「know=知る」と覚えている方は多いと思います。
もちろん、意味としては大きく間違っていません。ただ、日本語の「知る」は、知らなかった情報が入ってくる変化にも、すでに知っている状態にも使えます。
一方、英語のknowが基本的に表すのは、変化ではありません。
I know his name.
私は彼の名前を知っています。
名前という情報が、すでに自分の中に入っている。そして、必要なら取り出して答えられる。この状態がknowです。
ですから、knowのコアイメージは、「情報・事実を、すでに自分の中に持っている」です。
ここが見えると、次の表現も一本につながります。
I know.
知ってるよ。
I didn’t know that.
それは知りませんでした。
Do you know where he is?
彼がどこにいるか知っていますか。
You know.
ほら。/ねえ。/分かるでしょ。
この記事では、knowを日本語訳で暗記せず、「情報が自分の中にあるか」という視点から整理します。know that、know what・where・why、know about、know of、get to know、I knowとI seeの違いまで、実際の会話で使える形へ広げていきましょう。
knowのコアイメージは「情報・事実を、すでに自分の中に持っている」
knowの景色には、次の三つがあります。
- 情報・事実が、自分の中に入っている
- すでに知っている状態である
- 必要なとき、その情報を取り出せる

頭の中に、情報カードを収納する棚があると想像してください。
- 彼の名前
- 駅の場所
- 会議が始まる時間
- ある出来事が起きた理由
カードが棚にあり、質問されたら取り出せる。これがknowです。
INFORMATION INSIDE → 取り出せる状態
大切なのは、「今、情報を受け取る」という動きではなく、情報を持っている状態にカメラを向けることです。
knowは「知る」より「知っている」に近い
日本語では、初めて情報に触れた場面でも「その事実を知った」と言います。
しかし、英語では情報が入る瞬間と、情報を持っている状態を分けて表すことがあります。
I found out the truth yesterday.
昨日、その真実を知りました。
Now I know the truth.
今は、その真実を知っています。
find outは、隠れていた情報を見つけ出す変化です。knowは、その結果として情報が自分の中にある状態です。findの「明らかになる」感覚やfind outの使い方は、findのコアイメージで詳しく解説しています。
情報が入る → find out / learn
情報がある → know
たとえば「そのニュースをいつ知りましたか」と、情報が入った時点を聞くなら次のように言えます。
When did you find out?
いつ知ったの?
一方、「そのニュースを知っていますか」と現在の知識状態を確認するならknowです。
Do you know about the news?
そのニュースを知っていますか。
knowを「知る」という一語だけで覚えると、この時間の違いが見えにくくなります。「すでに情報を持っている」と捉えると自然です。
know+名詞:人・場所・情報が自分の中にある
knowの後ろには、知っている対象をそのまま置けます。
I know his name.
彼の名前を知っています。
Do you know the answer?
答えを知っていますか。
She knows this area very well.
彼女はこの辺りをよく知っています。
I know that song.
その曲、知っています。
name、answer、area、songについての情報・経験が、自分の中にあります。
人を目的語にすることもできます。
Do you know Tom?
トムを知っていますか。/トムと知り合いですか。
このknowは、名前だけを聞いたことがあるのではなく、その人と面識がある、どんな人か知っているという感覚です。
I know Tom.
トムと面識がある。
I know about Tom.
トムについて情報を持っている。
know Tomなら人物との直接的なつながり、know about Tomならその人に関する情報が中心になります。
know that+文:一文まるごとを事実として持っている
実際の会話でknowが多く登場する大きな理由が、後ろに一文をつなげられることです。
I know that she is busy.
彼女が忙しいことは知っています。
会話ではthatが省略されることが多くあります。
I know she is busy.
彼女が忙しいことは知っています。
自分の中に入っている情報は、単語一つとは限りません。「彼女は忙しい」という事実のかたまりを、そのまま持てます。
I know you’re tired.
疲れているのは分かっています。
We know this isn’t easy.
これが簡単ではないことは分かっています。
He knows I’m here.
彼は私がここにいることを知っています。
knowの後ろに主語+動詞が続いたら、「どんな情報を持っている?」と見てください。
know what・where・why・how:情報の箱を後ろにつなぐ
knowは、what、where、why、howなどが作る情報の箱とも非常によく使われます。
I know what you mean.
言いたいことは分かります。
Do you know where he is?
彼がどこにいるか知っていますか。
I don’t know why this happened.
なぜこんなことが起きたのか分かりません。
Do you know how this works?
これがどう動くか知っていますか。
I want to know when the meeting starts.
会議がいつ始まるか知りたいです。
what you meanは「あなたが何を意味しているか」、where he isは「彼がどこにいるか」という情報のかたまりです。
ここで語順に注意してください。
Where is he?
直接質問する場合は、isが主語heより前に出ます。
しかし、Do you knowの後ろでは、質問そのものではなく「彼がどこにいるか」という情報の箱になります。
Do you know where he is?
× Do you know where is he?
how muchも同じです。
How much is it?
いくらですか。
Do you know how much it is?
いくらか分かりますか。
Do you knowを前につけると、相手が情報を持っているか確認する形になり、直接尋ねるより少し柔らかい聞き方になります。
I know.は言い方によって「そんなの知ってる」にもなる
I know.は非常によく使う表現です。ただし、場面と声の調子には少し注意が必要です。
相手が新しい情報を教えてくれたのに、強くI know.と返すと、「それならもう知ってるよ」「言われなくても分かってる」という響きになることがあります。
たとえば、こんな場面です。
You’re so beautiful.
君はとてもきれいだね。
I know.
知ってる。
冗談として言えば面白いですが、文字どおりには「その情報はすでに自分の中にある」という返事です。かなり自信満々に聞こえますよね(笑)。
また、心配して助言してくれる相手に、
I know, I know.
と繰り返すと、「分かってるってば」という、少し煙たがる響きにもなります。
一方、相手に同意しながら「ほんまそれ」と言いたい場面でもI know!が使われます。
This movie is amazing.
この映画、すごいね。
I know!
ほんまそれ!
同じI know.でも、情報をすでに共有していることへ強く同意するため、温かい共感にもなります。単語だけでなく、声の調子と場面を一緒に見ましょう。
I didn’t know that.は「今は知っている」を含んでいる
Really? I didn’t know that.
本当ですか?それは知りませんでした。
この表現では、過去の自分の中にthatの情報がなかったことを伝えています。
しかし、相手から聞いた今はどうでしょうか。
BEFORE:情報がない
NOW:情報が入った
つまり、I didn’t know that.には「教えてくれてありがとう。今は分かった」という変化が背景にあります。
新しい話を聞いたときの自然なリアクションとして便利です。
Oh, I didn’t know that.
へえ、それは知らなかった。
I never knew that.
それはまったく知りませんでした。
neverを使うと、今まで一度もその情報を持っていなかったことを強調できます。
I knowとI seeの違い:すでに持っていたか、今見えたか
I know.とI see.は、日本語ではどちらも「分かりました」と訳されることがあります。しかし、情報の時間軸が違います。
- I know.:その情報は、すでに自分の中にある
- I see.:今の説明で、状況・意味が見えた
A: The meeting starts at ten.
会議は10時に始まります。
すでに知っているなら、
B: I know.
知っています。
初めて聞いて理解したなら、
B: I see.
なるほど。/分かりました。
新しい説明を受けた場面でI know.と言うと、「それはもう知っている」と相手の説明を遮るように聞こえる可能性があります。
状況が目に入り理解へ届く感覚は、seeのコアイメージでも詳しく解説しています。
You know.は「あなたの中にも同じ情報があるよね」
会話で頻繁に聞くYou know.は、日本語へ一語で訳しにくい表現です。
It was difficult, you know.
ほら、結構大変だったんですよ。
You know, I’ve been thinking about it.
あのね、それについてずっと考えていたんです。
He’s kind of shy, you know?
彼って、ちょっと人見知りでしょ?
話し手は「この背景や感覚、あなたの中にもありますよね」と、情報の共有を確かめています。
そのため、文脈によって次のように訳せます。
- ほら
- ねえ
- 分かるでしょ
- 〜じゃないですか
ただし、訳語を暗記する必要はありません。
YOU ALSO HAVE THIS INFORMATION, RIGHT?
この共有確認の感覚がYou know.の中心です。文頭では会話を始めるクッションに、文末では共感を求めるひと言になります。
know aboutとknow ofの違い
know aboutとknow ofは、どちらも「〜について知っている」と訳されますが、持っている情報量に違いがあります。
I know about the project.
そのプロジェクトについて知っています。
aboutは対象の周辺にある情報を表します。内容や事情について、ある程度の情報を持っています。
I know of him.
彼のことは聞いたことがあります。
ofは対象との結びつきを示します。存在や名前は知っているものの、詳しく知っているとは限りません。
- know someone:本人と面識がある
- know about someone:その人について情報を持っている
- know of someone:その人の存在・名前を聞いたことがある
I know her.
彼女と知り合いです。
I know about her work.
彼女の仕事について知っています。
I know of her, but I’ve never met her.
彼女のことは知っていますが、会ったことはありません。
対象そのものが自分の経験内にあるのか、周辺情報を持っているのか、存在だけが情報棚にあるのか。その距離を見ると整理できます。
get to knowは「知っている状態へ少しずつ到達する」
knowは状態を表すため、通常は進行形にしません。
I know him.
私は彼を知っています。
× I’m knowing him.
では、「相手をだんだん知っていく」はどう表すのでしょうか。
I’m getting to know him.
彼のことがだんだん分かってきました。
getは変化、toは到達点、knowは知っている状態です。
get → to → know
相手についての情報や経験が増え、knowの状態へ近づいていきます。
It takes time to get to know someone.
人を知るには時間がかかります。
We’re getting to know each other.
私たちはお互いのことを知っていっているところです。
know単体が状態だからこそ、変化を表すgetとの組み合わせが生きます。
know how to:やり方を情報として持っている
I know how to use this app.
このアプリの使い方を知っています。
Do you know how to get there?
そこへの行き方を知っていますか。
She knows how to deal with customers.
彼女は顧客対応の仕方を知っています。
how to以下は「どうやって〜するか」という手順・方法の情報です。それが自分の中にあり、必要なとき再現できる状態をknow how toで表します。
単に事実を聞いたことがあるだけでなく、手順を取り出して行動へ移せる感覚があります。
会話でknowを使うための3ステップ
knowを使うときは、日本語の「知る・分かる」から英訳する前に、次の順で考えてみてください。
- どんな情報・事実か? 名前、場所、理由、方法、一文など
- その情報は、すでに中にあるか?
- 自分が持っているのか、相手が持っているか尋ねるのか?
「答えを知っています」なら、answerが自分の情報棚にあります。
I know the answer.
「彼がどこにいるか知っていますか」なら、where he isという情報を相手が持っているか確認します。
Do you know where he is?
「なぜ起きたか分からない」なら、why it happenedという情報が自分の中にありません。
I don’t know why it happened.
knowの肯定・否定・疑問は、すべて情報の有無で考えられます。
動画でknowを含む基本動詞の感覚を確認する
しゅみすけの「基本動詞Top55」では、knowを会話で頻出する基本動詞の5位として取り上げ、「すでに知っている状態」というコアイメージから解説しています。
動画では、I know.のニュアンス、You know.の共感、Do you know+情報の箱なども、会話の場面から確認できます。
まとめ:knowは「すでに情報を持ち、取り出せる状態」
knowのコアイメージは、「情報・事実を、すでに自分の中に持っている」です。
- know+名詞:名前・答え・人・場所などの情報がある
- know that+文:一文を事実として持っている
- know what・where・why:情報の箱を持っている
- I know.:その情報はすでにある
- I didn’t know that.:過去には情報がなかったが、今は入った
- You know.:あなたの中にも同じ情報・感覚があるよね
- get to know:knowの状態へ少しずつ近づく
knowは「情報を受け取る瞬間」ではなく、情報を自分の中に保有している状態です。
この軸があれば、「知る」「分かる」「知り合いである」「やり方が分かる」など、日本語訳が変わっても迷いません。
次は、情報を持っているだけでなく、意味・仕組み・つながりが自分の中で立体化するunderstandのコアイメージへ進みます。そのあとthinkも加え、「知っている・理解している・考える」の違いを一つの流れで整理していきましょう。
be:RIZEでは、こうした基本動詞のコアイメージを英文理解で終わらせず、実際に口から出す練習へつなげています。単語は知っているのに、会話になると自然な表現が出てこない方は、資料請求、または無料カウンセリングから気軽にご相談ください。
knowとunderstandを同じ例文で見比べたい方は、knowとunderstandの違いで、情報と理解の境目を図解しています。
think・know・understandを一つの頭の流れで整理したい方は、think・know・understandまとめもあわせてどうぞ。



