英単語を覚えようと思うと、多くの人はまず単語帳を開き、「一日何個覚えるか」「何周すればよいか」を考えます。ところが、大人の英語学習では、覚えた単語の数がそのまま会話力になるとは限りません。
英単語をたくさん知っているのに、会話になると言葉が出てこない。中学英語の単語ばかりなのに、ネイティブの話が聞き取れない。単語帳では意味が分かるのに、文章の中では迷ってしまう。このような悩みは、語彙力が足りないことだけでなく、単語の選び方と覚え方が「実際に使う場面」から離れていることでも起こります。
大人が英会話で使える語彙を増やすには、難しい単語を際限なく追加する前に、すでに習った基本動詞・前置詞・助動詞などを、音・場面・語順と結び直すことが大切です。この記事では、英単語を「知っている」状態から「聞いて分かり、自分でも使える」状態へ変えるための考え方と学習順を整理します。
こんにちは、しゅみすけ(大山俊輔)です。「英単語を覚えているのに、なぜ話せないのだろう」「もう少し語彙を増やせば、聞けるようになるのだろうか」と感じて、このページにたどり着いた方も多いと思います。私自身、YouTubeや英語コーチングを通じて、同じ悩みを持つ大人の学習者を数多く見てきました。必要なのは、単語力がないと決めつけて、さらに暗記量を増やすこととは限りません。まず、すでに知っている単語がどのような状態で頭に入っているかを一緒に確認していきましょう。
英単語学習で最初に決めるのは「何語覚えるか」ではない
英単語学習の出発点は、目標語彙数ではなく、英語を使いたい場面です。
- 海外旅行で、ホテルやレストランのやり取りをしたい
- 外国人の同僚と、仕事の進捗や意見を短く伝えたい
- 海外ドラマやYouTubeを、字幕への依存を減らして楽しみたい
- 英会話レッスンで、自分の日常や考えを話したい
必要な単語は、使いたい場面によって変わります。旅行で必要な語彙と、会議で必要な語彙は同じではありません。また、どちらの場面でも、難しい名詞だけを集めれば会話が成立するわけではありません。
会話を動かすのは、have、get、take、makeのような基本動詞、on、in、at、toのような関係を示す語、can、will、would、shouldのような話し手の判断を加える語です。まず自分の場面を決め、その場面で繰り返し使う小さな単語から整えるほうが、学習した内容を実践へ移しやすくなります。
英単語を覚えても話せない3つの理由
理由1|英単語と日本語訳を一対一で覚えている
学校では、have=持つ、get=得る、on=〜の上、can=できる、という形で英単語を覚えることが多いでしょう。この対応は入口として役立ちますが、一つの日本語訳だけでは実際の使い方を説明しきれません。
I have a problem. のhaveは、問題を手で「持つ」ことではありません。I got tired. のgetも、疲れを「得る」ことではありません。単語の中心にある感覚を捉えず、使い方ごとに日本語訳を増やしていくと、知識は増えても会話中の判断は重くなります。
多義語をばらばらに覚えず一本につなげる考え方は、英会話で重要なコア単語とは?で詳しく解説しています。
理由2|文字だけで覚え、音と場面が結びついていない
単語帳を見れば分かるのに、リスニングでは聞き取れないことがあります。これは、文字の形と日本語訳は登録されていても、実際の音や使われる場面とのつながりが弱いためです。
英単語は単独で発音されるときと、文の中で弱く・短く発音されるときがあります。特に前置詞や助動詞などの短い語は、会話では強く読まれないことも少なくありません。スペルを覚えるだけでなく、短い文の音声を聞き、誰がどのような状況で使っているかまで確認する必要があります。
理由3|思い出す練習はしても、選んで使う練習をしていない
日本語を見て英単語を答える練習は、記憶の確認にはなります。しかし実際の会話では、完成した日本語に対応する一語を探すのではなく、目の前の場面から「誰が・どう動くか」「どのような関係か」「自分はどう判断しているか」を選びます。
英単語を使えるようにするには、クイズの正解を思い出すだけでなく、自分の話を短い英文にして、同じ単語を異なる場面で何度も選ぶ必要があります。詳しくは、英単語を覚えても話せない理由も参考にしてください。
大人の英会話で最初に覚え直したい「コア単語」
英会話の土台として優先したいのは、長く難しい単語よりも、短く、頻繁に使われ、組み合わせによって意味が広がる単語です。be:RIZEでは、特に基本動詞・前置詞・助動詞を「コア単語」として重視しています。
| 領域 | 会話での役割 | 代表例 |
|---|---|---|
| 基本動詞 | 人や物の動き・状態・変化を描く | have / get / take / make |
| 前置詞 | 位置・方向・時間・関係を描く | on / in / at / to / for |
| 助動詞 | 可能性・意志・距離・確信・圧を加える | can / will / would / should |
| 句動詞 | 基本動詞と小さな語を組み合わせて動きを広げる | get up / put on / take off |
基本動詞|少ない単語で多くの場面を描く
基本動詞は、会話の骨格を作ります。難しい動詞を場面ごとに覚えるより、have、get、take、makeなどの中心感覚を理解し、名詞・形容詞・前置詞と組み合わせるほうが、少ない語彙で表現を広げられます。
まずは英語の基本動詞とは?で全体像を確認し、練習するときは基本動詞の覚え方5ステップへ進んでください。
前置詞|日本語訳ではなく、小さな地図として捉える
前置詞は、人・物・時間・出来事の関係を示します。onを「〜の上」、inを「〜の中」とだけ覚えると、on TVやin troubleで迷います。接触、境界の内側、一点、到達など、位置関係のイメージで理解すると、物理的な場所から抽象的な表現までつながります。
主要な前置詞と比較記事は、英語の前置詞一覧にまとめています。
助動詞|出来事ではなく、話し手の気持ちを聞く
助動詞は、出来事そのものよりも、話し手がそれをどの程度現実的だと見ているか、どれほど強く伝えているかを示します。can=できる、must=〜しなければならない、という訳語だけでなく、可能性・心理的距離・確信度・圧を感じることが重要です。
can、could、will、would、must、shouldなどの関係は、英語の助動詞コアイメージ一覧から確認できます。
句動詞|丸暗記ではなく、二つのイメージを重ねる
句動詞は、基本動詞と前置詞・副詞の組み合わせです。たとえば、takeとoffを別々に理解していれば、take offを完全に無関係な新語として覚える負担が減ります。会話でよく使う組み合わせは、英語の句動詞とは?から学べます。
英単語を会話で使える状態にする5ステップ
ステップ1|自分が使う場面から単語を選ぶ
単語帳の最初から順番に覚える前に、今月英語を使いたい場面を一つ決めます。自己紹介、仕事の説明、旅行、趣味など、場面が具体的であるほど必要語彙を絞れます。
一度に選ぶ単語は多くなくて構いません。基本動詞3〜5語、前置詞や助動詞を数語、場面に必要な名詞・形容詞を加えるだけでも、短い会話は作れます。
ステップ2|一つの訳ではなく、中心の感覚をつかむ
辞書に並ぶ訳語をすべて覚えるのではなく、例文の共通点を見つけます。図や場面を見ながら、「この単語は何をどう捉えているのか」を自分の言葉で短く説明してみましょう。
ステップ3|短い文の音声と一緒に覚える
単語単体の発音だけでなく、実際に使われる短い文を聞きます。最初は文字を見ながらでも構いません。その後、文字を閉じて音声を聞き、場面が浮かぶか確認します。
ステップ4|例文を自分の話へ書き換える
I have a meeting today.を覚えたら、meetingだけを入れ替えるのではなく、I have time.、I have a question.、I have a problem.のように、自分が実際に言いそうな場面へ広げます。
完全な日本語文を先に作らず、主語+動詞の短い骨格から始めることがポイントです。
ステップ5|間隔を空けて、何も見ずに使う
覚えた直後に言えるだけでは、長期記憶になったとは限りません。翌日、数日後、一週間後に、単語帳を見ずに同じ場面を話します。思い出せなかった語だけを確認し、もう一度短い文で使います。
「忘れた=失敗」ではありません。忘れかけたときに思い出す過程が、記憶を強くします。英単語が定着しない悩みは、英単語が覚えられない大人へでも整理しています。
語源・形容詞・副詞はどう学べばよい?
コア単語だけで、すべての語彙を賄えるわけではありません。リーディングや仕事では、初めて見る語や抽象語にも出会います。そこで役立つのが語源です。
接頭辞・語根・接尾辞に分けると、長い単語を意味のある部品として捉えられます。ただし、語源はすべての意味を正確に当てる魔法ではありません。丸暗記を減らし、似た単語の関係を見つける補助線として使いましょう。学び方は英語の語源とは?にまとめています。
形容詞と副詞は、単語の意味だけでなく「どこに置き、何を説明するか」と一緒に学ぶことが重要です。名詞・形容詞・副詞の基本的な置き場所は、英語の品詞を置き場所で理解するで確認できます。
単語帳を使うなら「終わらせる」より「使い切る」
単語帳そのものが悪いわけではありません。必要な語彙をまとめて確認でき、復習の間隔も管理しやすい教材です。ただし、掲載語をすべて同じ深さで覚える必要はありません。
- 見て意味が分かればよい語:読解や聞き取りのための受容語彙
- 自分でも使いたい語:会話や作文のための発信語彙
- 今は後回しにする語:現在の目的や場面から離れている語
この三つを分けると、すべてを完璧に覚えようとする負担が減ります。発信語彙に選んだものだけは、音声・場面・語順・自分の例文まで確認します。単語帳を一周する速さより、必要な語を実際に使える状態へ変えたかを基準にしましょう。
筆者・大山俊輔(しゅみすけ)が「まず口語から」と考える理由
この記事を執筆している大山俊輔(しゅみすけ)は、約20年にわたり大人の英語学習とコーチングに携わり、YouTubeでも基本動詞・前置詞・助動詞・リスニングなどを解説しています。基本語をコアイメージから捉える動画には、数十万回再生されたものもあります。
しゅみすけのYouTube教材|コア単語をまとめて学びたい方へ
- 【教材級】英会話の9割がわかる基本動詞Top55
have・get・takeなどをコアイメージで体系化した総集編。2026年7月時点で58万回以上再生されています。 - 【完全解説】最頻出の英語の前置詞Top50
on・in・at・to・forなどを、位置と方向のイメージから整理した4時間超の教材です。2026年7月時点で17万回以上再生されています。 - 【完全版】助動詞・準助動詞コアイメージ総集編
can・could・will・would・must・shouldから、have to・be going toなどまで、距離感・確信度・圧で整理しています。
記事で全体像を確認したあと、耳と場面を使って学び直したい方は、必要な領域の動画を教材としてご活用ください。
多くの学習者を見てきて感じるのは、英語が話せない原因を「難しい単語を知らないから」と考え、さらに語彙を増やそうとする人が少なくないことです。しかし実際には、すでに知っている中学レベルの単語を、日本語訳を経由せず、音と場面から使えるようにすることが先になる場合があります。
語彙を増やすことは必要です。ただし、口語で頻繁に使う単語の処理が自動化されていないまま難語を重ねると、「知識は増えたのに話せない」という差が広がることがあります。まず日常的な場面を短い英語で組み立てられる土台を作り、その後、目的に応じて専門語や抽象語を足す。この順番を大切にしています。
まとめ|英単語は「数」より、使えるつながりを増やす
大人の英単語学習は、次の順番で進めます。
- 英語を使いたい場面を決める
- 基本動詞・前置詞・助動詞などのコア単語を優先する
- 日本語訳だけでなく、中心の感覚を理解する
- 単語を短い文の音声と場面に結びつける
- 自分の話へ書き換え、何も見ずに使う
- 語源や品詞を補助線として語彙を広げる
英単語を増やすことと、会話で使える語彙を育てることは同じではありません。難しい単語へ進む前に、すでに知っている基本語が、聞いた瞬間に場面として浮かび、自分の口から短い文で出てくるかを確認してください。
自分に必要な英単語と学習順を整理したい方へ
この記事の方法は、一人でも始められるようにまとめています。ただ、「今の自分は基本動詞から戻るべきか」「仕事に必要な語彙をどう絞るか」「覚えた単語をリスニングや会話へどうつなげるか」は、学習歴や目的によって変わります。
be:RIZEでは、代表の大山俊輔(しゅみすけ)自身がセッションを担当し、現在地・目的・生活に合わせて、単語、文法、リスニング、スピーキングの順番を整理しています。入会を前提にせず、面談で何を確認するのかを先に知りたい方は、be:RIZEの無料相談で行うことをご覧ください。サービス全体を確認したい方は、be:RIZE公式サイトから資料やサポート内容をご確認いただけます。



