単数のthey(singular they)とは、性別が分からない人、性別を特定する必要がない人、または本人がtheyを代名詞として使う人を、they / them / theirで受ける用法です。theyは学校では「彼ら・彼女ら」と習いますが、実際の英語では1人を指す場合にも使われます。
- Someone left their umbrella.
誰かが傘を忘れました。 - If a customer calls, tell them I’ll call back.
お客様から電話があったら、折り返すと伝えてください。 - Everyone should bring their ID.
全員、身分証明書を持参してください。
これらの文でsomeone、a customer、everyoneが表すのは、それぞれ文法上は1人です。それでも、性別を決めずに自然に受けるためにtheyを使います。この記事では、単数のtheyが必要な理由、動詞の形、he or sheとの違い、themself / themselvesまで整理します。
しゅみすけ(大山俊輔)
「1人なのにthey?」と考えると不思議ですが、英語は昔から、相手が男性か女性か分からない場面でtheyを使ってきました。大切なのは人数よりも、「性別を決めずにその人を受ける」という働きです。
単数のtheyとは?

単数のtheyは、特定の1人または不特定の1人を、性別を限定せずに指す代名詞です。形は複数のtheyと同じです。
| 役割 | 形 | 例 |
|---|---|---|
| 主格 | they | They are here. |
| 目的格 | them | I called them. |
| 所有格 | their | This is their bag. |
| 所有代名詞 | theirs | The bag is theirs. |
| 再帰形 | themselves / themself | They did it themselves. |
theyが誰を指すかは文脈で判断します。複数なら「その人たち」、単数なら「その人」です。英語の人称代名詞全体は、英語の代名詞一覧|I・my・me・mineの違いで確認できます。
なぜ1人をtheyで受けるのか
話している時点で、その人の性別が分からないことは珍しくありません。玄関に傘が残っている、電話がかかってきた、応募者について一般論を話す。このような場面でheかsheのどちらかを選ぶと、話し手が知らない情報まで勝手に決めることになります。
- Someone is at the door. Ask them what they need.
誰かが玄関にいます。何の用か尋ねてください。 - A student forgot their notebook.
ある生徒がノートを忘れました。 - Whoever wins will receive their prize tomorrow.
勝った人は明日賞品を受け取ります。
単数のtheyは「男性か女性かをぼかす特別な言い方」というより、分からない情報を無理に足さず、その人をそのまま受けるための自然な道具です。
someone・anyone・everyoneの後ろでよく使う
someone、anyone、everyone、no oneなどは、文法上は単数扱いです。そのため、直後の動詞はis / has / wantsになります。しかし、あとからその人を受ける代名詞には単数のtheyを使えます。
- Someone has left their phone.
誰かが携帯電話を置き忘れています。 - Does anyone know what they want?
自分が何を望んでいるか分かっている人はいますか。 - Everyone is responsible for their own work.
全員が自分の仕事に責任を持ちます。 - No one said they were unhappy.
不満だと言った人はいませんでした。
Everyone areにはなりません。everyoneを主語にする最初の動詞は単数形、後ろで受けたtheyに続く動詞は複数形と同じ形です。不定代名詞の仕組みは、someone・anyone・everyone・no oneの違いで詳しく整理しています。
1人を指しても動詞はthey are・they have
単数のtheyが指す人数は1人でも、文法上の動詞の形は従来のtheyと同じです。現在形ではare / have / do / workを使い、is / has / does / worksにはしません。
| 正しい形 | 避ける形 |
|---|---|
| They are ready. | They is ready. |
| They have a question. | They has a question. |
| They work here. | They works here. |
| Do they know? | Does they know? |
これは単数のyouと同じ考え方です。目の前の相手が1人でもYou areであり、You isにはなりません。代名詞が持つ文法上の形を保ったまま、文脈では1人を指します。主語に動詞を合わせる基本は、主語と動詞の一致も参照してください。
he or sheとの違い
| 表現 | 特徴 | 使われ方 |
|---|---|---|
| they | 短く自然で、性別を限定しない | 会話・文章とも広く使う |
| he or she | 男女を明示するため長くなりやすい | 規程・古い教科書・形式的な文で見かける |
| he | 男性を前提にする | 性別が分かる男性を指す場合 |
| she | 女性を前提にする | 性別が分かる女性を指す場合 |
Each employee must submit his or her report.は文法的に可能ですが、繰り返すと重くなります。現在はEach employee must submit their report.のほうが簡潔で自然です。
- If a guest has a question, he or she can ask the staff.
- If a guest has a question, they can ask the staff.
お客様に質問があれば、スタッフに尋ねられます。
ただし、特定の人がheまたはsheを使うと分かっているなら、その人の代名詞を使います。単数のtheyは、性別が不明な場面だけでなく、本人がtheyを自分の代名詞として選んでいる場合にも使われます。
特定の1人を指すthey
単数のtheyには、大きく分けて2つの場面があります。
- 性別が分からない・重要ではない:Someone called, but they didn’t leave a name.
- 特定の本人がtheyを使う:Alex said they would join us later.
後者では、Alexという特定の1人をtheyで受けています。本人の使う代名詞が分かっている場合は、それに合わせるのが基本です。人名だけでは性別や代名詞を判断できないこともあるため、推測で決めないほうが安全です。
themselfとthemselvesはどちらを使う?
単数のtheyに対応する再帰形には、themselvesとthemselfの両方が見られます。
- Each person should introduce themselves.
一人ずつ自己紹介してください。 - Alex introduced themself.
アレックスは自己紹介しました。
themselvesは伝統的で広く定着しており、不特定の1人を受ける場合にも安心して使えます。themselfは「1人であること」を形にも反映する語として使われ、特定の人が単数のtheyを使う文脈で特に見られます。迷ったらthemselvesを選べば、多くの場面で自然です。再帰代名詞全体については、myself・yourselfなど再帰代名詞の使い方をご覧ください。
しゅみすけ(大山俊輔)
単数のtheyを使うときも、難しい新しい活用を覚える必要はありません。they・them・theirと動詞の形は、複数のtheyと同じ。変わるのは文脈上の人数だけです。
単数のtheyでよくある間違い
- 1人だからisにする:They isではなくThey are
- everyoneにareを合わせる:Everyone areではなくEveryone is
- theirを必ず「彼らの」と訳す:文脈によっては「その人の」「自分の」
- 性別が不明なのにheで代表させる:現代の一般的な英語ではtheyが自然
- itで人を受ける:通常、人にはtheyを使い、itは使わない
会話で使いやすい単数のtheyの例文
- Someone left their keys on the table.
誰かがテーブルに鍵を忘れています。 - If anyone asks, tell them I’m in a meeting.
誰かに聞かれたら、会議中だと伝えてください。 - A customer said they couldn’t log in.
あるお客様がログインできないと言っていました。 - Every applicant should check their email.
応募者は全員、メールを確認してください。 - I don’t know who called, but they sounded worried.
誰が電話してきたか分かりませんが、心配そうな声でした。 - Ask the next person what they ordered.
次の人に何を注文したか尋ねてください。
中学英語で言い換えるなら
単数のtheyがまだ口から出にくい場合は、文そのものを複数形にすると簡単です。
- Each student should bring their book.
→ All students should bring their books. - If a customer calls, ask them to wait.
→ If customers call, ask them to wait. - Everyone has their own opinion.
→ We all have our own opinions.
ただし、実際の会話ではSomeone called. They’ll call again.のような単数のtheyは非常によく使われます。避け続けるより、まずsomeone → theyをひとかたまりで覚えるのがおすすめです。
理解チェック
- Someone left(his / their)umbrella.
- Everyone(is / are)ready.
- If a customer calls, tell(him or her / them)I’ll call back.
- Jordan said(they is / they are)busy.
答え:1. their 2. is 3. them 4. they are。2では主語がeveryoneなのでis、4では主語がtheyなので、1人を指していてもareです。
まとめ|単数のtheyは「性別を決めずに1人を受ける」
- 単数のtheyは、性別が不明・不要な1人や、本人がtheyを使う人を指す
- 形はthey / them / their / theirs
- 1人を指しても動詞はthey are / they have / they work
- everyoneなど直後の動詞は単数形、後ろで受けるtheyの動詞は複数形と同じ
- he or sheより短く、現在の会話・文章で自然
- 再帰形はthemselvesが広く使われ、themselfも使われる
単数のtheyは例外的な暗記項目ではありません。「その人について性別を決める情報がないなら、theyで受ける」と考えるとすっきりします。まずはSomeone left their bag.とIf anyone calls, tell them …の2つから会話へ入れてみてください。
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1人を受ける単数のtheyとは別に、世間の人や不特定の集団をぼんやり指すtheyは、一般の人を表すyou・they・oneの違いで比較しています。






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