英語の形式主語itとは、長い主語の代わりに文頭へ置く「仮の主語」です。
It is important to practice every day.
毎日練習することは大切です。
この文のitは「それ」と訳しません。本当に大切なのはto practice every day(毎日練習すること)ですが、その長い内容を後ろへ置き、先にIt is importantという短い骨格を作っています。
学校文法では「真主語を後ろへ移し、文頭に形式主語itを置く」と習います。これは正しい説明ですが、会話や読解では、英語は短い骨格を先に示し、重い情報を後ろへ送ると捉えると使いやすくなります。
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形式主語itは、意味のない飾りではありません。聞き手へ先に「何かを評価する文ですよ」と骨格を渡し、その後で評価の対象を説明するための案内役です。
しゅみすけ(大山俊輔)

形式主語itとは?仮主語と真主語の関係
形式主語itは、文法書によって仮主語itとも呼ばれます。文頭の主語の席をitがいったん受け持ち、意味の中心になる長い内容を文末へ置く構文です。
| 部分 | 文法上の呼び方 | 役割 |
|---|---|---|
| It | 形式主語・仮主語 | 主語の席を先に埋める |
| is important | 述語 | 評価を先に示す |
| to practice every day | 真主語 | 何が大切なのかを後から示す |
日本語では「毎日練習することは、大切です」と長い主語から始めても自然です。一方、英語は主語と動詞を早く示す傾向があります。そこで、まずIt is importantと文の骨格を立て、聞き手が処理しやすい順番を作ります。
英語の主語・動詞や句・節の基本から整理したい方は、主語と動詞から英語の骨格を作る方法と英語の句と節とは?もあわせてご覧ください。
なぜ形式主語itを使うのか?長い情報は後ろへ置く
形式主語itを使う最大の理由は、英文を左から理解しやすくするためです。次の2文はほぼ同じ内容を表します。
- To learn a language takes time.
- It takes time to learn a language.
1文目は文法的に正しいものの、主語To learn a languageを読み終えるまで、文の骨格が見えません。2文目なら、It takes timeで「時間がかかる話だ」と先に分かり、その後で「何に時間がかかるのか」が示されます。
しゅみすけ式の捉え方
短い骨格 → 評価・判断 → 本当の内容の順で、聞き手が迷わない道を作ります。itは後ろの情報を予告する小さな標識です。
形式主語itの基本形① It is+形容詞+to不定詞
最もよく使われるのが、行動や判断を形容詞で評価する形です。
It is+形容詞+to do
| 例文 | 意味 | 先に示す評価 |
|---|---|---|
| It is easy to use this app. | このアプリを使うのは簡単です | easy |
| It is difficult to explain the difference. | その違いを説明するのは難しいです | difficult |
| It is dangerous to drive in this weather. | この天候で運転するのは危険です | dangerous |
| It is nice to see you again. | また会えてうれしいです | nice |
to不定詞は、これから行う動きへ向かう「矢印」として捉えられます。詳しくはto不定詞の3用法とコアイメージで解説しています。
「人にとって」を加えるfor+人
誰にとっての評価なのかを示すときは、to不定詞の前にfor+人を置きます。
It is important for beginners to practice every day.
初心者にとって、毎日練習することは大切です。It is hard for me to wake up early.
私にとって、早起きするのは大変です。
for beginnersやfor meは、後ろのto不定詞の動作をする人、つまり意味上の主語を示します。
人の性質を評価するof+人
kind・careless・wise・politeなど、人の性質や行動への評価を表す形容詞ではof+人を使います。
It was kind of you to help me.
手伝ってくれるなんて、あなたは親切でした。It was careless of him to leave the door open.
ドアを開けたままにするとは、彼は不注意でした。
目安は、状況の難易度・必要性ならfor、人の性質への評価ならofです。
形式主語itの基本形② It is+形容詞・名詞+that節
本当の内容が「主語+動詞」を含む文なら、that節を後ろへ置けます。
It is+形容詞・名詞+that+S+V
It is clear that she understands the problem.
彼女がその問題を理解していることは明らかです。It is possible that the train will be delayed.
電車が遅れる可能性があります。It is a shame that you cannot join us.
あなたが参加できないのは残念です。
that節は「〜ということ」という内容の箱です。It is clearで評価を先に示し、that she understands the problemで評価対象を後から渡します。that節の仕組みは接続詞thatの意味・使い方と英語の名詞節で詳しく確認できます。
形式主語itの基本形③ It takes+時間+to do
「〜するのに時間がかかる」は、日常会話で特によく使う形式主語の形です。
It takes ten minutes to walk to the station.
駅まで歩くのに10分かかります。It took me three years to feel comfortable speaking English.
英語を話すことに抵抗がなくなるまで、私は3年かかりました。
It takes+人+時間+to doなら、「人が〜するのに時間がかかる」を表せます。時制に合わせてtakes・took・will takeを切り替えます。
be:RIZEでは、主語と動詞で短い骨格を作り、時間・評価・説明を後ろへ足す練習を行います。知っている文法を、自分の会話で使える形へ組み直します。
形式主語itの否定文・疑問文
形式主語itでも、否定文や疑問文の作り方は通常のbe動詞・一般動詞と同じです。
| 種類 | 例文 | 意味 |
|---|---|---|
| 否定文 | It is not easy to change a habit. | 習慣を変えるのは簡単ではありません |
| 疑問文 | Is it safe to drink this water? | この水を飲んでも安全ですか |
| takesの疑問文 | How long does it take to get there? | そこへ行くのにどれくらいかかりますか |
疑問文にしても、itは文法上の主語として残ります。Is it …?、Does it take …?のように、先に短い疑問の骨格を作ります。
形式主語itとほかのitの見分け方
itが出てきても、すべてが形式主語ではありません。後ろにitの内容を説明するto不定詞やthat節があるかを確認します。
| itの種類 | 例文 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 代名詞it | I bought a camera. It was expensive. | 前に出たcameraを指す |
| 状況のit | It is raining. / It is five o’clock. | 天候・時刻・距離などの状況を表す |
| 形式主語it | It is important to rest. | 後ろのto不定詞・that節が本当の内容 |
| 強調構文のit | It was Tom that called me. | Tomへスポットライトを当てる |
It is … that …でも、that以下が「何が〜なのか」という内容なら形式主語、文の一部分を強調しているなら強調構文です。強調構文についてはIt is … that …の強調構文をご覧ください。
形式主語itを使わず、to不定詞を主語にしてもよい?
文法的には可能です。
- To travel alone is exciting.
- It is exciting to travel alone.
ただし、日常的な英語では形式主語itを使う2文目の方が自然なことが多くなります。to不定詞を文頭へ置く形は、行為そのものを話題として強く提示したい場合や、やや硬い文章で使われます。
動作を「ひとかたまりの話題」として置くなら、動名詞も使えます。たとえばLearning English takes time.は自然です。to不定詞と動名詞の見え方は、英語の動名詞とは?で比較しています。
形式主語itでよくある間違い
- itを「それ」と訳す:形式主語itには具体的な指示対象がありません
- 真主語を重ねる:It is important studying every day is …のように骨格を二重にしない
- forとofを混同する:行動の難易度・必要性はfor、人の性質の評価はofが基本
- that節を疑問語順にする:It is clear that she is ready.のようにthat以下は通常の語順
- 強調構文と同じだと思う:形式主語は後ろの長い内容を受け、強調構文は特定部分へ焦点を当てます
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まず「何が大切・難しい・必要なのか」を全部英語にしようとすると、文頭で止まりやすくなります。先にIt is important.まで言い、あとからto …を足す練習をすると、会話でも使いやすくなります。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
形式主語itを会話で使う練習方法
- 評価の骨格を作る:It is important. / It is difficult. / It takes time.
- 自分の行動を後ろへ足す:to sleep well / to explain this / to build confidence
- 人や条件を加える:for me / for beginners / in this situation
- 否定・疑問へ切り替える:It isn’t easy … / Is it necessary …?
たとえば、次の骨格を自分の生活へ置き換えてみましょう。
It is important for me to ______.
It is difficult to ______.
It takes me ______ minutes to ______.
It is possible that ______.
よくある質問
Q. 形式主語と仮主語は同じですか?
基本的に同じものを指します。学校文法では、文頭のitを形式主語または仮主語、後ろのto不定詞やthat節を真主語と呼びます。
Q. 形式主語itは訳さなくてよいですか?
はい。形式主語it自体を「それ」と訳す必要はありません。後ろの真主語を日本語の「〜することは」「〜ということは」として訳すと自然です。
Q. 真主語には何が置かれますか?
代表的なのはto不定詞とthat節です。ほかに動名詞や疑問詞節などが後ろへ置かれる場合もありますが、まずはIt is … to doとIt is … that S+Vを使えるようにするとよいでしょう。
Q. It is important for youとIt is kind of youの違いは?
for youは「あなたにとって重要だ」と行動の必要性を示します。kind of youは「あなたは親切だ」と人の性質を評価します。
まとめ|形式主語itは短い骨格を先に作る案内役
- 形式主語itは、長い主語の代わりに文頭へ置く仮の主語
- 本当の内容であるto不定詞やthat節は後ろへ置く
- 英語は短い骨格と評価を先に示し、重い情報を後から渡す
- 基本形はIt is+形容詞+to doとIt is+形容詞・名詞+that節
- for+人は行動する人、of+人は人の性質への評価を示す
- 代名詞・天候や時刻のit・強調構文のitとは役割が異なる
形式主語itは、英文をわざと遠回りにする表現ではありません。先に短い骨格を渡し、聞き手が受け取る準備をしてから本当の内容を置くための仕組みです。まずはIt is important to …、It is difficult to …、It takes time to …を自分の話へ置き換えてみてください。
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