国際物流のフォワーダーには、海外の取引先と雑談できる英語力より先に、輸送条件を聞き取り、複数の選択肢を比べ、変更点を正確に伝える力が必要です。

この記事では、海上・航空輸送の見積もり、ブッキング、集荷、積み替え、遅延、到着調整という実務から逆算し、フォワーダーに必要な英語力と勉強法を整理します。
フォワーダーの英語は「情報をつなぐ力」
フォワーダーは、荷主、船会社・航空会社、トラック会社、倉庫、通関業者、海外代理店などの間に立ちます。英語で扱う情報は、料金、日付、数量、場所、書類、貨物の状態です。だから目標は、難しい表現を使うことではなく、情報を抜けなく受け渡すことです。
必要な英語力1:輸送条件を具体的に聞き取る
見積もりを作るには、origin、destination、weight、dimensions、cargo ready dateなどを確認します。リスニングでは全文を一度で理解しようとせず、「どの項目の答えか」を意識します。
- Where is the cargo being shipped from?
- What are the total weight and dimensions?
- When will the cargo be ready?
- Does the shipment contain any dangerous goods?
練習では、案件情報を「出発地・到着地・品名・重量・寸法・希望日」の6枠に分け、聞こえた数字と固有名詞を書き取ります。
必要な英語力2:選択肢を同じ軸で比較する
海上便と航空便、直行便と経由便を比較するときは、rate、transit time、frequency、cut-off、availabilityを同じ順番で伝えます。
- Air freight is faster, but the cost is higher.
- Option A is direct, while Option B requires transshipment.
- The earliest available sailing is August 20.
比較表を英語で一から作るより、日本語の社内資料を使い、各項目を一文ずつ英語にする練習が効率的です。
必要な英語力3:日付・数量・固有名詞を復唱する
フォワーダー業務では、15と50、13と30の聞き違いが実務上のミスにつながります。復唱は英語力不足の印ではなく、品質管理です。
- Let me repeat that to make sure I have it right.
- Did you say one-five, fifteen?
- Could you spell the consignee’s name?
- Could you confirm the date in writing?
必要な英語力4:事実・見込み・未確認を分ける
遅延時に最も大切なのは、英語の華やかさではなく情報の確度です。
- 確定:The vessel has been delayed.
- 見込み:The estimated arrival date is August 24.
- 確認中:We are checking with the carrier.
- 次の行動:We will update you by 3 p.m.
この4段階をセットで練習すると、「遅れています」だけで終わらず、相手が次に何を待てばよいかまで伝えられます。
必要な英語力5:変更点と代替案を説明する
予定変更では、old schedule、new schedule、reason、impact、alternativeの順に整理します。
- The original sailing has been canceled.
- We can offer an alternative sailing on August 22.
- This option will add approximately three days.
- Please let us know which option you prefer.
必要な英語力6:専門判断を適切につなぐ
通関の可否、危険品の受託、保険の補償範囲などは、担当者がその場で断定すべきでない場合があります。
- We need to confirm this with our customs broker.
- I will check the carrier’s acceptance policy.
- Our insurance team will review the details.
「分かりません」で止めず、誰に確認し、いつ回答するかを伝える表現を準備しましょう。
実務から逆算する4週間の勉強法
1週目:案件の基本項目を英語化
自社の見積依頼フォームを使い、origin、destination、commodity、weight、dimensions、ready dateを声に出します。
2週目:見積もりとブッキング
実際の定型メールから頻出文を10個選び、数字と地名だけを入れ替えて練習します。
3週目:遅延・変更連絡
確定・見込み・確認中・次回連絡の4行テンプレートを、船便・航空便それぞれで作ります。
4週目:電話とオンライン会議
1分間の案件説明を録音し、「日付、数量、場所、次の行動」が入っているか確認します。速さより、区切りと復唱を優先します。
英語レベルの目安
TOEICなどの点数だけで一律には決まりません。定型メール中心なら基礎文法と業務語彙で対応でき、海外代理店との電話や例外案件が増えるほど、聞き返し、要約、即時の言い換えが重要になります。まずは自分の担当業務で発生する10場面を書き出し、必要な技能を特定しましょう。
実践フレーズも確認する
見積もり、ブッキング、集荷、積み替え、遅延、到着調整でそのまま使える例文は、国際物流・フォワーダーが使う英語フレーズにまとめています。書類確認と通関業務が中心の方は、貿易事務・通関業務に必要な英語力と勉強法もご覧ください。
まとめ
フォワーダーに必要なのは、輸送条件を聞き取り、比較し、数字を確認し、情報の確度を分け、必要な担当者へつなぐ英語力です。一般的な英会話教材を広く進めるより、実際の見積書、定型メール、運航変更の連絡を教材にして、短文を反復する方が仕事に直結します。
自社便の本船スケジュール、スペース、締切、コンテナを回答する側の方は、船会社・海運会社スタッフに必要な英語力と勉強法もご覧ください。
自社の航空便について、貨物予約、受託条件、搭載変更を扱う方は、航空貨物・カーゴスタッフに必要な英語力と勉強法もご覧ください。



