英語の省略とは?共有済みの情報を言わない仕組みを例文で解説

英語の省略を、共有済みの情報を繰り返さず I'd love to. と短く答える仕組みとして示したイラスト

英語の省略とは、文の一部を適当に削ることではありません。話し手と聞き手がすでに共有していて、言わなくても復元できる情報を繰り返さない仕組みです。

しゅみすけ(大山俊輔)

しゅみすけ

英語は、毎回すべてを言い切る言語ではありません。聞き手の頭にすでに置かれた情報は、もう一度レンダリングしなくても通じます。省略は「欠けた文」ではなく、共有済みの情報を背景へ下げ、必要な部分だけ前へ出す省エネ処理なんです。

たとえば、Would you like to have some coffee? と聞かれて、I’d love to have some coffee. とすべて繰り返す必要はありません。通常はI’d love to.だけで十分です。have some coffeeという内容は、直前の質問によってすでに二人の共有スペースへ入っているからです。

この記事では、英語の省略の基本から、不定詞・助動詞・比較表現・接続詞・so/notを使う省略まで、例文とともに整理します。高校英文法全体の中で位置づけを確認したい方は、高校英文法一覧|重要単元とおすすめ順もご覧ください。

Would you like to have some coffee? に I'd love to. と答え、have some coffeeを共有済み情報として省略する図
省略された情報は消えたのではなく、話し手と聞き手の共有スペースに残っています。

英語の省略とは?共有済みの情報を言わない仕組み

次の会話を見てみましょう。

A: Would you like to have some coffee?
コーヒーはいかがですか。

B: I’d love to.
ぜひ。

Bの文では、toの後ろにあるはずのhave some coffeeが省略されています。しかし、聞き手は「何をしたいのか」を迷いません。質問の中で内容がすでに提示されているからです。

省略のコアイメージ

新しい情報は言葉にする。すでに共有された情報は背景に置く。
言わないのではなく、相手が復元できると判断して言語化を止める

日本語にも「行く?」「うん、行く」のような省略はあります。ただし、英語では語順と助動詞が骨格を支えるため、何を残せば聞き手が残りを復元できるかが比較的はっきりしています。

省略・短縮形・文法的な欠落はどう違う?

省略を理解するときは、単語を短くすることや、必要な語を誤って落とすことと分けましょう。

種類 何が起きている?
省略 I’d love to. 復元できるhave some coffeeを言わない
短縮形 I’m/don’t/I’d 二語を発音・表記上で縮める
代用 I think so. 前の内容をsoという軽い語で受ける
誤った欠落 I want go. 必要なtoを落としており、標準文法では誤り

省略では、表面上は語が見えなくても、文脈の中に内容が残っています。一方、誤った欠落では、聞き手が文法的な骨格を組み立てにくくなります。

英語の省略で大切な3つの条件

1.前に出た情報である

Can you come tomorrow? — Yes, I can.
明日来られますか。— はい、行けます。

I canの後ろにはcome tomorrowが想定されています。直前に出ているため、助動詞canだけを残しても内容を復元できます。

2.文脈から一つに決められる

複数の行動が話題になっている場合、I’d like to.だけでは「何をしたいのか」が曖昧になることがあります。省略できるかどうかは、文法だけでなく聞き手の頭に候補がいくつあるかで決まります。

3.残した語が骨格の合図になる

助動詞、be動詞、to、soなどは、省略された内容の置き場所を示す標識になります。英語は全部を消すのではなく、聞き手が続きを再生できる合図を残します。

英語の省略の主な種類一覧

種類 代表例 省略・代用される内容
不定詞の省略 I’d like to. toの後ろの動詞句
助動詞の後ろの省略 Yes, I can. 助動詞の後ろの動詞句
be動詞の後ろの省略 I’m not. 補語・-ing・過去分詞など
等位接続での省略 Tom ordered tea, and Jane coffee. 二つ目の節の共通部分
比較節での省略 It was easier than I expected. expectedの目的語・内容
従属節での省略 When ready, press Start. 主語+be動詞
so/notによる代用 I think so./I hope not. 前に出た節全体
会話の省略 Sounds good. 形式上の主語Itなど

不定詞の省略|toを残して後ろを言わない

to不定詞では、同じ動作がすでに出ているとき、toだけを残して後ろの動詞句を省略できます。このtoは、聞き手に「さっきの動作へ向かう」と示す矢印のような働きをします。

I don’t want to go, but I have to.
行きたくはありませんが、行かなければなりません。

二つ目のhave toの後ろではgoが省略されています。

Are you going to apply? — I’d like to.
応募する予定ですか。— そうしたいです。

She promised to help, but she didn’t know how to.
彼女は手伝うと約束しましたが、どうすればよいか分かりませんでした。

注意:be動詞やhaveが意味の中心として必要な場合は、to be/to haveまで残すことがあります。
Is she happy? — She seems to be.
Has he finished? — He seems to have.

to不定詞そのものの意味は、to不定詞とは?「これから・向かう」のコアイメージで詳しく解説しています。

助動詞・be動詞の後ろの省略|骨格の合図だけ残す

can・will・should・doなどの助動詞は、後ろの動詞句が省略されても、時制・可能性・意志・否定などの情報を残せます。

Can Emma speak French? — Yes, she can.
エマはフランス語を話せますか。— はい、話せます。

I haven’t seen the movie, but Ken has.
私はその映画を観ていませんが、ケンは観ています。

You should apologize, but you probably won’t.
謝るべきですが、たぶん謝らないでしょう。

be動詞も同様です。

I’m ready, but Lisa isn’t.
私は準備できていますが、リサはできていません。

He said he was tired, but he didn’t look it.のように、文によってはitなど別の代用語を使うこともあります。重要なのは、日本語訳で語を補うことではなく、何が共有され、どの合図が残ったかを見ることです。

and・butで共通部分を省略する

二つの節をandやbutで並べるとき、同じ語を繰り返さず、異なる部分だけを対比させることがあります。

Tom ordered tea, and Jane coffee.
トムは紅茶を、ジェーンはコーヒーを注文しました。

二つ目のJane coffeeでは、orderedが省略されています。完全な形はTom ordered tea, and Jane ordered coffee.です。

Some chose the online course; others, the classroom course.
オンライン講座を選んだ人もいれば、教室講座を選んだ人もいました。

この種類の省略は書き言葉でよく見られ、カンマが省略部分の合図になることもあります。長文では「文型が壊れた」と考えず、前の節から共通する動詞を借りて読みましょう。

比較表現の省略|than・as以下では共有部分を繰り返さない

thanやas以下では、比較するために必要な部分だけを残し、前半と共通する内容を省略します。

The test was easier than I expected.
そのテストは予想していたより簡単でした。

I expectedの後ろには、the test would be easyなどの内容が理解されています。

She speaks English better than I do.
彼女は私より上手に英語を話します。

doはspeak Englishを受けています。doを残すことで、than meよりも「誰がその動作をするか」が明確になります。

There were more people than expected.
予想されていたより多くの人がいました。

than was expectedなどの主語・be動詞が省略された形として理解できます。

when・if・while節の省略|主語+be動詞を軽くする

従属節の主語が主節の主語と同じで、動詞がbeの場合、主語+be動詞が省略されることがあります。

When ready, press the Start button.
準備ができたら、スタートボタンを押してください。

完全な形:When you are ready, press the Start button.

If necessary, contact us.
必要であれば、ご連絡ください。

完全な形:If it is necessary, contact us.

While in London, I visited several museums.
ロンドンにいる間、いくつかの美術館を訪れました。

完全な形:While I was in London, …

分詞構文と似ていますが、when・if・whileなどの接続詞を残すため、時間・条件・対比といった関係が明示されています。分詞構文については、分詞構文とは?-ingで背景の場面を圧縮する仕組みも参考にしてください。

so・notで文全体を軽く受ける

英語では、すでに話題になった文全体をsoで肯定的に受け、notで否定的に受けることがあります。厳密には単純な「無音の省略」ではなく代用ですが、共有情報を繰り返さないという点で同じ働きをします。

Will the plan work? — I think so.
その計画はうまくいくでしょうか。— そう思います。

Is it going to rain? — I hope not.
雨が降りそうですか。— 降らないといいですね。

よく使う形 意味
I think so. そう思います
I guess so. たぶんそうでしょう
I suppose so. そうだと思います
I hope so. そうだといいですね
I hope not. そうでないといいですね
I’m afraid so. 残念ながらそうです

ただし、すべての動詞が同じようにso/notを取るわけではありません。まずは上の定番をひとかたまりで覚えると、会話で使いやすくなります。

会話では主語や助動詞も省略される

日常会話では、状況から明らかな主語や助動詞が落ちることがあります。

Sounds good.
よさそうですね。
完全な形:It sounds good.

Need any help?
何か手伝いが必要ですか。
完全な形:Do you need any help?

Got it.
分かりました。
文脈によってI got it.などが背景にあります。

ただし、これは会話の文体として定着した省略です。英作文で自由に主語や助動詞を落としてよいという意味ではありません。まず完全な骨格を作れるようにしたうえで、実際にネイティブが定型的に省略する形をまとまりで身につけましょう。

省略された英語を前から理解する読み方

長文やリスニングで文が短すぎると感じたら、次の順番で処理します。

  1. 残っている合図を見る:to・助動詞・be動詞・do・so・not・接続詞
  2. 直前の文から同じ内容を探す
  3. 文型上、どの場所が空いているかを見る
  4. 必要最小限だけ補って意味を確定する
  5. 理解できたら、頭の中でも全文を繰り返さない

Maria can play the piano, and her sister can too.

二つ目のcanの後ろにplay the pianoを一度だけ補えば意味は決まります。その後は「妹もできる」と処理すればよく、毎回完全な英文を再生する必要はありません。

英語の省略でよくある間違い

何でも短くすれば自然だと思う

省略できるのは、相手が内容を一つに復元できるときです。初めて出す情報や、候補が複数ある情報を落とすと、短いのではなく単に曖昧になります。

toまで消してしまう

I’d like.だけでは、通常「何が欲しい/何をしたい」のかが不足します。前の動作を受ける不定詞の省略では、I’d like to.とtoを残します。

助動詞を残さず動詞だけを消す

Can you swim? にYes, I.とは答えません。Yes, I can.と、肯定・時制・可能性の合図になる助動詞を残します。

会話の省略を正式な英文へそのまま持ち込む

Sounds good.は自然な会話表現ですが、あらゆる文で主語を自由に落とせるわけではありません。場面・文体・定着度を確認しましょう。

練習|省略された内容を復元してみよう

  1. I wanted to join, but I wasn’t able to.
    → toの後ろ:join
  2. She hasn’t finished, but I have.
    → haveの後ろ:finished
  3. When possible, speak English aloud.
    → when it is possible
  4. Leo ordered pasta, and Mia salad.
    → Mia ordered salad
  5. Will they agree? — I hope so.
    → so:they will agree
  6. The task took longer than expected.
    → than was expected

答えを全文で暗記するより、どの合図から、どの共有情報へ戻ったかを説明してみてください。

まとめ|省略は、共有情報を背景へ下げる文法

  • 英語の省略は、聞き手が復元できる共有済みの情報を繰り返さない仕組み
  • 省略された内容は消えたのではなく、文脈の背景に残っている
  • to・助動詞・be動詞・doなどが、続きを復元する合図になる
  • and・but、than・as、when・if・whileの後ろでも共通部分が省略される
  • so/notは、前に出た文全体を軽く受ける
  • 会話の省略は定型として覚え、自由に主語を落とさない
  • 省略を読むときは、残った合図→直前の共有情報の順に戻る

省略は、文法を壊して短くする操作ではありません。話し手が「ここまではもう一緒に見えている」と判断し、言語化する量を調整する仕組みです。完全な文を知ったうえで、省略された箇所を一度だけ復元する。この見方ができると、会話の短い返答も、長文の圧縮された構造も読みやすくなります。

英語の省略についてよくある質問

英語の省略は高校文法のどの単元ですか?

独立した「省略」として扱われるほか、不定詞、助動詞、比較、接続詞、分詞構文など複数の単元に現れます。共通点は、前後の文脈から復元できる情報を繰り返さないことです。

I’d like to.のtoはなぜ残るのですか?

toが「直前に出た動作へ向かう」という合図になるからです。toまで消すと、I’d like.は目的語が必要なlikeの文にも見え、何を望むのかが不明確になります。

省略された語は訳す必要がありますか?

意味を確認するときは一度補って構いません。ただし、理解できた後まで毎回全文を日本語へ展開する必要はありません。共有情報として背景へ置き、残った新しい部分を中心に処理しましょう。

会話では主語を省略してもよいですか?

Sounds good.、Got it.、Need help?など定着した形では自然です。ただし、日本語のように原則として主語を自由に落とせるわけではありません。まず完全な文を基準にし、実際によく使われる省略形を覚えましょう。

高校英文法全体の中で省略を「情報を圧縮する文法」として確認するなら、高校英文法一覧|大人が英会話のために学び直す重要単元とおすすめ順へ戻って、分詞構文・倒置・強調構文・部分否定とのつながりも見てみてください。

英文法を知識のままで終わらせず、会話へつなげたい方へ

be:RIZEでは、完全な英文を暗記するだけでなく、会話の中で何が共有され、どこまで言葉にすれば相手へ届くかを整理しながら練習します。

語彙・文法・リスニング・スピーキングの現在地を確認し、どこまで基礎へ戻り、何を次に学ぶかを一緒に設計します。

面談で行うことを確認する、または聴ける×話せるに特化した英語コーチングを見る

資料請求 無料オリエンテーション(当日の流れはこちら)
be:RIZEが合うか3分でチェック
be:RIZEの全てが分かる!
資料請求する(10秒)
be:RIZEの全てが分かる!
資料請求する(10秒)
be:RIZEの全てが分かる!
資料請求する(10秒)
be:RIZEの全てが分かる!
資料請求する(10秒)