英語プレゼン原稿の作り方|日本語を直訳せず話せる英文にする7ステップ

英語プレゼンの原稿を話しやすい英文へ直して練習する日本人

英語プレゼンの原稿を作るとき、日本語の論文や報告書をそのまま英訳していませんか。専門用語が多く、文が長く、受動態や名詞表現が続く原稿は、内容が正確でも口から出しにくく、聞き手にも一度では伝わりません。

専門用語をすべて簡単な単語へ変える必要はありません。大切なのは、必要な専門用語は残し、その周りの文の骨格を中学英語レベルまでシンプルにすることです。

この記事では、日本語原稿を直訳せず、実際に話せる英語プレゼン原稿へ変える手順を、ビジネス・研究発表の例文とともに解説します。原稿の適正な長さは、英語プレゼンの時間別・原稿語数も参考にしてください。

論文・報告書の英語とプレゼン原稿の英語は違う

論文・報告書プレゼン原稿
読者が自分の速度で読み返せる聞き手はその場で一度だけ聞く
一文に複数の情報を入れられる一文一メッセージが追いやすい
名詞化・受動態・修飾が多い人や物を主語にし、動詞で進める
詳細や条件を文中に組み込む結論を先に言い、詳細を後から足す
専門用語を繰り返し確認できる初出で短く説明する必要がある

書き言葉として正しい英文でも、耳で理解しやすいとは限りません。プレゼン原稿は論文の短縮版ではなく、聞くために再設計した別の文章だと考えましょう。

話せる英語原稿に変える7ステップ

専門用語を残しながら長い英文を短い話し言葉へ変える流れ
  1. 日本語原稿を英訳する前に、結論と要点を抜き出す
  2. 聞き手に必要のない情報を削る
  3. 必要な専門用語と固有名詞を残す
  4. 一文を一つのメッセージに分ける
  5. 名詞中心の表現を主語+動詞へ戻す
  6. 話の流れを示すフレーズを加える
  7. 声に出し、言えない英文を書き直す

ポイントは、最初から英訳しないことです。日本語の情報構造をそのまま英語へ移すと、英単語だけが置き換わった長い文章になりやすいためです。

1.まず「何を伝えるか」を日本語で箇条書きにする

完成した日本語原稿を一文ずつ訳すのではなく、各パートの役割と要点を抜き出します。

元の日本語
近年、顧客からの問い合わせ件数が増加傾向にある一方で、人員配置の見直しが十分に進んでいないことから、回答までの所要時間が長期化しているという課題が顕在化しています。

これを英訳する前に、次の3点へ分けます。

  • 問い合わせが増えている
  • 人員配置が追いついていない
  • その結果、回答が遅くなっている

情報を分ければ、英語も短くできます。

Customer inquiries are increasing. However, our staffing has not kept pace. As a result, customers are waiting longer for answers.

2.専門用語は残し、周りの英語を簡単にする

研究・医療・IT・金融などでは、専門用語を一般語に置き換えると意味が不正確になることがあります。専門用語は残して構いません。その代わり、その用語を導入する文と説明する文を簡単にします。

書き言葉に寄りすぎた例
The implementation of propensity score matching was undertaken for the purpose of minimizing potential selection bias between the treatment and control groups.

話しやすい例
We used propensity score matching. This helped us reduce possible selection bias between the two groups.

propensity score matchingやselection biasは必要な専門用語として残しています。一方、implementation was undertaken for the purpose of を We used に変え、目的を次の文へ分けました。

初めて聞く人向け
We used propensity score matching, a method for making the two groups more comparable. This helped us reduce possible selection bias.

聞き手が用語を知らない可能性があれば、初出で短い説明を足します。専門用語を消すのではなく、聞き手がその後の話を追える入口を作ります。

3.一文を短くし、一文一メッセージにする

日本語は、理由、条件、補足を一文へ重ねても成立します。英語プレゼンでは、聞き手が頭の中で整理できるよう文を分けます。

長い直訳調の英文話せる英文
Considering the rapid changes in the market environment and the increasing diversity of customer needs, it is necessary for us to reconsider our current strategy.The market is changing quickly. Customer needs are also becoming more diverse. So, we need to rethink our current strategy.
The survey, which was conducted among 500 users who had purchased the product within the past six months, revealed a significant difference between the two age groups.We surveyed 500 users. All of them had purchased the product within the past six months. We found a clear difference between the two age groups.

文を短くしても、幼稚になるわけではありません。複雑な内容を一度で理解できる形にすることが、プレゼンでは専門性の一部です。

4.名詞中心の表現を「誰が・何が+動詞」に戻す

日本語のビジネス文書や学術文には、「実施」「検討」「分析」「改善」「増加」などの名詞が多く登場します。英語でも名詞のまま重ねると、口が動きにくくなります。

名詞中心動詞中心
We conducted an analysis of the data.We analyzed the data.
There was an increase in customer complaints.Customer complaints increased.
The implementation of the system led to a reduction in errors.We introduced the system, and errors decreased.
We made a comparison between the two groups.We compared the two groups.
The evaluation of the program was carried out by our team.Our team evaluated the program.

誰が/何が、どうしたを先に置くと、話し手も聞き手も文の方向を早くつかめます。

5.受動態を減らし、主語を見えるようにする

受動態が必要な場面もありますが、連続すると「誰がしたのか」が見えにくくなります。

  • The data were collected from three hospitals.
    データ自体を中心にしたいなら、そのままで問題ありません。
  • We collected data from three hospitals.
    研究チームの手順を説明するなら、こちらが直接的です。
  • The new process was introduced in April.
    導入主体が重要でなければ、受動態が自然です。
  • Our operations team introduced the new process in April.
    担当部署を明確にするなら、能動態が分かりやすくなります。

受動態をすべて能動態にするのではなく、聞き手が知る必要のある主語を隠していないか確認しましょう。

6.結論を先に言い、理由を後から説明する

長い背景説明の後で結論を出すと、英語を聞いている途中で迷子になりやすくなります。先に要点を示し、その後で理由やデータを加えます。

結論が後ろにある例
After reviewing customer feedback, response times, and operating costs across all three regions, we concluded that the Tokyo model should be expanded.

結論を先にした例
We recommend expanding the Tokyo model. It produced the best results in customer feedback, response time, and operating cost.

研究発表でも、結果や解釈を一度に詰め込まず、We found that …で中心結果を示してから詳細へ進めます。

7.つなぎ言葉で聞き手を案内する

文章を短くすると、文同士の関係が見えにくくなる場合があります。そこで、理由、結果、対比、次の話題を短い表現で示します。

役割使える表現
順番First, … / Next, … / Finally, …
理由This is because … / There are two reasons.
結果As a result, … / So, …
対比However, … / In contrast, …
例For example, … / Let me give you an example.
強調The key point is … / What matters here is …
移動Now, let’s move on to …

論文では接続関係が文法構造の中に組み込まれていますが、プレゼンでは耳で分かる案内標識が必要です。

日本語から話せる英語へ変える実例

ビジネス報告の例

日本語
今回実施した顧客満足度調査の結果を踏まえ、今後の解約率低下に向けた施策の方向性についてご説明します。

直訳調
Based on the results of the customer satisfaction survey conducted this time, I would like to explain the direction of measures aimed at reducing the cancellation rate in the future.

話せる英文
We recently conducted a customer satisfaction survey. Today, I’ll share the results and explain how we plan to reduce customer churn.

「今回」「結果を踏まえ」「今後」「方向性」といった日本語の便利な表現を、一語ずつ対応させる必要はありません。何をしたか、今日何を話すかへ分けています。

研究方法の例

書き言葉
A mixed-methods approach incorporating both quantitative survey data and semi-structured interviews was employed to facilitate a comprehensive examination of participants’ experiences.

話せる英文
We used a mixed-methods approach. First, we collected quantitative survey data. Then, we conducted semi-structured interviews. This allowed us to examine the participants’ experiences from two perspectives.

mixed-methods approach、quantitative survey data、semi-structured interviewsは研究方法を示すために残し、employed to facilitate a comprehensive examination の部分を基本動詞へ戻しています。

研究結果の例

書き言葉
The observed improvement in task performance among participants in the intervention group was statistically significant compared with that of the control group.

話せる英文
Participants in the intervention group performed better. The difference from the control group was statistically significant.

statistically significantは結果の意味に必要なので残します。一方、「観察された改善」を主語にせず、participants を前に出すことで聞きやすくしています。

原稿には「間・強調・視線」も書き込む

完成した英文だけを並べるのではなく、話し方の目印も加えます。

Our results show one clear pattern. / Response time matters most. // Please look at the blue line on this chart. / It fell by almost half after the change.

  • /:短い間
  • //:スライド確認や長めの間
  • 太字・下線:強調する語
  • [LOOK]:聞き手を見る位置
  • [CLICK]:スライドを切り替える位置
  • [SLOW]:数字や結論をゆっくり言う位置

記号は自分が分かれば十分です。原稿を文章ではなく、話すための楽譜に変えるイメージです。

AI翻訳を使うときも「話し言葉」の指示が必要

翻訳ツールや生成AIへ日本語原稿をそのまま入れると、文法的には正しくても硬い英文になることがあります。目的、聞き手、話す時間、残すべき専門用語を明示します。

次の日本語を、英語プレゼンで口頭発表する原稿にしてください。聞き手はこの分野の研究者です。専門用語A・B・Cは変更せず残してください。一文を短くし、一文一メッセージにしてください。結論を先に示し、1分100語程度で話せる長さにしてください。

出力された英文は、そのまま採用せず、用語の正確さ、数字、固有名詞、因果関係を確認します。そして必ず声に出し、自分が言えない表現をさらに簡単にします。

話せる原稿になっているか確認するチェックリスト

  • 一文に複数の主張を入れていないか
  • 主語と動詞が早い位置にあるか
  • 名詞が3つ以上連続していないか
  • 受動態が何文も続いていないか
  • 必要な専門用語と不要な難語を区別したか
  • 初めて出る専門用語を短く説明したか
  • 結論が背景説明に埋もれていないか
  • 文と文の関係をつなぎ言葉で示したか
  • 数字や固有名詞を無理なく発音できるか
  • 原稿を見ながらでも顔を上げられるか
  • 制限時間より短く終えられるか

語数と時間の調整は、2分・3分・5分・10分の原稿量で詳しく解説しています。スライドへ何を載せ、何を口頭で話すかは、英語プレゼンのスライド例も参考にしてください。

英語プレゼン原稿に関するよくある質問

専門用語も簡単な英語へ言い換えるべきですか?

意味の精度に必要なら、そのまま残します。ただし、聞き手が知らない可能性があれば、初出で短い説明や具体例を加えます。簡単にする対象は、主に専門用語の周りにある文の骨格です。

論文の英文をそのまま読んではいけませんか?

禁止ではありませんが、長い文や複雑な修飾は聞き手が一度で処理しにくく、話し手も視線を上げにくくなります。引用や定義など正確さが必要な部分は維持し、それ以外は口頭用に分けるのがおすすめです。原稿を読みながら伝える方法は、英語原稿を読んでも伝わる発表のコツで紹介しています。

簡単な英語にすると専門家らしく見えない気がします

専門性は難しい構文ではなく、問い、方法、根拠、解釈の正確さに表れます。必要な用語を正しく使い、複雑な内容を明確に説明できる方が、聞き手には専門性が伝わります。

原稿は全文暗記した方がいいですか?

冒頭、結論、重要な数値は十分に練習し、本文は意味のまとまりとキーワードから話せる状態を目指すと、忘れたときにも戻りやすくなります。全文を使う場合も、顔を上げる位置を書き込んでください。

まとめ:専門用語ではなく、文の骨格を簡単にする

英語プレゼン原稿では、専門用語を無理にやさしい言葉へ変える必要はありません。正確さに必要な用語は残し、その周りを短い主語+動詞の英文へ変えます。

日本語原稿を一文ずつ訳すのではなく、結論と要点を抜き出し、一文一メッセージに分け、声に出して言えない箇所を直す。この手順を踏めば、学術的な内容でも「読むための英語」から「話して伝わる英語」へ変えられます。


自分の専門内容を、伝わる英語原稿へ整えたい方へ

専門用語の精度を保ちながら、構成、英文、発音、間、質疑応答まで自分の発表内容で練習すると、本番で使える原稿になります。短期間で実践的に仕上げたい方は、英語コーチングの詳細をご覧ください。

原稿が完成したら、全文暗記に進む前に英語プレゼンの練習方法7ステップで、キーワード化・録画・時間調整を行いましょう。

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