今でこそ、英語学習についてYouTubeで発信し、英会話スクールと英語コーチングを運営していますが、僕はもともと英語が得意だったわけではありません。
中学に入って最初の学期、英語の成績は学年最下位。大学では英語の単位を落とし、自分だけ下級生に交じって再履修しました。
社会人になるまでに英語ができるようになった、というきれいな話でもありません。教材を買い、通信講座を試し、英会話教室へ通い、止まる。その迷走は約7年間続きました。
こんにちは。英語コーチング「be:RIZE」代表のしゅみすけ(大山俊輔)です。
この記事は、成功談を並べるためのプロフィールではありません。英語が苦手だった僕が、なぜ長く迷い、何を変えたことで英語が動き始めたのか。そして、その経験が現在の指導へどうつながっているのかを、できるだけ正直にお話しします。
最初にお伝えしたいこと
英語学習で何度も挫折したとしても、それだけで語学の才能がないとは言えません。止まっていたのは、あなたの能力ではなく、学習方法と実際に必要な処理が合っていなかったからかもしれません。僕自身、7年間の迷走のあと、学習の「量」より「処理」を変えた半年間で、初めて英語が聞く・話す方向へ動き始めました。
目次
- 中学で英語が学年最下位になった
- 大学でも英語を落とし、一人だけ再履修した
- 「今度こそ」と教材を買い続けた7年間
- 香港旅行で、レストランの注文すらできなかった
- 図書館で出会った一冊が、考え方を変えた
- 変えたのは、努力量ではなく「英語の受け取り方」だった
- 半年ほどで「???」だった英語が意味として入り始めた
- 外資系企業と米国MBAでも、英語が「完成」したわけではない
- 約20年、大人の学習者を見て分かったこと
- be:RIZEを「努力を管理する場所」にしなかった理由
- 英語で何度挫折しても、再開地点はゼロではない
- 僕の経験とメソッドをまとめた2冊
- まとめ|英語ができなかった過去は、今の指導の出発点になった
中学で英語が学年最下位になった
僕の英語学習の出発点は、かなり低いところにありました。
中学に入学して最初の学期、英語の成績が学年最下位になりました。中学はその一学期で退学しています。もちろん理由は英語だけではありませんが、大きな理由の一つでした。
英語の授業で何をやっているのか分からない。単語を覚える意味も、文法のルールもつながらない。周囲が進むほど、自分だけが取り残されていく感覚がありました。
この時点で、僕の中には「自分は英語ができない人間だ」という自己認識ができていたのだと思います。
それでも、英語を話せる人への憧れはありました。海外の人と自然に会話をする人を見ると、自分には知ることのできない世界を知っているように感じました。
できない。でも、どこかで話せるようになりたい。その距離を埋める方法が分からないまま、時間だけが過ぎていきました。
大学でも英語を落とし、一人だけ再履修した
大学へ進んでも状況は変わりませんでした。英語の単位を落とし、翌年、一人だけ下級生に交じって再履修しました。
周囲は当然のように単位を取り、自分だけがもう一度同じ授業を受ける。英語を学ぶことより、「できない自分を見られたくない」という気持ちのほうが強かったかもしれません。
英語が苦手な人は、単に知識が少ないだけではありません。
- 間違えるところを見られたくない
- 簡単な質問ができない
- 今さら基礎へ戻るのが恥ずかしい
- 教材を開くと、過去の失敗まで思い出す
こうした心理的な重さが、英語そのものに加わります。
僕も、「英語を勉強しなければ」という気持ちはありながら、英語へ向き合うたびに、自分の苦手さを確認しているような状態でした。
「今度こそ」と教材を買い続けた7年間
英語ができないままでも、何もしなかったわけではありません。むしろ、いろいろ試しました。
- みんながやっているからという理由でTOEIC教材を買う
- タイトルに惹かれて英語本を買う
- 通信教材を申し込む
- 英会話教室へ通う
- 英語ができる人の勉強法を真似する
始めるときは、いつも「今度こそ」と思っています。しかし、1か月、2か月すると止まる。そして別の方法を探す。この繰り返しが約7年間続きました。
大手の英会話教室へ通ったこともあります。けれど、レッスンについていけず、1か月ほどで挫折しました。
外国人講師を前にすると、頭の中で日本語の文章を作り、それを英語へ変えようとします。単語を探し、文法が正しいか確認している間に、会話は先へ進みます。
「英会話へ通えば、話しているうちに慣れる」と思っていました。しかし、話すための処理がないまま会話の場へ入ると、僕の場合は、できなかった経験だけが増えていきました。
この頃の学習を今振り返ると、努力がゼロだったのではありません。教材を理解する処理と、実際に聞く・話す処理が分断されていたのだと思います。
過去の学習を「全部無駄だった」と片づけず、残っているものを整理する方法は、TOEIC・英会話・コーチングを試しても伸びない人へ|学習歴の棚卸しでも紹介しています。
香港旅行で、レストランの注文すらできなかった
友人と香港へ旅行したときのことです。
僕は英語が話せず、レストランで注文するにも、ツアーコンダクターの方に通訳へ入ってもらいました。
英語を勉強したことはある。単語も文法も、何も知らないわけではない。それなのに、目の前の単純な用件を伝えられない。
この経験は、僕の中で「知っている英語」と「使える英語」が別物だという感覚を強くしました。
ただ、この時点でも解決策は分かりません。もっと単語を覚えるべきなのか。文法をやり直すべきなのか。英会話の回数を増やすべきなのか。
結局また、努力量を増やす方向で考えていました。
図書館で出会った一冊が、考え方を変えた
転機は、英語教材ではなく、図書館で偶然手に取った一冊の本でした。
ドイツ人の考古学者、ハインリッヒ・シュリーマンの『古代への情熱』です。歴史書として手に取った本でしたが、20か国語近くを運用したとされる彼の語学学習についての記述に強く惹かれました。
僕はそこで、「ひょっとすると、英語は一語ずつ日本語へ置き換えて覚えるものではないのではないか」と考え始めました。
もちろん、ドイツ語と英語は言語的に近く、彼の方法を日本語話者がそのまま真似すればよいわけではありません。
日本語と英語では、語順も、主語の扱いも、音のまとまりも大きく異なります。だからこそ、日本人の大人には、その差を埋める工夫が必要です。
しかし、この出会いをきっかけに、僕は学習量を増やすことより、英語がどのような順番で意味を作り、脳がどう処理するのかへ目を向けるようになりました。
変えたのは、努力量ではなく「英語の受け取り方」だった
それまでの僕は、英語を次のように扱っていました。
- 言いたい日本語を完成させる
- 対応する英単語を探す
- 文法的に正しい英文へ並べ替える
- 間違いがないか確認してから口に出す
聞くときも、一語ずつ日本語へ変換し、文末まで聞いてから意味をまとめようとしていました。
しかし実際の会話では、その処理では間に合いません。
そこで僕は、場面を見て、まず主語と動詞を置き、必要な情報を前から足すようにしました。聞くときも、文末から訳し戻さず、意味の小さなまとまりを前から受け取る練習へ変えました。
最初から長く美しい英文を作るのではありません。
- I need it.
- She looks tired.
- I went there yesterday.
- We have a problem.
このような短い骨格を先に出し、必要なら後ろへ説明を足します。
日本語を完成させてから英訳する癖を見直す方法は、日本語を英語に訳してから話す癖をやめるには?で詳しく解説しています。文の骨格については、英語は主語と動詞から始める|4コードで文の骨格を作る練習法も参考にしてください。
半年ほどで「???」だった英語が意味として入り始めた
学習方法を変えてから、約半年。
それまで実際の会話を聞いても「???」だった状態から、少しずつ英語が意味として入る場面が増えました。
すべてが聞こえるようになったわけではありません。どんな話題でも流暢に話せるようになったわけでもありません。
ただ、短い会話なら、一語ずつ日本語へ訳さなくても、相手が何を言っているのか分かる。自分も、完成した日本語文を作らずに、簡単な英語を前から出せる。
この小さな変化は、僕にとって非常に大きなものでした。
なぜなら、英語学習が初めて「できない自分を確認する作業」ではなく、「前より少し分かる、言える」という体験へ変わったからです。
時間を増やす前に学習処理を見直す考え方は、英語に時間をかけすぎる人へ|努力量より先に見直したい「学習の処理設計」にまとめています。
外資系企業と米国MBAでも、英語が「完成」したわけではない
その後、僕は外資系企業で働き、米国の大学院でMBAを取得しました。
こう書くと、「そこまで行けば、英語は完全にマスターしたのだろう」と思われるかもしれません。
しかし、英語がすべて完成する日はありません。
外資系企業で働けば、その業界や職務に必要な表現を学びます。MBAへ進めば、授業、ディスカッション、プレゼンテーション、レポートに必要な英語へ適応します。新しい環境へ行くたびに、分からない言葉や、うまく伝えられない場面が出てきます。
違ったのは、「できない=英語力がゼロ」と考えなくなったことです。
今の場面で何が足りないのかを分け、必要な単語、骨格、音、会話経験をつなぐ。英語全体を終わらせようとせず、使う場所ごとに処理を育てるようになりました。
この考え方は、現在のbe:RIZEの学習設計にもつながっています。
約20年、大人の学習者を見て分かったこと
英会話スクールと英語コーチングを運営し、約20年がたちました。
その間、英語を初めて学び直す方、TOEICの点数は高いのに話せない方、海外経験があるのに会話へ自信を持てない方、英語コーチングで大量の課題に疲れた方など、さまざまな学習者と出会ってきました。
そこで繰り返し感じるのは、真面目な人ほど、自分の努力不足を疑いやすいということです。
課題が多ければ、できない自分を責める。英会話で言葉が出なければ、単語不足だと思う。聞き取れなければ、シャドーイングの回数を増やす。
けれど、本当に確認したいのは、量の前に次の点です。
- 自分が英語を使いたい場面は明確か
- 知っている単語が、その場面と結びついているか
- 短い主語・動詞の骨格を前から出せるか
- 文字で知っている言葉を、実際の音で認識できるか
- 会話で詰まった表現を、直して再利用しているか
これらが分断されたままなら、努力量だけを増やしても、同じ場所で止まり続けることがあります。
be:RIZEを「努力を管理する場所」にしなかった理由
英語コーチングというと、毎日の学習時間を報告し、厳しく進捗を管理してもらうサービスを想像する方もいるでしょう。
管理が役立つ人もいます。しかし、僕は学習者を一律の時間割へ押し込むことが、コーチングの中心だとは考えていません。
仕事、家庭、体調、過去の学習歴、目標、得意・不得意は、人によって異なります。
必要なのは、「もっと頑張ってください」と言うことではなく、今どこで英語の処理が止まり、何をどの順番でつなげれば動き始めるのかを一緒に見ることです。
独学で進められるなら、無理にコーチングを受ける必要はありません。自分で課題を分け、調整し、実際の会話へつなげられるなら、それが一番です。
一方、何度も同じ場所で止まる、自分のボトルネックが分からない、教材が増える一方になっている。そのようなときには、第三者と一緒に学習を整理する価値があります。
英語で何度挫折しても、再開地点はゼロではない
学習を途中でやめると、「また続かなかった」「すべて無駄になった」と感じるかもしれません。
でも、実際にはゼロへ戻っていません。
- 見覚えのある単語が増えた
- 以前より文の構造が分かる
- 自分が続かない条件を知った
- 難しすぎる教材を見分けられる
- どんな場面で英語を使いたいかが見えてきた
これらも学習の蓄積です。
大切なのは、過去の方法をそのままもう一度始めることではありません。前回どこで止まったのかを見て、次はもっと小さく、具体的な場所から再開することです。
英語の独学が続かない理由|意志より先に見直したい学習設計でも、再開しやすい学び方を紹介しています。
僕の経験とメソッドをまとめた2冊
英語ができなかった時期、7年間の迷走、その後の学び直し、約20年の指導経験から見えてきたことを、2冊の本にまとめました。
まとめ|英語ができなかった過去は、今の指導の出発点になった
中学で英語が学年最下位になり、大学で再履修し、英会話教室も1か月で挫折しました。教材を買っては止まる迷走も、約7年間続きました。
当時は、そのすべてを「自分には英語の才能がない証拠」だと思っていました。
しかし今振り返ると、その経験があったからこそ、学習者へ簡単に「努力が足りない」と言わずに済んでいます。
必要なのは、できない自分を責めることではありません。
何を知っていて、どこで処理が止まり、どの場面からつなぎ直せばよいのかを見ることです。
英語学習で何度止まっても、再開地点はゼロではありません。
過去の学習を材料にして、今度は自分に合う順番で始め直すことができます。
これまでの英語学習を、一度一緒に整理してみませんか?
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