英語のリエゾンは暗記しなくてもいい?音が自然につながる仕組み

区切られた英語の音が声の流れによって自然につながるイメージ

ネイティブの英語を聞くと、知っている単語ばかりなのに、どこで一語が終わり、次の単語が始まるのかわからないことがあります。

そこで「リエゾンのルールを全部覚えなければ」と、音の連結パターンや変化の一覧を暗記し始める人もいるでしょう。しかし、実際の会話中に「ここは子音+母音だからつなげる」と一つずつ判断していては、話す速度に間に合いません。

結論から言えば、英語のリエゾンを一覧で丸暗記する必要はありません。ルールを知ることは、聞こえた音を整理するうえで役立ちます。ただ、音がつながる根本には、英語が意味のまとまりの中で息と声を止めずに進むという仕組みがあります。

be:RIZEでは、喉まわりの余計な力を抜き、声を一音ごとに作り直さず流す考え方を「喉発音」と呼んでいます。この状態になると、口先で毎回かけていた音のアクセルとブレーキが減り、隣の音へ移る過程でリエゾンが自然に起きやすくなります。

この記事では、リエゾンとは何か、なぜ英語の音が自然につながるのか、ルールを暗記せずに聞き取りと発音へ取り入れる練習方法を解説します。

英語のリエゾンとは?

日本の英語学習では、単語と単語の音がつながったり、変わったり、弱くなったりする現象をまとめて「リエゾン」と呼ぶことがあります。

厳密には、英語では音が連結する現象を linking(リンキング)、音が弱くなる現象を reduction(リダクション)、音が隣の音へ近づく現象を assimilation(同化)、音が脱落する現象を elision(脱落)などに分けて説明します。もともと「リエゾン」はフランス語の音声現象を指す用語ですが、日本では英語の音声変化全般を表す言葉として広く使われています。

この記事でも検索者にわかりやすいよう「リエゾン」を使いますが、単語同士の連結だけでなく、実際の会話で起きる音の弱化や変化も含む広い意味で扱います。

英語の音がつながる代表的な仕組み

子音のあとに母音が続くと、音がつながる

前の単語が子音で終わり、次の単語が母音で始まると、二つの音が滑らかにつながって聞こえます。

  • pick it up
  • turn it on
  • take a look
  • an apple

たとえば pick it up を一語ずつ完全に止めて読むのではなく、一つの意味のまとまりとして声を流すと、語末の子音が次の母音へ自然に移ります。わざと新しい音を加えているのではありません。

同じ・近い子音が続くと、一回分のように聞こえる

前の語の最後と次の語の最初に同じ音、または近い位置で作る子音が続くと、口や舌を完全に作り直さず次へ移るため、一つの長い子音のように聞こえることがあります。

  • good day
  • big game
  • stop playing
  • black coffee

二つの子音を一回ずつ強く破裂させるより、同じ準備位置を保ったまま次の音へ進むほうが楽です。これも、発音器官が効率よく動いた結果です。

隣り合う音が影響し、別の音に近づく

音は独立したブロックではありません。前後の音へ移りやすいように、舌や口の動きが重なり、聞こえ方が変わる場合があります。

  • Did you …?
  • Would you …?
  • Don’t you …?

こうした表現は、文字どおり一音ずつ並べた音と違って聞こえることがあります。ただし、カタカナで一つの正解音へ固定すると、話者や速度による違いへ対応しにくくなります。実際の音声を聞き、変化の幅を知ることが大切です。

重要でない語や音が弱くなる

英語では、文のすべての語を同じ強さでは発音しません。伝えたい内容を担う語が目立ち、前置詞、冠詞、助動詞などは文脈に応じて短く、弱くなる傾向があります。

そのため、to、for、can などが、単語帳で覚えた明瞭な音と違って聞こえることがあります。これは雑に話しているのではなく、重要な情報へリズムを集めた結果です。

リエゾンは「暗記した技」より、声が流れた結果

リエゾンの一覧を見ると、「単語Aと単語Bを意識して接着する技術」のように感じるかもしれません。しかし、自然な会話では、話し手が単語の境界ごとにルールを検索しているわけではありません。

伝えたい意味のまとまりを一息で話すと、舌、唇、顎は次の音へ向かって連続的に動きます。前の音を完全に終えて身体を停止し、次の音をゼロから起動するほうが、かえって不自然で負担が大きいのです。

つまり、リエゾンの多くは発音を楽に続けようとしたときに起きる生理的・運動的な結果です。ルールは、その結果を後から分類し、説明するための地図だと考えるとわかりやすくなります。

一音ごとに声を止める発音と音をまとめて流す発音の違いを表した図
一音ごとに発声を止める回数が減ると、隣り合う音は自然に影響し合い、まとまりとして流れます。

喉発音で考える「アクセルとブレーキ」

日本語話者が英語をカタカナで読むときは、一音ごとに口の形を完成させ、母音まで発音してから、次の音へ進みやすくなります。

たとえば “pick it up” を「ピック・イット・アップ」と読むと、口先で一語ずつ音を立ち上げ、語末で止め、次の語でまた立ち上げます。言い換えると、短い区間ごとにアクセルとブレーキを踏み直している状態です。

be:RIZEでいう喉発音では、喉を締めたり、喉の筋肉だけで音を作ったりするわけではありません。喉や首まわりの余計な力を抜き、喉から口までを一つの楽器として、息と声の流れを保ちます。

すると、一音ごとに口先で声を再起動する必要が減ります。意味のまとまりの始まりでアクセルを踏み、まとまりが終わるまで必要以上のブレーキをかけない。口や舌は流れている声の上で、次の音へ移動します。

その過程で、子音と母音がつながり、同じ子音が重なり、重要でない部分が弱くなります。これが、喉発音の文脈から見た「リエゾンは生理現象の結果」という考え方です。

喉発音と口先の発音の違いを詳しく確認したい方は、英語を喉から発音するとは?口先の発音との違いを初心者向けに解説をご覧ください。

リエゾンを丸暗記すると話しにくくなる理由

会話中にルールを適用する時間がない

実際の会話では、伝える内容、単語、文法、相手の反応を同時に処理します。そこへ「この組み合わせでは音を連結する」という判断を毎回追加すると、初心者ほど発話が止まりやすくなります。

カタカナの完成形を覚えやすい

“Did you” は必ずこのカタカナ、“want to” は必ずこのカタカナ、と覚えると、話者・地域・速さ・強調による違いを吸収できません。音声変化はオン・オフのスイッチではなく、話し方によって程度が変わります。

つなげること自体が目的になる

覚えたリエゾンを再現しようとして、必要以上に音を潰したり、速く話したりすると、かえって伝わりにくくなります。目標はネイティブらしく音を崩すことではなく、意味のまとまりを無理なく届けることです。

では、リエゾンのルールは学ばなくてよいのか?

暗記しなくてもよいからといって、知識が無駄なわけではありません。リエゾンの仕組みを知ると、聞こえた音と知っている単語を結びつけやすくなります。

特に、文字を見ればわかるのに音声では認識できない人、同じ箇所を何度聞いても単語の境界がわからない人には、ルールが有効な補助線になります。

おすすめは、先に一覧を暗記するのではなく、実際に聞き取れなかった音を後からルールで整理する方法です。

  • 短い音源を聞く
  • 聞こえなかった箇所を文字で確認する
  • どの音がつながり、弱くなったかを観察する
  • 同じまとまりを自分でもゆっくり再現する
  • 必要になった変化だけ名前と仕組みを覚える

この順番なら、ルールが音声から切り離された暗記になりません。

リエゾンを自然に身につける5ステップ

ステップ1.3〜7語の短い音源を選ぶ

長いニュースやドラマの一場面を最初から追わず、短いフレーズを選びます。“Turn it on.” “Pick it up.” “Could you help me?” など、意味をすぐ理解できる文が適しています。

ステップ2.文字を見ずに、音のまとまりを聞く

何語に分かれているかを当てるより、どこからどこまで声が止まらず流れているかを聞きます。強い音、弱い音、自然な間にも注意してください。

ステップ3.英文を見て、聞こえ方との差を確認する

ここで初めて英文を確認します。「この子音が次の母音へ移った」「この語は弱く短くなった」と、実際に起きた変化だけを観察します。

ステップ4.速さを落とし、一息でまねる

お手本と同じ速さでなくて構いません。首や顎をゆるめ、意味のまとまりの途中で声を止めないように話します。ゆっくりでもつながっていれば、練習の方向は合っています。

ステップ5.録音して、停止位置を比べる

発音の正誤だけでなく、単語の境界で毎回無音が入っていないかを確認します。お手本より音が明瞭でも、意味のまとまりの中で流れていれば問題ありません。

シャドーイングを使う場合も、速さへ追いつく前に音源を理解し、短いまとまりで練習しましょう。具体的な進め方はシャドーイングの正しいやり方で解説しています。

リエゾンが聞き取れないのは、発音だけが原因ではない

自分で音をつなげて発音する経験は、リスニングにも役立ちます。単語を一つずつ明瞭な形で待つのではなく、音が変化する可能性を含めて聞けるようになるためです。

ただし、リエゾンを知ればすべて聞こえるわけではありません。単語を知らない、文法処理が間に合わない、話題の背景がわからない、英文を前から意味のまとまりで処理できない場合も、聞き取りは止まります。

長い英文になると途中からわからなくなる人は、音声変化だけでなく、長文リスニングで途中からわからなくなる原因と対策も確認してください。

まとめ:リエゾンは覚えて貼り付けるものではない

英語のリエゾンは、単語と単語を意識して接着する特別な技ではありません。意味のまとまりの中で息と声が流れ、舌や口が次の音へ連続的に移る結果として、音がつながり、弱くなり、変化します。

  • リエゾンの一覧を丸暗記する必要はない
  • ルールは、聞こえた現象を整理する補助線として使う
  • 喉や首をゆるめ、一音ごとのアクセルとブレーキを減らす
  • 速く話すより、短い意味のまとまりを一息で話す
  • 聞き取れなかった箇所から、必要な仕組みだけ学ぶ

まずは “Pick it up.” のような短い一文を選び、単語ごとに止める読み方と、一息で流す読み方を録音して比べてみてください。音を無理につなげなくても、声を止める回数が減れば、リエゾンは自然に現れます。

英語発音の全体像と練習順を知りたい方は、親記事の英語の発音は何から練習する?日本語発音から抜け出す「喉発音」の考え方も参考にしてください。

ネイティブ音声を何度まねても同じように言えない方は、英語の発音練習でネイティブを真似してもできない理由で、完成形を分解して練習する手順を確認してください。

発音をどこまで直すべきか迷っている方は、英語の発音はどこまで直すべき?通じる発音とネイティブ発音の違いで、自分の目的に合う到達点を確認してください。

発音を独学で進める方法と、第三者に確認してもらう境界を知りたい方は、英語の発音は独学で練習できる?講師の確認が役立つポイントも参考にしてください。


音のルールを覚えても聞けない・話せない方へ

短い音源と録音を使い、自分で音の変化を確認できる方は、独学で練習を続けて問題ありません。会話で十分に通じているなら、すべてのリエゾンを再現する必要もありません。

一方、音声変化の教材を何冊進めても実際の会話が聞き取れない、自分の英語がどこで止まっているかわからない、仕事で使う期限がある場合は、発音だけでなく学習全体の優先順位を整理する方法もあります。be:RIZEでは、目的と現在地に合わせて、リスニング・スピーキング・語彙・文法を組み立てます。必要な方は、無料カウンセリングの前にご確認いただきたいことをご覧ください。

 

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