から再現できる説明を優先します。
美容師の英語で特に難しいのは「仕上がりの認識合わせ」
美容院では、同じ言葉でも人によって想像する髪型が違います。たとえば “short” は、肩上を意味する人もいれば、耳が出る長さを意味する人もいます。“natural” “light” “a little” も曖昧です。
そこで、次の順番で認識を合わせます。
- 相手の希望を聞く
- 参考写真を確認する
- 鏡の前で長さや範囲を示す
- 自分の言葉で言い直す
- 施術前に最終確認する
- “Just to confirm, you’d like to keep the length and add some layers, correct?”
- “You’d like the color to be darker than this photo, right?”
- “I’ll cut about this much. Is that okay?”
流暢に長く説明することより、短く区切って確認する方が、接客として安全で丁寧です。
美容師・アシスタント・オーナーで必要な英語は違う
| 立場・目標 | 優先する英語 |
|---|---|
| アシスタント | 受付、案内、シャンプー、ドリンク、体調確認、担当者への引き継ぎ |
| スタイリスト | カウンセリング、施術提案、料金・時間、仕上がり確認、ホームケア |
| 店長・オーナー | クレーム対応、予約変更、スタッフ説明、外国人客向けサービス設計 |
| 海外客から指名を増やしたい人 | 提案、雑談、信頼関係、SNS・口コミ、次回予約につなげる会話 |
| 海外で働きたい人 | 接客に加え、面接、同僚との連携、技術説明、現地の職場用語 |
アシスタントなら、まず担当業務で毎日使う20〜30場面を練習するだけでも効果があります。一方、オーナーや指名獲得を目指すスタイリストは、お客様ごとに提案を変え、スタッフとも連携するため、より広いリスニング力と会話力が必要です。
外国人客との雑談は、無理に盛り上げなくてもよい
美容院では施術時間が長いため、雑談の英語が気になる人も多いでしょう。しかし、すべてのお客様が会話を望んでいるわけではありません。まずは施術に必要な確認を確実に行い、相手の反応を見ながら会話量を調整します。
- “Is this your first time in Japan?”
- “How long have you been living in Tokyo?”
- “Do you have any plans for the weekend?”
- “Would you like to relax quietly?”
質問を連続させるより、相手の答えに短く反応し、自分の話も少し加える方が自然です。静かに過ごしたいお客様には、必要な確認以外は控える配慮も接客の一部です。
クレームや仕上がりの違いに対応する英語
- “I’m sorry this isn’t what you expected.”
- “Could you show me which part you’d like us to adjust?”
- “Let me confirm what we discussed before the service.”
- “I’ll speak with the manager and explain the options.”
- “We can adjust this part today.”
最初から原因や責任を断定せず、相手が気にしている箇所を確認します。そのうえで、店舗の方針に従って対応可能な選択肢を伝えます。分からないことを推測で約束せず、責任者へ引き継ぐ表現も準備しておきましょう。
美容師が現場の英語を身につける7ステップ
1. 来店から退店までの業務を書き出す
受付、カウンセリング、シャンプー、カット、カラー、仕上げ、会計など、自分が担当する場面を順番に並べます。
2. 実際に困った質問を記録する
言えなかった説明、聞き取れなかった希望、同僚に代わってもらった場面を、その日のうちに残します。
3. 自店専用の英語表現集を作る
一般的な美容英語を広く覚えるのではなく、自店のメニュー、料金、所要時間、薬剤、予約ルールを英語にします。
4. 写真と鏡を使った確認を練習する
言葉だけで説明せず、写真を見せる、長さを指で示す、鏡で位置を確認する会話をロールプレイします。
5. お客様の返答まで含めて練習する
自分の台詞だけでなく、「もっと短く」「思ったより暗い」「以前ブリーチした」など、複数の返答を想定します。
6. 聞き返しと保留の表現を身につける
- “Could you say that again more slowly?”
- “Do you mean this length?”
- “Let me check with the stylist.”
- “Could you show me a photo?”
分かったふりをせず、会話を止めずに確認できる表現を反射的に言えるようにします。
7. 接客後に表現集を更新する
現場で起きたことが、そのまま最も実用的な教材になります。次の勤務前に一度声に出して練習します。
英会話と英語コーチング、どちらが美容師に向いている?
英会話が向いている人
外国人と話すこと自体に慣れたい人、まず日常的な接客と雑談を練習したい人、講師と対面で会話量を増やしたい人には英会話が向いています。外国人客が時々来店し、基本的な案内やカウンセリングから始めたい美容師・アシスタントにも取り組みやすい方法です。
英語コーチングが向いている人
外国人客への対応を短期間で仕事として整えたい人、海外客から指名を増やしたい人、オーナーとしてサロン全体の接客を設計したい人、海外勤務や独立を目指す人には英語コーチングが向いています。現在の英語力と実際の業務を分析し、語彙、リスニング、発話練習、ロールプレイの優先順位を決められます。
判断基準は「どこまで英語を仕事の武器にしたいか」
| 現在の目的 | 学び方の目安 |
|---|---|
| 簡単な案内や雑談に慣れたい | 英会話を中心に、接客表現を練習する |
| カウンセリングを一人で完結したい | 英会話+自店の業務ロールプレイ |
| 外国人客の指名・再来店を増やしたい | 業務分析を含む英語コーチング |
| オーナーとして外国人対応を仕組み化したい | コーチング+店舗マニュアル整備 |
| 海外の美容院で働きたい | コーチングで期限と必要場面から逆算する |
英会話とコーチングは、どちらが上というものではありません。現在の役割、外国人客の頻度、期限、英語を売上やキャリアへどこまでつなげたいかで選びます。
目的に合った学び方を選ぶ
美容師として必要な英語を、仕事から逆算して身につけたい方
be:RIZEでは、実際のサロンメニュー、カウンセリング、施術説明、外国人客との会話をもとに、優先する学習内容とロールプレイを設計します。オーナー、スタイリスト、海外勤務を目指す方など、英語を仕事の武器として伸ばしたい方に向いています。
対面で英会話を練習し、外国人のお客様と話すことに慣れたい女性の方
「b わたしの英会話」は、大人の女性が日本人コンシェルジュと相談しながら、自分の仕事や接客に合わせてマンツーマンで学べる英会話スクールです。まず会話への抵抗を減らし、美容院で使う短い英語から練習したい方にも向いています。
よくある質問
美容師にTOEICの点数は必要ですか?
国内の美容院で外国人客へ対応する目的なら、点数そのものより、カウンセリングで必要な情報を聞き取り、短く確認できることが重要です。海外就職などでは提出を求められる場合があるため、応募先の条件を確認してください。
美容師向けの英単語を覚えれば接客できますか?
単語は必要ですが、単語だけでは希望の認識を合わせられません。質問、相手の返答、復唱、写真や鏡での確認までを一つの会話として練習しましょう。
翻訳アプリを使ってもよいですか?
補助として有効です。特に料金や複雑な説明では、画面や翻訳済み資料も役立ちます。ただし、曖昧な希望や安全に関わる確認をアプリ任せにせず、店舗の手順と人による確認を組み合わせてください。
外国人客との雑談が苦手でも大丈夫ですか?
まず施術に必要な確認ができれば問題ありません。雑談は相手の反応に合わせて少しずつ増やせます。接客の質は、会話量だけでなく、希望を正確に理解し安心して施術を受けてもらえるかで決まります。
まとめ|自分の役割と目標から、美容師の英語を決める
美容師・美容院で必要な英語は、受付、カウンセリング、施術説明、仕上がり確認、ホームケア、会計まで、実際の仕事から決まります。最初から流暢な雑談を目指す必要はありません。
アシスタントなら担当場面の短い確認から、スタイリストならカウンセリングと提案まで、オーナーや海外客から指名を増やしたい人なら、再来店や店舗運営につながる会話まで広げます。
まず、直近で外国人のお客様への対応に困った場面を三つ書き出してください。その場面で必要だった質問と確認を、自分専用の教材に変えることが、現場で使える英語への近道です。
接客業全体の英語の考え方は、接客業で英語が必要になった人へ|外国人客への案内・説明・トラブル対応の勉強法でも詳しく解説しています。
予約受付、長さ・前髪・毛量、カラー、シャンプー、仕上がり確認、会計で使う具体的な英語は、b-cafeの「美容師・美容室の接客英語|予約・カウンセリング・カット・カラー・会計」で場面別に紹介しています。




