英語のdownを見ると、多くの人は「下」と訳します。もちろん間違いではありません。ただ、slow down、calm down、break down、go down the streetまで「下」だけで理解しようとすると、それぞれ別の熟語に見えてしまいます。
downのコアイメージは、静止した「下の位置」ではなく、上から下へ向かう動きです。この下向きの矢印から、速度・音量・気持ちが下がる、活動レベルが下がって停止する、遠ざかって小さく見えるという意味までつながります。
downのコアイメージは「上から下へ向かう動き」
downを理解するときは、下にある点ではなく、上から下へ動く矢印を思い浮かべてください。
- 物理的に下へ動く:sit down、fall down
- 数値や程度が下がる:slow down、turn down
- 気持ちや興奮が落ち着く:calm down、settle down
- 活動レベルが下がって止まる:break down、shut down
- 遠ざかって小さく見える:go down the street
日本語でも「テンションがダウンする」「売上がダウンする」「ボリュームをダウンする」と言います。これらも単なる下の位置ではなく、以前より低い状態へ変化しています。私たちはカタカナの「ダウン」を通して、すでに英語の感覚をある程度知っているのです。
物理的に「下へ動く」down
sit down:腰を下ろす・座る
Please sit down.
どうぞお座りください。
sit downは、立った姿勢から身体を下げて椅子に収める動きです。sitだけでも「座っている・座る」を表せますが、downが加わると、立った状態から腰を下ろす変化がはっきりします。詳しくはsitのコアイメージも確認してみてください。
fall down:倒れる・転ぶ
Be careful not to fall down.
転ばないように気をつけてください。
fallの落ちる動きに、downの下向きの方向が重なっています。人なら立った位置から地面へ、物なら高い位置から低い位置へ移動します。
put down:下へ置く
Put the box down over there.
その箱を向こうに置いてください。
手に持っている物を低い位置へ移し、床や台の上に置く表現です。putのコアイメージである「ある場所・状態へ置く」と組み合わせると、動きが見えやすくなります。
数値・程度が「下がる」down
downは高さだけでなく、速度・温度・音量・価格・売上など、目盛りで表せるものにも使えます。グラフの線やメーターの針が下へ動くイメージです。
slow down:速度を落とす
The train is slowing down.
電車は速度を落としています。
速さのレベルが下がっていくためslow downです。「遅い」という静的な状態よりも、速かったものが減速している変化を感じさせます。反対はspeed upです。
turn down:音量・温度などを下げる
Could you turn down the music?
音楽の音量を下げてもらえますか?
つまみを回して音量のレベルを下げる表現です。turn down the heatなら暖房の設定を下げます。turnのコアイメージである「別の向き・状態へ切り替わる」とdownが組み合わさっています。
なお、turn down an offerは「提案を断る」です。提案を受け入れる候補から下ろす、価値や優先度を下げる感覚から「拒否する」へ意味が広がっています。
go down:価格・数値が下がる
Gas prices went down last month.
先月、ガソリン価格が下がりました。
グラフ上の数値が低い方へ移動しています。主語そのものの数値が下がるときはgo down、人が何かを下げるならbring down、lower、reduceなどが使われます。
気持ち・興奮が低い状態へ向かうdown
calm down:落ち着く・落ち着かせる
Take a deep breath and calm down.
深呼吸して落ち着いてください。
怒り・不安・興奮が高まった状態から、平常の低いレベルへ下がっていきます。日本語でも「気持ちを鎮める」と言うため、感覚を重ねやすい表現です。
settle down:落ち着く・腰を据える
It took the children a while to settle down.
子どもたちが落ち着くまで少し時間がかかりました。
動き回っている状態が静まり、一定の場所や状態へ収まる表現です。文脈によっては「定住する」「結婚して身を固める」という意味にもなります。ふわふわ動いていたものが下へ降り、安定する画を思い浮かべるとつながります。
活動レベルが下がって「止まる」down
機械やシステムが正常に動いている状態を高い活動レベルと考えると、downはそのレベルが落ちて、最後には停止するイメージにも広がります。
break down:故障する・機能しなくなる
My car broke down on the way to work.
通勤途中に車が故障しました。
正常に動いていた機械の機能が崩れ、活動レベルが下がって止まります。人についてbreak downと言えば、感情や体力が崩れて泣き出す、参ってしまうことも表します。
一方、break the problem downなら「問題を細かく分解する」です。大きなまとまりを小さな単位へ崩していくため、これもdownの方向性と無関係ではありません。
shut down:停止する・閉鎖する
The system will shut down automatically.
システムは自動的に停止します。
動いていた機械・システム・施設の活動をゼロまで下げて閉じます。パソコンの「シャットダウン」も、この感覚がそのまま日本語に入っています。
go down the streetは、なぜ「道を進む」なのか
Go down this street and turn right at the second corner.
この道を進み、2番目の角を右へ曲がってください。
ここで「坂を下る」と考える必要はありません。downには、話し手のいる地点から離れ、道に沿って先へ進む感覚があります。
目の前の人が一本道を遠ざかっていく場面を想像してください。距離が離れるにつれて、姿は少しずつ小さく見えます。しゅみすけの前置詞講義では、この「遠ざかって小さくなる画」からdown the streetを説明しています。
walk down the hallwayなら廊下を先へ歩く、drive down the roadなら道を車で進むという意味です。実際に高度が下がるとは限らず、道・廊下・川などの線に沿って先へ進むときに使われます。
write downは、なぜ「書き留める」なのか
Write down your ideas before you forget them.
忘れる前にアイデアを書き留めてください。
write downは、頭の中や会話の中にあった情報を紙・画面の上へ落とし、固定する感覚です。単に文字を書くwriteより、「記録として残す」ことに焦点があります。
同じように、note downはメモする、take downは書き留める・取り外すなど、上にあったものを手元の低い位置へ移す方向性が感じられます。
downとbelowの違い:動きか、位置か
downは上から下への動き・変化、belowは基準線より低い位置です。
| 語 | 中心イメージ | 例 |
|---|---|---|
| down | 上から下へ向かう動き | The sun is going down.(太陽が沈んでいる) |
| below | 基準線より低い位置 | The temperature is below zero.(気温は0度未満だ) |
エレベーターが下降中ならgoing down、現在地より下の階にあるならbelow usです。詳しくはbelowのコアイメージでも解説しています。
upとdownの違いは矢印の向き
| 語 | 矢印 | 意味の広がり |
|---|---|---|
| up | 下から上へ | 上昇・増加・成長・満タン・完了 |
| down | 上から下へ | 下降・減少・弱まり・停止・遠ざかる |
The sun comes up.では、太陽がこちらへ現れながら上昇します。The sun goes down.では、太陽が遠ざかりながら沈んでいきます。upのコアイメージと並べると、come・goとの組み合わせも立体的に理解できます。
downを使えるようにする3分トレーニング
次の3段階を、下向きの矢印を思い浮かべながら声に出してみましょう。
- 物理的な下降:Sit down. / The sun is going down.
- 程度の低下:Slow down. / Turn down the music.
- 落ち着き・停止・遠ざかり:Calm down. / The system shut down. / Go down this street.
日本語訳を先に出すのではなく、「何が、どの高い状態から、どの低い状態へ向かっているか」を考えてください。句動詞を暗記する量が減り、知らない表現の意味も推測しやすくなります。
4時間の前置詞講義で、up・downをセットで確認
be:RIZE代表のしゅみすけは、YouTubeで英会話によく使われる前置詞・副詞50語を約4時間にわたって解説しています。downについても、下降だけでなく、down the streetがなぜ「道を先へ進む」になるのかまで、イラストを使って掘り下げています。
理解したdownを、会話で選べる感覚へ
コアイメージを理解すると、slow downやcalm downを読むときの迷いは減ります。しかし実際の会話では、知っている表現でも瞬時に口から出ないことがあります。
必要なのは、知識をさらに増やすことだけではありません。自分の仕事や生活の場面に置き換え、英文を作り、実際に声に出し、適切なフィードバックを受けることです。
be:RIZEの英語コーチングでは、約4時間の前置詞動画を作ったしゅみすけの知見を土台に、一人ひとりの「分かるのに使えない原因」を整理します。そのうえで、基本動詞・前置詞・文の骨格を、実際のリスニングとスピーキングへつなぐ学習順序を設計します。
まとめ|downは「下」ではなく下向きの矢印
- downのコアイメージは上から下へ向かう動き
- 物理的な下降から、速度・音量・価格などの低下へ広がる
- 活動レベルが下がることで、落ち着き・故障・停止を表す
- down the streetには、話し手から遠ざかって小さく見える感覚がある
- downは動き・変化、belowは基準線より低い静的な位置
sit down、slow down、calm down、break downを別々の熟語として覚える前に、すべてに同じ下向きの矢印を重ねてみてください。downが持つ意味の広がりが、一つの連続した画として見えるようになります。
使い分けを比較:upとdownの違い|上昇・完了と下降・停止を句動詞で使い分け
三語で比較:below・under・downの違い|「下」を位置・範囲・動きで使い分け
前置詞を一覧で確認:英語の前置詞一覧|コアイメージ・意味・使い分けを図解で完全解説



