原形不定詞とは、動詞の原形をtoを付けずに使う形です。学校では「toのない不定詞」と説明されますが、単なる省略ではありません。助動詞、使役動詞、知覚動詞などの後ろで、動作を名詞化したり未来へ向けたりせず、動きそのものを加工せずに置く形だと捉えると理解しやすくなります。
しゅみすけ
原形不定詞は「なぜtoが消えたの?」と考えると迷路に入りやすい文法です。まずは、make・let・seeなどが人や出来事と動作を直接つなぎ、その動作を生のまま置くと考えてみましょう。
この記事では、原形不定詞の意味と使い方、使役動詞・知覚動詞との関係、現在分詞との違い、受動態になるとtoが戻る理由まで例文で整理します。高校英文法の全体像から確認したい方は、高校英文法一覧もご覧ください。

原形不定詞とは?toなしで動詞の原形を置く形
通常のto不定詞は、次のようにtoと動詞の原形を組み合わせます。
I want to leave.
私は帰りたいです。
一方、原形不定詞ではtoを使いません。
You can leave.
帰ってもかまいません。
She made me leave.
彼女は私を帰らせました。
I saw him leave.
私は彼が立ち去るのを見ました。
leaveはどれも動詞の原形です。can、made、sawなどが文の時制や視点を担当するため、後ろのleaveは主語や時制に合わせて変化せず、動作の中身だけを示します。
コアイメージ
to不定詞:意識をこれからの動作へ向ける矢印
原形不定詞:動作を加工せず、そのまま接続する
to不定詞の基本イメージは、to不定詞とは?3用法を「未来へ向かう矢印」で理解するで詳しく解説しています。
原形不定詞を使う主な5つの場面
| 場面 | 基本形 | 例 |
|---|---|---|
| 助動詞の後ろ | 助動詞+do | You can go. |
| 使役動詞 | make/have/let+O+do | She made me wait. |
| 知覚動詞 | see/hear/feel+O+do | I saw him cross the street. |
| help | help+O+(to) do | She helped me carry it. |
| 定型表現 | had better/would rather/Why not+do | You had better leave. |
1.助動詞の後ろでは動詞の原形を使う
can・will・must・shouldなどの助動詞の後ろには、動詞の原形を置きます。
- She can speak English.
彼女は英語を話せます。 - We must finish this today.
私たちは今日これを終えなければなりません。 - He will call you later.
彼は後であなたに電話するでしょう。
助動詞が可能性・意志・義務などの判断を受け持ち、その後ろの動詞は純粋な動作を示します。三人称単数の主語でも can speaks とはならず、can speakです。
助動詞全体については、英語の助動詞を話し手の判断・気持ちから理解するも参考にしてください。
2.使役動詞make・have・letの後ろ
使役動詞は、人や物をある動作へつなぐ表現です。基本の骨格は第5文型のSVOCで、Oが原形不定詞の動作主になります。
S + make/have/let + O + 動詞の原形
make+O+do|力を加えて、その状態を生む
The teacher made us rewrite the report.
先生は私たちにレポートを書き直させました。
makeは対象に働きかけ、ある結果を作り出します。文脈によって「無理に〜させる」場合もありますが、常に強制とは限りません。
have+O+do|役割としてしてもらう
I had my assistant send the email.
私はアシスタントにメールを送ってもらいました。
haveは、自分のテリトリーや段取りの中に行為を置く感覚です。仕事・依頼・役割の流れでよく使われます。
let+O+do|止めずに動けるようにする
Let me explain.
私に説明させてください。
Her parents let her travel alone.
両親は彼女が一人で旅行することを許しました。
letは力を加えて動かすのではなく、手綱を緩め、本人が望む動きを許す感覚です。
getは原形不定詞ではなくto不定詞
I got him to fix the computer.
私は彼に頼んでパソコンを直してもらいました。
getは相手が動く状態まで働きかけて到達するため、get+O+to doを使います。make・have・letと同じ「〜させる」と訳せても、形は異なります。
違いをまとめて確認するなら、使役動詞make・have・let・getの違いをご覧ください。骨格のO=Cについては、第5文型SVOCの見分け方で解説しています。
3.知覚動詞see・hear・feelなどの後ろ
see・hear・feel・watch・noticeなどの知覚動詞は、知覚した出来事をそのまま取り込みます。
S + 知覚動詞 + O + 動詞の原形
- I saw him enter the room.
私は彼が部屋に入るのを見ました。 - We heard someone knock on the door.
私たちは誰かがドアをノックするのを聞きました。 - She felt the ground shake.
彼女は地面が揺れるのを感じました。
ここでもOが後ろの動作をする人・物です。
原形不定詞と現在分詞doingの違い
知覚動詞の後ろでは、原形不定詞だけでなく現在分詞も使えます。違いは、出来事をどの範囲で捉えるかです。
- I saw him cross the street.
彼が道路を渡るのを見た。
→ 渡る出来事を一まとまりとして捉える - I saw him crossing the street.
彼が道路を渡っているところを見た。
→ 動作の途中の場面を捉える
原形不定詞は「最初から最後まで必ず全部見た」と機械的に決まるわけではありません。大切なのは、話し手が出来事を一つのまとまった動作として提示するか、進行中の場面として切り取るかです。
現在分詞の見え方は、現在分詞と過去分詞の違いでも確認できます。
受動態になるとtoが戻るのはなぜ?
能動態のmakeは原形不定詞を取ります。
My boss made me work late.
上司は私を遅くまで働かせました。
しかし、受動態ではtoが現れます。
I was made to work late.
私は遅くまで働かされました。
能動態では、makeがmeとworkを直接つないでいます。受動態になるとmeが主語へ移り、make+O+doという直接接続の骨格が崩れます。そのため、workを文の中へつなぐ標識としてtoが必要になります。
知覚動詞でも、受動態では一般にtoを使います。
He was seen to enter the building.
彼が建物に入るところを目撃されました。
ただしletの受動態は通常避け、be allowed to doで表します。
She was allowed to leave early.
彼女は早く帰ることを許されました。
受動態の視点移動については、受動態とは?be動詞+過去分詞を視点から理解するも参考にしてください。
4.helpの後ろはtoがあってもなくてもよい
helpの後ろでは、原形不定詞とto不定詞の両方が使えます。
- She helped me carry the boxes.
- She helped me to carry the boxes.
どちらも「彼女は私が箱を運ぶのを手伝ってくれた」という意味です。現代英語ではtoなしも非常に一般的です。目的語がない This tool helps reduce waste. のような形もあります。
5.had better・would rather・Why notの後ろ
had better+do
You had better leave now.
今すぐ出発したほうがいいですよ。
hadとありますが過去の意味ではなく、現在・未来への比較的強い助言や警告です。
would rather+do
I would rather stay home.
私はどちらかといえば家にいたいです。
Why not+do?
Why not ask her?
彼女に聞いてみたらどうですか?
これらは一まとまりの定型表現として、後ろに動詞の原形を置きます。
原形不定詞でよくある間違い
助動詞の後ろに三単現や過去形を置く
誤:She can speaks English.
正:She can speak English.
make・letの後ろにtoを入れる
誤:She made me to wait.
正:She made me wait.
ただし受動態では I was made to wait. とtoが戻ります。
getの後ろからtoを外す
誤:I got him fix it.
正:I got him to fix it.
原形不定詞を主語の時制に合わせて変化させる
誤:I saw him entered the room.
正:I saw him enter the room.
時制はsawが担当します。enterは出来事の中身を示す原形のままです。
原形不定詞の見分け方
文中に動詞が二つあるように見えたら、次の順番で確認します。
- 前に助動詞・使役動詞・知覚動詞があるか
- 「Oがdoする」という関係があるか
- doが時制や主語に合わせて変化していないか
- 使役ならmake・have・letか、toが必要なgetか
- 受動態になってtoが戻っていないか
I heard the baby cry. なら、the babyがcryする関係です。heardが過去を担当し、cryは原形で出来事をそのまま示しています。
練習|toを付けるか付けないか
次の日本語を英語にして、動詞の接続を確認してみましょう。
- 彼女は私を笑わせた。
She made me laugh. - 私は彼が名前を呼ぶのを聞いた。
I heard him call my name. - 私は彼に窓を開けてもらった。
I had him open the window. - 私は彼を説得して参加してもらった。
I got him to join us. - 私は遅くまで働かされた。
I was made to work late.
日本語の「〜させる」だけで形を決めず、前の動詞が相手の動作を直接つなぐのか、そこまで働きかけて到達するのかを見てください。
まとめ|原形不定詞は動作を生のまま接続する
- 原形不定詞はtoを付けない動詞の原形
- 助動詞、使役動詞、知覚動詞、help、定型表現の後ろで使う
- make・have・letはO+do、getはO+to do
- 知覚動詞+O+doは出来事を一まとまりとして捉える
- 知覚動詞+O+doingは進行中の場面を切り取る
- makeや知覚動詞を受動態にすると、通常toが戻る
「toが省略された」とだけ覚えるのではなく、前の動詞が人・物と動作を直接つなぎ、動作を加工せず置いていると考えると、使役・知覚・受動態まで一本につながります。
原形不定詞についてよくある質問
原形不定詞と動詞の原形は同じですか?
見た目は同じです。「動詞の原形」は形の名前で、「原形不定詞」はその原形が助動詞・使役動詞・知覚動詞などの後ろで不定詞として働く用法を指します。
原形不定詞には未来の意味がありますか?
原形不定詞自体が未来を表すわけではありません。時制や話し手の判断は、前の助動詞・使役動詞・知覚動詞や文脈が担当します。
see+O+doとsee+O+doingはどちらが正しいですか?
どちらも正しいです。doは出来事を一まとまりとして、doingは進行中の場面として見せます。伝えたい見え方によって選びます。
make+O+doは必ず「無理やり〜させる」ですか?
必ずしも強制ではありません。The movie made me cry. のように、原因がある結果を生んだ場合にも使います。makeの中心は、対象に働きかけて結果・状態を作ることです。
高校英文法全体の中で位置づけを確認するなら、高校英文法一覧|重要単元とおすすめ順へ戻り、使役動詞・知覚動詞・SVOCとつなげて学んでください。



