There is・There areは、中学英語で「〜があります・〜がいます」と習う基本表現です。しかし、thereを「そこ」、isを「ある」と一語ずつ訳そうとすると、There is a cat on the sofa. と A cat is on the sofa. の違いや、なぜ存在する物が文頭に来ないのかが見えにくくなります。
There is・There areの中心は、まず場面を開き、その中へ聞き手がまだ知らない人・物・出来事を登場させることです。
There is a cat on the sofa.
ソファの上に猫がいます。
この文は、最初から「猫」について話しているのではありません。聞き手の前に部屋の場面を開き、「そこにね、猫が一匹いるよ」と新しい存在を紹介しています。
目次
There is・There areとは?新しい存在を場面へ登場させる形
基本の語順は次の通りです。
There+be動詞+名詞+場所・時間など
There is a café near the station.
駅の近くにカフェがあります。
文頭のthereは、there=そこにという場所を具体的に指しているわけではありません。ここでは、これから存在を紹介するための入口として働きます。実際の場所は、文末のnear the stationが説明しています。
- There:場面を開く
- is・are:存在をその場面へ置く
- 後ろの名詞:新しく登場する人・物・出来事
- 場所・時間:どの場面に存在するかを足す
be動詞には、主語を状態・場所・立場へ置く役割があります。There is・There areでも、be動詞は意味のない部品ではありません。詳しくはbe動詞と一般動詞の違いで解説しています。
There isとThere areの使い分け
isとareは、直後に登場させる名詞に合わせて選びます。
| 後ろの名詞 | 形 | 例文 |
|---|---|---|
| 単数の可算名詞 | There is | There is a book on the desk. |
| 不可算名詞 | There is | There is some water in the bottle. |
| 複数名詞 | There are | There are three books on the desk. |
There is a problem.
問題が一つあります。There are two problems.
問題が二つあります。There is some information on the website.
ウェブサイトに情報があります。
informationのような不可算名詞は複数形にせず、There isを使います。「数えられる単語か」を丸暗記するより、名詞を一個ずつ輪郭のある単位として切り取るか、まとまりとして扱うかを考えると分かりやすくなります。詳しくは可算名詞と不可算名詞の違いも参考にしてください。
There is a catとA cat isの違い
There is a cat on the sofa.
ソファに猫が一匹います。A cat is on the sofa.
一匹の猫がソファにいます。
日本語訳は似ていますが、情報の流れが違います。
There is:場面から新しい存在へ
There is a cat on the sofa.は、まず「ある場面」を開き、そこへ猫を初登場させます。聞き手は、その猫を事前に知らなくても構いません。部屋の様子を説明するとき、店や施設を紹介するとき、問題や予定の存在を知らせるときに自然です。
A cat is:猫から説明を始める
A cat is on the sofa.は、文法的には可能ですが、話し手は最初からa catを主語として取り上げ、その猫がどこにいるかを説明します。写真を見て猫へ焦点を当てる場合など、猫を文の出発点にしたい文脈で使えます。
英語は、同じ事実でも聞き手に何を先に見せるかによって語順を選びます。There is構文は、存在そのものを新情報として後ろへ置く形です。
There isとhaveの違い
There is a café near my office.
私のオフィスの近くにカフェがあります。I have a café near my office.
私はオフィスの近くにカフェを持っています。
There isは、場面の中に存在を置きます。一方、haveのコアイメージは、人や物や状況を主語の領域に持つことです。
- There is a cat in the garden. → 庭という場面に猫がいる
- I have a cat. → 私の生活・所有の領域に猫がいる
日本語ではどちらも「いる・ある」で表せるため混同しやすいですが、場面を入口にするのか、主語の領域を入口にするのかが違います。
なぜa・an・someがよく続くのか
There is・There areは、新しい存在を初登場させる形です。そのため、聞き手がまだ特定していない名詞を示すa・an・some・数字などと相性がよくなります。
- There is a woman at the door.
- There are some chairs in the room.
- There are three messages for you.
a・anは、名詞に「一つの輪郭」を与え、たくさんの候補の中から一つを場面へ出します。詳しくはa・anの使い方で整理しています。
theや固有名詞は使えない?
初級文法では「There isの後ろはa」と覚えることがありますが、theや固有名詞が絶対に使えないわけではありません。
There is the problem of cost.
費用という問題があります。There’s John at the door.
ほら、ドアのところにジョンがいるよ。
ただし、theや固有名詞はすでに特定されやすいため、通常の「未知の存在を紹介する」用法とは文脈が変わります。会話では、候補を思い出させたり、目の前に現れた人物を指したりする特殊な見せ方になります。まずはa・an・some・数字を基本にすると安全です。
否定文:There isn’t・There aren’t
否定文では、be動詞の後ろにnotを置きます。
There isn’t a station nearby.
近くに駅はありません。There aren’t any seats available.
空いている席はありません。There isn’t any milk in the fridge.
冷蔵庫に牛乳はありません。
複数名詞や不可算名詞の否定ではanyがよく使われます。not anyは「一つも・少しも存在しない」と、候補の範囲をゼロにします。
疑問文:Is there…?・Are there…?
疑問文では、is・areをthereの前へ出します。
Is there a restroom near here?
この近くにトイレはありますか?Are there any questions?
何か質問はありますか?
短い答えでは、thereを残します。
- Yes, there is. / No, there isn’t.
- Yes, there are. / No, there aren’t.
Is a restroom near here?ではなくIs there a restroom near here?とすることで、「この場面にトイレという存在はありますか」と尋ねています。
What is there…?とWhat is…?の違い
What is in the box?
箱の中には何がありますか?What is there in the box?
そこ、箱の中には何があるのですか?
What自体が「存在する物は何か」という主語になる場合、基本的にはthereを入れずWhat is in the box?と言えます。What is there…?ではthereが強く残り、場所や状況を意識させる響きが出ます。
過去・未来・完了形にも広げられる
There構文の「場面を開いて存在を置く」という感覚は、時制が変わっても同じです。
| 形 | 例文 | 意味 |
|---|---|---|
| 過去 | There was a small shop here. | 以前ここに小さな店がありました |
| 未来 | There will be a meeting tomorrow. | 明日、会議があります |
| 現在完了 | There have been many changes. | 多くの変化がありました |
| 助動詞 | There may be a problem. | 問題があるかもしれません |
be動詞の部分だけがwas・were、will be、have been、may beへ変わり、thereは存在を導入する入口として残ります。
会話でよく使うThere’s
会話ではThere isをThere’sと短縮します。
There’s something I want to tell you.
あなたに伝えたいことがあります。There’s no need to hurry.
急ぐ必要はありません。There’s a good restaurant around the corner.
角を曲がったところに、いいレストランがあります。
口語では複数名詞の前でもThere’s two people outside.のようにThere’sが使われることがあります。しかし標準的な文法ではThere are two people…です。まずは単数・不可算にThere is、複数にThere areを使い分けましょう。
よくある間違い
- × There is two cats.
○ There are two cats. - × There are a book on the desk.
○ There is a book on the desk. - × There have a park near my house.
○ There is a park near my house. - × Is a bank near here?
○ Is there a bank near here? - × There is in the room a table.
○ There is a table in the room.
日本語は「部屋に・机が・ある」のように場所から始めやすいため、英語でも場所を先に置きたくなります。しかし基本の流れは、Thereで場面を開く → 存在を出す → 場所を足すです。
写真描写でThere is・There areを練習する
There is・There areは、写真や部屋を説明する練習と非常に相性がよい表現です。
- 写真全体を一つの場面として見る
- 初めて登場させたい物を一つ選ぶ
- 単数・不可算ならThere is、複数ならThere areを置く
- 最後に場所・特徴・数を足す
There is a woman by the window.
There are two cups on the table.
There is some food in front of them.
慣れてきたら、二文目からThe woman is…のように、今登場させた存在を主語へ切り替えます。
There is a woman by the window. The woman is reading a book.
窓辺に女性が一人います。その女性は本を読んでいます。
一文目で新しい存在を場面へ出し、二文目でtheを使って共通の焦点にする。この流れを練習すると、There is構文と冠詞が別々のルールではなく、会話の情報設計としてつながります。
まとめ:Thereは存在を紹介する入口
- There is・There areは「〜がある」の訳だけで覚えない
- Thereは場面を開き、新しい存在を紹介する入口
- 単数・不可算にはThere is、複数にはThere are
- 普通の主語文は、人・物を先に話題へ置く
- haveは主語の領域に人・物・状況を持つ
- a・some・数字は初登場の存在と相性がよい
There is・There areを使うときは、日本語の語順を英語へ置き換えるのではなく、聞き手の前に場面を一つ開きましょう。そして「そこに何があるか」を後ろから登場させます。この見せ方が分かれば、冠詞・単複・場所表現まで自然につながります。
There is・There areも、形を覚えるだけでなく、目の前の場面から「何を最初に登場させるか」を選ぶ練習によって、会話で使える知識へ変わります。
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