高校3年の英文法は、新しい文法項目を次々に増やす時期とは限りません。多くの学校では、高1・高2までに主要な文法単元を学び、高3では長文読解・英作文・リスニング・会話の中で知識を組み合わせる段階へ進みます。
この記事では、高校英文法を「覚え直す一覧」ではなく、「使える形へ統合する地図」として整理します。学校・教科書・選択科目によって進度は異なるため、高3の学習内容は目安としてご覧ください。
しゅみすけ(大山俊輔)
高3で大切なのは、文法用語を増やすことではありません。初めて見る英文でも骨格を復元し、書くときや話すときには自分で組み立て直せる状態を目指しましょう。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
高3英文法で仕上げる重要テーマ一覧
| 仕上げる力 | 主な文法知識 | できるようになること |
|---|---|---|
| 骨格を復元する | 5文型・修飾・後置修飾 | 長い文から主語と動詞を見つける |
| 時間と視点をそろえる | 時制・完了形・受動態・話法 | 出来事の前後関係と焦点を判断する |
| 意味関係を判断する | 名詞節・形容詞節・副詞節 | 内容・説明・理由・条件を区別する |
| 形を言い換える | 不定詞・動名詞・分詞・分詞構文 | 節と準動詞を相互に書き換える |
| 現実との距離を読む | 助動詞・仮定法 | 確信度・丁寧さ・想像を理解する |
| 焦点を読み取る | 否定・比較・強調・倒置・省略 | 書き手・話し手が目立たせる情報をつかむ |
| 自分で運用する | 語順・一致・語法・構文選択 | 読む知識を英作文と会話へ移す |

高3では「新出文法」より「統合」が中心になる
学校によっては、高2までに仮定法・分詞構文・関係詞まで終え、高3では入試演習や英作文に進みます。一方、高3で特殊構文や話法を扱う学校もあります。そのため、高3英文法を一律の単元表で区切るのは現実的ではありません。
大人の学び直しでも同じです。参考書を最初から繰り返すだけでは、知識が個別の箱に残ります。高3段階では、1つの英文に複数の単元が同時に働くことを前提にし、「何が文の骨格で、何が追加情報か」を判断します。
5文型と修飾関係から文の骨格を復元する
長い英文でも、中心には主語と動詞があります。まず前置詞句・関係詞節・分詞などの修飾部分をいったん脇へ置き、SV・SVC・SVO・SVOO・SVOCのどれかを判断します。
The proposal presented by the team that joined the project last year seems practical.
昨年プロジェクトに参加したチームが提示した提案は、実用的に思われます。
この文の骨格はThe proposal seems practical.というSVCです。presented by the teamとthat以下はproposalやteamを説明しています。長い順に訳すのではなく、骨格を先に復元すると意味が安定します。
文型の土台は英語の5文型の見分け方、名詞の後ろへ説明を足す仕組みは英語の後置修飾で確認できます。
時制・完了形・受動態を1本の時間線で読む
時制は形の名前を当てる問題ではありません。「どの時点を基準にしているか」「その時点で動作の途中・完了・結果のどれを見ているか」を判断する仕組みです。受動態が重なると、誰が行ったかより、何に焦点を置くかも加わります。
- The project has been delayed.(その計画は遅れています)
- She said that the problem had already been solved.(彼女は、その問題はすでに解決されていたと言いました)
- By next month, the new system will have been introduced.(来月までには新しいシステムが導入されているでしょう)
12時制の地図は英語の12時制一覧、過去の視点から時間をそろえる方法は時制の一致、受動態の組み合わせは受動態の進行形・完了形・助動詞で整理できます。
節の役割から情報同士の関係を判断する
英文に主語と動詞が複数ある場合、それぞれの節が文中で何をしているかを確認します。名詞節は内容、形容詞節は名詞の説明、副詞節は時間・理由・条件・譲歩などを表します。
- What matters most is how you use the information.(最も重要なのは、その情報をどう使うかです)
- The method that works for one person may not work for another.(ある人に有効な方法が別の人にも有効とは限りません)
- Although the plan looked simple, it required careful preparation.(その計画は簡単に見えましたが、慎重な準備が必要でした)
句と節の違いを出発点にし、接続詞や関係詞を「訳語」ではなく「情報同士をどう結ぶか」で読みます。
節と準動詞を言い換えて構造を理解する
同じ内容でも、節・不定詞・動名詞・分詞を使って異なる形にできます。書き換え問題のためではなく、長い表現と圧縮した表現を行き来する力を身につけます。
- Because she was surprised, she couldn’t speak.
- Surprised by the news, she couldn’t speak.
- The news surprised her so much that she couldn’t speak.
いずれも「知らせに驚き、話せなかった」という関係です。形が変わっても、原因と結果、動作主、時間関係を保てているかを確認します。準動詞全体は不定詞・動名詞・分詞の違い、圧縮の仕組みは分詞構文で学べます。
助動詞と仮定法から話し手の距離感を読む
助動詞は、可能・義務・推量といった意味だけでなく、話し手が内容をどの程度現実的・確実だと見ているかを表します。仮定法は、その距離をさらに広げ、現実とは異なる世界を描きます。
- She may know the answer.(彼女は答えを知っているかもしれません)
- She must know the answer.(彼女は答えを知っているに違いありません)
- If she knew the answer, she would tell us.(もし彼女が答えを知っていれば、私たちに教えるでしょう)
- If she had known the answer, she would have told us.(もし答えを知っていたなら、私たちに教えていたでしょう)
助動詞は助動詞のコアイメージ、仮定法は現実との距離で理解する仮定法で体系的に確認できます。
否定・比較・強調・倒置から焦点を読み取る
語順が通常と異なる文では、書き手や話し手がどこを目立たせたいかを考えます。また、notがどの範囲を否定しているかによって意味が変わります。
- Not everyone agreed.(全員が賛成したわけではありません)
- It was experience that changed her decision.(彼女の決断を変えたのは経験でした)
- Only then did I understand the problem.(そのとき初めて私は問題を理解しました)
- The more carefully you listen, the more you notice.(注意深く聞くほど、より多くのことに気づきます)
部分否定、強調構文、倒置、比較級の慣用構文を、「どこに焦点があるか」という共通軸で結びましょう。
省略と代用から共有済みの情報を補う
自然な英語では、すでに分かっている部分を繰り返しません。読解やリスニングでは、言葉として現れていない情報を前後から復元します。
- I can join the meeting, but Ken can’t.(私は会議に参加できますが、ケンはできません)
- I’d like to visit Paris someday.(いつかパリを訪れたいです)
- Some people prefer tea; others, coffee.(紅茶を好む人もいれば、コーヒーを好む人もいます)
can’tの後ろにはjoin the meetingが、I’d like toの後ろにはvisit Parisが理解されています。英語の省略では、共有済みの情報を言わない仕組みとして解説しています。
高3英文法を英作文と会話へ移す
理解できる文法と、自分で使える文法の間には段差があります。使える状態へ移すには、複雑な日本語を一度に英訳するのではなく、内容を短い単位へ分けます。
時間が足りなかったため、私たちは全員が納得できる案を完成させられませんでした。
We didn’t have enough time. As a result, we couldn’t complete a plan that everyone could agree on.
最初から分詞構文や難しい構文を使う必要はありません。まず2文で目的と結果を伝え、その後because、so、that、whoなどでつなぎます。正確な短文を作る力が、長い文の土台です。
大人の学び直しにおすすめの復習順
高校文法をすべて同じ深さでやり直すと、時間がかかる割に使える表現が増えません。次の順番で「理解できるか」と「自分で使えるか」を分けて確認します。
- 5文型・修飾:長い文から主語と動詞を取り出す
- 時制・完了形・受動態:基準時間と焦点を決める
- 節・接続詞・関係詞:情報同士の関係を判断する
- 準動詞・分詞構文:節との言い換えを行う
- 助動詞・仮定法:確信度と現実との距離を読む
- 否定・比較・特殊構文:焦点と強調を判断する
- 英作文・音読・会話:自分の内容で使う
しゅみすけ(大山俊輔)
復習では、正解した問題にも「なぜこの形を選んだか」を一言で説明してください。説明できた文法だけ、自分の話題で1文作って声に出すと、知識が運用へ移り始めます。
英会話スクール「b わたしの英会話」・英語コーチング「be:RIZE」創業者
高3英文法を使える力へ変える3つの練習
1. 長い文を短い骨格へ戻す
修飾部分を括弧で囲み、主語・動詞・目的語・補語だけを残します。その後、どの説明がどの名詞や出来事にかかるかを戻します。読む順序が安定し、リスニングでも中心を失いにくくなります。
2. 1つの内容を2通りで表す
because節と分詞構文、能動態と受動態、仮定法と事実を表す文など、同じ内容を別の形にします。書き換えの目的は暗記ではなく、形が変わっても意味関係を保つことです。
3. 読んだ構文を自分の話へ移す
The more …, the more …を学んだら、The more I practice, the more confident I become.のように自分の経験へ置き換えます。例文を理解して終わらず、主語・動詞・場面を変えて声に出します。
大学受験英文法との違い
この記事の目的は、高3段階で高校文法を統合し、読む・書く・聞く・話すために使える状態へ整えることです。一方、大学受験英文法では、空所補充・正誤・語句整序・言い換えなど、出題形式ごとの判断速度や頻出語法も重要になります。
したがって、「高3英文法」と「大学受験英文法」は重なる部分があっても検索意図が異なります。高校文法の仕組みを統合した後、受験対策では問題形式に合わせて得点へ変える練習を行います。
高1・高2から高校英文法全体へつなげよう
文の骨格・時制・準動詞の基礎から戻る場合は高1英文法一覧、節・関係詞・分詞構文・仮定法の発展を整理する場合は高2英文法一覧をご覧ください。
3年間を横断した学習地図は、上位ガイドの高校英文法一覧にまとめています。また、複雑な英文法が難しく感じる理由は英会話のラスボス英文法一覧で、認知処理の視点から解説しています。
まとめ|高3英文法は知識をつないで運用へ移す段階
- 高3は、新出文法を増やすより、高1・高2の知識を統合する時期です。
- 長文では、修飾部分を分けて主語・動詞を含む骨格を復元します。
- 時制・節・準動詞・仮定法は、時間と意味関係の共通軸で結びます。
- 否定・強調・倒置・省略では、話し手が置く焦点を読み取ります。
- 理解した構文を自分の内容へ置き換え、英作文・音読・会話で使います。
高校文法の仕上げは、用語をすべて説明できることではありません。初めて見る文から骨格と関係を見抜き、自分が伝えたい内容には必要な形を選べることです。短い文へ戻す、別の形へ言い換える、自分の話として声に出す。この3つを繰り返して、知識を使える力へ変えていきましょう。





