英語の電話がかかってくると、普段なら知っているはずの単語まで聞き取れず、頭が真っ白になることがあります。
対面やオンライン会議なら相手の表情、口元、画面、資料を見られます。しかし電話では、音声だけを頼りに「誰が」「何のために」「誰へ」電話しているかを短時間で判断しなければなりません。
相手の名前が聞こえない。会社名を何度聞いてもわからない。用件を理解できないまま担当者へつないでしまう。数字やメールアドレスを間違えそうで怖い——。
このような場面で必要なのは、相手の英語を最初から最後まで一度で聞き取ることではありません。最低限、次の5点を確認することです。
- 相手の名前
- 会社・所属
- 電話の相手または用件
- 重要な数字・日時・連絡先
- 次に何をするか
聞き取れない部分は、全体を繰り返してもらうだけでなく、名前、数字、用件などへ範囲を絞って確認します。対応が難しければ、折り返しやメールへ切り替えて構いません。
この記事では、英語の電話が聞き取れない社会人に向けて、電話が難しい理由、受電時の基本手順、最低限準備したい表現、聞き取れないときの対処法、練習方法を解説します。
英語の電話が対面会話より聞き取りにくい5つの理由
1. 表情・口元・ジェスチャーが見えない
私たちは会話を音だけで理解しているわけではありません。相手が指している資料、表情、話題、周囲の状況も使って意味を予測しています。
電話では視覚情報がなく、音質も一定ではありません。回線の状態やスピーカーの性能によって一部の音が弱くなると、知っている単語でも別の音に聞こえることがあります。
2. 電話の冒頭は固有名詞が続く
電話の最初には、相手の名前、会社名、部署名、担当者名が続きます。固有名詞は単語帳で覚えた語彙から予測しにくく、一音聞き逃すと全体がわからなくなりやすい情報です。
さらに、相手が自分の名前や会社名を日常的に言い慣れているほど、速く滑らかに発音されることがあります。
3. 心の準備がないまま会話が始まる
予定された会議なら、参加者と議題を事前に確認できます。一方、突然の電話は相手も用件もわかりません。
英語だと気づいた瞬間に「聞き取らなければ」と焦り、最初の一文を理解できないまま次の情報が入ってくることがあります。
4. 一語聞き逃すと前の内容を考え続ける
聞こえなかった単語を頭の中で探している間にも、相手は話し続けます。その結果、次の部分まで聞き逃します。
電話では、すべてを記憶しようとせず、名前・会社・用件・数字・次の行動という枠へ情報を入れます。取れなかった部分は後から確認します。
5. 聞き返すことを失礼だと思っている
内容が曖昧なまま電話をつなぐ、間違った日時を記録する、別のメールアドレスへ情報を送る方が仕事上の問題になります。
聞き返しは失敗ではありません。業務情報を正しく扱うための確認です。
教材の英語は聞けるのに実際の会話が難しい方は、教材の英語は聞けるのにネイティブ英語が聞き取れない7つの理由も参考になります。
結論:英語電話は5項目を順番に確認する
電話が鳴ったら、メモに次の五つの欄を作ります。
| 確認項目 | 記録する内容 | 確認の目的 |
|---|---|---|
| Name | 相手の名前とスペル | 誰からの電話か特定する |
| Company | 会社・部署 | 関係先を確認する |
| Purpose | 担当者名または用件 | 誰が対応するか判断する |
| Details | 日時、番号、金額、メール | 重要情報を間違えない |
| Next step | 転送、折り返し、伝言、メール | 電話後の行動を決める |
相手の説明を一度ですべて理解できなくても、この五つを確認できれば次へつなげられます。
たとえば、用件の細部がわからなくても「ABC社のJohn Millerさんから、契約書について田中さんへ電話。今日中の折り返しを希望」と記録できれば、担当者へ共有できます。
電話に出るときの基本表現
会社の電話対応ルールがある場合は、その表現を優先してください。一般的には、会社名・自分の名前を伝えて電話に出ます。
Good morning. ABC Corporation. This is Yuki speaking. How may I help you?
(おはようございます。ABC社の由紀です。ご用件をお伺いします。)
短くするなら次でも構いません。
ABC Corporation. Yuki speaking.
(ABC社、由紀です。)
相手の話が始まったら、すべてを書き取ろうとせず、まず名前・会社・相手が話したい人を取ります。
相手の名前を確認する
- May I have your name, please?(お名前を伺えますか)
- Could you tell me your name again?(もう一度お名前を教えていただけますか)
- Could you spell your last name, please?(姓のスペルを教えていただけますか)
会社名・所属を確認する
- May I ask which company you’re calling from?(どちらの会社からお電話ですか)
- Which department are you with?(どちらの部署ですか)
- Could you repeat the company name, please?(会社名をもう一度お願いできますか)
誰への電話か確認する
- Who would you like to speak to?(誰におつなぎしましょうか)
- Are you calling for Mr. Tanaka?(田中へのお電話ですか)
- Which Tanaka are you trying to reach?(どちらの田中へお電話ですか)
日本語では敬称の扱いが複雑ですが、社内ルールに従い、英語では名前を明確に確認することを優先します。
聞き取れないときの表現は「何が不明か」で使い分ける
「もう一度お願いします」だけを繰り返すより、聞き取れなかった範囲を狭めます。
全体をもう一度聞きたい
- Could you say that again, please?(もう一度お願いできますか)
- I’m sorry, I didn’t catch that.(すみません、聞き取れませんでした)
ゆっくり話してほしい
- Could you speak a little more slowly, please?(もう少しゆっくり話していただけますか)
- Could you slow down a little?(少しゆっくりお願いできますか)
一部分だけ確認したい
- Did you say Tuesday or Thursday?(火曜日ですか、木曜日ですか)
- Was that fifteen or fifty?(15ですか、50ですか)
- Did you say the sales department?(営業部とおっしゃいましたか)
- Is that M as in Mike?(MikeのMですか)
選択肢を示すと、相手はYes / Noや一語で答えられます。自分がどこまで理解しているかも伝わります。
電話の音が悪いと伝える
- The line is not very clear.(回線があまり明瞭ではありません)
- You’re breaking up.(音声が途切れています)
- I can barely hear you.(ほとんど聞こえません)
- Could you call back in a few minutes?(数分後にかけ直していただけますか)
聞き取れない原因が回線なら、英語力だけで解決しようとしません。静かな場所へ移る、ヘッドセットを変える、かけ直すといった物理的な対処も必要です。

数字・日時・メールアドレスを間違えない確認方法
電話で特に間違えやすいのが数字、日付、名前のスペル、メールアドレスです。一度聞いて終わらず、復唱します。
電話番号を復唱する
Let me read that back to you. It’s 03-1234-5678, correct?
(復唱します。03-1234-5678で合っていますか。)
日時を確認する
Just to confirm, the meeting is at 3 p.m. Japan time on Thursday, July 30, correct?
(確認ですが、会議は日本時間7月30日木曜日の午後3時ですね。)
時間にはタイムゾーンを付けます。「午後3時」だけでは、相手の所在地によって解釈が変わることがあります。
メールアドレスを確認する
Could you spell the email address for me?
(メールアドレスのスペルを教えていただけますか。)Let me confirm: j.miller@example.com. Is that correct?
(確認します。j.miller@example.comで合っていますか。)
アルファベットが聞き分けにくい場合は、相手の表現をまねて確認します。
- B as in Bravo
- D as in Delta
- M as in Mike
- N as in November
- P as in Papa
- T as in Tango
すべての通話で本格的な通話表を使う必要はありません。混同しやすい文字だけ「M as in Mike」のように確認できれば十分です。
担当者へ電話をつなぐ表現
担当者を確認する
- One moment, please. I’ll check if she is available.(少々お待ちください。在席しているか確認します)
- May I put you on hold?(保留にしてもよろしいですか)
- I’ll transfer your call.(お電話をおつなぎします)
- Please hold while I transfer you.(おつなぎしますので、そのままお待ちください)
保留にする前に一言確認し、長く待たせる場合は途中で状況を伝えます。
担当者が不在の場合
- I’m afraid she is not available right now.(申し訳ありませんが、ただいま対応できません)
- He is away from his desk at the moment.(ただいま席を外しています)
- She is in a meeting until 3 p.m.(午後3時まで会議中です)
- Would you like to leave a message?(伝言を承りましょうか)
- Would you like him to call you back?(折り返しお電話しましょうか)
日本語の「外出中」「休暇中」「会議中」をどこまで伝えるかは、会社の情報管理ルールに従います。詳細を言わず、not available right nowとする方がよいケースもあります。
用件が理解できないときの対処法
相手の名前と会社は取れたものの、用件が理解できないことがあります。その場合は、要点を一文で言い直してもらいます。
- Could you briefly tell me what this is regarding?(どのようなご用件か簡単に教えていただけますか)
- Is this about the contract we sent yesterday?(昨日送った契約書についてですか)
- Are you calling about the delivery schedule?(納期についてのお電話ですか)
相手の話が長い場合は、確認できた部分を先に言います。
If I understand correctly, you’re calling about a problem with the latest order. Is that right?
(正しく理解できていれば、最新の注文に関する問題についてのお電話ですね。)
それでも正確に理解できない場合は、曖昧なまま処理せず、別の手段へ切り替えます。
- Could you send us the details by email?(詳細をメールで送っていただけますか)
- Let me ask the person in charge to call you back.(担当者から折り返しご連絡します)
- Could I take your number and have someone call you back?(番号を伺い、担当から折り返してもよろしいですか)
メールへ切り替えることは逃げではありません。契約、金額、仕様、日時など、文字で確認した方が安全な情報があります。
電話を切る前に「次の行動」を確認する
通話内容を理解していても、最後の行動が曖昧だと仕事が進みません。電話を切る前に、誰が・何を・いつまでに行うかを確認します。
Let me confirm the next steps.
(次の行動を確認させてください。)You will send the revised document today, and Mr. Tanaka will call you tomorrow morning. Is that correct?
(本日、修正版を送っていただき、田中が明日の午前中にお電話する、ということで合っていますか。)
最後には次のように締めます。
- Thank you for calling.(お電話ありがとうございました)
- I’ll make sure she gets your message.(必ず伝言をお伝えします)
- We’ll get back to you by tomorrow.(明日までにご連絡します)
- Have a good day.(よい一日を)
英語電話のメモテンプレート
電話の近くに次のテンプレートを置くと、焦ったときにも確認順を戻せます。
| 項目 | メモ |
|---|---|
| Date / Time | 受電日時 |
| Name | 氏名・スペル |
| Company / Department | 会社・部署 |
| For | 誰への電話か |
| Purpose | 用件 |
| Phone / Email | 折り返し先 |
| Deadline | 希望日時・期限 |
| Next step | 転送・折り返し・伝言・メール |
この項目を英語のまま置いておくと、聞いた情報を日本語の完成文へ訳さず、直接該当欄へ記録できます。
英語電話を練習する5ステップ
ステップ1:自社の電話場面を三つ選ぶ
一般的な電話英会話をすべて練習するのではなく、実際によくある場面を選びます。
- 担当者への取り次ぎ
- 不在時の伝言
- 日程変更
- 注文・納期の確認
- 顧客からの問い合わせ
ステップ2:確認項目と表現を一枚にする
名前・会社・用件・詳細・次の行動の欄と、自分が使う聞き返し表現を置きます。フレーズを50個並べず、各状況で一つか二つに絞ります。
ステップ3:相手の名前・数字だけを聞き取る
固有名詞、電話番号、日時、メールアドレスを聞いて復唱する練習をします。全文理解より先に、間違えると影響が大きい情報を正確に取ります。
ステップ4:台本ありから台本なしへ移る
最初は双方の台本を見て練習します。次に自分の表現だけを見て、最後はメモ欄だけで対応します。
ステップ5:音質と話し方を変える
同じ相手、同じ速度、同じ台本だけでは本番との差が残ります。質問の順番、名前、数字、話す速度を変えます。可能なら音声だけの通話で練習し、画面を見ない状態にも慣れます。
オンライン英会話を使うなら、フリートークではなく「会社へ電話し、担当者が不在なので伝言を残す」といった役割を指定してください。
リスニング学習だけで電話対応は伸びる?
英語の音を聞き分ける練習は役立ちます。ただし、ニュースや教材を聞き流すだけでは、電話で必要な確認動作が身につかないことがあります。
電話対応には次の三つが必要です。
- 音から名前・数字・用件を取る
- 不明な箇所をその場で確認する
- 情報を記録し、次の行動へつなぐ
聞き取りの土台に課題がある場合は、短い電話音声を使い、音声、英文、意味を照合します。そのうえで、同じ内容を役割練習に変えます。
長い英語になると内容を保持できない方は、長い英語になると聞き取れない人の「足し算リスニング」も参考にしてください。
独学で十分な人と、サポートが役立つ人
職場で受ける電話の種類が限られており、台本とメモ欄を作り、同僚やオンライン英会話で役割練習できるなら、独学でも準備できます。
最近は電話を使わず、メールやチャットで対応できる業務もあります。会社として電話対応の必要性が低いなら、英語電話を広く学ぶより、実際に使う会議やメールを優先した方がよい場合もあります。
一方、次の状態が続くなら第三者との練習が役立つことがあります。
- 何が聞き取れないのか自分で特定できない
- 聞き返しても、返ってきた英語を再び聞き取れない
- 数字・日時・固有名詞を繰り返し間違える
- 想定外の用件で会話が止まる
- 重要顧客から英語電話を受ける期限が迫っている
この場合も、長期の英語コーチングが必須とは限りません。職場の英語話者にロールプレイを頼む、電話対応だけ数回講師と練習する、実際の失敗場面を一度分析してもらう方法があります。
仕事の英語に対する支援の選び方は、仕事の英語にコーチングは効果がある?目的別の考え方も判断材料になります。
英語電話を含め、仕事で困る場面の優先順位を整理したい方へ
be:RIZEでは、一般的なビジネス英語を広く学ぶ前に、実際の電話、会議、商談、メールなど、英語が必要な場面と期限を確認します。
電話対応が最優先なのか、聞き取りの土台へ戻るべきか、台本とロールプレイで十分なのかを整理し、目的に合う学習方法を考えます。独学やオンライン英会話で十分な場合も含め、必要な支援との相性を重視しています。
まとめ:英語電話は、全部聞くより確認して次へつなぐ
英語の電話が聞き取れないとき、相手の話を最初から最後まで一度で理解しようとする必要はありません。
最低限、次の五つを確認します。
- 相手の名前
- 会社・所属
- 電話の相手または用件
- 数字・日時・連絡先
- 転送、折り返し、伝言、メールなど次の行動
聞き取れないときは、全体を何度も繰り返してもらうだけでなく、「火曜日ですか、木曜日ですか」「契約書についてですか」のように範囲を絞って確認します。
正確さが必要な情報は復唱し、電話で処理しにくい内容は折り返しやメールへ切り替えます。電話対応の目的は、英語力を証明することではありません。必要な情報を守り、適切な担当者と次の行動へつなぐことです。
まず、職場で最も多い英語電話の場面を一つ選んでください。名前・会社・用件・詳細・次の行動のメモ欄と、聞き返し表現を二つ準備する。ここから始めれば、突然の電話にも確認する順番を持って対応できます。



